市川猿之助(47)が両親と倒れているところを発見され、救急搬送されてから1週間が経過。両親が亡くなり世間に波紋が広がるなか、さらなる“ショッキングな証言”が飛び出した。「文春オンライン」は5月24日、猿之助が薬を飲んで意識を失った両親の顔に「ビニール袋を被せた」と関係者に証言していたと報じたのだ。猿之助はその後に自殺を図ったという。同日は猿之助が警視庁の事情聴取に応じた日でもあり、別のメディアでは「心中を図った」という趣旨の説明をしていたとも報じられた。胸が締めつけられるような報道に、ネット上では《ありえない》《何だか悲しすぎます》《ご両親が可哀想過ぎます》と悲痛の声が上がっている。「事件当初、猿之助さんは警視庁に『前日に死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』と説明していました。司法解剖の結果、両親の死因は向精神薬中毒とみられています。3人に外傷はなく、猿之助さんのそばには知人に宛てた遺書のような手紙が見つかっていました」(全国紙記者)猿之助の母・延子さん(享年75)は現場で死亡が確認され、父・市川段四郎さん(享年76)は搬送先の病院で死亡が確認された。独身の猿之助にとって、両親はかけがえのない家族だったはず。また、最近の段四郎さんは寝たきり状態だったといい、老老介護する延子さんを猿之助が支えていたとの報道もある。■親子3人の仲は良かったはずなのに…猿之助が語っていた母への尊敬猿之助は1983年に二代目市川亀治郎として初舞台を踏み、2012年に四代目市川猿之助を襲名。だが、段四郎さんは2013年に猿之助の襲名公演の最中に倒れ、以降は療養に専念していたという。そうしたなか、2015年のスーパー歌舞伎II「ワンピース」で実現した親子共演は大きな話題を呼んだ。いまでは澤瀉屋の看板を背負う猿之助だが、幼いころから両親の愛情を一身に受けて育ってきた。「澤瀉屋は歌舞伎界では珍しく学業優先で、稽古を理由に学業をおろそかにしてはいけないという方針でした。猿之助さんは段四郎さんの言いつけ通りに、慶応義塾大学をきちんと卒業しています。その一方で、柔軟な考えの持ち主である段四郎さんは、“好きこそ物の上手なれ”と稽古を押しつけなかったそうです。初めは歌舞伎を好きになれなかった猿之助さんは、父の舞台を鑑賞してその素晴らしさを再認識したと語っていました」(歌舞伎関係者)芸に励む夫と息子を支えてきた延子さんもまた、愛情にあふれた人だったようだ。日本舞踊の坂東流の名取だったこともあり、踊りには人一倍厳しかったという。だが、猿之助は過去のインタビューで「常にポジティブ。人は何か起きるとああすればよかった、と後悔しがちなものだが母は違う」(’05年7月20日「スポーツニッポン」)と、尊敬の気持ちを語っていた。「延子さんは一人息子の猿之助さんをいつも気にかけていて、猿之助さんが四代目を襲名するのは悲願だったそうです。親子3人の仲は良かったはずなのに、なぜ一家心中のような事件が起こってしまったのか……。段四郎さんと延子さんの葬儀も見通しが立っていないそうですし、一日も早く事件が解明されることを願うばかりです」(前出・歌舞伎関係者)事件当日には、一部週刊誌でパワハラとセクハラ疑惑が報じられた猿之助。だが所属事務所は23日に、マネージャーへの聞き取りをした上で「ハラスメントの事実はない」と否定していた。いったいなにが一家にこのような行動を取らせたのだろうか、悲しすぎる選択の真相はいかにーー。
2023年05月26日5月18日に市川猿之助(47)が都内の自宅で両親と倒れているのが発見され、両親が亡くなった事件。徐々に全貌が明らかになり、ひとり生き残った猿之助は、警視庁の調べに対して、両親と「死んで生まれ変わろうと話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」と話しており、一家心中を図ったとみられている。5月3日から28日まで行われる猿之助が主演を務める「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」の最中だったため、あわや演目中止かと思われた。ところが20日以降、弱冠19歳の市川團子が昼の部の代役を務めるとの発表が。中1日の稽古で猿之助の代役を務めた團子だが、堂々とした演技に終演時にはスタンディングオベーションが起こり、さらにチケットも凄まじい勢いで売れているという。猿之助のピンチを救い、自身も所属する歌舞伎界の名門「澤瀉屋」の救世主とも評される團子。いっぽう、その父親である市川中車こと香川照之(57)と猿之助の間には微妙な距離が。「香川さんは二代目市川猿翁(83)の息子として生をうけましたが、猿翁さんは別の女性と駆け落ち同然の生活を始め、香川さんのお母さんとは離婚。そのため、香川さんは歌舞伎界と距離を置き、ドラマや映画といった現代劇で人気役者としての地位を築きました。’12年6月に46歳で市川中車を襲名したのも、息子である團子さんをいずれ猿之助さんにするため。ドラマや映画ではトップクラスの役者ですが、歌舞伎界ではまだまだ新米。歌舞伎にこだわり研鑽を積んできた猿之助さんに比べると、格下です。猿之助さんと香川さんはいとこ関係ですし、46歳で歌舞伎界に入った選択をとった香川さんの応援はしているそうですが、猿之助さんは“市川中車に対しては”厳しく接してきました。歌舞伎に対して並々ならぬ思いがある分、“半端な気持ちで歌舞伎に関わってほしくない”という本音もあったのでしょう」(歌舞伎関係者)実際、猿之助は亀治郎時代の‘12年3月に行われた自身を囲む会で中車襲名をどう思うかと尋ねられたところ、「いや別に……。どうでもないです」「(香川は)あんまり白塗りは似合わないと思います」と公開ダメ出し。また同年4月のイベント会見では、中車襲名に際し「厳しいスタートでしょうね。僕がテレビに出て感じるのと同じドキドキを感じてほしい」といい、同席していた香川は思わず苦笑していた。そんな2人の関係をさらにこじらせたのが、’22年8月に発覚した香川の性加害報道だ。本誌6月6日号で、ある後援会関係者はこう話している。「猿之助さんと香川さんとの間では、香川さんの息子(團子)が五代目として猿之助を継ぐことで話がまとまっているといわれています。そのため、銀座のホステスへの性加害行為が発覚した香川さんに対し、猿之助さんは“澤瀉屋に泥を塗った”として怒り心頭でした」また猿之助は事件4日前、『スポーツ報知』に掲載されたインタビューで中車と團子について《言えるのは2人とも、まだまだ経験不足ということです。歌舞伎は何より場数を踏むことが大事。(略)厳しい言い方に聞こえるだろうけど、早く使いものになってほしい》と語っていた。しかし、猿之助をフォローしたのは“後輩”である香川の息子の團子。このいびつな関係の行く先はーー。
2023年05月26日NHKが24日、市川猿之助(47)が過去に出演した作品について再放送を止めていると明かしたことを、スポーツ紙各紙が報道している。これを受けて、作品ファンに動揺が広がっている。猿之助は昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』や、’07年の大河ドラマ『風林火山』などのNHK作品に出演してきた。NHKの担当者は「総合的な判断」を理由として、具体的にどの作品についてかは明かさなかったものの、予定されていた再放送がなくなったと説明したという。ただNHKオンデマンドで有料配信されている作品の今後については、現時点で決まっていることはないといい、25日現在も『鎌倉殿の13人』『風林火山』は配信されている。猿之助の事件に関しては警視庁がいきさつを捜査中。今後の状況によっては、NHKが措置を変えることもありそうだ。これを受けて、ネット上では今後の作品への措置がどうなるか心配する声が上がっている。《鎌倉殿も今後再放送なくなるかもね。名作なのになぁ》《鎌倉殿が見られなくなるのは辛い。オンデマンドは残してほしいです》《つい先日向田邦子賞を受賞したばかりなのに、鎌倉殿の配信もお蔵入りするのか戦々恐々としています》特に『鎌倉殿の13人』については、23日に脚本家の三谷幸喜(61)が向田邦子賞を受賞し、贈賞式会場に主演の小栗旬(40)ら豪華出演陣がお祝いに駆け付けたことで、作品ファンの熱が再燃しているところだった。ただ、『鎌倉殿の13人』については猿之助演じた怪僧・文覚の登場シーンは少ないことからこんな声も。《鎌倉殿再放送しないかな~…文覚のシーンはこう編集でアレすれば行けると思うんだけど》《風林火山は難しいだろうけど鎌倉殿はほとんど出てなかったからカットすればなんとかなりそう》
2023年05月26日市川猿之助(47)が都内の自宅で両親と倒れているのが発見され、その後両親の死亡が確認された事件からまもなく1週間を迎える。いまだに全容は明らかになっていないが、当時の状況などが少しずつ判明しつつある。5月18日に自宅から救急搬送された猿之助は一命をとりとめたが、母・延子さん(享年75)は自宅で死亡が確認され、父親の市川段四郎さん(享年76)は意識不明の状態だったが搬送先の病院で息を引き取った。警視庁は19日に両親の司法解剖を行い、睡眠薬などの向精神薬中毒死の疑いを明らかに。薬物の種類はまだ特定されておらず、血液検査などで今後明らかにされていく見通しだ。報道によると、猿之助は前日の17日に両親と話し合いの場を持ち、警視庁には「死んで生まれ変わろうと家族で話し、両親が睡眠薬を飲んだ」と説明しているという。自宅で発見された当時、猿之助のそばには知人への手紙が置かれていたことから、一家心中を図った疑いを持たれている。薬の調達方法などは明らかにされていないが、24日に警視庁は猿之助への事情聴取を行ったという。一般論として、一家心中を図り、ひとり生き残った場合、罪に問われる可能性はあるのだろうか。そこで、アリシア銀座法律事務所代表の竹森現紗弁護士に話を聞いた。「一家心中を図った人が薬を調達するなど、両親の自殺に関して何らかの手助けをしていた場合には、刑法202条の自殺幇助罪に問われる可能性があります。自殺幇助罪の法定刑は6ヶ月以上7年以下の懲役又は禁錮です。ただし、両親の自殺に全く関与しておらず、両親の後を追っただけというような場合は、罪に問われることはないでしょう。また、仮に薬の調達をして自殺幇助罪に問われたとしても、事件に至る経緯や当時の状況などが考慮されて執行猶予が付く場合もあります」果たして猿之助は事情聴取で何を語ったのだろうか。
2023年05月24日《市川猿之助さんが、いらっしゃらないのが残念です》《猿之助さんも本当ならここにいたはず》一部ネット上でそんな反応が上がっていたのは、23日に行われた「第41回(2022年度)向田邦子賞」の贈賞式について。テレビ界を支える優れた脚本作家に贈られる同賞を三谷幸喜(61)が受賞。昨年放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での受賞ということで、同作の豪華出演陣が総勢28人もお祝いに駆け付けたのだ。式中には、主演の小栗旬をはじめ、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、瀬戸康史、梶原善、菊地凛子、山本耕史、中川大志、佐藤B作、生田斗真、草笛光子、佐藤浩市、坂口健太郎、大泉洋ら主要キャストが登壇し、西田敏行はメッセージを寄せた。さらに、式終盤のフォトセッションには、堀内敬子、相島一之、宮澤エマ、堀田真由、南沙良、野添義弘、新納慎也、栗原英雄、柿澤勇人、福地桃子、山本千尋、きづき、西本たけるも参加した。豪華メンツに三谷も「テレビで見た人ばっかり。本当にうれしいです」と冗談まじりに感激を口にしていたのだが、『鎌倉殿の13人』には市川猿之助(47)も出演していた。謎の僧・文覚役で怪演が話題になり最終回にも登場していただけに、作品のファンのなかには、冒頭のように、猿之助のことが頭をよぎった人もいたようだ。猿之助は、『鎌倉殿』だけでなく、三谷が脚本・演出した歌舞伎に出演していたこともある。猿之助の事件が起きた2日後の5月20日に放送された『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)では、三谷が猿之助についてコメントし、「この陰惨な事件の、唯一の救いっていうか、救いがあるとするんだったら、彼が生きてるってことだから。この先どうなっていくか分かんないですけども、どうなろうとも、彼は帰ってくるべきだし、帰ってきて欲しい。僕らはずっと待っているだけのような気がします」と語っていた。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月24日5月18日午前10時過ぎ、東京都目黒区内にある自宅で両親と倒れているのをマネージャーたちに発見された市川猿之助(47)。母・延子さん(享年75)はその場で死亡が確認され、父・市川段四郎さん(享年76)は搬送先の病院で死亡が確認された。「司法解剖の結果、両親の死因は向精神薬中毒とみられています。一命を取り留め猿之助さんは、警視庁の聴取に『死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』と説明していたことが判明しました。一家心中を図った疑いがあり、警視庁は捜査を進めています」(スポーツ紙記者)事件が発生した同日には、一部週刊誌で猿之助のパワハラとセクハラ疑惑が報じられていた。猿之助の所属事務所は23日、公式サイトを通じて「今まで猿之助に関わった複数のマネージャーに聞き取りをしましたところ、弊社管轄の現場において、そのような事実は現在出てきておりません」と報道内容を否定している。所属事務所が慎重に調査を続ける意向を示す一方で、衝撃的な出来事の余波が各所で広がり続けている。猿之助が今月3日から主演していた東京・明治座の歌舞伎公演は、救急搬送を受けて18日昼の部が中止となり、夜の部は中村隼人(29)が代役を務めた。翌19日以降の夜の部は引き続き隼人が代役を演じ、20日の昼の部からは市川中車(香川照之、57)の長男・市川團子(19)が代役に抜擢された。対応に追われているのは、歌舞伎界だけではない。6月16日から公開予定の映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』にも猿之助は出演しており、同作を手がけるテレビ朝日では激震が走っているという。「文春オンライン」では、19日からTVerで配信予定だったドラマ『緊急取調室』関連の過去作品は配信中止になったと報じている。映画公開前に予定されていた単発ドラマなども放送されない可能性があるという。それだけでなく、映画の宣伝や舞台挨拶にも大きな支障をきたしてしまったようだ。「報道直後、すぐに主演の天海祐希さん(55)の耳にも入ったようで相当なショックを受けたようです。今のところ来月16日の公開は予定とおりですが、それまでに予定していた映画の宣伝は一度すべてキャンセルすることになりました。また、公開初日の舞台挨拶も、当初は猿之助さんと佐々木蔵之介さんをメインに行う予定にしていました。それも、今回の件で白紙になりました」(芸能関係者)’14年1月期にドラマが始まって以降、お茶の間の人気を博してきた“キントリ”。第4シーズンまで制作され、’22年1月にはドラマスペシャルが放送。公開を控える劇場版はシリーズ完結となり、猿之助は天海演じる刑事の“最後の取調べ相手”となる総理大臣を演じているが……。「猿之助さんが演じるのは総理大臣の役ですが、当然、取り調べのシーンもあります。もし公開されたとしても、波紋を呼ぶことになるのは間違いないですね」(前出・芸能関係者)公式サイトでは「最高の作品、しかも記念すべき“ファイナル”に、ゲストとして出演させていただけるとは夢にも思いませんでした」と、感激の言葉を綴っている猿之助。動揺が広がる“キントリ”の行方は、果たしてーー。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月24日歌舞伎俳優である市川猿之助(47)の所属事務所は5月23日、一部で報じられた猿之助のハラスメント報道を否定した。しかし、ネットではその対応を疑問視する声が相次いでいる。5月18日発売の「女性セブン」で、猿之助の弟子や俳優へのパワハラとセクハラ疑惑を報じた。その同日、東京・目黒区の自宅で猿之助と両親が倒れているのをマネージャーが発見し、119番通報したものの両親は死亡。猿之助も一時は入院していた。のちに退院した猿之助は、事件について「死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」と警視庁に説明したと伝えられている。そんななか23日、猿之助の所属事務所は公式サイトで声明を発表。そこには《先日来、一連の事象に関する様々な報道がされておりますが、今なお当局等による対応が続いており、弊社としても要請に応じた協力をしつつ、松竹様と連携をとり、慎重に各方面からの情報把握に努めているところでございます》との説明が。いっぽう猿之助のハラスメント報道についてはこう綴っていた。《今まで猿之助に関わった複数のマネージャーに聞き取りをしましたところ、弊社管轄の現場において、そのような事実は現在出てきておりません》今回の事件の原因については未だ明らかにされていないなか、マネージャーへの聞き取り調査をもとにハラスメント報道を否定して猿之助の事務所。ある芸能関係者はこの対応に疑問を呈す。「騒動が起きたときは最初に出すコメントがよく見られますし、重要視されます。スピード感を重視してアナウンスすることも大切ですが、あとから最初のコメントとは違う内容の報道が出てきてしまうと、辻褄が合わなくなるため印象が悪くなります。今回の猿之助さんの事務所のコメントは多方面からの聞き取りではなく、話を聞いたのはあくまでマネージャーのみ。それだけで『ハラスメントはなかった』とすることは、真相を解明するという点においてもリスクマネージメントの面でも危ういように感じます」猿之助のハラスメントを事務所は否定しているがーー。ネットでは訝しむ声がこう上がっている。《身内が身内に事実確認しても意味が無いと思います。特に1番身近にいるタレント本人の味方であるマネージャーが本人にマイナスになる事を発言するとは思えません》《今の段階で拙速に管轄内ではなかったとか言う必要あるかね? またボロボロ出てきたらバッシングが強まるし、全然猿之助を守ってない》《きちんと外部からの調査を入れたのかも分からないし、管轄の中で、パワハラ・セクハラがなかったと結論付けるのは、まだ早いのではないだろうか》《コメントを出すなら、第三者委員会を立ち上げて徹底的に調べた後にしてほしい》事務所は世論を納得させることができるだろうか。
2023年05月24日「室内には猿之助さんが書いた複数の“遺書”が残されていました。家族以外の者へ遺産を分配してほしいという趣旨のものや“迷惑かけて申し訳ない”といった内容でした」(捜査関係者)5月18日午前10時過ぎ、東京都目黒区内にある市川猿之助(47)の自宅を訪れたマネージャーたちが、半地下のクローゼットの中で意識がもうろうとしている猿之助を発見した。2階のリビングでは父・市川段四郎さん(76)と母・延子さん(75)が横たわっていた。いずれもパジャマ姿で、首から下には布団が掛けられていたという。延子さんはその場で死亡が確認され、段四郎さんは搬送先の病院で死亡が確認された。 司法解剖の結果、両親の死因は向精神薬中毒とみられている。「向精神薬とは鎮痛剤、精神安定剤、睡眠導入剤など中枢神経に作用して精神機能に影響を及ぼす薬物の総称です。服用には通常、医師の処方箋が必要です。今後、血液検査を経て、どのような経緯で入手した薬で、どれほどの量を服用していたのかが特定されることになるでしょう。同じく薬物を摂取し自殺を図ったとみられる猿之助さんは搬送先の病院を19日に退院しました。警視庁は両親が薬を摂取した状況などについて猿之助さんに事情を聴き、『死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』と説明していたことが判明しました。一家心中を図った疑いがあります」(前出・捜査関係者)歌舞伎に映画にドラマにと精力的な活動をしていた猿之助だけに、各所に激震が走った。 彼が主演していた東京・明治座の歌舞伎公演は18日昼の部は休演。夜の部は中村隼人(29)が代役を務めた。6月16日から公開予定の映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』にも猿之助は出演。主演の天海祐希(55)も相当なショックを受けているという。今回の事件当日に発売された週刊誌では、猿之助のパワハラとセクハラ疑惑が報じられていた。「共演する役者たちにキスや体を触る“性的スキンシップ”を求めていたと、劇場関係者らが証言していました。断ったスタッフが公演から外されることもあったとして、各方面に強い影響力を持つ猿之助さんに対し、周囲が“拒否できない雰囲気だった”と指摘する内容でした」(全国紙記者)同誌の直撃を受けた猿之助は「答える義務はありません」とだけ答えたという。その記事の影響があったのだろうか――。猿之助の知人はこう語る。「猿之助さんは仕事に厳しく、完璧主義者でした。喜怒哀楽も激しいところがあったので、パワハラと受け取られたのでしょうか……。でも本当はとても繊細な性格で、かなりお酒を飲むことに加え、1~2年前から睡眠薬を手放せなくなったと言っていました。あるとき、私が家庭の悩みがあると打ち明けたら『僕もありますよ』と神妙に言っていたのを記憶しています」■《これからどうやって生活したらいいか》猿之助の屋号は澤瀉屋。三代目猿之助だった二代目市川猿翁(83)が’86年、歌舞伎に最新技術や現代音楽を取り入れ、宙乗りなどの演出で魅せる「スーパー歌舞伎」を創始。歌舞伎界に新たな歴史を刻むこととなった。「澤瀉屋は学業優先でも知られます。段四郎さんは高校生の猿之助さんに『大学に行くのなら、絶対に卒業しなさい。稽古を理由に学校を休んではいけない。二莵を追う者は一莵も得られない』と言い聞かせてきました。その結果、猿之助さんは慶應義塾大学文学部に合格。きちんと卒業もしています」(後援会関係者)’12年、伯父・猿翁から四代目猿之助を襲名。その芸を「スーパー歌舞伎II」として発展させ人気者となった猿之助だが、このころから父・段四郎さんは体調不良に悩まされるようになったという。「段四郎さんは10年くらい前から体が言うことを聞かなくなったそうで、’15年のスーパー歌舞伎II『ワンピース』での親子共演が最後の舞台となりました。段四郎さんを妻・延子さんが老老介護する生活になっていました。特に最近の段四郎さんは寝たきり状態だったとも聞いています。そのため、猿之助さんは金銭面に加え多忙の合間を縫って両親のサポートにも最大限努めていたといいます」(前出・後援会関係者)父が表舞台から去り、澤瀉屋を一身に背負った猿之助を襲ったのが、コロナ禍だった。 途切れたことのなかった歌舞伎の舞台に立てない事態に直面することとなった。2年前のインタビューでこう振り返っている。《僕も、これからどうやって生活していこうかと悩みましたからね。働く場所がないんだから切実ですよ。ようは失業者。それでもお弟子さんを食べさせなくてはいけない。蔵書や絵を売ったらいくらになるかなって本気で考えました》(『婦人公論』’21年1月26日号)■猿之助一家の悲劇を聞いた香川は嗚咽そこへ追い打ちをかけたのが、’22年8月に発覚した猿之助のいとこ、香川照之(57)の性加害事件だった。「父・猿翁さんとの恩讐を越えて、香川さんは’12年に市川中車として歌舞伎デビュー。猿之助さんと香川さんとの間では、香川さんの息子(團子)が五代目として猿之助を継ぐことで話がまとまっているといわれています。そのため、銀座のホステスへの性加害行為が発覚した香川さんに対し、猿之助さんは“澤瀉屋に泥を塗った”として怒り心頭でした。その一方で、活動を自粛した香川さんがそのまま芸能界を引退することは避けるべく、猿之助さんは奔走。昨年12月、團十郎さんの力を借りて、再び香川さんは歌舞伎座の舞台に立つことになったのです」(前出・後援会関係者)本来なら今年の6月、猿之助と香川は歌舞伎座で共演する予定だった。事件4日前のスポーツ紙のインタビューで、猿之助は熱く語っていた。《言えるのは2人(中車と團子)とも、まだまだ経験不足ということです。歌舞伎は何より場数を踏むことが大事。(略)厳しい言い方に聞こえるだろうけど、早く使いものになってほしい》《世間も社会も混乱した移り気な現実の中で、歌舞伎がどうすれば生き残っていけるかを考えなければならないんです》(『スポーツ報知』5月14日付)澤瀉屋のすべての重責を担う、猿之助の強い覚悟がうかがえる。前出の後援会関係者は続ける。「猿之助さん一家の悲劇を聞いた香川さんは嗚咽したそうです。“なぜ相談してくれなかったのか”と……。もはや“澤瀉屋は呪われている”と言う梨園関係者もいます」猿之助が出演中だった明治座創業百五十周年記念公演歌舞伎スペクタクル『不死鳥よ波濤を越えて―平家物語異聞―』で彼が演じていたのは平知盛だった。歌舞伎関係者は言う。「今回の報道を聞いて、梨園の人たちの多くは、物語との奇妙なつながりを感じました。 今作の平知盛は壇ノ浦の合戦で落命寸前で助けられた後、大陸に渡り、生き抜いていきます。しかし、ラストでは自ら死を選ぼうとして実際に散ってしまうのです。猿之助さんもほかの選択肢があったはず。親の介護や、澤瀉屋の呪縛で心身ともに疲弊してしまったことで、ひょっとしたら現実と物語の境界線が薄れてしまっていたのかもしれません」かつて猿之助は、父との対談で、こんな感謝を述べて、決意表明していた。《無理に稽古を押しつけられなかったし、そのおかげで私も自然に歌舞伎が好きになれた。今では歌舞伎が私の生きる道だと思っています。(略)澤瀉屋を盛り上げていきたい。次世代につながるように若い私たちが努力する。それが親孝行だと思っています》(『サンデー毎日』’00年6月18日号)警視庁は事件当時の状況を詳しく調べるとともに、猿之助からさらなる事情を聴く予定だ。自宅の家宅捜索ではすでに数台のスマートフォンが押収されたという。今後、彼の口から、どんな真実が語られるのだろうか――。
2023年05月23日5月18日午前、東京・目黒区にある自宅の半地下で倒れているのを発見された歌舞伎俳優の市川猿之助(47)。自宅2階ではあおむけに倒れている父の市川段四郎さんと母親も発見されたが、その後2人の死亡が確認された。各報道によると、猿之助のそばには本人名義で書かれた知人宛の遺書と見られるメッセージが残されていたことから、警視庁は自殺を図ったものと見ている。緊急搬送された猿之助は一命を取り留め、19日までに退院したという。また19日に行われた司法解剖の結果、両親の死因について警視庁は向精神薬中毒の疑いがあることを明らかにした。事件の背景については今後行われるであろう猿之助への聴取を待つほかないが、向精神薬中毒という報道に、衝撃を受ける人々が相次いだ。果たして、向精神薬中毒とは一体どのようなものなのか。大阪の心療内科科クリニック「岡田クリニック」の岡田尊司院長に話を聞いた。まず、「向精神薬」といっても様々な種類があるという。「向精神薬には、大きく分けると3つの種類があって、1つ目は睡眠薬や抗不安薬と言われるタイプ。この2つは大体似たような成分で、ベンゾジアゼピン系のお薬のことが多く、マイナートランキライザーと言われています。2つ目はより強力な精神安定剤、いわゆるメジャートランキライザーというもの。3つ目はこの2つ以外の抗うつ薬、気分安定薬等に分類できます。睡眠薬や抗不安薬の場合は、不眠や不安、軽い鬱の症状にも使えます。精神科、心療内科をはじめ、内科の先生も処方したりするので割と身近なものですね。一方で、メジャートランキライザーといわれる安定剤は、精神病圏の状態に使う薬で、より沈静効果が強力です。通常は、精神科や心療内科にかかってないと処方されません」(以下、カッコ内はすべて岡田院長)向精神薬中毒で死にいたるケースについて、岡田院長は言う。「一般の睡眠薬や抗不安薬は安全性が非常に高いため、100錠以上飲んでも死ぬとは限りません。ただ、高齢者等でもともと呼吸する力が弱まっていたり、呼吸不全があったりすると、そうとも言えません」一般的に、中毒で死に至る量の向精神薬を所持することはあるのだろうか?「睡眠薬は処方する日数制限があり、1カ月以上は処方できない決まりがあります。例えば30錠などが一つの制限としてあって、そこを守って処方しているきちんとした病院でしたら、大量に処方されるということはありません」■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月20日5月18日、歌舞伎俳優の市川猿之助(47)が自宅で両親と倒れているところをマネージャーに発見され、救急搬送された。母親(享年75)は現場で死亡が確認され、父の市川段四郎さん(享年76)は搬送先の病院で死亡。一命を取りとめた猿之助は、意識障害が続いていたものの19日に退院した。「猿之助さんは半地下の自室で意識が朦朧とした状態で発見され、知人に宛てた遺書のようなメモがあったことから警視庁は自殺を図ったものと見ています。また、2階のリビングで布団をかけられた状態で見つかった両親は、若干の吐しゃ物が確認されました。家族3人は何らかの薬物を服用した可能性があるとして、警視庁は19日に自宅の現場検証を実施。両親は司法解剖の結果、向精神薬中毒の疑いで亡くなったと見られています」(全国紙記者)事態の真相解明が待たれるなか、歌舞伎界では“異例中の異例”の対応を余儀なくされている。猿之助は5月3日から自らの名を冠した「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」に出演していたが、救急搬送された18日は昼の部が休演となり、夜の部は急きょ歌舞伎俳優の中村隼人(29)が代役を務めた。28日まで続く公演に動揺が広がるなか、明治座は19日に同日夜の部と20日以降の代役を発表。夜の部の演目「御贔屓繫馬」では、引き続き隼人が猿之助の代役を務めることに。そして昼の部では、思いがけない人物に白羽の矢が立った――。それは市川中車(香川照之、57)の長男・市川團子(19)。歌舞伎スペクタクル「不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞―」で、猿之助が演じるはずだった主人公・平知盛を演じることが決定した。’12年に「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」で五代目市川團子として初舞台を踏み、’16年から出演している「八月納涼歌舞伎」では同世代の市川染五郎(18)と切磋琢磨し合いながら研鑽を積んできた團子。幼いころから一門の期待を背に、芸の練習に励んできたという。「中車さんが40代で梨園に飛び込んだのは、息子の團子さんに“市川猿之助の名跡を継がせたい”という夢があるからだといいます。昨年8月に性加害疑惑が報じられた際は、家族に迷惑をかけたことを團子さんに心から詫びたそうです。そして、“あなたは将来の猿之助になる人間なんだから、身を引き締めて頑張りなさい”と伝えたと聞きました。現在、澤瀉屋を背負う猿之助さんには跡継ぎとなる子供がいないため、團子さんに期待が寄せられています。團子さんも“歌舞伎一筋”だそうで、“与えられた役はどんな役でもやる”と意気込んでいました。とはいえ猿之助さんの代役を務めることに、相当なプレッシャーを感じているでしょう」(歌舞伎関係者)そんな團子は’20年1月に、初世市川猿翁の当たり芸をまとめた「澤瀉十種」のひとつ「連獅子」を猿之助と演じた。上演に先立って行われた合同取材会では、猿之助を「憧れの方」と表現し、「お稽古してくださる時の教え方が的確で、難しい感情も理解しやすい表現で教えてくれます」と感謝の気持ちを語っていた。衝撃な出来事からわずか1日しか経っていないなか、大役を担うことになった團子。SNS上では、彼を慮る声や激励の声が広がっている。《團子くん…。すごいとしか言えない。成功を祈ります》《團子さん。君はどんだけいろんなものを背負わなきゃいけないの。一生応援する》《まじか!團子ちゃんが昼の代役やるのか!!!まだ10代の若者が背負うには大き過ぎるものを背負わされちゃったなー頑張れ!!!》《澤瀉屋を背負う覚悟で代役引き受けたんだろうけど まだ19歳なのに ショックも大きいだろうに 過酷すぎる… 無理せず 怪我なく どんな大役でも 團子ちゃんならできる》澤瀉屋のピンチを救うべく、團子は舞台に立つ――。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月20日5月18日、歌舞伎界を揺るがす衝撃的なニュースが。同日午前10時過ぎ、市川猿之助(47)が都内の自宅で両親とともに倒れているのを男性マネージャーが発見。その後、猿之助は一命を取り留めたが、父の市川段四郎さん(享年76)と母親(享年75)の死亡が確認された。「猿之助さんは自宅の半地下で意識が朦朧とした状態で発見され、両親は2階のリビングで布団をかけられた状態であおむけに倒れていたといいます。2人に目立った外傷はなく、猿之助さんのそばには本名名義で書かれた知人宛ての遺書とみられる手紙が置かれていたことから、警視庁は自殺を図ったとみています」(全国紙の社会部記者)市川猿翁を伯父に、市川中車(香川照之)を従兄に持ち、名門・澤瀉屋を牽引してきた猿之助。古典はもちろん、スーパー歌舞伎『ワンピース』で演出を務めるなど歌舞伎界に新しい風を吹き込んだだけでなく、俳優としてもNHK大河『龍馬伝』や『半沢直樹』(TBS系・2020年)など数々の話題作に出演。さらに頭脳も明晰でユーモアにも富んでいることからクイズ番組やバラエティ番組でも活躍していた。そんな猿之助だけに、今後の仕事への影響も計り知れないものが。5月3日から出演していた自身の名前を冠した「市川猿之助奮闘歌舞伎」の18日昼の部の公演は休演となり、今後も6月と7月に東京・歌舞伎座での大歌舞伎、来年2月にはスーパー歌舞伎II『鬼滅の刃』を控えている。また6月に公開を予定している映画『緊急取調室 THE FINAL』にもキーマンである内閣総理大臣役としてクレジットされている。仕事面よりも、心配されているのが猿之助の“今後”だ。前出の社会部記者は言う。「両親の死因はまだ判明しておらず、警察は19日に司法解剖する方針です。また、現在の猿之助さんは会話できるような状態にないといい、回復後に聴取するといいます。18日発売の週刊誌『女性セブン』が猿之助さんのハラスメント疑惑を報じており、今回の事件との関連を指摘する声も少なくありません。また警視庁目黒署は状況から猿之助さんが心中を図った可能性もあるとみているそうです」真相については捜査の進展を待つほかなく、心中を図ったかは現時点で知るよしはないが、ネット上では父親と母親がともに亡くなってしまった猿之助の今後を想像して絶句する人々が。《市川猿之助まじぃ?? 両親死んで自分だけ生き残ったってやばくないか》《これって遺書は見つかったけど、生き残った市川さんはどういう心情になるんだろう。複雑すぎ》《市川猿之助、もし1人で自殺しようとして両親を巻き込み、自分一人だけ生き残ったとしたら、しんどすぎないかこれ。取り返しつかねぇぞ》■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月19日歌舞伎俳優の市川猿之助が18日午前に救急搬送されたことを受け、所属事務所のケイファクトリーは同日、公式サイトを通じてコメントを発表した。同社は、「現在市川猿之助に関する報道がなされており、お客様をはじめ関係者の皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけいたしますこと深くお詫び申し上げます」と謝罪。猿之助の状態などについては、「本日(5/1819:00)時点で、弊社として詳細な情報を把握いたしておりません」とし、「警察ならびに病院にて対応をいただいているものと認識しており、各方面からの情報把握に努めているところでございます」と現在の状況を報告した。そして、「その他猿之助に付随する報道に関しましては弊社並びに、弊社所属俳優のコメントは差し控えさせていただきます。皆様のご理解賜りますようお願い申し上げます」と結んでいる。
2023年05月18日5月18日の午前10時過ぎ、歌舞伎俳優・市川猿之助(47)が両親と東京・目黒区の自宅で倒れているのが見つかった。報道によると、意識がもうろうとした状態で倒れている猿之助を、迎えにきたマネージャーが発見し119番通報。猿之助が倒れていたのは地下の自室で、発見場所の近くに遺書のような書き置きが見つかったという。「発見当時、猿之助さんの両親は別の部屋で倒れていたそうで、父親は意識不明の重体、母親は現場で死亡が確認されました。猿之助さんは搬送時に意識があったそうで、現在は命に別状はないようです。しかし父親は助からず、両親ともに亡くなってしまいました」(スポーツ紙記者)現在、5月28日まで上演される東京・明治座での「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」に出演中だった猿之助。だが緊急搬送を受けて、明治座は18日昼の部を休演すると発表した。’12年に「四代目 市川猿之助」を襲名した猿之助は、二代目市川猿翁(83)が始めたスーパー歌舞伎を受け継ぎ、’15年10月に人気漫画『ONE PIECE』を上演するなどエンターテインメント性を追及してきた。最近では’20年7月にドラマ『半沢直樹』(TBS)で従兄の香川照之(57)と共演を果たし、お茶の間の人気を博したことも記憶に新しい。5月3日から出演している自身の名前を冠した「市川猿之助奮闘歌舞伎」には、夜の演目「御贔屓繫馬(ごひいきつなぎうま)」で香川(市川中車)も配役に名を連ねている。香川といえば昨年8月に性加害疑惑が報じられて以降、レギュラー番組やCM、ドラマなど相次いで降板。テレビ復帰は絶望的だと見られていたが、そんな香川に手を差し伸べたのは猿之助だった。「中車さんは、昨年12月の『十三代目市川團十郎白猿襲名披露』で舞台復帰を果たしました。来月上演される『六月大歌舞伎』では『傾城反魂香』の演目で主役に抜擢され、猿之助さんと夫婦役を演じる予定です。もともと中車さんは俳優業で多忙ということもあって、歌舞伎作品への出演数は多くありませんでした。ですが、スキャンダルによってテレビでの仕事を失った彼を気にかけ、復帰の手を差し伸べてきたのは猿之助さんです。演技で評判を落とすと猿之助さんの顔をつぶすことになってしまうので、中車さんは必死で取り組んでいるそうです」(歌舞伎関係者)家族3人に外傷はなく、遺書のようなものも置かれていたことから心中を図ったとも報じられている猿之助。あまりにも衝撃的な事件の全容解明が急がれるなか、ネット上では悲痛の声が相次いでいる。《本当に無念。なぜ思いとどまらなかったのか》《猿之助さん……悲しいんだけど悲しすぎるんだけど》《ご両親が亡くなられて猿之助さんだけが生き延びて、これからが心配になります。 体も心も回復されることを願います》■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月18日2023年5月18日午前、歌舞伎役者の市川猿之助さんが、自宅で倒れているところをマネージャーに発見され、救急搬送されました。産経ニュースによると、猿之助さんのほか、猿之助さんの両親もその場で倒れているのを発見され、母親の死亡が確認されたといいます。なお、猿之助さんは搬送時に意識があったといい、警視庁が状況を調べています。[文・構成/grape編集部]
2023年05月18日明治座創業百五十周年記念「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」と銘打ち上演されるのは、映像作品でも大活躍の猿之助が主演と共同演出を勤める2演目。昼の部は先代の猿之助(現・猿翁)が宝塚歌劇団の植田紳爾に依頼して作ったという“歌舞伎レビュー”『不死鳥よ 波濤を越えて』。夜の部は「三代猿之助四十八撰の内」から猿之助の6役早替りが楽しめる『御贔屓繋馬』。中村壱太郎や中村米吉、中村隼人ら今を時めく若手俳優を配し、中村鴈治郎や市川門之助ら重鎮が舞台を引き締める豪華版。気になる内容を猿之助と隼人に聞いた。『不死鳥よ~』は壇ノ浦の戦いで戦死した平知盛(猿之助)が、実は海を渡って生きていたという設定のもと展開されるレビュー(※台詞ではなく歌と踊りのシーンで進行してゆくショー形式のステージ)。猿之助は「レビューをやるのは初めてなんですが、歌劇でも振付経験のある藤間勘十郎さんに演出と振付に入っていただいたので不安はないです。あとは楽曲で、音楽って特に時代を映し出すものじゃないですか。だからミュージカルも多数担当されている玉麻(尚一)先生と相談して新しい楽曲を作っているところ。僕も含めて役者も歌うので楽しみにしてもらえれば」と笑う。隼人も「資料映像を観たら本当に“男版宝塚”で見どころ満載。初演になかったという知盛と若狭(壱太郎)のシーンも、猿之助さんはどう演出されるんだろうと今から楽しみです」と語る。一方の『御贔屓~』は四世鶴屋南北の原作を、先代の猿之助と奈河彰輔の手で1984年に明治座で上演、大評判となった演目。今回は公演最終日に『御贔屓~』の配役を猿之助と隼人が入れ替わりで勤めるのも話題だ。「まさか猿之助さんのお役をさせていただけるとは夢にも思っていなかったので、驚いています。幸いなことに公演中は間近で猿之助さんの姿を見て学べますし、今こういう事をさせていただける意味を感じつつ、次の課題にも精一杯ぶつかっていきたい」と表情を引き締める隼人。猿之助から「まずは女方だね。木偶の坊になっちゃうか、ちゃんとした女方ができるのか」(早替りの6役に女方があるため)と、からかいつつも愛情たっぷりの声が飛ぶと、隼人も「女方は7年ほどやっていないですが、その間に多少は他の力を付けられたのではないかと自分を信じて。稽古場で打ち拉がれながらも(笑)、頑張りたいです」と語った。若手俳優を多く配していることを問われると「今を盛りと咲いている人には、自分が一番いい状態のときに(芸を)教えたい。伝統芸能って1年や2年じゃ教えられないものなので、10年、20年先を見据えてね。僕はここからがスタートだと思っているんです」と真剣な表情で話す猿之助。演者たちが生き生きとぶつかり合う5月明治座はまもなく開幕。取材・文/藤野さくら
2023年05月01日4月歌舞伎座「鳳凰祭四月大歌舞伎」昼の部『新・陰陽師』で脚本・演出、そして蘆屋道満役を勤める市川猿之助が、安倍晴明を祀る晴明神社にて成功祈願を行った。本公演は、夢枕獏が描いた伝奇小説『陰陽師』を原作に、歌舞伎ならではの演出や工夫が凝らされた作品。猿之助の脚本・演出のもと、次代を担う花形俳優が顔をそろえ、新たな「陰陽師」の世界が誕生する。神社には、出演者(市川猿之助、坂東巳之助、中村壱太郎、尾上右近、中村隼人、中村児太郎、中村福之助、中村鷹之資、市川染五郎)が書いた絵馬を猿之助が代表して奉納。京都・南座『三月花形歌舞伎』に出演中の尾上右近、中村鷹之資もその場に駆けつけた。成功祈願の様子左より)中村鷹之資、市川猿之助、尾上右近併せて、本公演の特別ポスターも公開。猿之助扮する蘆屋道満からはいかにも怪しげな雰囲気が漂い、まるでその指先から伸びた糸で登場人物たちを操っているかのようなビジュアルに。道満が広げた手の下には、中村隼人の安倍晴明、市川染五郎の源博雅、坂東巳之助の平将門、中村壱太郎の滝夜叉姫、尾上右近の興世王、中村児太郎の桔梗の前、中村福之助の俵藤太、中村鷹之資の大蛇丸ら総勢八人の個性豊かなキャラクターが並んでいる。本ポスターは歌舞伎座ほかにて掲出される。■市川猿之助 コメント公演が成功するように座中一丸となって、良いものをこれから作り上げ、初日が開いてからも努力していこうということを晴明様にお誓い申し上げました。絵馬に書いた言葉は「神恩感謝」。4月にこうして公演をやらせていただけるということがすでにありがたいことですから、まずは感謝を申し上げて、そこからものごとが始まるということです。今回の『新・陰陽師』は同じ夢枕獏先生の原作をもとにしていますが、前回の公演から10年経ってリニューアルという意味も込めて、古典歌舞伎の形式でお届けします。若手それぞれに見せ場を作りますので、普段彼らがいかに古典歌舞伎を学んできたかということの成果をお見せいたします。彼らにとっても色々な発見がある舞台になるのではないかと。昼夜二部制ということもあり、久しぶりに三幕構成としてひとつのお芝居をじっくりと観ていただきます。ひとりでも多くの方に劇場に足を運んでいただいて、お芝居を楽しんでいただければと思っております。<公演情報>歌舞伎座新開場十周年記念「鳳凰祭四月大歌舞伎」『新・陰陽師』2023年4月2日(日) 初日~27日(木) 千穐楽『新・陰陽師』特別ポスター
2023年03月18日Amazon Original番組『風雲!たけし城』(4月下旬より全世界順次配信)に、バナナマン、上田晋也(くりぃむしちゅー)、渡辺直美、市川猿之助が出演することが10日、発表された。さらに、ビートたけしをはじめとするキャストのキャラクタービジュアルも公開された。80年代に空前のブームを巻き起こし、海外でも熱狂的なファンを生んだ視聴者参加型アトラクションバラエティ番組『風雲!たけし城』が34年ぶりにPrime Videoで復活する。水に浮かんだ偽石を見分けながら対岸まで渡る“竜神池”や、回転しながら進む大きなキノコにしがみ付きゴールを目指す“キノコでポン!”など、お馴染みのゲームがさらにスケールアップして登場。さらに豪華新ゲームも加わり、挑戦者たちが攻撃軍として、果敢に数々の”無理ゲー”に体当たりで挑む。総勢300人以上の挑戦者たちを迎え撃つ“たけし城”城主ビートたけしの家老・家臣としてバナナマンの設楽統と日村勇紀が出演。たけし城を守る配下の3つ城の城主に、くりぃむしちゅーの上田晋也、渡辺直美、市川猿之助が決定した。公開されたキャラクタービジュアルでは、復活を遂げた伝説の“殿”ビートたけしに加え、たけし軍の設楽、日村、上田、渡辺、猿之助、攻撃隊長の谷隼人、木村昴の闘争心溢れる姿が映し出されている。数々の伝説的なお笑い番組を生み出し、お笑い界のトップに君臨するビートたけしは「『風雲!たけし城』はバラエティの基本が詰まっている。人間のやることで一番面白いのは、かなり高度なことに挑戦して失敗すること。あまり深く考えずに楽しんでほしいです」と番組の面白さについて語る。“新たなたけし城の名参謀”として難攻不落のゲームを支配する家老を務めた設楽は「昔から『風雲!たけし城』を見ていたので、出演が決まってうれしかったですね。“おさむ城”をやりたいって言っていたくらい好きでしたから。復活するだけでも嬉しいのですが、それに出られるという。いいのかな?と思いました」、“たけし城のマスコットキャラクター”の家臣を務めた日村は「他の番組の復活とは違いますよね。学生の頃は見ていて『楽しそうで羨ましいな』と思っていました。皆の憧れの番組だったので復活が信じられないですし、そこに出演できるというのも不思議な感じでした」と心境を語った。各エピソード約100人にわたる挑戦者たちを迎え撃つのは、たけし城の配下である城主たち。第一の城の城主で“チェーンソーをぶん回す狂気の城主”を務めた上田は以前から「本作に出演したい」と公言しており、「出演したいと言ってみるものですね。言った次の日にはオファーが来ましたから(笑) 高校時代に家に帰って見ていた番組なので、令和版の一部に参加させていただくことができて一つ念願が叶った気持ちになりました」とコメント。第二の城の城主“バイブス高めのゴージャス姫”の渡辺も「『たけし城』復活の噂は聞いていましたが、まさか自分が城主に選ばれるとは思いませんでした。他の城主メンバーもいかついじゃないですか(笑)そんな中で、私でいいんですか?と、びっくりしました。『風雲!たけし城』は歴史のある番組で、ずっと世界中で愛されている番組なので、そんな作品に出演できるのはうれしいです」と喜ぶ。第三の城の城主で、“白の甲冑の二刀流城主”の猿之助は「SASUKEの元になった凄い番組です。昔を知っている方には懐かしいし、ある種スポーツ番組としても見れるし、一番大事なのはお笑いとして見られることが大きいと思います。偶然から生まれる仕込みのないお笑いです。是非ご覧下さい」と番組を楽しみにしている人たちへメッセージを送った。たけし城陥落を目指し、挑戦者たちと共に攻め入る攻撃隊長には、谷隼人と木村昴が出演。昭和版に続き“34年ぶりの攻撃隊長”となった谷は「『風雲!たけし城』は特別な作品なので、何役でもいいから番組に関わりたいと思っていました。攻撃隊長は挑戦者たちの士気を上げる役割があるので、この年では厳しいかなと思っていたのですが、再び隊長役に選ばれて気合いが入りましたね」、“平成生まれの新・攻撃隊長”を務めた木村は「作品を見直して攻撃隊長がいかに大事な役割か分かりました。だからこそ選ばれて光栄でしたし、プレッシャーも感じました。当時を知る視聴者の方には谷さんの姿を見て熱くなっていただき、若い世代には新隊長として私が『たけし城』を広めていきたいです」と語った。(c)2023 Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved
2023年03月10日市川猿之助が主宰する演劇プロジェクト・猿之助と愉快な仲間たち。2022年2月の第1回公演では、作家・浅田次郎の人気シリーズを「朗読劇『天切り松闇がたり~闇の花道〜』」として上演した。4月の第2回公演は劇作家・横内謙介が新たな構想で書き出した『森の石松』を、市川猿之助による演出で上演。いずれも好評を博し、2023年3月に第3回公演を行うこととなった。そんな中、10月に2.5回公演として急遽「七川劇団リターンズ『新説堀部安兵衛』」を開催することが決定。第2回に引き続き原作は横内謙介。市川青虎が初の脚色と演出を担当し、市川猿之助がスーパーバイザーを務める。10月20日(木)の開幕に先駆けてゲネプロが行われた。冒頭では脚色・演出を務める市川青虎が登場し、前作『森の石松』をダイジェストで語る。要点を押さえたコミカルなダイジェストにより、前回の公演を見逃した方も、本作に連なる人間関係やドラマを理解できるようになっている。物語は、前作で成仏したかと思われた七川一座の面々が次々に“差し戻し”をされることからスタート。和気藹々とした仲間たちの軽妙なやりとりから“猿之助と愉快な仲間たち”の一座としての円熟味が窺える。前作を経て博品館劇場の支配人となったものの、自分のせいで人が死んでしまったという後悔に苛まれ、「人が死ぬ芝居はやらない」と拒絶する小松を、市川郁治郎は熱量を持って演じる。『堀部安兵衛』の台本を持ち込んだ制作の富山(大知)、小松の部下の原田(立和名真大)と小松がぶつかり合うシリアスなシーンに、大森(市川澤五郎)のコミカルな芝居が程よい軽さを与えている。小松の様子を見て、前作では自分達のために『森の石松』を演じた七川一座は人のために芝居をすることに。劇中劇となる『堀部安兵衛』で安兵衛を演じるのは下川真矢。酒飲みだが明るく気さくで、長屋の面々から頼られるのも納得の好漢だ。安兵衛を討とうとする剣客・祐見を演じる市川翔乃亮は、ユーモラスな芝居で憎めないライバルを描き出す。飄々とした安兵衛との対比も楽しい。安兵衛の義理の叔父・菅野六郎左衛門を演じた石橋正次は、穏やかさの中に一本芯の通った強さを感じさせ、安兵衛の生き方に大きな影響を与えるキーパーソンとしての存在感を見せつけた。見得や殺陣に加えてミュージカルのような歌とダンスもあり、長屋の仲間たちの見せ場も多数。仇討ちをテーマとした作品だが、横内による『新説』では大胆な脚色を加え、安兵衛を取り巻く人々の温かさや絆にフォーカスした物語に生まれ変わった。山場である高田馬場での決闘では長屋の仲間たちも駆けつけ、大立ち廻りを繰り広げる。一人ひとりの個性と魅力が際立っているからこそ、一つひとつの戦いや台詞がグッと胸に迫ってくる。公演では若手たちの熱量と勢いたっぷりな芝居を楽しめるだけでなく、豪華な日替わりゲストも登場。アドリブも飛び出すと予想されるシーンに期待が高まる。大衆演劇的な分かりやすさと古典の良さを掛け合わせた作品であると共に、今の世の中で改めて考えたい人との繋がり、演劇の必要性に対するメッセージも感じられるこの作品。制作会見で青虎が語っていた通り、“宝箱”のように仕上がった。休憩を挟んだ2幕は舞踊ショーが行われ、しなやかで美しいダンスやポップな舞踊、聴かせる歌唱まで幅広く披露された。ゲストの見せ場など日替わりの演目もあり、見応え充分なショーをぜひ楽しみにしてほしい。本作は10月20日(木)より23日(日)まで、博品館劇場にて上演される。<公演概要>猿之助と愉快な仲間たち第2.5回公演「七川劇団リターンズ『新説堀部安兵衛』」日程:2022年10月20日(木)〜23日(日)会場:銀座博品館劇場出演:穴井豪 石橋正次 石橋正高 市川郁治郎 市川右田六 市川喜介 市川澤五郎 市川笑猿市川翔三 市川翔乃亮 市川青虎市川段一郎 市川段之 市川三四助 下川真矢下村青 大知 立和名真大(五十音順)=日替わりゲスト=20日(木)15:00公演坂東新悟、嘉島典俊21日(金)15:00公演市川猿之助、市川團子19:00公演市川猿之助、尾上右近、市川團子22日(土)15:00公演市川猿之助、中村鷹之資、市瀬秀和19:00公演市川猿之助、中村隼人、市瀬秀和23日(日)15:00公演市川猿之助、浅野和之、市川團子原作:横内謙介脚色/演出:市川青虎スーパーバイザー:市川猿之助音楽:SADA(破天航路)主催:ニッポン放送/全栄企画株式会社企画:猿之助と愉快な仲間たち制作:株式会社WISTERIENCE制作協力:博品館劇場/三響会企画/株式会社ちあふる協賛:株式会社和光トランスポート協力: 松竹株式会社全席指定 8,000円(税込) ★公演パンフレット付※未就学児入場不可お問い合わせZen-A(ゼンエイ) TEL:03-3538-2300(平日11:00~19:00)公式ホームページ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月20日9月21日、「猿之助と愉快な仲間たち第2.5回公演七川劇団リターンズ『新説 堀部安兵衛』」の製作発表取材会が都内で開催され、市川猿之助、市川青虎、下村青、市川段之、市川郁治郎が出席した。©️GEKKO本公演は、歌舞伎俳優の市川猿之助が主宰する演劇プロジェクトで、東京・大阪・愛知で今年2月に第1回公演「朗読劇『天切り松 闇がたり〜闇の花道〜』」を上演。4月には東京・六本木で第2回公演『森の石松』を上演し、2023年3月に第3回公演の上演決定も発表された。しかし、予定していなかった本公演「七川劇団リターンズ『新説 堀部安兵衛』」が急遽決定し、間を取って“第2.5回公演”となった。スーパーバイザーを務める猿之助は、「今日、この記者会見を開いてもらったのは、一にも二にも“切符を売るため”です。残念ながら、コロナ禍になって劇場に足を運ぶことが少なくなりました。第7波が収まるんじゃないかという状況ではありますが、7回もコロナ禍を経験しているにもかかわらず、『コロナだから』と自分の出不精をコロナのせいにして世の中に出ないという方向に行っているような気がします。それは、自分もそうだからです(笑)。お店もファミレスが夜10時に終わってしまったり、世の中がどんどんそちらの方に傾いているように思うのです」と現状を憂いつつ、「演劇界も今、昔は飛ぶように売れていたチケットが売れなくなりました。しかし、今回の博品館劇場での公演は『コロナだから』という言い訳は一切通用しない公演となっております。時間と心に余裕がある方は、自分の判断でどんどん観にきていただきたい」と呼びかけた。また、「朗読劇が第1回でしたが、“第1回”と言ったからには10回ぐらい続けないといけないなと思っています。“継続は力なり”なので、使命感に駆られて今回も開催するわけです」と、今回の第2.5回、来年3月に予定されている第3回にとどまらず、継続していくことを約束。“スーパーバイザー”の役割について聞かれると、「“猿之助と愉快な仲間たち”なのですが、僕も“愉快な仲間たち”の一員なので、なるべく私に頼らないでやってほしい。お正月に飾る鏡餅だとすると、私は真ん中についている飾りのミカンみたいなもの。ないと困るが、あってもそう役には立たない。そんなスーパーバイザーなので“お飾り”だと思ってください(笑)」と答えた。“私に頼らないでやってほしい”という思いもあって、今回の演出と脚本は市川青虎が担当している。「今年3月に第2回公演の『森の石松』を上演しました。ご好評いただきまして、来年3月に第3回公演の開催を発表させていただきましたが、その直後に全栄様から『博品館劇場で“猿之助と愉快な仲間たち”として何かやりませんか?』というお話をいただきました。私は来年3月に演出家デビューする予定でしたが、予定が早まって、ここで演出家デビューすることになりました」と青虎が予定が繰り上がったことを説明。「このお話をいただいたのが今年の6月。準備期間を考えるとなかなか難しいと思いましたので、“猿之助と愉快な仲間たち”に頂いた話でもありますし、僕の一存では決められないので『猿之助のもとに持ち帰ります』と答えました。猿之助さんが『前向きに検討します』と答えられたので、全栄さん、猿之助さん、私、そして愉快な仲間たちみんなで話し合いをしました。短い期間だけど、お客さまに『これならまた観に行きたい』と思い、真っさらな新作を一から書き上げて上演することにしました」と、今回の経緯を話した。今回の原作を手掛けたのは前回の『森の石松』と同じく、横内謙介氏。青虎が横内氏に相談し、書いたけれど一度も上演していない『堀部安兵衛』を選択。そのまま演じるのではなく、好評だった『森の石松』にならって、“七川劇団”という形での脚本に仕上げることとなった。「いろんな世界で活躍されている方々がいる中で、皆さんの持ち味を活かして、開けたらいろんな物が入っている“宝箱”みたいな作品になればいいなと思っています」という思いを語った青虎。段之は「七川劇団の古株の女形で、いろんなことを発言して、しっちゃかめっちゃかになるんじゃないかと思います」と自身の役を紹介。下村は「第1回は出られなくて、第2回は日替わりゲストとして1日だけ出させていただきました。今回、やっとフルで出られます」と喜びを伝え、「1幕はミュージカルスターみたいな感じで登場し、第2幕では深川芸者をやらせていただきます」と役どころを伝えた。郁治郎が演じる役は“博品館劇場の支配人・小松”。「第2回では小松はシアター停車場の若い職員でした。彼のせいで事件が起きて、ずっとトラウマがある状態というところから今回の本編が始まるので、キーマンになります」と重要な役どころであることを明かした。猿之助は「今日の記者会見の主役もこちらの4人です。私は出なくてもいいと思っていたぐらいですし、これ(一人だけカジュアルな服装)も、いい意味での“やる気のなさ”の表れです。僕はあくまでも“脇”ですから」と4人を立てた。最後に、演劇プロジェクト“猿之助と愉快な仲間たち”の今後の理想的な活動は?と聞かれ、「今は人の声援、クラウドファンディングなどで支えていただいてますが、演劇自体で採算が取れるようになって、しかも次の興行の製作費も出せるようになりたい。もっと理想を言えば、京都の春秋座ぐらいの700〜800ぐらいのキャパの劇場で、昼夜公演をやる。昼は今のような新劇と混じったような芝居で、夜はきちんとカツラを着けて勉強会のような形で歌舞伎の古典を行う。昼夜で歌舞伎と両立した公演を2〜3週間開催し、ゆくゆくは地方の会館へ持っていって巡業するのが夢です。ぜひやりたい」と意欲を示した。そしてフォトセッションの後、退席する間際に、「前回、最初は全然切符が売れなくて、公演が始まってから急に売れ出して『切符がない!』って状態になったんです。今回も前回と出足が似ています。なので、今買っておかないと切符がなくなる可能性があるので、ぜひ今のうちに!」というメッセージを残した。「猿之助と愉快な仲間たち第2.5回公演七川劇団リターンズ『新説 堀部安兵衛』」は、10月20日(木)から23日(日)まで東京・銀座 博品館劇場で上演。<公演概要>公演名:猿之助と愉快な仲間たち第2.5回公演七川劇団リターンズ『新説 堀部安兵衛』公演日:2022年10月20日(木) ~23日(日)会場:銀座 博品館劇場(東京都中央区銀座8-8-118階)<出演>穴井豪石橋正次石橋正高市川郁治郎市川右田六市川喜介市川澤五郎市川笑猿市川翔三市川翔乃亮市川青虎市川段一郎市川段之市川三四助下川真矢下村青大知立和名真大(五十音順)他、豪華日替わりゲストあり(予定)!どうぞお楽しみに!原作:横内謙介脚色 / 演出:市川青虎スーパーバイザー:市川猿之助音楽:SADA(破天航路)主催:ニッポン放送企画:猿之助と愉快な仲間たち制作:全栄企画株式会社/株式会社 WISTERIENCE制作協力:博品館劇場/三響会企画/株式会社ちあふる協力:松竹株式会社【チケット】発売中・Zen-A[ゼンエイ] TEL:03-3538-2300(平日11:00~19:00)・チケットぴあ (パソコン・スマホ)セブン-イレブン店舗 [P コード:514-323]・ローソンチケット ローソン店内Loppi[L コード:32425]・イープラス (パソコン・スマホ) ファミリーマート店内Fami ポート・CN プレイガイド (パソコン・スマホ)TEL:0570-08-9999・博品館 1F TICKET PARKTEL:03-3571-1003(11:00~20:00)全席指定 8,000円(税込) ★公演パンフレット付※未就学児入場不可特別チケット①有料アフタートーク付きチケットチケット代:9,500円(税込)※10月21日(金)15:00公演のみ[Zen-A(ゼンエイ) のみ取扱い] 特別チケット②NFT付きチケットチケット代:9,000円(税込)[ローソンチケットのみ取扱い]ローソンチケットHP お問い合わせZen-A(ゼンエイ) TEL:03-3538-2300(平日11:00~19:00)公式ホームページ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年09月22日猿之助と愉快な仲間たち第2.5回公演「七川劇団『新説 堀部安兵衛』」が、 10月20日(木) から23日(日) の4日間にわたって東京・銀座 博品館劇場にて全6公演が行われることが決定した。本公演は、歌舞伎俳優の市川猿之助が主宰する演劇プロジェクト。第1回公演では「朗読劇『天切り松 闇がたり~闇の花道~』を上演。猿之助、市川中車、中村壱太郎、石橋正次らが、作家・浅田次郎の人気シリーズを朗読劇として語り上げた。続く第2回公演では「森の石松」を上演。講談や浪曲をはじめ、テレビでの時代劇、映画などでもよく知られる“森の石松”の物語を、劇作家・横内謙介が新たな構想で作劇し、猿之助が演出を担当。市瀬秀和、石橋正高、下川真矢、松原海児、石橋正次のほかに、松雪泰子も出演した。そして、今年6月には“第3回公演が2023年3月に上演決定”と発表。しかし、急遽今回の公演「七川劇団『新説 堀部安兵衛』」が決まり、間を取って“第2.5回”として上演されることに。原作は横内謙介、脚色と演出を初めて市川青虎が担当し、市川猿之助はスーパーバイザーを務める。個性豊かなキャストに加え、豪華な日替わりゲストも出演する。<公演情報>猿之助と愉快な仲間たち第2.5回公演「七川劇団リターンズ『新説 堀部安兵衛』」2022年10月20日(木)~23日(日) 銀座 博品館劇場【ストーリー】あの七川劇団が今度は銀座博品館劇場に帰ってくる。シアター停車場という劇場を経営していた奈良橋徳次が突然姿を消した。時が経ち、シアター停車場の唯一の従業員であった小松は、今博品館劇場の支配人になっていた。そんな折、劇団襖座の作家・堀内源介から「新説 堀部安兵衛」の上演を依頼されるが、小松は人の死ぬ芝居は上演しないと頑なに断った。しかし、その「新説 堀部安兵衛」という作品の元に、吸い寄せられるが如く、七川劇団の面々がやってくる……。【出演】穴井豪 / 石橋正次 / 石橋正高 / 市川郁治郎 / 市川右田六 / 市川喜介 / 市川澤五郎 / 市川笑猿 / 市川翔三 / 市川翔乃亮 / 市川青虎 / 市川段一郎 / 市川段之 / 市川三四助 / 下川真矢 / 下村青 / 大知 / 立和名真大(五十音順)ほか、 豪華日替わりゲストあり(予定)原作:横内謙介脚色・演出:市川青虎スーパーバイザー:市川猿之助音楽:SADA(破天航路)【チケット料金】全席指定:8,000円(税込・公演パンフレット付)※未就学児入場不可■一般発売日:9月11日(日)~チケットはこちら:公式ホームページ:
2022年09月10日選挙啓発イメージキャラクターを務める歌舞伎俳優の市川猿之助、女優の生田絵梨花が出演する、「第26回参議院議員通常選挙」の新CM「投票する。一票は、私の声だから。」投票日周知編、期日前投票周知編、感染症対策周知編が22日より放送される。さらに「新型コロナウイルス感染症対策について」編も同日にWEB上で公開。新CMでは、「私たちの暮らしのために、明日のために、声を届けよう。投票する。一票は私の声だか ら」と二人が力強く呼びかけ、期日前投票や感染症対策を周知していくもの。WEBで公開される「新型コロナウイルス感染症対策について」編では、投票所における感染症対策の内容と、来場者へのお願いとして、マスクの着用と咳エチケット、ソーシャルディスタンス、筆記用具持参が可能であること、期日前投票の積極的な活用について、猿之助と生田が説明する。○■市川猿之助、生田絵梨花コメント――撮影を終えての感想をお聞かせください。猿之助:投票を呼び掛けるCMは、CMのなかでも非常に特殊で、なかなか体験できませんけど、今回お声掛けいただいて、貴重な役目をできて、そして投票所以外で投票箱を初めて見たので、それは役得ではないかと思いましたね。生田:こんな重大な役割を担わせていただくということで、すごく緊張して現場に入ったのですが、とても明るい雰囲気ですぐに安心しました。投票がより皆様に身近に感じていただけたらいいなと思いながら撮影させていただきました。――投票のデモンストレーションをしてみた感想を教えてください。猿之助:筆記用具は自分のものが使えるというのを初めて知りました。普段は会場に用意してある筆記用具を使うので。今度は自分の筆記用具を持っていこうと思うのですが、大体鉛筆を忘れてきてしまうので、しっかり持っていきたいと思います。生田:今日はまだ穏やかな感じで出来たので、たぶん今日よりも当日の方が緊張すると思います。――人生で初めて選挙で投票した時の気持ちや、これまでの選挙、投票についてのエピソードなどについて教えてください。猿之助:初めて投票した時は至れり尽くせりで、分からなくても係の方がちゃんと説明してくださいますし、行って、名前を書いて、投票というと結構時間がかかるのかなと思っていたら、意外とスムーズに出来ました。本当に忙しいなかでも舞台が立て込んでいる間でも行って短時間で出来るんだ、意外と簡単なんだなと。投票ということ自体は重い行為ですけど、手続きとしては非常に簡単だという思いはありますね。(初めて投票した時の気持ちは)本当にこの声が届いているのかなと思いました。ただ、そういう小さなものが一つ一つ集まって、大きなものになるので、塵も積もればではないですが、小さい一票かもしれませんけど、確実にそれは声となって届くとは信じてますね。生田:やっぱり大人になったということで選挙はちゃんと行かないとね、と家族で話し合って、 それで近所の小学校に投票しに行きました。一票にすごく責任を感じ、想いを込めて投票しました。――これまで選挙のある日はどのように過ごされていましたか?猿之助:日常の一部ですね。特別なことではないと思っているので。普通の国民としての生活の一部ですからね。普通に生活して、普通に投票に行って、普通に仕事をするという。 期日前投票は聞いたことはあるけれどやったことは無いですね。今度やってみようかなと。行ったほうが早いと思うから、てくてく行ってしまうんですけどね。生田:私もまだ当日にしか行ったことがないので、期日前投票は今度やってみたいと思います。 当日は一日中TVをつけ、どうなっているかなと見て過ごしています。――CMをご覧になる方にメッセージをお願いします。猿之助:日本ではなかなか投票に行くということに対する意識が海外に比べてまだまだですが、自覚を持って行こうと心新たに自分に言い聞かせました。生田:今回このような機会をいただけて、私も一票の重みや大切さといった意味を感じながら 投票に臨みたいと思いましたし、皆さんが「よし投票行こう!」とか、「もっといろんなことを知ろう!」と思うきっかけに少しでもなれたら嬉しいなと思います。
2022年06月22日市川猿之助×中村壱太郎「二人を観る会」公演が5月に日本教育会館 一ツ橋ホールにて開催されることが決定した。今回の公演では、素踊り『種蒔三番叟』と歌舞伎舞踊『お祭り』を披露。貴重な公演を前に、猿之助が取材に応じ、公演の見どころや意気込みを語った。「今日は『二人を見る会』の会見だというのに、なぜか僕だけ」と苦笑いを見せた猿之助は、同じ大学の先輩・後輩の間柄でもある壱太郎について、「歌舞伎役者としても僕に近いタイプだし、研究熱心。昔の役者の定義からすると、つまらない人間かもしれないが、一般常識があり(笑)、社会の中でちゃんと暮らしていける役者」と分析し、「持ち味は違うが、まっとうな二人がお届けする、まっとうな会ですね」と笑いを誘った。何より「お芝居が好きであることが共通点」だといい、「二人とも冷静というよりは、テンションがあがって興奮しがち。いい意味で、昔の自分を見ているようだし、壱太郎くんは興奮しないように自制すると思うので、それを邪魔しようと(笑)。シンプルだけど熱っぽい舞台になるはずで、それが売り。そこだけが売りかな」とアピールした。今回の「二人を観る会」は、コロナ禍でも表現の場を追求し続ける壱太郎の思いをくみ取った形で実現したそうで、「きっと僕と踊ってみたいという、彼からのリクエストがあったのかな。それがありがたい」と喜びの声。快諾した理由は「声をかけていただけるうちは、人の役に立ちたいという気持ち」だと明かし、「頼まれごとを引き受けると開運すると聞いて(笑)」と再び会場を笑いに包んでいた。おおらかで洒脱な祝言の舞踊を、素踊りで披露することになっており「歌舞伎座で素踊りがかかることはないですし、そういうものをお見せするのもいいのかなと。特に僕は結構派手なイメージもあると思いますが、その逆を行ってみようと。シンプル・イズ・ベストじゃないけど」。幕間では座談会も予定されており、「壱太郎くんはコーヒー屋で働いていたこともあって、プロ並みですからね。挽き方や香りも詳しいから、そういう話を。コロナの話はもううんざりだからね」と話していた。なお、壱太郎は公演に先がけ「猿之助のお兄さんと踊らせていただける!その喜びを胸に、初めて踊らせていただく2作品に今からワクワクしております。『種蒔三番叟』の千歳は素踊りとして気品高く、『お祭り』の芸者は歌舞伎舞踊らしくコッテリと演じられますよう稽古を積み重ねてまいります」とコメントを寄せている。取材・文・撮影:内田涼猿之助×壱太郎『二人を観る会』【演目】一、素踊り『種蒔三番叟』清元連中二、座談会三、歌舞伎舞踊『お祭り』清元連中【日時】2022年5月23日(月)開演18:00(開場17:30)2022年5月24日(火)開演12:00(開場11:30)/開演15:00(開場14:30)【会場】日本教育会館一ツ橋ホール(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)【料金】全席指定 8,000円※全席指定・税込※未就学児入場不可※本公演は新型コロナウイルス感染拡大予防のため、政府・自治体及び関係団体のガイドラインに従い、できる限りの対策を講じた上で開催いたします。【公式ホームページ】 【問合せ】Zen-A(ゼンエイ) TEL:03-3538-2300(平日11:00〜19:00)主催:ニッポン放送制作:三響会企画制作協力:全栄企画株式会社 / 株式会社ちあふる協力:松竹株式会社
2022年05月06日市川猿之助と中村壱太郎による『猿之助×壱太郎「二人を観る会」』が、5月23日(月)・24日(火)に東京・日本教育会館 一ツ橋ホールで開催される。演目は素踊り「種蒔三番叟」と歌舞伎舞踊「お祭り」を披露する。その開催を前に、市川猿之助が取材会を開催し、本公演にかける思いなどを語った。演目について、「『種蒔三番叟』を最初にやらせていただいたのは明治座で、その後、春秋座でもやらせていただきました。これは私の曽祖父の初代・猿翁と今の宗家のお祖父様でいらっしゃる勘十郎さんが若い頃に演じていたものがNHKの白黒の映像が残っておりますので、孫とひ孫がやったら面白いだろうなと思い、明治座で上演しました。今回は壱太郎くんと二人で、素踊りでご覧いただきます。そして、『お祭り』は私の叔父の猿翁と、壱太郎くんのおじいさまで、藤十郎のおじさまが歌舞伎座でやられている映像もありまして、こちらは衣裳付きでやらせていただきます。二つとも、シンプルなもので、二人だけで踊るものなので、踊り手の器量などがよくわかるものになっております。初めての方も、何回も観られている方も楽しめる演目となっています」と関わりを含めて説明した。中村壱太郎との共通点は“大学”。「彼は慶應義塾大学の後輩で、僕は文学部ですが、彼は環境情報部で、慶應の中でも一番頭がいいと言われているSFCというところです。このあいだまで通っていたと思ったら、もう卒業されていますけど、歌舞伎役者としても僕に近いタイプなんです。社会の中でちゃんと暮らしていける役者だと思います(笑)。つまり、今日の為替で1ドルいくらなのか、世界のどこで争いが起こっているのか、どういう状況なのか、今の日本の物価などもわかるタイプの人間です。彼は珈琲屋でバイトをしたり、歌舞伎以外の生活もしていましたし、一般常識のある役者です。もしかしたら、昔の役者からすると、僕ら二人は非常につまらない人間かもしれないけど、社会の中で見たら真っ当な二人がやる、真っ当な会となります。それを見ていただきたいと思います」と、ユーモアを交えて紹介。今回の「二人を観る会」は、壱太郎からのお声がけで実現したという。「人の役に立ちたいと思っているので、お声がけいただいたことが非常にありがたくて。声をかけてくれているうちは、全力で応えていこうと去年ぐらいから思うようになったんです。忙しい時って、断ってしまうこともあるんですけど、何かに書いてあったんです。『頼まれごとは引き受けると開運する』と。お金は別ですよ(笑)。なので、開運してみようかなと思いまして(笑)」と、快諾したことを明かした。さらに共通点として、次のように語った。「二人ともお芝居が好きなんです。そして、芝居をやっていることが楽しい。二人とも冷静というよりは、舞台だと興奮しがち。10やればいいところを20も30もやってしまうんです。彼の若さの中に自分の面影を見ますし、いい意味でのやりすぎるところがあるので、テンションの高い二人が組んだらどうなるのか?意外とテンション高い同士を、例えば動物でも一緒に檻に入れてしまうと暴れるのか、逆に鎮まるのか(笑)。僕は彼を舞台の上で興奮させるように仕向けたいし、彼は自分でそれを欠点だと思っているので、興奮しないように自制するんです。なんとかそれを邪魔したいなと(笑)。シンプルだけど“熱っぽい”ということを感じてもらいたいですね」と公演の見どころに繋げて語った。二つの演目の間に「座談会」も行われる予定となっている。どんな内容になりそうなのかを尋ねると、「たぶん、壱くんが一人で喋って終わると思います(笑)」と場を和ませ、「すごく弁が立つんですよ。僕なんかはお客さんの前に出た瞬間に喋ることを考えるんですけど、彼の場合はすごく下調べをするので、彼が勝手にテーマを決めて、勝手に進行してくれると思うんですけど、どういう話になるのか僕も楽しみですね」と、完全に一任している様子。ただし「昨今、どうしてもコロナの話になることが多いですが、もううんざりしているので、演劇界が大変だとか、そういうことは彼と相談して『もういいでしょう』と言って、明るい話題で話したいですね」とポジティブな話題にすることを提言。「『学生生活はどうだったか』とか『コーヒーの淹れ方』とか聞きたいですね。そういう知られなかった部分を楽しく、演目と演目の間ですし、気分を変える感じになればいいですね」という願望も語った。共演することで何かを教えることは?という問いには、「言葉ではなく、一緒に舞台に立って、何かを感じてもらえれば。例えば、舞台の向き合い方とか、体から発するものなどを、呼吸、肌で感じてもらえたら」と答え、「彼が思うような人生を歩んでほしい。なんか、遺言みたいですけど(笑)。これから、歌舞伎に限らず、生きる上ですごく難しい時代が来ると思うんです。そういう中で、生き生きとしていてほしいと思います。」と、歌舞伎役者としてではなく人生の先輩としてアドバイスを送った。舞台に立ち続けていると“世代交代”を感じるという。「若手が出てきている中、いつまでも自分がやりたいという思いは役者としてありますけど、元気なうちに次の人にバトンを渡さないと。年を取ってから渡されても、年を取ってからの芝居をマネされてもダメですから。一番良い時は絶対に人に渡したくないのですが(笑)、良い時を見てもらって、良い時に渡さないと。なので、僕は芸の上での“終活”に入らないといけないのかなと。芸の終活は10年、20年かかると思うので、今から始めないと悔いが残ると思うんです。引退するということじゃなくて、自分も頑張りながらバトンタッチしていくことを目標にしていきたい」と、今後への思いと考えを伝えて、取材会を締めくくった。公演名:猿之助×壱太郎「二人を観る会」演目一、 素踊り『種蒔三番叟』清元連中二、 座談会三、 歌舞伎舞踊『お祭り』清元連中日程:5月23日(月)開演18:00・24日(火)①開演12:00②開演15:00(全3公演)会場:東京・日本教育会館 一ツ橋ホール料金:全席指定8,000円(税込)公式ホームページ お問い合わせ:Zen-A(ゼンエイ) TEL 03-3538-2300(平日11:00〜19:00)撮影:GEKKO 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年05月06日歌舞伎座「六月大歌舞伎」が6月3日(木)に初日を迎える。この度、本公演の第3部として上演される、横内謙介の構成・脚本・演出、市川猿之助の演出・主演による『日蓮』の特別ポスターが公開された。歌舞伎座では昨年8月の公演を再開。「五月大歌舞伎」は9日遅れで初日の幕を開け、5月12日より上演中だ。席数は1808席の50%(904席)、各部完全入替えの3部制により、引き続き感染予防対策を徹底して、5月28日の千穐楽まで公演を続けていくという。「日蓮聖人降誕八百年記念」の記念公演となる、今回の『日蓮』。これまでにも歌舞伎では江戸時代から日蓮を採り上げた作品が多く存在するが、今回は、3代目市川猿之助(現・猿翁)のスーパー歌舞伎(『八犬伝』『カグヤ―新竹取物語―』『新・三国志Ⅰ~Ⅲ』)や21世紀歌舞伎組公演(『雪之丞変化』『龍神伝』『新・水滸伝』)で数多くの話題作を手掛け、4代目市川猿之助によるスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』(脚本・演出)、『新版オグリ』(脚本)でも称賛を浴びた劇団扉座の横内謙介が構成・脚本・演出。そして市川猿之助が演出並びに主演(蓮長後の日蓮)を務める注目の舞台だ。特別ポスターは4月某日、都内スタジオでスチール撮影が行われた。撮影は、渞忠之(ミナモトタダユキ)。猿之助からの信頼も篤く、互いに意見を交わしながら和やかに撮影は進んだという。採用されたのは猿之助から「ちょっとやってみるから撮ってみて」と提案した、躍動感に溢れる姿を捉えた1枚。演目の舞台は戦乱が続き天災が相次いだ鎌倉時代。飢餓や疫病が流行り、世相が混乱を極めるなか、蓮長は人々が救われぬ世に疑問を抱く。そして物語は今を生きることの大切さを説き、強い信念のもと蓮長から日蓮へと名を改め、人々の幸せを願う力強い姿が描く。沈鬱した憂き世に希望の光を照らし、溢れる想いの力が観る者の心に響く舞台に期待したい。■公演情報歌舞伎座「六月大歌舞伎」6月3日(木)~6月28日(金)会場:歌舞伎座
2021年05月20日新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2021年4月25日に三度目となる緊急事態宣言が東京都、京都府、大阪府、兵庫県の4都府県で発令されました。大型連休であるゴールデンウイーク終了後の5月11日までを対象としており、政府は飲食店や娯楽施設を中心に休業要請。また、劇場や遊園地、競技場などで行われるイベントに対しては、事実上の休業要請といえる無観客での営業を要請しました。市川猿之助、劇場への休業要請に苦言歌舞伎役者の市川猿之助さんが、同月23日にInstagramのストーリーズ機能で投稿。今回の緊急事態宣言について、劇場で働く1人の役者として疑問を投げかけました。日々、感染症や、亡くなった方の人数が発表されても、生活が行き詰って自ら命を経つ人の数は発表されない。このままでは、わが国では、感染で亡くなる人の数を上回るのではないか。それがいちばん危惧されます。ennosuke_ichikawa4ーより引用(原文ママ)どうしたら東京五輪が開催できるか、という視点から対策を講じるから、おかしなことになるわけで。どうしたら日本という国がこの難局を乗り切れるか、という視点から対策を講じるべきではないのか?と、思うのですが、、、ennosuke_ichikawa4ーより引用歌舞伎座は、座席制限が解除されても、収入度外視、安全安心第一で、座席数50%以下でやってきました。オリンピックも大切です。しかし、オリンピックありきの対策には疑問しか感じません。休業要請は、死の宣告と同じです。皆が救われる道はないものですか?ennosuke_ichikawa4ーより引用猿之助さんのメッセージはネットで拡散され、多くの人から「気持ちを代弁してくれてありがとう」「悔しさや怒りが伝わってくる」といった声が上がっています。東京都中央区にある歌舞伎座で『四月大歌舞伎』に出演していた猿之助さん。緊急事態宣言の発令によって公演は中止となり、急きょ同月24日に千秋楽を迎えることになってしまいました。猿之助さんは「これまでの役者人生の中で、一番めでたくない千秋楽となりました」とつづり、悔しい気持ちをあらわにしています。 この投稿をInstagramで見る 市川猿之助 ENNOSUKE ICHIKAWA Ⅳ(@ennosuke_ichikawa4)がシェアした投稿 政府は無観客の要請について「社会生活の維持に必要なものを除く」と線引きをしていますが、娯楽は多くの人の心を支えているといえるでしょう。また、出演者や劇場のスタッフなど、多くの人が娯楽によって生計を立てています。「文化を軽視しているのではないか」「なぜ五輪は許されて、演劇は許されないのか」といった疑問の声が相次いでいる、今回の休業要請。長年守り続けてきた文化の灯が消えないよう、多くの人が強く願っています。[文・構成/grape編集部]
2021年04月25日歌舞伎俳優の市川猿之助と尾上右近が出演するキリン「本麒麟」のWEBムービー「本麒麟 × 伝統と革新を語る」と、オフショットを収めたメイキング映像が23日、公開された。市川が「乾杯したいあの人」として尾上を指名し、今回の対談が実現。2人は一緒にラスベガスへの旅行やお伊勢参りをするなどプライベートでも仲が良く、尾上が市川を「お兄さん」と呼んで慕うほどの関係だ。同ムービーは、尾上が手土産にフランス産のサラミと下鴨茶房の「きんぴらまぐろ」を持参し、和やかな雰囲気で始まった。歌舞伎についての話題では、市川が未来を担う若手役者として尾上に期待することや、これから起こしていきたい「革新」 について語り、最後には「愛がなければ何事も続かない」「歌舞伎役者って本当に真の深い愛情を持った人じゃないとできない」といった、歌舞伎愛あふれる濃密なトークに発展していく。市川は「右近君は初めて『本麒麟』を飲んだのですが、すっかり好きになってくれたみたいで、お招きした甲斐がありました。飲んだ後のリアクションに注目してください」と呼びかけ、尾上は今回の撮影で学んだ「三度注ぎ」について「お兄さんから教えていただいたので、家飲みの際には『三度注ぎ』で飲みたいと思います」と宣言した。
2021年04月23日昨年、ドラマ『半沢直樹』の伊佐山部長を演じ、注目を集めた市川猿之助さん。歌舞伎俳優としても、人気漫画『ワンピース』を舞台化するなど精力的な活動を見せる、その人は――。――猿之助さんが歌舞伎俳優の道を選ばれたのはなぜですか?歌舞伎の家に生まれてはいますが、猿之助さんならばそれこそどんな職業にもなれそうです。それしかできなかったからです。やる気もなかったし。だって、他の仕事に就いたとして、お金になるかわからないじゃない。生業(なりわい)ってそうでしょ。生きていくために、自分ができることをやって対価をもらう。自分が一番お金になることをやるわけで、僕の場合はその手段が歌舞伎であったということです。――でも、澤瀉屋(おもだかや)一門を離れた時期もあり、歌舞伎俳優だからといって、待っていれば舞台に声がかかる状況ではなかったですよね。それでも無職ではないですから。歌舞伎をやめたら無職になるし、一から始めなきゃいけない。よくお金のためにやってないと言う人がいるけれど、やっぱり生活していけなかったら続けられないんだから、そこは認めようよって思う。“パンのみに生きるにあらず”ですけど、パンなしには生きられない。だから、両立できたらいいんでしょうね。やり甲斐があって自分も充実していて、生活もちゃんとできるっていうのが。――では、スーパー歌舞伎として『ワンピース』の舞台化を手掛けられたり、あえて大変な挑戦をされるのはなぜなんでしょう?それは僕がやりたいと思っていて、それを実現させることに幸せを見出しているからです。誰かのためじゃなく、あくまで自分が面白いからやってるだけ。古典歌舞伎だって同じ。逆に、面白そうだなって思ってやってみたら、そうでもない時もある。それは食事と一緒じゃない?良さそうだと思って店に入ってみたら、予想通り美味しかったとか、意外に美味しくなかったとか。――でも、これを歌舞伎にしたら面白くなるとか、盛り上がるだろうっていう確信に近い嗅覚のようなものがあるのかな、と。それがセンスっていわれるものなんだと思う。確信なんてものはまったくありませんよ。僕は自分がやりたいことをやってるだけで、究極のところ、世の中にそれがどう受け取られるかは、自分のなかであまり重きを置いていません。――でも、そうやって作ったものが喜ばれるのは嬉しいですよね。お客様が喜んでくださったというのは、望外の喜びです。――猿之助さんが感じている歌舞伎の面白さって何なんでしょう?何だろうね。何が魅力なんだろう…わからないな。歌舞伎も玉石混交で、なかにはつまらないものもあるしね。でも、やるのは楽しいですよ。観る側の面白さとは違うけど、舞台の上でパッてやった時に、歌舞伎座が満席なら2000人近いんだけど…そのお客さんが一斉に喜んでくれて笑顔になる瞬間はね、他にはない喜びです。それってある意味、魔法使いみたいなものだから。1人を笑わせるのだって難しいのに、2000人を笑わせたり涙させたりすることができるんだからね。それはやっぱり演劇の…演劇に限らないかもしれないけれど、役者の特権だと思ってる。僕は、そこに楽しさを感じています。どんな芝居をしてくるかわからないのが楽しいです。――以前に若手の中村梅枝さんや尾上右近さんを取材させていただいたのですが、おふたりとも猿之助さんの話をされたのが印象的でした。それだけ影響や刺激を受けているんだと感じるのですが、若い歌舞伎俳優たちを育てようという思いがあるんでしょうか。育てようとかはないよ。ないない(笑)。でも期待はしてるし、気にはなります。一生懸命やってる人のことはね。彼らがこの先の歌舞伎を支えていくわけですし。でも、その後のことは知らないよ。――次回作は舞台『藪原検校』ですが、歌舞伎以外の舞台に出演されるのは目的が違うんでしょうか。また違うね、僕のなかでは。今回で言ったら、三宅健さんとか松雪泰子さんとか、第一線で活躍されている人たちとお芝居ができるってことかな。だって歌舞伎は共演者全員が生まれた時からの仲間だから、相手がどのような芝居を返してくるか予想がつく。でも、今回は全然予想がつかない。それは向こうも同じで、そこが楽しいです。お客さんの反応も歌舞伎と違うから新鮮だし、あとは演出家との会話だね、面白いのは。――これまで、いろんな方がやってきた作品ですが…。たしかどっかで、僕、『藪原』いいよねって言ったんだよ。そこまで知らないのに(笑)。朝倉摂先生の舞台美術の展示があって、その時に見た藪原の舞台セットが素晴らしくて、強烈に覚えていて、それで言ったんじゃないかな。――醜く盲目で生まれた男が、殺しと謀略で成り上がっていく物語ですが、深いテーマ性や笑いもあって、面白い作品ですよね。そうね。だからこそ上演され続けるんでしょうね。ちゃんとエログロもあるし。同じ井上ひさしさんの『雨』という作品をやったことがあるけどそれも面白かったし。――こんな作品やってみたいというのはありますか?そういうのはないかな、映像では。舞台の人間だから。やっぱり演じていて舞台は楽しいんで。いちかわ・えんのすけ東京都出身。歌舞伎俳優の家に生まれ、1983年に二代目市川亀治郎を襲名。歌舞伎の舞台のほか、現代劇やテレビドラマでも活躍。2012年に四代目市川猿之助襲名後は、スーパー歌舞伎II(セカンド)と称した新作歌舞伎も発表。とくに’15年に手掛けたスーパー歌舞伎II『ワンピース』は大きな話題となった。スーツ¥150,000(YOSHIDAYA/YOSHIDAYA BESPOKE TAILOR TEL:03・6273・1295)その他はスタイリスト私物市川猿之助さんが出演する舞台、PARCO劇場オープニング・シリーズ『藪原検校』は、3月7日(日)まで渋谷・PARCO劇場にて上演中。盲目で醜い上に性根の曲がった杉の市(猿之助)。欲望にまみれ悪知恵の働く彼は、謀略と殺人を繰り返しながら、検校への道を成り上がってゆく。共演は、三宅健、松雪泰子、川平慈英ほか。演出は杉原邦生さんが務める。※『anan』2021年2月17日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・三島和也(Tatanca)ヘア&メイク・白石義人(ima.)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年02月13日「詫びろ詫びろ…」のセリフでお茶の間の人気者となった市川猿之助さん。歌舞伎俳優としても、膨大な知識に見識の深さ、確かな実力で、古典から新作歌舞伎までマルチに活躍。その人柄は率直かつざっくばらん。インタビューにも端的で歯切れよく答えてくださいました。――昨年のドラマ『半沢直樹』の反響がすごかったですね。インパクト抜群でしたけど、あれは…。ノリかな、その場の。あとは監督の指示もあります。でも、あれから各局いろんな番組であのセリフを言ってくれと頼まれますから、単純だなぁとは思っています(笑)。そんなこと言ったらバラエティに呼んでいただけなくなるのかな。――バラエティ番組に出るの、お好きなんですか?好きですよ。MCのみなさんは、第一線で活躍されている方ばかりで、人としても素敵な方が多いし。それに、進行の仕方を拝見しているとやはりすごいです。――毎回同じことを求められて、もういいよとはならないですか?それでバラエティに呼んでいただいているわけですからね。そこで失うものは何もないし、ギャラもいただいていますし。これでタダだったら出てませんよ(笑)。あくまで僕らはサービス業ですから。――サービス業、ですか?だってそうでしょう。歌舞伎だって、お金を払って観に来てくれる方がいるから成り立つわけで、欲しいものがあるから買いに来るのとなんら変わりはないですよ。――でも歌舞伎の場合、エンターテインメントである一方、伝統芸能として伝承の役割もあります。もちろんそれもあるでしょうね。先人が伝えてきて今あるものだから、伝えられる限り伝えていかなければとは思っています。それは歌舞伎役者としての最低限の義務ですね。人から預かったもので自分のものじゃないんだから、ちゃんと後世に渡していかないとね。――猿之助さんは、古典歌舞伎にも精力的に出演する一方で、スーパー歌舞伎や図夢(ずぅむ)歌舞伎のような新しい歌舞伎にも挑戦されています。それはご自身のなかで同じベクトルにあるものなのでしょうか。会社にいろんな部署があるようなものです。会社って、ひとつの事業を進めるために、宣伝部だったり営業部だったり、いろんな部がありますよね。それと同じです。ただ、宣伝部だからといって宣伝のことだけ知っていればいいわけじゃなく、会社全体のことや他の部署のことも把握してないといけない。全体を見て、いま自分が何をすべきかが見えていないとね。――歌舞伎についてあまり詳しくない読者に向けて、古典歌舞伎と新しい歌舞伎、それぞれが担う役割を教えていただけますか?わからないんだったら自分で調べる方が早いって思っちゃうけどね(笑)。だって、今は興味があればすぐ調べられる時代なんだから。――『半沢直樹』で猿之助さんのことを気になった方が、歌舞伎を観に行ってみたいと思った時に、何か参考になるものがあると…。そうね。古典っていうのは伝承。そして、我々歌舞伎役者の基礎となるものです。そしてスーパー歌舞伎なんかは、それの応用…開発担当って感じかな。――昨年、歌舞伎座が数か月興行をお休みした後、再開してからは、ほぼ毎月のように古典作品に出演されていますね。今は古典しかできないからね。製作費もないし、時間制限も人数制限もあるなかで、新作歌舞伎は無理ですから。新作をやるための稽古期間も取れないし。――ちょうどドラマの露出とタイミングが同じだったこともあっていろんな番組に出演されていましたし、歌舞伎の広告塔的な意識もあるのかなと…。バラエティは出たくて出てるだけだから、僕は宣伝をさせてもらわなくてもいいんだけれど、そこにはいろいろ大人の事情があるらしく(笑)。――何か歌舞伎に対して危機感を感じていらっしゃるのかなと。つねに危機感はありますよ。安泰だと思わない方がいい。それは何だって同じで、危機感のない会社なんてダメでしょ。ただ、だからって歌舞伎を救おうと思ってテレビに出てるわけじゃない。そんなのテレビに対して失礼ですし。――その危機感というのは、歌舞伎の世界に入ろうと思った時から持たれていたんでしょうか。安泰なものなんてないですよ。“ここにいれば安泰”なんて考えでいるとダメになるんだと思います。この世の中、すべてにおいて。いちかわ・えんのすけ東京都出身。歌舞伎俳優の家に生まれ、1983年に二代目市川亀治郎を襲名。歌舞伎の舞台のほか、現代劇やテレビドラマでも活躍。2012年に四代目市川猿之助襲名後は、スーパー歌舞伎II(セカンド)と称した新作歌舞伎も発表。とくに’15年に手掛けたスーパー歌舞伎II『ワンピース』は大きな話題となった。スーツ¥150,000(YOSHIDAYA/YOSHIDAYA BESPOKE TAILOR TEL:03・6273・1295)その他はスタイリスト私物市川猿之助さんが出演する舞台、PARCO劇場オープニング・シリーズ『藪原検校』は、3月7日(日)まで渋谷・PARCO劇場にて上演中。盲目で醜い上に性根の曲がった杉の市(猿之助)。欲望にまみれ悪知恵の働く彼は、謀略と殺人を繰り返しながら、検校への道を成り上がってゆく。共演は、三宅健、松雪泰子、川平慈英ほか。演出は杉原邦生さんが務める。※『anan』2021年2月17日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・三島和也(Tatanca)ヘア&メイク・白石義人(ima.)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年02月13日演出・杉原邦生、主演・市川猿之助の舞台『藪原検校(やぶはらけんぎょう)』が2月10日(水)~3月7日(日)、PARCO劇場で上演される。それに際して最終リハーサルでの舞台写真、また出演者代表からのコメントが公開された。1973年のオープン以来、渋谷PARCO建替えまでの43年間プロデュース公演の先駆けとして、様々な名作や話題作を送り出してきたPARCO劇場(オープン当時の名称は西武劇場)。本作『藪原検校』は、PARCO劇場のオープン当初の名称・西武劇場での「オープニング記念・井上ひさしシリーズ」として1973年に初演された、当劇場とも大変ゆかりの深い傑作舞台である。ストーリーは生まれつき盲目で性根の曲がった男が殺しに殺しを重ね、藪原検校にまで上りつめる悪党一代記だ。初演の演出は木村光一、その後、蜷川幸雄、栗山民也といった演劇界の巨匠たちが演出してきた。そして今回手がけるのは、スーパー歌舞伎II『新版 オグリ』や、木ノ下歌舞伎『勧進帳』などの演出を務めてきた気鋭の若手演出家・杉原邦生。劇中歌もすべて刷新して、稀代の悪党・杉の市を演じる市川猿之助をはじめ、三宅健、松雪泰子、川平慈英ほか、異彩を放つ豪華キャスト陣と共に『藪原検校』が新たによみがえる。キャスト・スタッフからのコメントは以下の通り。市川猿之助新しいPARCO劇場での藪原検校ということですが、この情勢の中なんとか初日を迎えられるようなので、あとはひたすら、無事に千秋楽を迎えられることをいまはただただ祈るばかりです。東京はもちろん、地方にも行きますので、最後はみんなで手を取り合って笑って、いい公演ができたねといえる芝居になることを祈っております。念には念を入れて、準備万端で、その場その場で燃えていきたいです。健ちゃん(三宅健)には遊んでもらって、みなさんにも楽しくしていただいて、稽古も楽しく一か月乗り切れました(笑)。井上(ひさし)さんは稀代の悪人を描いてはいますが、必ずしも生まれたときからの悪ではないんです。悪人でも赤ちゃんの時の笑顔はあっただろうし、家庭環境もあっただろうし、悪人の様々な面を描いています。今回のラストは杉原くんなりの解釈で、杉の市の悲しさがでていると思います。スタッフさんも、照明さんもスーパー歌舞伎のときと一緒で、ツーカーの仲なので杉原くんがやりたいことの飲み込みが早く、みんなが同じ方向を向いていて、とてもやりやすかったです。いろんなジャンルの俳優が、異種格闘技のような、舞台の上での演技のいい意味での戦い、それが良いほうに化学反応を起こして、従来の藪原検校をご覧になった方々には驚きだろうし、初めて観るかたにも驚きだろうと思います。この時代にしかできない、杉原邦生が、やりたいことを我々を使ってやった芝居ですので、若さと若いアイデアにあふれた古典作品と言っていいこの『藪原検校』を隅から隅まで味わい尽くしていただきたいです。三宅健猿之助さんとの共演は本当に楽しいです。今は猫を被っていますが、チャーミングな方で毎日毎日笑顔が絶えない現場です。健ちゃん、猿ちゃんと呼び合い、健猿の仲です(笑)。僕が小学4年生なら、猿之助さんは小学2年生です。歌舞伎の技術、技がふんだんにこの舞台に活かされていて、そういった意味でも、これまで上演されてきた『藪原検校』とは違うと思いますし、渋谷の街と猿之助さんの技と、いろんなものが融合して、まったく新しいものが渋谷で生まれるんだなと感じています。猿之助さんのファンの方々も楽しくて楽しくて仕方がないのではないかと、そして観に来てくださった皆さんが猿之助さんの虜になって帰っていくんだろうなと思います。手放しでぜひ観に来てくださいといえる状況ではないですが、僕たちは粛々と芝居をやっていくしかありません。キャスト、スタッフはじめ、観に来てくださる方々も感染対策をしっかりしていらっしゃると思いますので、千秋楽の日まで無事に終えられるように努めたいと思います。松雪泰子三宅さんもおっしゃったように、皆さん同じ気持ちだと思いますが、最後まで無事に千穐楽まで完走できることを祈っております。今回のカンパニーならではの『藪原検校』になっていると思います。今回は杉の市の愛人ということで、精いっぱい杉の市に絡みついていきたいと思っております。稽古場で生まれ積み上げてきたものを信じて演じていきたいです。約20年ぶりに三宅さんとも共演させていただいて、映像と舞台の現場では環境も全然違いますから、稽古場では三宅さんの新たな魅力をたくさん拝見しながら、お稽古をしておりました。三宅さんの魅力はぜひ作品を観ていただければ感じていただけると思います。川平慈英演出の杉原さんが大変エキセントリックで、猿之助さんバージョンの今作はポップな『藪原検校』です。僕は語り部なので一回舞台に上がったら一秒たりともはけない。役者になってはじめてくらいのセリフ量の多さで、今さらながら何で引き受けたんだろうと…(笑)。すごくチャレンジングなお仕事をいただいて感謝しています。僕は歌舞伎のカルチャーと舞台の上で組ませてもらうのは初めてなので、お稽古場では本当に目からうろこなことばかりでした。すごくセンセーショナルで稽古が楽しかったです。これをこうやってやるんだ!と発見が多く、すごく勉強になり、いろんなアイデアをいただけました。このご時勢、エンターテイメントを観に来るのは本当に難しいと思います。コロナ渦で、なかなか人に優しくなれない、寛容になれない毎日だと思いますが、観に来てくださったお客様には楽しんで、笑顔になって、寛容になれるような作品になっていると思います。この素敵なメンバーで完走できたら、こんな幸せなことはないです。杉原邦生(演出)約1年前のラインナップ発表会見で舞台に立った時には、考えもしなかった社会状況になっているなと、いま改めて感じています。今回は素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんが、僕のアイデアの種を稽古場でふくらませ、育ててくれて、現代の人に伝わる『藪原検校』になっていると思います。稽古中も稽古が終わってからも、猿之助さんにLINEでここはこうしようかとか、こうしたらいいんじゃないかとアイデアをいただいて、僕のほうで噛み砕いて演出に反映させた場面もありますし、猿之助さんが歌舞伎の演出を丸ごと持ち込んでいるような演技をなさっているところもあります。歌舞伎俳優の猿之助さんが主演で、周りにいろんな出自の俳優さんがいて、作品の芯に井上ひさしさんの本がある世界観で、いいバランスですべてが融合しているなと感じながら稽古をしていました。そして、劇場に来て、実際に舞台美術が立って、いい意味で我ながらこれは「やっちまったな」という気がしています。井上ひさしさんは地方と都市をテーマにずっと作品を描いてきた方で、今作も杉の市が東北から江戸に出てきて成りあがっていく話です。都市の象徴である渋谷の街の一角で上演したらおもしろいのではないかというアイデアから、このような現代的なセットになっていて、でも衣裳は江戸中期のもので、普通では融合しない2つが皆さんの力で融合しています。今までにない『藪原検校』だし、井上ひさしさんの作品がこんなふうになるとはだれも想像しなかった世界観になっているので、いろんな批判も出てくるのではとドキドキしていますが、ぜひ楽しんでいただきたいです。■公演情報PARCO劇場オープニング・シリーズ 『藪原検校』作:井上ひさし演出:杉原邦生音楽・演奏:益田トッシュ出演:市川猿之助、三宅健、松雪泰子、髙橋洋、佐藤誓宮地雅子、松永玲子、立花香織、みのすけ / 川平慈英東京公演:PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)2月10日(水)~3月7日(日)<地方公演>名古屋:日本特殊陶業市民会館・ビレッジホール3月9日(火)・10日(水)石川:こまつ芸術劇場・うらら3月13日(土)・14日(日)京都:京都芸術劇場春秋座3月18日(木)~3月21日(日)
2021年02月10日歌舞伎俳優の市川猿之助主演のPARCO劇場オープニング・シリーズ 『藪原検校』が10日に初日を迎える。同作は話題作を送り出してきたPARCO劇場(西武劇場)の「西武劇場オープニング記念・井上ひさしシリーズ」として1973年に初演を迎え、今回新生PARCO劇場のオープニング・シリーズの一作として上演される。とある按摩・盲太夫が語る、稀代の悪党の一代記で、江戸時代の中頃、松島・塩釜の漁港に生まれた一人の盲目の男児・杉の市(猿之助)が、父ゆずりの曲がった性根と母ゆずりの醜さで殺しと欲にまみれた栄華への道を上り始める。これまで木村光一、蜷川幸雄、栗山民也といった演劇界の巨匠たちが演出してきた本作を、気鋭の若手演出家・杉原邦生が手掛け、劇中歌もすべて刷新し、猿之助をはじめとする豪華キャスト陣と共に、新生PARCO劇場で新たに蘇らせる。猿之助、三宅健、松雪泰子、川平慈英、高橋洋、佐藤誓、宮地雅子、松永玲子、みのすけらが出演している。今回は初日に先駆けてゲネプロを行い、その際の舞台写真と、出演者代表からのコメントが到着した。○市川猿之助 コメント新しいPARCO劇場での藪原検校ということですが、この情勢の中なんとか初日を迎えられるようなので、あとはひたすら、無事に千秋楽を迎えられることをいまはただただ祈るばかりです。東京はもちろん、地方にも行きますので、最後はみんなで手を取り合って笑って、いい公演ができたねといえる芝居になることを祈っております。念には念を入れて、準備万端で、その場その場で燃えていきたいです。健ちゃん(三宅健)には遊んでもらって、みなさんにも楽しくしていただいて、稽古も楽しく一か月乗り切れました(笑)。井上(ひさし)さんは稀代の悪人を描いてはいますが、必ずしも生まれたときからの悪ではないんです。悪人でも赤ちゃんの時の笑顔はあっただろうし、家庭環境もあっただろうし、悪人の様々な面を描いています。今回のラストは杉原くんなりの解釈で、杉の市の悲しさがでていると思います。スタッフさんも、照明さんもスーパー歌舞伎のときと一緒で、ツーカーの仲なので杉原くんがやりたいことの飲み込みが早く、みんなが同じ方向を向いていて、とてもやりやすかったです。いろんなジャンルの俳優が、異種格闘技のような、舞台の上での演技のいい意味での戦い、それが良いほうに化学反応を起こして、従来の藪原検校をご覧になった方々には驚きだろうし、初めて観るかたにも驚きだろうと思います。この時代にしかできない、杉原邦生が、やりたいことを我々を使ってやった芝居ですので、若さと若いアイデアにあふれた古典作品と言っていいこの『藪原検校』を隅から隅まで味わい尽くしていただきたいです。○三宅健 コメント猿之助さんとの共演は本当に楽しいです。今は猫を被っていますが、チャーミングな方で毎日毎日笑顔が絶えない現場です。健ちゃん、猿ちゃんと呼び合い、健猿の仲です(笑)。僕が小学4年生なら、猿之助さんは小学2年生です。歌舞伎の技術、技がふんだんにこの舞台に活かされていて、そういった意味でも、これまで上演されてきた『藪原検校』とは違うと思いますし、渋谷の街と猿之助さんの技と、いろんなものが融合して、まったく新しいものが渋谷で生まれるんだなと感じています。猿之助さんのファンの方々も楽しくて楽しくて仕方がないのではないかと、そして観に来てくださった皆さんが猿之助さんの虜になって帰っていくんだろうなと思います。手放しでぜひ観に来てくださいといえる状況ではないですが、僕たちは粛々と芝居をやっていくしかありません。キャスト、スタッフはじめ、観に来てくださる方々も感染対策をしっかりしていらっしゃると思いますので、千秋楽の日まで無事に終えられるように努めたいと思います。○松雪泰子 コメント三宅さんもおっしゃったように、皆さん同じ気持ちだと思いますが、最後まで無事に千穐楽まで完走できることを祈っております。今回のカンパニーならではの『藪原検校』になっていると思います。今回は杉の市の愛人ということで、精いっぱい杉の市に絡みついていきたいと思っております。稽古場で生まれ積み上げてきたものを信じて演じていきたいです。約20年ぶりに三宅さんとも共演させていただいて、映像と舞台の現場では環境も全然違いますから、稽古場では三宅さんの新たな魅力をたくさん拝見しながら、お稽古をしておりました。三宅さんの魅力はぜひ作品を観ていただければ感じていただけると思います。○川平慈英 コメント演出の杉原さんが大変エキセントリックで、猿之助さんバージョンの今作はポップな『藪原検校』です。僕は語り部なので一回舞台に上がったら一秒たりともはけない。役者になってはじめてくらいのセリフ量の多さで、今さらながら何で引き受けたんだろうと……(笑)。すごくチャレンジングなお仕事をいただいて感謝しています。僕は歌舞伎のカルチャーと舞台の上で組ませてもらうのは初めてなので、お稽古場では本当に目からうろこなことばかりでした。すごくセンセーショナルで稽古が楽しかったです。これをこうやってやるんだ!と発見が多く、すごく勉強になり、いろんなアイデアをいただけました。このご時勢、エンターテイメントを観に来るのは本当に難しいと思います。コロナ渦で、なかなか人に優しくなれない、寛容になれない毎日だと思いますが、観に来てくださったお客様には楽しんで、笑顔になって、寛容になれるような作品になっていると思います。この素敵なメンバーで完走できたら、こんな幸せなことはないです。○杉原邦生(演出) コメント約1年前のラインナップ発表会見で舞台に立った時には、考えもしなかった社会状況になっているなと、いま改めて感じています。今回は素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんが、僕のアイデアの種を稽古場でふくらませ、育ててくれて、現代の人に伝わる『藪原検校』になっていると思います。稽古中も稽古が終わってからも、猿之助さんにLINEでここはこうしようかとか、こうしたらいいんじゃないかとアイデアをいただいて、僕のほうで噛み砕いて演出に反映させた場面もありますし、猿之助さんが歌舞伎の演出を丸ごと持ち込んでいるような演技をなさっているところもあります。歌舞伎俳優の猿之助さんが主演で、周りにいろんな出自の俳優さんがいて、作品の芯に井上ひさしさんの本がある世界観で、いいバランスですべてが融合しているなと感じながら稽古をしていました。そして、劇場に来て、実際に舞台美術が立って、いい意味で我ながらこれは「やっちまったな」という気がしています。井上ひさしさんは地方と都市をテーマにずっと作品を描いてきた方で、今作も杉の市が東北から江戸に出てきて成りあがっていく話です。都市の象徴である渋谷の街の一角で上演したらおもしろいのではないかというアイデアから、このような現代的なセットになっていて、でも衣裳は江戸中期のもので、普通では融合しない二つが皆さんの力で融合しています。今までにない『藪原検校』だし、井上ひさしさんの作品がこんなふうになるとはだれも想像しなかった世界観になっているので、いろんな批判も出てくるのではとドキドキしていますが、ぜひ楽しんでいただきたいです。
2021年02月10日