総務省は5日、NTTドコモとソフトバンクに対し、スマートフォンの端末購入補助に対し速やかに改善するよう要請したと発表した。総務省は、行き過ぎた端末購入補助の適正化について「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を出しており、1日から適用されている。また、同日時点における、大手3キャリアにおけるスマートフォンの価格並びに端末購入補助の名称、条件および金額について報告を求めていた。当該報告を受け総務省では、NTTドコモとソフトバンクに対し改善要請を行った。ドコモに対しては、「スマートフォンの価格が数百円となるような端末購入補助が行われている」、ソフトバンクに対しては、「多くの機種においてスマートフォンの価格に相当する額以上の行き過ぎた端末購入補助が行われている」と指摘。両社に対し、端末購入補助(特に機種変更時)の速やかな適正化を要請した。加えて、ガイドラインに則り、端末購入補助を受けない長期利用者などの多様なニーズに対応した料金プランにより、利用者の料金負担軽減を図るよう求めている。
2016年04月05日オムロンは3月30日、オムロンアデプトテクノロジーズの産業用ロボット3カテゴリ「スカラロボット Cobra」、「パラレルロボット Quattro/Hornet」、「垂直多関節ロボット Viper」の49モデルを、4月1日より世界39カ国150拠点で販売開始すると発表した。これに伴いオムロンは、視覚センサやマシンオートメーションコントローラなどといった制御機器とロボットとのシームレスな接続環境に加え、技術サポートやメンテナンスサービスを加えたソリューションを提供していくとしている。全ロボットシリーズは、共通の統合開発言語により制御することが可能で、またマシンオートメーションコントローラ「形NX/NJシリーズ」と簡単に接続することができる。さらに、統合型ソフトウェア「Automation Control Environment」を利用することで、ロボットと視覚センサなどを利用したアプリケーション構築に必要な機能を統合し設計・管理することが可能となっている。これにより、従来のロボット導入の障壁となっていたPLCや視覚センサ、安全対策機器などの制御技術との摺合せ作業、複数のプログラミング言語や設計用ツールの習得が簡単になり、生産現場への迅速なロボット導入や生産品目の変更に伴う段取り替えや生産ラインの変更が容易になる。オムロンは、「幅広い制御機器ラインアップと高度なオートメーション技術にロボット技術を融合することで、自動車や食品飲料品、デジタル機器などの生産現場における最先端の生産設備から、これまで人手に頼らざるをえなかった作業工程まで、幅広い用途に応じたロボットの活用を提案することで生産現場を革新します」とコメントしている。
2016年03月30日情報サービス連携コンソーシアムと中野区産業振興推進機構は3月29日、中野区における地域経済・観光の活性化、防災計画でのデータ活用を目的として、動線解析の実証実験を開始すると発表した。今回の実験は中野区をフィールドとして交通流動など地域のモビリティ・マネジメントに必要なデータを、IoTソリューションを用いて効率的に取得、得られた結果を同区における防災計画、都市づくり等に役立てようとする取り組み。実験期間は3月29日から2カ月程度を予定しているが、6カ月程度行う可能性もあるという。分析の対象は、来外者で主にインバウンドをターゲットとしているという。具体的な実験内容は、JR中野駅北口のアーケード街サンロードで、ケータイやスマホのWi-FiやBluetoothがオンになっている端末をBeaconで検出。人数、滞留、離脱(横道に入っていく)などを測定する。実証実験では、NHN テコラスとエリアポータルの2社が中心となりプロジェクト全体の企画・進行を担当。NHN テコラスは、Beaconや各種センサから収集したデータの蓄積・解析基盤の提供とレポートの可視化を担当する。一方、エリアポータルは、有事の際に備える防災計画へのデータ活用を促進するための企画およびプロジェクト推進を担当する。対象エリア内の気象データや監視カメラ等のセンサデータを用いて、気象予測や混雑状況の可視化を行い、自治体における防災計画に役立つデータ提供を目指す。また国立情報学研究所も、地域経済・観光の活性化を目的とし、本実証実験の技術的支援を行う。今後は、実験の評価が完了した後の展開として、中野区内の混雑情報や災害情報など区民の生活に必要な情報をデジタルサイネージ上で配信したり、特定エリアにおける交通情報、災害情報等を配信したりするなどの活用が想定されている。
2016年03月29日経済産業省は3月16日、東京証券取引所と共同で選定した、女性活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」を公表した。○女性活躍推進に優れた上場企業を紹介なでしこ銘柄は、「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介するもの。2012年度より開始、今回で4年目となる。これまで東証一部の上場企業から選定してきたが、今年度は、東証 二部、マザーズ、JASDAQを含む全上場企業に拡大。26業種45社が選定された。選定企業は、カルビー、アサヒグループホールディングス、日本たばこ産業、石油資源開発、住友林業、大和ハウス工業、積水ハウス、ワコールホールディングス、JSR、メック、アステラス製薬、中外製薬、TOTO、神戸製鋼所、DOWAホールディングス、小松製作所、ダイキン工業、IHI、日立製作所、富士電機、富士通、ブリヂストン、日産自動車、テルモ、トッパン・フォームズ、中部電力、大阪ガス、東京急行電鉄、日本航空、ANAホールディングス、KDDI、SCSK、伊藤忠商事、三井物産、ローソン、ユナイテッドアローズ、りそなホールディングス、みずほフィナンシャルグループ、大和証券グループ本社、リコーリース、東京海上ホールディングス、ヒューリック、スタジオアリス、JPホールディングス、トレンダーズ。
2016年03月18日経済産業省電力取引監視等委員会事務局は3月7日、「電力自由化キャラバン」PRイベントを東京都世田谷区の二子玉川ライズで開催した。経済産業省が主催する同イベントは、4月1日よりスタートする電力小売自由化の周知を目的としたもの。2月29日より全国のショッピングモールや商業施設などを巡回している。今回の二子玉川ライズ会場では、タレントの眞鍋かをりさんをゲストに、鈴木淳司経済産業副大臣による電力小売自由化の解説や「電力小売自由化クイズ」などが行われた。○60年ぶりの大改革で8兆円規模の市場が開かれるまずは、鈴木副大臣による主催者挨拶。副大臣は、間もなく始まる電力小売自由化について次のように語った。「東京電力を始めとする既存の電力会社は日本で10社あり、地域によって電力の購入元が決まっていた。しかし、60年ぶりの大改革で、8兆円を超える電力小売市場に200を超える会社が新規参入し、電力を消費者自身が選べる時代になる。それにより、価格競争が始まり、電力料金が安くなる、様々なメニューが提示されるといったことが予想される。電力小売自由化は安倍内閣にとっても大きなテーマだが、60年ぶりの大改革のため、一般の人にはわかりにくい点もまだまだ多いように思う。電力自由化キャラバンは、電力自由化を皆で考え、それぞれが自分にあった選択をできるような場所としたい」(鈴木副大臣)○眞鍋かをりさんの人生の選択とは?続いては昨年結婚したタレントの眞鍋かをりさんを招いてのトークセッションが行われた。眞鍋さんは「選択」について次のように振り返った。「人生は選択の連続で、時代や状況に応じて選択することが大切です。私は大学入学とともに芸能界に入ったのですが、4年間だけ芸能活動をしてその後は普通に就職しようと考えていたんです。でも、超就職氷河期の時代で、就職するのは大変だろうと思い、芸能界に残ることに。その選択が大きな転換点となりました。電力自由化もまた、時代の大きな転換点だと思います。せっかくターニングポイントが来たので、今の状況を見極めて、選択できたらいいと思います」(眞鍋さん)トークセッション後には、電力小売自由化のポイントをまとめたクイズが行われた。クイズでは、「4月までに乗り換えの手続きをしないと電気が止まる、ということはない」「新規参入企業は電気が不安定だったり停電しやすくなったりすることはない」というものや、「スマートメーターの費用は電力会社が負担する」といった問題が出題された。○「何を最重視するか」がポイントに間もなく始まる電力自由化。鈴木副大臣によると、サービスを選ぶポイントは「自分が何を重視するのか」「何を基準とするのか」を明確にすることだという。「これまでは大手電力会社の独占状態にあったが、電力自由化では消費者が主役。どれを選んでもいい仕組みになり、何をメインにするかで選択は変わる。自分は電力にどのようなものを求めているのか、料金やポイント、社会に対する役割を考えることが求められる」(鈴木副大臣)自分にあった選択をするためには、自分の生活スタイルや家族構成、求めるものを振り返ることが鍵になりそうだ。電力自由化キャラバンは3月31日まで、日本各地を巡回予定。詳細は経済産業省電力取引監視等委員会HPを参照してほしい。
2016年03月08日Infineon Technologiesは、ARM Cortex-M0を採用した産業用オートメーション、デジタル電力変換、電子制御などの分野に向けたマイコン「XMC1400シリーズ」を発表した。同シリーズは、Cortex-M0コアのクロックサイクルを48MHzとすることで、従来のXMC1000マイコン(32MHz)に比べ、処理能力を向上しているほか、PWMタイマやADコンバータ(ADC)などの制御用ペリフェラルについては、2倍の周波数となる96MHzで動作させることが可能。また、三角関数の演算/除算をリアルタイムで行うことができるMATHコプロセッサを内蔵しており、Cortex-M0と並列で動作することで、さらなるリアルタイム演算を実行することが可能だ。また、4つのCCUタイマモジュール(CCU4モジュール2個、CCU8モジュール2個)と、これらに最大16個の独立したタイマ(リアルタイムでのPWM生成用途など)を搭載しているほか、BCCUペリフェラルユニット(輝度色彩制御ユニット)も搭載しているため、LED制御では、ちらつきのないデジタル調光とカラー制御を行うことが可能となっている。さらにスイッチング電源の調整用に、最大4つのコンパレータも搭載されている。なお、同シリーズ製品は、全パッケージの派生製品ですでにサンプル出荷のほか、小型評価ボード、ブートキットが提供されている。また、LQFP-64パッケージでの量産も開始しており、その他の製品についても2016年第2四半期中の量産開始を予定しているという。
2016年03月07日豆蔵は2月24日、東京農工大学(農工大)と産業用ロボットアームの開発期間を短縮するための設計手法に関する共同研究を開始したと発表した。一般的に、産業用ロボットアームの新規開発では、既存のロボット開発の経験に基づき、目標とする機能・性能を達成するまで実機ベースで試作・検証を繰り返し、通常、完成までに数年の期間を要する。一方で近年、3次元CADや物理シミュレーション技術(CAE)により、コンピュータ上のモデルで機械の強度や挙動、振動、組立について実験・検証を行うことが可能となってきている。今回の共同研究では、ロボット工学が専門の農工大 先端機械システム部門 遠山茂樹教授と共に、ロボットモデル作成、動作シミュレーションによる負荷トルク推定に基づく最適なモータと減速機の選定、動作解析や構造強度解析・振動解析に基づく形状の最適化、3次元CADによる図面化、実機試作、実機性能評価などを実施し、産業用ロボットアーム実機製作の過程における課題やその解決手法、改善手法について、検討・レビューを行い、このサイクルを繰り返すことで設計手法を確立していくという。同社は、同研究から得られた開発プロセスに対する知見やロボット設計ノウハウは、産業用ロボットに限らず介護ロボットなどの幅広い分野において有効であるという考えを示している。
2016年02月25日国立情報学研究所(NII)は2月15日、日本の社会や産業界に変革をもたらすようなコグニティブ・テクノロジーによるイノベーションを推進する研究部門「コグニティブ・イノベーションセンター」を2月1日付けで設置したと発表した。同研究所の11番目となる研究施設(センター)で、東京大学 名誉教授でもある早稲田大学 基幹理工学研究科 情報理工専攻の石塚満 教授がセンター長を務める。同氏は、長年にわたり人工知能に関する研究を行ってきており、人工知能学会の会長などを務めるなど、人工知能分野で高い業績を有しており、2015年12月よりNIIの客員教授に就任している。NII所長の喜連川優氏は、「同研究センターに期待することは、3年後にイノベーションを生み出すとは言っているが、それ以上の、こういったことを行っていく、という具体的なことについては述べていない。逆に考えると、機動的に考えるフレームワークを作っており、変化の激しいITの1年先を見据えながらターゲットを絞り込んでいくというNIIとしてもエキサイティングな取り組みを行うことになる」とその役割を説明。NIIとしても新たな挑戦としての位置づけにあることを強調する。具体的な取り組みとしては、日本アイ・ビーエム(日本IBM)と研究契約を締結し、同社より支援を受ける形で複数の参画企業とともに、コグニティブ・テクノロジーを活用し、社会への展開力や活用力といった人間の認知や判断の支援を促進する新たなイノベーティブを生み出すことを目的に、参画企業のCEOやCOOといった経営判断に直接関与するレベルの役員などが参集し、新たなビジネスコンセプトの創造などを行っていくことを目指すとする。2016年2月15日時点での参画企業は以下のとおり(五十音順)。アルパインイオンフィナンシャルサービスオリンパスエイチ・アイ・エス小松製作所みずほフィナンシャルグループ三井住友銀行三越伊勢丹ホールディングス三菱東京UFJ銀行キッコーマン食品キリンビール第一生命保険帝人DIC東京海上日動火災保険日揮日産自動車日本航空パナソニック三菱自動車工業明治安田生命保険相互会社今回用いられている「コグニティブ」という言葉は、近年、IBMが良く活用することで知られるようになっているが、同センターが語る「コグニティブ・テクノロジー」は、IBMが語る「コグニティブ・コンピューティング」と同義語ではなく、学術的な意味も含めた広い考えでの、機械学習や自然言語の処理と理解、ビッグデータや知識ベースの構築と利用などの知的情報処理の集合体を指しており、日本の産業界のトップレベルたちとの対話を通じて、広い活用を図っていきたいとする。NIIは専任スタッフとして、数名の特任助教やインターンを用意するほか、NII内部での人工知能系研究者や各大学・研究機関の研究者、IBMのグローバルで活躍するコグニティブ・コンピューティング研究者たちの協力も得る形で研究を進めていく予定としている。研究期間としては3年間をめどとしているが、イノベーションの創出具合により、その後の継続も検討していくとしており、まずは初年度の取り組みとして、参画を決めている21社を中心に話し合いを進め、6月~7月を目安にターゲットを絞って、デモシステムの構築を進め、評価を行っていくとしている。また、2年目以降は、初年度の反省点や良かった点を踏まえて、新たな参画企業を募り、イノベーションの創出に向けた取り組みを進めていく計画だという。なお、IBMは、今回の取り組みに対し、研究者やコンサルタントによる支援のほか、「IBM Watson」やアプリケーションの構築・管理・実行を行うためのクラウド基盤「IBM Bluemix」の提供などを行うほか、2015年10月に開設したばかりの「戦略共創センター」を研究会の開催場所として提供するとしている。
2016年02月16日経済産業省は2月8日、企業が情報漏えいを防ぐための対策例をまとめたPDF文書「秘密情報の保護ハンドブック ~企業価値向上に向けて~」を公開した。全140ページで、経済産業省のWebページより無料でダウンロードできる。経済産業省による企業の情報漏えいに関する調査では、大企業の約40%、企業全体のおよそ15%が「自社の営業秘密の漏えいがあった若しくはそのおそれがあった」という回答を得ている。漏えいがないと回答した企業の中でも、3割は適切な漏えいの把握などを実施しておらず、実際の漏えいはさらに高いと推測している。また、企業の秘密情報の管理についても十分ではないという。実際に営業秘密の漏えい防止策について、企業全体の約35%、中小企業の約40%が「取り組んでいない」と回答している(帝国データバンク調査)。これらを受けて経済産業省は、秘密情報が不正競争防止法により営業秘密として法的保護を受けるために必要となる要件をまとめた「営業秘密管理指針」を2015年1月に策定した。公開したハンドブックは、企業の情報漏えい対策を具体的な事例を交えて紹介するもの。企業の経営者、秘密情報を扱うすべての従業者に役立つように、事前の対策から、実際に情報漏えいが起きたときの対処方法などを紹介している。ハンドブックの冒頭では、秘密情報の漏えいを未然に防ぐ方法を説明している。例えば、保有する情報をどのように洗い出してその情報をどのように評価するのか、秘密として保持する情報と、そうでない情報を分ける際の考え方などを紹介している。また、従業者に対しては「秘密情報に近寄りにくくする」「秘密情報の持出しを困難にする 」「漏えいが見つかりやすい環境づくり」「秘密情報と思わなかったという事態を避ける」「社員のやる気を高める」といった方針を浸透させるべきと解説している。ほかにも、他社から意図せず訴えられないための対策、もしも情報漏えいが発生した時の対応などを紹介している。
2016年02月10日キーエンスはこのほど、産業用ロボットに関する基礎知識を集約した「FAロボット.com」を公開した。製造業の現場では、省人化や作業効率向上を目的として、産業用ロボットを導入する企業が増加している一方で、ロボットの使い分けなど、専門知識を理解することが難しく、導入へのハードルが高いことが大きな課題となっている。これに対し、「FAロボット.com」では、「産業用ロボットとは」という基本的な情報のほか、業界ごとの産業用ロボット活用事例などを紹介。さらに、画像処理総合メーカーである同社の強みを活かした「ロボットビジョン」がもたらす具体的なメリットも解説されている。同Webサイトは、「産業用ロボットとは」「産業用ロボットの活用事例」「ロボットビジョンについて」が主な内容となっているほか、ロボットビジョンに関するPDF資料も、無料でダウンロードすることができる。今後は、製造現場でのロボットビジョンの導入事例などを追加していく予定だ。
2016年02月09日経済産業省は3月3日に、ソーシャルメディア(SNS)を活用した事例報告会を開催する。同省では、企業が販売促進や商品企画などを行う際にSNSを活用した先進事例をかねてより調査していた。例えば、Twitterを活用した消費者とのインタラクティブな商品プロモーションや、Facebookで消費者と直接対話を行い、コンセプト決めから商品開発を行ったケースなどを紹介し、企業にこうした取り組みが広がることを目指す。事例紹介以外にも、パネルディスカッションや質疑応答を行う。開催日時は3月3日の14時~16時で、場所は経済産業省本館地下2階。定員は200名で受講料は無料となる。応募は同省Webサイトで応募できるが、先着順で24日17時まで。また、質疑応答用に質問や関心事項を募集しており、締め切りは19日17時まで。
2016年02月04日富士通は2月3日、東京電力が経済産業省資源エネルギー庁より採択を受けた「次世代双方向通信出力制御緊急実証事業」の実証実験において、HEMS(Home Energy Management System:住宅エネルギー管理システム)の推奨標準プロトコル「ECHONET Lite」(家電の制御、状態の把握などを目的とした通信規格)と、デマンドレスポンス(電力利用量を変動させて電力需給バランスを一致させること)の標準プロトコル「OpenADR2.0b」(デマンドレスポンスを実現するための情報、通信規格)を連携させ、太陽光発電においてリアルタイムに状況を把握しながら、出力制御可能なHEMSの構築に協力することを発表した。実証実験は、2015年12月~2016年2月の期間で早稲田大学EMS新宿実証センター、東京電力技術開発センターで実施。短期間で効率的なHEMSの構築のため富士通の家電やエネルギー機器のネットワーク制御を行うソフトウェア「スマートセンシングプラットフォーム(SSPF)」が提供するプラグイン技術を用いて、複数の異なるプロトコルやメーカー間のインタフェースを標準化し、クラウドから共通のインタフェースで機器を制御するクラウド型HEMSを実現する。同HEMSでは、あらゆるサービスアプリケーションをクラウドで一括管理し、アプリケーションサービス事業者およびサービス利用者の利便性向上を図る考えだ。同HEMSにより、早稲田大学EMS新宿実証センターに設置した出力制御指令発信サーバと同所のスマートハウス環境や東京電力技術開発センター内の太陽光発電設備などを双方向で結び、リアルタイムで太陽光発電状況を把握しながら、きめ細かな出力制御を行う。富士通では実証実験において東京電力に協力し、太陽光発電のリアルタイムな状況把握や出力制御における課題を明確にすることで、多種多様な機器をクラウドから制御することが求められる新たなIoTサービスの創出に向け、効率的かつ品質を向上した機器制御を可能にするネットワークソリューションを提供。今後、さまざまな分野へ応用したアプリケーション展開のサービス事業をサポートしていく方針だ。
2016年02月03日1月21日、経済産業省は「健康経営銘柄2016」として、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している企業25社を発表した。政府はこの取り組みを、"日本再興戦略"の一環として位置づけており、企業はいま、"健康経営"が求められている。こうした状況の中、2012年から従業員に対して「健康プログラム」を実施してきたという日本マイクロソフトが、2月1日より第3期となるプログラムを開始した。同社は、2011年2月1日に品川へ本社を移転してから、社員食堂「One Microsoft Café」を展開。同施設では、健康管理を意識したメニューやサービスを従業員に提供するのと同時に、社内外の交流の場としても利用されてきたという。この「健康プログラム」は、2012年5~6月に第一期が、2013年5~6月に第二期が実施され、今回は約3年ぶりの実施となる。これまで一体、どのようなプログラムが行われてきたのだろうか?○要リスク社員には個別にアプローチ日本マイクロソフトでは、"すべての従業員が健康に働き続けられるように"と、「勤務超過の削減」や「健康セミナー」「ヘルスケアルーム」「カウンセリング」「メディカルルーム」「健康イベント」といった制度や取り組みが用意されている。「メディカルルーム」には、保健師が常駐しており、従業員の健康を増進するような取り組みが行われている。「健康プログラム」実施の背景について、日本マイクロソフト 人事本部 C&Bグループ シニアマネージャーの道添未幸氏は、次のように説明した。「年々従業員の平均年齢が上がってきており、しばらく前までは比較的新しい業界とされ、従業員も若かったのですが、今では平均年齢が40歳となりました。社員の健康をどう増進していくか、守っていくかを考えた結果、生活習慣病を積極的に予防していくことがキーとなると判断しました」こうして、「One Microsoft Café」でヘルシーな食事を提供するのと同時に、プログラム開始前後には「One Microsoft Café」で体組成測定会を開催するなどして、従業員へアプローチを行ってきたという。また、健康診断でリスクがあると診断された従業員に対しては「メディカルルーム」から個別でアナウンスがあり、プログラム前に血液検査をしたり、プログラム中は2週間に1回体重や体脂肪を測定するなど、都度保健指導されるようになっている。これにより、2011年度から比べて、メタボリックシンドロームの該当者や予備軍は減ってきているという。○品川オフィスにいない社員もフォロー第3期となる今回の「健康プログラム」では、今までにない新たな取り組みとして、レコーディングダイエットと朝食の提供が紹介された。レコーディングダイエットは、「One Microsoft Café」の食事とあわせて、朝昼夕の食事の記録を組み合わせたものとなっている。また道添氏は、「これまでは品川オフィス以外の社員にはアプローチすることが難しかったのですが、レコーディングダイエットによって、品川オフィスで食事ができない従業員に対しても、一定のサポートができるようになっています」と説明する。また朝食については、期間中、毎朝8時半~10時にケロッグのシリアルが無料提供されるという。***今回の「健康プログラム」の期間は、2月1日~3月25日となっている。まだ医療費の削減効果などは明確になっていないという話だが、今後の活動や成果に注目していきたい。
2016年02月02日経済産業省 資源エネルギー庁が27日に発表した石油価格調査(25日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より2.0円安い115.2円となり、13週連続で値下がりした。下げ幅は前週より0.3円拡大し、2009年4月20日(115.1円)以来、約6年9カ月ぶりの安値となった。○原油の供給過剰感が一層強まる石油情報センターは「中国経済の減速懸念に加え、1月16日に欧米によるイランへの経済制裁が解除されたことを受けて原油の供給過剰感が一層強まり、対象期間の原油価格が3.5円ほど値下がりした。これを受けて石油元売り各社が仕切り価格を引き下げたため、小売価格が値下がりした。来週も若干値下がりする」と話している。都道府県別にみると、8週連続で全47都道府県で値下がりした。最も高かったのは鹿児島県の124.8円(前週127.2円)で、次いで長崎県の124.3円(同126.1円)、島根県の120.0円(同121.3円)と続いた。一方、最も安かったのは埼玉県の109.3円(同111.4円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より2.0円安い126.0円と、13週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.5円安い100.2円と、同じく13週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より29円安い1,131円と、28週連続で値下がりした。
2016年01月27日三菱電機、東京工業大学、龍谷大学、マイクロ波化学は1月25日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「クリーンデバイス社会実装推進事業/省エネルギー社会を実現する高効率高出力マイクロ波GaN増幅器」において、出力電力500WのGaN増幅器モジュールを加熱源とする高効率な産業用マイクロ波加熱装置を共同開発したと発表した。GaN増幅器モジュールは、SiやGaAsを使用した増幅器モジュールに比べ、高出力が得られるとともに装置の小型化に貢献する。近年では通信・レーダー分野においてGaN増幅器モジュールへの置き換えが進められているほか、高効率という特長を活かして産業分野での新たな活用も期待されている。今回4者は、化学産業分野の省エネルギー化に着目。現在主流である化石燃料を産業用加熱装置の加熱源とする外部加熱方式は、試料を加熱する前に装置自体を加熱する必要があり、その分のエネルギーが無駄に消費されているが、GaN増幅器モジュールを用いることにより、電子レンジと同じ原理で試料を局所的に加熱するマイクロ波内部加熱方式の採用が可能となり、エネルギー消費を70%低減できるという。また現在はマグネトロンを加熱源としたマイクロ波内部加熱方式が一部で導入されているが、マグネトロンは位相コヒーレンスが低いために大電力化が難しく、燃料油や石炭などの試料を分散的に加熱しなければならず、加熱装置内部で生成される化学物質の大量生産が困難となっている。一方、GaN増幅器モジュールが出力するマイクロ波は、位相コヒーレンスが高いため大電力化が可能。さらに位相を制御することにより温度分布を自在に制御し、局所的に内部加熱することで、化粧品やインク塗料などの化学物質生成時の生産効率性を約3倍向上させることができる。三菱電機によると、マイクロ波加熱装置に適用するGaN増幅器モジュールは、2016年度以降に実用化する予定だとしている。
2016年01月25日日立産業制御ソリューションズ(日立産業制御)は1月25日、鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN」の新バージョン「ADSTEFAN Ver.2016」を日本国内向けに2月1日より販売開始すると発表した。同バージョンでは、湯流れ解析において新しい数値解析アルゴリズムを採用し、従来、曲面を含む形状では鋳型に沿って進むことが難しかった湯流れについて、鋳型に沿った滑らかな解析を可能とした。さらに、凝固解析の温度解析結果と実測値の比較が容易に可能となるツール、および3D CADソフト「SOLIDWORKS」の連携ツールを搭載するなど、機能拡充を行っている。同社は今回の日本語版に続き、英語版と中国語版を順次販売する予定で、日本国内をはじめ中国、インドおよび東南アジア地区において、年間150ライセンスの販売を目指すとしている。
2016年01月25日経済産業省は15日、「平成27年企業活動基本調査」の結果を発表した。対象は企業2万8,615社。○平成26年度企業売上高は240.2億円平成26年度における企業の売上・利益の状況をみたところ、1企業当たりの売上高は240.2億円(前年0.4pt減)だった。主要産業でみると、卸売企業は380.4億円(前年比3.2pt減)。小売企業は5.9億円(前年比10.4pt減)、卸売企業は4.9億円(前年比10.8pt減)となった。1企業当たりの営業利益においては、8.3億円(前年比0.7pt増)だった。主要産業でみると、製造企業は10.5億円(前年比0.1pt増)、小売企業は5.9億円(前年10.4pt減)、卸売企業は4.9億円(前年10.8pt減)。1企業当たりの給与総額を主要産業別にみると、製造企業は2,175億円(前年比0.4pt増)、卸売企業は1,345億5,000万円(2.0pt増)、小売企業2,225億6,000万円(前年3.9pt増)。1人当たりの給与総額を主要産業でみたところ、製造企業は541.4万円(前年比1.1pt増)、卸売企業507.2万円(前年比0.5pt増)、小売企業は246.5万円(同1.3pt増)となった。
2016年01月21日経済産業省 資源エネルギー庁が20日に発表した石油価格調査(18日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.7円安い117.2円となり、12週連続で値下がりした。2009年5月11日(117.1円)以来、約6年8カ月ぶりの安値となった。下げ幅は前週より0.2円拡大した。○来週も値下がり続く石油情報センターは「原油価格が下落基調となっており、石油元売り会社が卸価格を引き下げたことが小売価格に反映された。来週も原油安と円高を受けて値下がりが続く」と分析している。都道府県別にみると、7週連続で全47都道府県で値下がりした。最も高かったのは鹿児島県の127.2円(前週129.5円)で、次いで長崎県の126.1円(同128.3円)、京都府の121.8円(同123.7円)と続いた。一方、最も安かったのは群馬県の110.9円(同113.4円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.8円安い128.0円と、12週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.5円安い101.7円と、同じく12週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より37円安い1,160円と、27週連続で値下がりした。
2016年01月20日電通国際情報サービス(ISID)は1月15日、三菱地所と電通と協業し、FinTechスタートアップ企業の成長を支援・加速する産業拠点となる「The FinTech Center of Tokyo Fino Lab(「Fino Lab」、フィノラボ)を、2月1日に開設することを発表した。「Fino Lab」は、FinTechスタートアップ企業と、スタートアップ各社の成長を支援する各界のプロフェッショナルが集う協働の場であり、活動そのものを指す名称としている。東京国際金融センター構想の中枢である大手町エリアに拠点を置き、活動全般の運営をISIDが担うという。具体的な活動内容は、有望なスタートアップ企業の発掘や、各社がサービス開発に集中できる環境やリソースの提供、専門家によるメンタリング、オープンコミュニティ形成を促す各種イベントの開催、国内外の投資家や需要家とのマッチング機会創出などが実施される予定となっている。「Fino Lab」の運営にあたっては、FinTechに関連する各領域のプロフェッショナルである有志個人(弁護士、投資家、起業家、金融従事者など)が集結し、今月設立予定の金融革新同友会「Finovators(フィノベーターズ)」と密に連携していくという。高い志と専門性を持つ個人のプロボノ活動(社会人が、自らの専門知識やスキルを生かして行う社会貢献活動)をベースに、ファイナンス、許認可、セキュリティ、海外展開など、スタートアップ企業の成長に必要な各領域のメンタリングを実施していくことで、特定の企業や業界にとらわれない、オープンなコラボレーションの場を創出していくことが目標として掲げられた。
2016年01月15日経済産業省 資源エネルギー庁が14日に発表した石油価格調査(12日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.5円安い118.9円となり、11週連続で値下がりした。2009年5月18日(118.0円)以来、約6年8カ月ぶりの安値となった。下げ幅は前週より1.6円縮小した。○ハイオク・軽油・灯油も値下がり続く石油情報センターは「原油価格が下がっており、その影響が末端(小売店)に反映されている」と分析している。都道府県別にみると、6週連続で全47都道府県で値下がりした。最も高かったのは鹿児島県の129.5円(前週130.6円)で、次いで長崎県の128.3円(同130.1円)、京都府の123.7円(同125.5円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.5円安い129.8円と、11週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.1円安い103.2円と、同じく11週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より30円安い1,197円と、26週連続で値下がりした。
2016年01月14日経済産業省 資源エネルギー庁が6日に発表した石油価格調査(4日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週(2015年12月21日)より3.1円安い120.4円となり、10週連続で値下がりした。下げ幅は前週より0.4円拡大し、2009年6月1日(120.0円)以来、約6年7カ月ぶりの安値となった。○全47都道府県で値下がり石油情報センターは「石油元売り会社が卸価格を2円~5円ほど引き下げたことが小売価格に反映された」と説明。イランとサウジアラビアの断交の影響については「中東では原油の減産に向けてさらにまとまりにくくなり、供給過剰感が続くとみられることから、地政学的な不安はあるものの原油価格への影響は薄い」と分析している。都道府県別にみると、5週連続で全47都道府県で値下がりした。最も高かったのは鹿児島県の130.6円(前週132.5円)で、次いで長崎県の130.1円(同133.6円)、島根県の126.3円(同128.6円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より3.0円安い131.3円と、10週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より2.0円安い104.3円と、同じく10週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より44円安い1,227円と、25週連続で値下がりした。
2016年01月06日●首相の要求には応えられたか総務省が2カ月にわたって開催してきた「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」が終了し、取りまとめ案に基づいた総務省の取り組み方針が決まった。総務省は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのキャリア3社にスマートフォン料金の負担軽減、端末販売の適正化、その取り組み状況の報告を要請しており、今後さらにガイドラインの策定などを進めていく方針だ。○なんとか首相の要求に応えた形タスクフォースでは3社に対して、ライトユーザー向けに月額5,000円以下の料金プランの検討を求めていたが、「ライトユーザや端末購入補助を受けない長期利用者等の多様なニーズに対応した料金プランの導入等により、利用者の料金負担の軽減を図ること」とされており、具体的な施策はキャリアに委ねられている。今回のタスクフォースは、安倍晋三首相が携帯電話料金の家計負担軽減を口にしたことからスタートした会合で、10月19日の第1回会合以来、わずか2カ月で取りまとめとなった。具体的な数字などは後回しとなり、要請でも報告を求めるのみで、なんとか「年内」という安倍首相の要求に応えた形だ。取りまとめ案では、以下の3点について検討が行われ、それぞれ方向性(案)が示されている。(1)利用者のニーズや利用実態を踏まえた料金体系(2)端末価格からサービス・料金を中心とした競争への転換(3)MVNOサービスの低廉化・多様化を通じた競争促進(1)では、キャリアのスマートフォン向け料金がライトユーザーにとって割高で、生活インフラとしてのスマートフォン普及に必要な料金プランを検討すべきとして、年齢や機種を限定せずライトユーザー向けプランを検討する方向性が示された。さらにキャッシュバックや端末購入サポートの高額化に歯止めをかけ、長期利用者などの負担軽減に繋がる料金プランを検討すべきとしている。例としては、より少ないデータ通信料のプランを創設する、低廉な国内通話カケ放題プランと少ないデータ通信プランの組み合わせの柔軟化、低容量のデータ通信プランの低廉化、SIMのみの低廉なプランの提供、買い替えしない長期利用者への割引、といったものが挙げられる。ただ、これらの例のほとんどはすでにMVNOが提供しているサービスだ。MVNOは、キャリアと比べ料金が安いことがメリットとして知られるようになり、ようやく普及の途についたところ。ライトユーザーであればMVNOに移転して自分に合ったプランを選ぶこともできる。MVNOへの流出が無視できなくなれば、MNOであるキャリア側もそれに対抗する措置は必要になるはずで、本来はそうした方向性を目指すべきだったはずだ。ここでMNOに低廉な料金プランが打ち出されると、もともとMNOからの移転を当てにしているMVNOにとっては打撃が大きい。しかも、MVNOは今、ようやくビジネスが立ち上がり始めたところで、まずはこれを育てる方策を練るべきだろう。検討の(3)でMVNOについて触れられているが、「MVNO自身が大手携帯電話事業者との差別化を図りつつ、より多くの利用者から選ばれるような戦略をとっていくことが望まれる」という方向性が示されたのみで、正直なところ、「それができれば苦労しない」という思いがあるはずだ。もちろん、CCCと組んだトーンモバイル、自社の動画サービスと連携できるU-mobileといった特色を打ち出せるMVNOもあるが、それは「MVNO同士の差別化」であり、一番の武器である「MNOに対する価格優位点」を奪うと、MVNOビジネスに影響が出かねない。●MVNOが普及するには○MVNOが普及するためには取りまとめ案ではMVNOの通信品質、サポートへの不安があげられ、「スーパーやコンビニと連携するなど、地方でも店舗を拡充することが望まれる」という意見が出されたが、すでに店舗を展開するMVNOもあるし、キャリア並みのサポートを望めない代わりに低価格化する、というのはMVNOの特徴でもある。逆に、MNOはサポートに多大なコストをかけているわけで、そのサポートを利用しないユーザーもそのコストは負担している。例えば「キャリアの店頭サポートを有料化してその分通信料金を下げる」という「不公平を解消する」考え方だってできてしまう。キャリアは手厚いサポートを売りにしている分、そういうことはできないだろうが、MVNOはそれを抑えているため安くできている、という面は無視できない。MVNOが普及するほど、MVNOは独自サービスを提供しやすくなる。その中で、MVNO同士の淘汰も始まるだろうが、それが自然なはず。MVNOが一定のシェアを獲得すれば、キャリアもそれに対抗する必要も出てくるだろう。もちろん、MVNO普及のために必要な措置はある。MNOの接続料は必要に応じてさらに下げることは検討すべきだろうし、HLR/HSSの開放といった問題も、さらに検討すべきだろう。MVNOへの移転をしやすくするために、2年間の契約拘束後のMNPを簡単にできるようにすることを求めてもいい。「2年契約をしないでいつでもMNPできるようにする」ことは現時点でも可能だが、料金が高くなるので、現実的ではないだろう。2年契約なしで料金を現状並みに下げた場合に、携帯3社の経営にどれだけのインパクトがあるのかは、改めて検証すべき事柄ではあるはずだ。とはいえ、ライトユーザーであれば、月額5,000円ならMVNOに移転した方が安くなる場合が多い。あまり使わないがサポートは手厚い方がいい、という使い方なら、サポート費用込みと考えて5,000円程度というキャリアのプランを選んだらいい。KDDIが有料の手厚いサポートサービス「auスマートサポート」を提供しているが、一定以上のサポートは有料化するというのも一つの方針だろう。逆にMVNOが、「有料サポートが2年間込みで月額3,000円」といったプランもありえる。実際、ソフトバンクはワイモバイルに対してサポート面での手厚さによって差別化できるという話をしており、MVNOに比べると料金は高く、サポートは手厚い、というあたりに落ち着きそうだ。こうした意味で、料金プランの新たな取り組みが生まれてくる可能性はある。一時期、複雑化した料金プランが批判されたことで定額制に一本化され、今度は容量別に複数プランが用意されるようになったが、結局、ユーザーは、多少複雑でも自分に合ったプランを選びたいということなのだろう。●サービスで勝負するキャリア○端末代金の不公平を是正するには(2)の端末購入補助に関しては、同じく総務省による2007年のモバイルビジネス研究会の議論を経て、現在の「端末代金は定価で分割払い」「その分を通信料金から割引」というプランが生まれた。MNPのスタートによって、MNP獲得のためにその通信料金割引が変動して、販売奨励金を使った販売店のキャッシュバック競争といった売り方も生まれたが、それが異常であることは間違いない。方向性案では、「不公平を是正する方向で適正化」という方針を示したが、携帯電話を売り切らなくてはキャリアの不良在庫になる。しかし、端末または通信料の値引きができないとなると、ますます売れなくなる。普通の電気製品であれば、旧機種は値引きして販売されるのだから、適切な値引きであればこれを認める方向性もあっていいだろう。キャリアが売れ残った在庫を中古市場に販売する、というパターンもあってもいいかもしれない。未開封で中古よりは高いが、新品で買うよりは安いし、これを購入した人が持ち込み契約をすれば、端末補助金も必要ない。これであれば、方向性案が求めた「中古市場の活性化」にも繋がるだろう。キャリアも「下取り」という形で、旧機種の回収を進めており、この下取り額を増やすことで中古市場に流通させられれば、流通量が増える。さらにユーザーが「中古市場で購入する」ことを一般的に行うようになれば、中古市場は活性化する。ユーザーの意識改革も必要だろう。何しろ、「端末は売れなければ意味がない」のだ。会合では「新機種を作りすぎ」というようなニュアンスのコメントもあり、どうもキャリアとメーカーを一体化して考えている節があるが、メーカーが端末を作るのは一定の利益が望めるからで、売れない市場であればメーカーは撤退するしかなく、方向性案の「国民の生活インフラとしてスマートフォンを普及させる」という方針にそぐわない。PC業界のように一定のビジネスは成り立つかもしれないが、そもそも日本はPCの普及率が低く、同列に並べるのであれば「生活インフラ」レベルには達しないだろう。ただでさえ、日本市場では技術基準適合証明(技適)のような規制や日本固有の周波数帯、日本語への対応など、独自のコストが必要になる。結局、誰かがコストを負担するわけで、それは広く浅くならざるをえないため、「ライトユーザー“だけ”、長期利用者“だけ”優遇する」というわけにもいかない。最も優遇されるのは「最も収益性が高いユーザー」のはずで、端末補助金を削減しても収益性の高いユーザーの優遇になるだろうし、それがライトユーザーであるとは限らない。○キャリアはサービスで競争方向性案では、端末価格での競争ではなく、通信料金・サービスでの競争への転換を求めているが、すでにMNOは差別化と新たな収益源として、コンテンツサービスを開始し、最近はポイントサービスや電子マネーといった決済系、O2Oといったビジネスにも力を入れている。これは利益があるからこそできるわけだが、それにはインタフェースとなるスマートフォンが不可欠で、やはりMNOにとっては人々にスマートフォンを使ってもらいたい。しかし、AmazonのKindleのように低価格で売ることはできない、という状況になると、新たな方策を考えざるを得なくなる。すでに、端末購入で現金の代わりにポイントで還元するという売り方が販売店では出ているが、こうした方策が一つだろう。囲い込みとしては一般的なやり方だが、このあたりを総務省がどう判断するかという点もあるだろう。***基本的に、総務省からの要請に対して、各キャリアは対応を迫られることになる。ライトユーザーや長期利用者向けに何らかの施策を打ってくることは間違いないが、端末を購入したいユーザーに対しての不利益も避けたいところだろう。MNPよりも複数契約に対する優遇策の強化も考えられる。今後、各社の施策と総務省のガイドライン策定に向けての取り組みが注目される。
2015年12月26日総務省は12月24日、国内ICT産業における国際競争力を取りまとめたレポート「平成27年版ICT国際競争力指標」を公表した。2008年から毎年ICT国際競争力指標を作成しており2015年で8回目。平成27年版ICT国際競争力指標は、調査会社などが算出した2014年の実績値を基に作成しており、国内企業製品を品目ごと「世界シェア」「輸出額シェア」を数値化している。平成23年度版と増加・減少傾向を比べている。レポートによると、平成27年版における世界全体の市場規模は2兆1289億ドルで平成23年版と比べて10.6%増であった。一方で国内企業の市場シェアは10.9%と平成23年版より2.9%減となった。企業競争力(市場シェア)は、指標の対象となる全37品目中、競争力が強い品目(シェア25%以上)が6品目、企業競争力が弱い品目(シェア5%以下)が13品目となった。これは平成23年版と比較し、9品目のシェアが増加し、27品目でシェアが減少した結果となった。シェア25%以上の品目に注目すると、増加傾向にあるのは「DVD/Blu-rayレコーダ」で80.3%(平成23年版)から(96.3%)となった。「コピー機」は73.9%から74.6%、「プリンタ」も31.1%から40.9%へと増加した。DVD/Blu-rayレコーダーは世界シェアの大半が国内企業で占めているが、市場規模は縮小傾向にある一方で、コピー機やプリンタは世界市場でも拡大傾向にある。一方でシェアが高いものの減少傾向にある品目は、ソーラーモジュールなどの光学素子の「オプトエレクトロニクス」で43.4%(平成23年版)から32.5%(平成27年版)に落ち込んだ。また、トランジスタやコンデンサなど単機能半導体素子の「ディスクリート半導体」は36.4%から29.9%、「携帯電話用液晶デバイス」は35.7%から29.7%と減少した。シェア5%以下の品目では「プラズマデバイス」が47.6%から1.2%、「プラズマテレビ」が47.7%から1.5%と大幅に減少した。これらは国内企業の市場シェアと世界の市場規模が共に縮小している。国内からの世界全体への総輸出額は1兆3692億ドルで、平成23年版より20.0%増加した。世界各国と比較した輸出額のシェアは3.0%と2.3%減少したが、アジア太平洋地域全体では75.7%とシェアを4.4%増加させた。輸出競争力(輸出額シェア)は、対象の全20品目のうち「PC用ディスプレイ」「モバイルインフラ」の2品目で、どちらも世界の総輸出額は減少傾向にある。一方で減少した品目は15品目と多く、「デジタルカメラ」で27.2%から16.0%、「放送機器用デバイス」が10.4%から6.2%と顕著な数字を示した。
2015年12月25日経済産業省 資源エネルギー庁が24日に発表した石油価格調査(21日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より2.7円安い123.5円となり、9週連続で値下がりした。下げ幅は前週より1.1円拡大し、2009年6月29日(122.6円)以来、約6年6カ月ぶりの安値となった。○来年も値下がりを予想石油情報センターは「12月4日のOPEC(石油輸出国機構)総会で減産合意に至らなかったことで過剰供給感が一段と増した。また円安もあり、石油元売会社が21日の調査日に向けて3円近く卸価格を引き下げたため、それが小売価格に反映された。1月4日の価格については、来週に向けて卸価格が2円ほど引き下げられる見通しで、それが4日まで引きずるとみられることから、値下がりを予想している」と話している。都道府県別にみると、4週連続で全47都道府県で値下がりした。最も高かったのは長崎県の133.6円(前週135.1円)で、次いで鹿児島県の132.5円(同135.5円)、島根県の128.6円(同131.7円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より2.7円安い134.3円と、9週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.8円安い106.3円と、同じく9週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より39円安い1,271円と、24週連続で値下がりした。
2015年12月24日経済産業省 資源エネルギー庁が16日に発表した石油価格調査(14日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.6円安い126.2円となり、8週連続で値下がりした。下げ幅は前週より0.3円拡大し、2010年1月12日(125.9円)以来、約5年11カ月ぶりの安値となった。○来週は値下げ幅がさらに拡大石油情報センターは「12月4日に開催されたOPEC(石油輸出国機構)の総会で減産を見送ったことを受けて原油価格の値下がりが加速され、その加速分の一部が今週のガソリン価格に反映された。来週は値下げ幅がもう少し拡がるとみている」と話している。都道府県別にみると、3週連続で全47都道府県で値下がりした。最も高かったのは鹿児島県の135.5円(前週137.5円)で、次いで長崎県の135.1円(同136.9円)、和歌山県の133.3円(同135.3円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.6円安い137円と、8週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より0.9円安い108.1円と、同じく8週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より20円安い1,310円と、23週連続で値下がりした。
2015年12月16日経済産業省は12月14日、旅行関連情報や国内外の旅行者などの行動に関するデータを集約・収集してデータベースを構築する実証を開始したと発表した。この実証は、サービス産業の活性化・生産性向上を目指すもので、企業が保有する情報や訪日外国人の行動データなどを収集して活用を促す。地域の課題解決・活性化や新サービス、ビジネス機会の創出、行政機関など公的機関での利活用の促進を図っていく。具体的には、国内の宿泊履歴データや訪日した外国人の行動データなどを集約して、オープンデータとして開放する。6575万泊以上の全国各地の宿泊予約・実績データや宿泊客などの属性を、グラフなどで「観光予報プラットフォーム」として視覚的に提供する。過去の実績と予約状況をもとにした6カ月先までの観光予報(観光地の混雑度合いや注目度、宿泊者数の推移予測)の提供を行う。また、「訪日外国人向け情報配信プラットフォーム」では、了解を得られた訪日外国人旅行者の国内における行動を分析して、「どのようなストレスを感じているのか」について、サービス事業者へ情報提供する。ほかにも、旅行者の位置情報や国籍などに応じたクーポン・情報配信を行って、マーケティングへの利活用検証を行う予定だ。「観光予報プラットフォーム」の参画事業者は、JTBコーポレートセールスと創建、オープントーン。「訪日外国人向け情報配信プラットフォーム」は、ROIと電通、ナビタイムジャパン、ブログウォッチャー、リクルートライフスタイル。
2015年12月16日経済産業省 資源エネルギー庁が9日に発表した石油価格調査(7日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.3円安い127.8円となり、7週連続で値下がりした。下げ幅は前週より0.1円拡大し、2010年1月18日(127.2円)以来、約5年10カ月ぶりの安値となった。○全47都道府県で値下がり石油情報センターは「足元の原油価格は値上がりしたが、前週までに石油元売会社が卸価格を引き下げていたことが反映された。来週適用される原油価格は0.5ドル(円換算約0.3ドル)程値下がりしていることから、来週は小幅な値下げを予想している」と分析している。都道府県別にみると、全47都道府県で値下がりした。最も高かったのは鹿児島県の137.5円(前週138.2円)で、次いで長崎県の136.9円(同138.4円)、和歌山県の135.3円(同136.0円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.4円安い138.6円と、7週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より0.6円安い109.0円と、同じく7週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より13円安い1,330円と、22週連続で値下がりした。
2015年12月09日日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は12月1日、IoTにおける複雑なアプリケーション要件に対応可能な産業用コントローラ「IC-3173」を発表した。同製品は、Intelの「Core i7」(デュアルコア版)に、高度な信号処理や画像処理にも対応できるユーザプログラマブルなXilinxのFPGA「Kintex-7 160T」、カスタマイズが可能なデジタルI/O、高速閉ループ制御を組み合わせることで、高い処理性能を実現。PoEに対応したGigabit Ethernetポートを6つと、USB3.0ポートを2つ搭載しているため、GigE VisionやUSB3 Visionに対応するカメラを複数つないで、取得した画像を同時に処理することができる。また、EtherCATマスタ、Ethernet/IP、RS-232/485、Modbus、Modbus/TCPに対応しており、PLCなどのデバイスやオペレータ用インタフェースとの通信が確立可能。システム開発ソフトウェア「NI LabVIEW」に対応しているので、制御アルゴリズムのカスタマイズや、画像処理の実行、高度な解析を容易に実施できるという。同社によると、従来のように複数のコントローラを用いてシステム構築をする必要がなく、一台のコントローラでシステム構築が行えるため、システムの複雑さが軽減され、低コスト、省スペース化が実現できるとしている。
2015年12月01日経済産業省 資源エネルギー庁が26日に発表した石油価格調査(24日時点)によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.3円安い130.3円となり、5週連続で値下がりした。下げ幅は前週より0.7円拡大し、2010年3月8日(129.1円)以来、約5年8カ月ぶりの安値となった。○来週も値下がり続く石油情報センターは「原油価格の下落を受け、石油元売会社が卸価格を引き下げたことが小売価格に反映された。来週についても、原油価格が引き続き下落しており、卸価格が1~1円50銭ほど引き下げられるとみられることから、値下がりを予想している」と話している。都道府県別にみると、2県で横ばい、45都道府県で値下がりした。最も高かったのは鹿児島県と高知県の139.3円(前週:鹿児島県140.6円、高知県139.3円)で、次いで長崎県の139.2円(同140.3円)となった。ハイオク1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より1.4円安い141.1円と、5週連続の値下がり。軽油1リットル当たりの全国平均小売価格は前週より0.6円安い110.1円と、同じく5週連続で値下がりした。灯油18リットル当たりの店頭価格は前週より11円安い1,355円と、20週連続で値下がりした。
2015年11月26日CYBERDYNE(サイバーダイン)は11月25日、同社のロボットスーツ「HAL医療用下肢タイプ(HAL医療用)」が、同日付で厚生労働省(厚労省)より医療機器の製造販売承認を取得したと発表した。HAL医療用は患者に装着して生体電位信号に基づき下肢の動作補助を行い歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善することを目的としたロボット治療機器で、今回、治験によって筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーといった緩徐進行性の神経・筋疾患患者への安全性と進行抑制効果とが認められたことから、承認を得たという。また、HAL医療用は、同社代表取締役で筑波大学大学院 教授でもある山海嘉之氏が開発した動作原理を搭載することで、患者の症状や身体機能、使用環境などに応じた細やかな対応が可能であることが技術的な特徴となっている。今後、同社はHAL医療用を用いた治療に対して保険適用を受けるための申請手続きを行う予定としていくほか、HAL医療用については、今回承認された神経・筋難病疾患から脊髄疾患への適応拡大を目指した取り組みとして、すでに2014年9月よりHTLV-1関連脊髄症(HAM)などの主に痙性のある対麻痺症に対する治験も進めているという。
2015年11月26日