5年に1度、『令和』初めての年金制度の見直し時期がやってきた。政府は「年金は100年安心」と繰り返すが、実際は我々の生活を脅かすまでに、制度は疲弊していた――。「厚生労働省は6月にも、年金の将来的な給付の予測を、令和になって初めて発表する予定です。最悪のシナリオだと、およそ15年後に、年金額が20%も減額される可能性があるんです」こう話すのは、財政制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金財政は、人口の減少や構成比率、経済情勢などによって不安定化する恐れがある。そのため、日本の年金制度では「5年に1度」、最新のデータを基に、給付される水準を検証することが法律で定められている。「これを『年金財政検証』と呼び、前回は『平成26(’14)年』に実施されています。その最新版となる『令和元年財政検証』が、厚労省の社会保障審議会年金部会で行われていて、前回までの例にならえば、この6月をめどに公表される見通しです」(加谷さん・以下同)「財政検証」の柱となるのが、将来の年金予想。これを理解するには、まず「所得代替率」という言葉を理解しなければならない。所得代替率とは、「現役男子の平均手取り収入の額」に対する「夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金(=世帯の年金受給額)」のこと。「まず、厚労省は年金のモデル世帯を、夫が元会社員で厚生年金を受給している夫婦と設定しています。この世帯の年金受給額は、国民年金(=老齢基礎年金)月額6万4,000円が、夫婦2人分で12万8,000円。加えて夫の厚生年金(=老齢厚生年金)が月額9万円で、世帯では月額21万8,000円となります」一方、現役男子の平均手取り月収は34万8,000円。これは税引き前の年収でいうと、およそ510万円に相当する。「この34万8,000円に対する21万8,000円の割合を計算すると、所得代替率は62.7%という水準になります(いずれも前回の「財政検証」時の値)」「国民年金法」の原則では、所得代替率が50%を上回るような給付水準を将来にわたり確保するとされている。一方、厚労省は年金制度を維持するために、段階的に所得代替率をこの50%に近づけていくと、明言している。「『財政検証』で、いつ50%に至るかというのが、複数のケースにおいて、試算されています。しかし、ほとんどのケースは、日本経済が順調に成長するという前提のもとに作られているんです」前回の「財政検証」では、A~Hまで8つのケースが試算されている。そのうち、6つのケースでは、所得代替率がおよそ50%に達するのは、2040年以降という甘い見通しになっている。「しかし、現時点ですでに、政府が目標としてきた経済成長率の数値は未達成。さらに、世界的不況の兆しも見え始めている。今後、日本の経済は、右肩下がりになっていくことが、容易に予測できてしまいます。となると、財政検証でもっとも参考になるのは、いちばん悲観的なケースになるでしょう」前回の財政検証で、最悪の試算はケースH。2036年(令和18年)には所得代替率が50%に達し、2055年には年金積立金が枯渇。以降は、所得代替率35~37%という水準にしなければ、年金制度が維持できなくなる。次の「財政検証」でも、同様のケースが試算される見込みだ。現在の約63%の所得代替率よりも13%も低い、50%というのは、どの程度の水準なのか。仮に、現在の現役世代のモデルケースから試算すると、夫婦の年金は208万円、月の受給額は17万4,000円となる。現在の水準よりも20%減、年額で約53万円も減ってしまうことになる。’17年の高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の月々の支出額の平均は約26万4,000円だから、毎月9万円もの赤字が出る計算だ。「この『50%』という水準を想定して、今後の生活を設計していくべきです」
2019年04月18日スマートフォンの普及により、資産運用もスキマ時間で簡単にできるようになりました。今では、投資専用のアプリがたくさんあります。この記事では投資初心者のために、資産運用アプリのメリット・デメリットをお伝えした上で、資産運用の情報収集から実際に取引できる便利なスマホアプリをご紹介します。ぜひ自分の投資スタイルにあったアプリを入れて試してみて下さい。資産運用アプリのメリット・デメリットアップルストア日本証券業協会が発行する資産運用に関する冊子を、最後まで無料で読めます。株式や債券・投資信託などの各金融商品の特徴から情報収集の仕方まで、基礎からわかりやすく学ぶことができます。グーグルプレイくらしに役立つマネークイズアップルストアFP資格の認定や金融知識向上のため、30年以上に渡り広報・教育活動を行っているFP協会ならではのマネークイズです。ライフプラン、貯蓄・投資、税・社会保障、リスク・保険、消費生活・契約など、個人のお金に関する知識が網羅されています。グーグルプレイ情報収集を行うのに役立つおすすめアプリ2選ヤフーファイナンスアップルストアヤフーファイナンスは、資産運用に役立つ情報から銘柄の管理までできる日本最大級のアプリです。プッシュ通知があるので、株価や為替のレートが変動したり、マーケットに影響を及ぼすニュースがでたりした時は、通知で知らせてくれます。また、ポートフォリオ機能がついているので、気になる銘柄の推移をまとめて見ることができます。株価だけでなく、株主優待、経済指標、投資関連ニュースなど幅広い情報を得ることができるので、非常に優れたアプリです。グーグルプレイモーニングスターモーニングスター株や為替だけでなく、投資信託のデータも確認することができます。会員登録して「ポートフォリオ」機能を使うと、購入した株式や投資信託の損益管理ができます。また、「ウォッチリスト」では、素早く価格を確認することができます。投資信託や株式のランキングの他、アナリストのレポートもスマホアプリで読むことができるので、非常に便利です。グーグルプレイロボアドバイザー(AI投資)でおすすめのアプリ2選アップルストアネット証券最大手SBI証券のスマホアプリは、株式投資に最適なアプリです。即座に発注できるので、短期で取引する方にとっても便利です。中長期の投資家にとっても決算や適時開示、速報ニュースなど情報や銘柄分析機能が充実しています。銘柄の検索から情報収集、売買まですべて行うことができます。ただし、投資信託はスマホアプリで購入できないので注意しましょう。グーグルプレイ楽天証券株アプリアップルストアPC版で評価が高い「マーケットスピード」のスマホアプリ「iSpeed」です。iSpeedは、テクニカルチャートやニュースなどが充実しています。特に、楽天証券で口座開設をして、いくつかの条件を満たせば(過去3ヵ月の取引実績や預かり残高30万円以上、信用やFX口座の開設など)、「日経」も無料で読むことができます。注文も3タップでシンプルにだすことができます。カラーやメニューも自由に組み合わせることができるので、好みの画面で取引や情報収集ができます。グーグルプレイ株式を少額から購入できるアプリOne Tap BUY(ワンタップバイ)ワンタップバイは、スマホ専門の証券会社です。株数単位ではなく、金額単位で取引することができます。しかも、わずか1,000円から米国株、米国ETF,日本株を取引きすることができます。売買できる銘柄を厳選しているのも特徴です。米国株では、アップルやアマゾンなど世界的に有名で日本人にも馴染みのある優良企業。日本株では、我が国を代表する企業のうち、若い世代にも身近であることに加え、業績の安定性を重視しています。若い世代を意識してスマホアプリをより見やすく、より使いやすくしています。ワンタップバイ利用者の約7割が投資未経験者なので、初めての方でも安心して取引できるような仕組みになっています。ただ、米国株と日本株は別々のアプリになっているので注意しましょう。米国株ワンタップバイグーグルプレイ日本株ワンタップバイグーグルプレイ投資信託を選ぶのに役立つアプリanswerAnswerは、国内の投資信託の中から最適な銘柄を見つけてくれるスマホアプリです。国内の公募私募投信6,149銘柄、販売金融機関450社に対応しているので、主要な銘柄および販売会社をほぼカバーしています。金融工学に基づいて利用者のリスク許容度を分析し、シミュレーションと投資目標を達成するための銘柄抽出を、スマホアプリでわかりやすく行うことができます。グーグルプレイ資産運用アプリまとめ今回は、初心者から上級者までの投資ライフをサポートするスマホアプリをご紹介しました。スマホが現在の生活に欠かせないように、投資もスマホアプリが必須の時代となっています。情報収集から発注まで全てアプリで行うことができます。口座開設やアプリのインストールは無料なので、いろいろ試してみることをおすすめします。この記事が、自分にあった資産運用アプリを見つけるきっかけになれば幸いです。
2019年04月10日将来に備えて資産運用を始めたいけど、種類が多くて迷っている初心者の方も多いと思います。そこで、「なるべくリスクをおさえたい」「少額から始めたい」「簡単にはじめられる」といったニーズに答えられるようなおすすめの資産運用方法を3つご案内します。資産運用はなぜ必要?金融庁なお、金融庁が厳選した投資信託とはいえ、元本が保証されているわけではありません。その点は注意しておきましょう。つみたてNISAまとめ最低投資額:100円期待利回り:2%~5%以上特徴:年間40万円までの投資額に対する運用益が非課税「銘柄を選択するのは大変」「忙しくて時間がない」という方は、すべておまかせで資産運用できるロボアドバイザーがおすすめです。ロボアドバイザーなら手間をかけずに資産運用できるロボアドバイザーをおすすめしたい人最新の投資手法を試したい手間や時間をかけたくない資産運用がはじめてロボアドバイザーとは、コンピューターのプログラム(AI)が最適な投資信託を診断し、資産運用のアドバイスや運用を自動で行ってくれるサービスです。年収や年齢など、簡単な質問に答えるだけでリスクとリターンを判定し、最適な銘柄の選択から購入まですべて行ってくれます。手間や時間をかけたくない方にピッタリの仕組みです。ロボアドバイザーで最も人気のあるサービスをご案内します。ウェルスナビウェルスナビは預かり資産が1300億円を超えていて、ロボアドバイザーで一番人気があります。投資対象は海外のETF(上場投資信託)。ETFとは、取引所に上場している投資信託です。自分で銘柄を決める必要はなく、最新の金融工学に基づいて最適な投資をしてくれるので、初心者でも簡単に資産運用を始めることができます。最低投資金額は10万円と、通常の投資信託と比べると少し多めですが、世界中の金融商品に分散投資することができます。ただ、ロボアドバイザーも分散投資でリスクを軽減させることができますが、元本保証ではないので気をつけましょう。短期的な値動きではなく、長期的な視点で考えることが大切です。最低投資金額:10万円期待利回り:2~10%特徴:簡単な質問に答えるとすべて自動で運用してくれる初心者におすすめの資産運用まとめこの記事では、初心者におすすめの資産運用について説明してきました。今回ご案内した金融商品(制度)の比較表は以下のようになります。投資信託つみたてNISAロボアド最低投資金額100円100円10万円期待利回り2~5%2~5%2~10%購入手数料0~3%ノーロード(なし)なし運用手数料(信託報酬)0.2~2%0.2~1%1%銘柄数約6,000銘柄約160銘柄10~30銘柄税金課税非課税(上限年間40万円)課税初心者の方には「投資信託」での運用がおすすめですが、まずは非課税枠が使える「つみたてNISA」から始めるようにしましょう。非課税枠は使えませんが、運用の手間を省きたい方には「ロボアドバイザー」に全ておまかせするのもいいでしょう。難しいイメージのある資産運用ですが、簡単に始められるサービスが増えています。まずは少額からでいいので、資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
2019年04月04日インデックス型投資信託を使えば、低コストで合理的な資産運用をしやすくなります。今回は、初心者の方にも良くわかるようにかみ砕いて、インデックス型投資信託の基本から解説していきます。初心者のためのインデックス投資講座インデックスと聞くと難しい印象を受けますが、ポイントを理解するととても合理的な投資に近づきます。図解を交えながら見てみましょう。投資信託のインデックスファンドって何ですか?投資信託の種類の中に、インデックス型と呼ばれるものがあります。大変乱暴に言いますと、インデックスファンドとは、各種指標に連動することを目的とする投資信託のことです。ファンドと投資信託:本記事内のファンドとは、投資信託を指しています。より広義の意味ではみんなから集めたお金を運用する機関を指すこともあります。投資信託とは、複数の金融商品を入れた「大きな入れ物」のようなものだと直感的にイメージしていただければ、まずは良いかと思います。※図表は筆者作成インデックスってどんな意味?そのインデックスというのは日本語にすると「指標(しひょう)・指数(しすう)」などとも呼ばれます。指標というと、身近ではあまり聞かないので、少しわかりにくいかと思います。指標をイメージ的にとらえると「平均」のような存在が近いかと思います。例えば、株式には株式の市場があります。ということは、その株式市場の値動きの平均のようなものが存在することになります。これが指標です。世の中には様々な投資信託がありますが、多くはこの各種指標を「超えよう」または「連動しよう」という目標を掲げています。そのため、インデックスのことをベンチマークなどとも呼んだりします。ベンチマークとは:測量の世界で使われる「基準」のようなもの。転じて、投資の世界では、「インデックス(指標)」を指すことが一般的。インデックスとは、市場の平均のような存在。投資信託のアクティブ型とインデックス型の違いはなに?先ほど述べましたように、投資信託には、各種指標(インデックス)を「超えよう」または「連動しよう」という目標を掲げているものに大別できます。以下の図のようなイメージです。※図表は筆者作成結論を先に言えば、理論上、投資において合理的だと考えられるものは目標としている指標(インデックス)に連動しようとするインデックス型投資信託だと考えられます。合理的なのはインデックス型投資信託だと考えられる。なぜ平均に連動するインデックスが合理的なの?世界中の人が賢いならどうなるの?なぜ、インデックスに連動するスタイルのインデックス型投資信託が理論上、合理的だと考えられるのでしょうか?例えば、ここにお金の神様がいるとします。神様が「世界中の投資家よ、頭が良くなれー」と魔法をかけたとします。途端にみんなが賢くなりました。するとどうでしょう。世界中の投資家は、世界中の株式市場などで「割安な株式を買って、割高な株式を売る」という賢い行為を行います。そうすると、それぞれの市場の平均であるインデックスが非常に効率的になります。※図解は筆者作成現実の市場もおおむね効率的であると考えられる。インデックス型はアクティブ型が頑張る限り、常に優位になると考えられるこのように「市場の参加者がおおむね賢い」世界においては、平均を超えようとするアクティブ型よりも、平均に連動することを目的とするインデックス型の方が合理的になると考えられます。なぜなら、みんなが賢いから、効率の良い平均点を超えにくいのです。直感的なイメージとしては、みんなが頑張るから、自然と平均が良く(効率的に)なるイメージです。※図表は筆者作成先ほどの神様のお話はあくまでも例えですが、現実の各市場も、世界中の金融機関の賢い人々によって見張られているので、「おおむね効率的であるだろう」と考えられます。このような考え方を効率的市場仮説と呼んだりもします。効率的市場仮説:市場の参加者(機関投資家など)はみな賢いので、割安な株式などを買い、割高なものを売るはず。そして、彼ら機関投資家が優れていればいるほどに、それは市場平均(インデックス)が効率的になる、という考え方。市場の参加者が賢い(あるいは同じような能力)の場合、市場の平均は効率的になる。つまり、アクティブ型が優れていればいるほど、それらの投資手法は通用しない、とも考えられる。つまり、現代の投資における最善策とは市場の平均に連動することではないか。投資信託のインデックスファンドにはどんな種類(指標・指数)があるの?では、そんなインデックスには、どのような種類があるのでしょうか。国内株式市場で代表的な指標と言えば、トピックスと日経平均株価が挙げられます。また、先進国株式のインデックスと言えば、MSCIコクサイインデックスが挙げられます。どのような内容なのでしょうか。見てみましょう。インデックス型の国内株式のトピックスまたは日経平均株価って何のこと?テレビやラジオのニュースの最後の方で「今日のトピックスと日経平均株価の数値」が発表されていますので、耳馴染みもあるかと思います。トピックスも日経平均株価も、いずれも国内株式市場のインデックスの一種です。特徴だけをまとめてみましょう(表現は初心者向けであり、厳密には異なります)。おすすめのインデックスはトピックスと日経平均株価、どっちなの?トピックスがおよそ二千社近い株式の市場平均であるのに対して、日経平均株価は、225社です。しかし、およそ二百社にも分散をすると、理論上は分散投資がされているので、トピックスも日経平均株価も同じように推移することが知られています(もちろん、差はあります)。世界に分散投資ができるインデックス型投資信託種類(一例)もちろん、世界各国の株式市場にもそれぞれの市場平均があります。ということは、それらの各市場にインデックスがあります。また、それらのインデックスに対応する形のインデックス型投資信託もあります。ここでは、重要な先進国株式のインデックスについて見てみましょう。いわゆる外国(先進国)株式の投資信託と言えば、上記のMSCIコクサイインデックスに連動する(または超えようとする)投資信託を指すことが一般的です。株式主体のインデックス型で投資をするメリットとおすすめの組み合わせは?では、インデックス型の投資信託で投資をするメリットとは何でしょうか。また、おすすめの組み合わせ(ポートフォリオ)とはどのようなものだと考えられるでしょうか。ポートフォリオ:金融商品の組み合わせを指すことが一般的。金融資産の組み合わせはアセットアロケーションと呼ぶが、本文内では混乱を防ぐために、ポートフォリオで統一します。インデックス投資と株式投資との違いとメリットはどこなの?インデックス型投資信託での投資と、個別の株式投資の違いは、分散がしやすいかどうかです。前述のように、インデックス型投資信託を選択すれば、多くの株式を保有したのと同じような効果が得られます。もちろん、個別の株式を個人で数百銘柄ほど保有すれば同じような効果が得られるのですが、その場合は、大変に高額な資金が必要になってしまいます。その点、インデックス型投資信託であれば、証券会社によっては数百円から分散投資が容易にできます。インデックス型投資信託を選択すれば、個別の株式にピンポイント投資をするよりは理論上は合理的な分散投資ができていることになる。ところで、インデックス投資で利益を上げるにはどうしたらいいの?基本的な利益の上げ方はシンプルです。安い時に買って、高い時に売ると、その差額が利益になる(数十年積み立てる、積み立て投資であっても同様です)または、利益を内部で再投資する(あるいは非効率でお勧めできないが、分配金を受け取り、課税後の少なくなった利益を再投資する)ちなみに、株式市場の値動きはランダム・ウォーカーですので、残念ながら、機動的に「タイミングを読んで、安く買って高く売る」ことで勝ち続けることは、できないと考えられます。ランダム・ウォーカー:効率的な市場においては、みんながそれぞれに分析をして、効率的に売買を繰り返している。その結果として、通用する分析方法や運用手法があれば、皮肉なことに通用しなくなる。結果として、株式などの金融商品の値動きは「なにもない原っぱを酔っ払いがフラフラ歩く」ように、法則性がないものになってしまう、と考えられる。そのため合理的な資産運用において大切なのは、短期的にタイミングを読んで「丁か半か」のバクチ的な行為をするのではありません。タイミングを読まずに、ひたすらに「長期×分散×積み立て投資」に徹することです。インデックス型投資信託での投資において重要なことは、「長期分散積み立て投資」まだあるメリット!インデックス型のコストはどうなの?インデックス型投資信託の大きなメリットの一つに「アクティブ型と比較するとコストが安い」ということが挙げられます。具体的な数字としては、保有している間にかかる信託報酬と呼ばれるコストがモノにもよりますが、平均的には1%程度違う、と言われています。※図表は筆者作成1%違う:運用において1%というのは、大変に大きな数値です。ここをきちんと下げられるかどうかが、長期では大きな差になると考えられます。ランダム・ウォーカーな市場では個人の頑張りで運用成績を上げることはできないと考えられます。私たち個人投資家にできることは、コストを下げることくらいです。インデックス型を選べば、初心者もプロと同じ成績になるのも大きなメリット前述のように、インデックスというものは、市場平均です。そのためインデックス型投資信託を選ぶということは、世界中の機関投資家の採点の終わったテストをカンニングするようなものです。しかも、それを格安で。インデックス型投資信託を選択すると、世界中のプロの運用成果を安いコストで拝借できるのと同じような効果が得られる。インデックス型投資信託のデメリットはどんなものがあるのか?デメリットとは少し違いますが、インデックス型投資信託は魔法ではないので、経済状態が悪い時はインデックス型投資信託であっても、長期間運用成績が悪くなります。仮に私たちが今日からインデックス型投資信託で投資を初めても、数年間運用成績がマイナスかもしれません。また、長期間行っても、数十年後に大きく株価などが下落した時(金融危機時など)に、慌てて売却をすると、マイナスになったり、それほど大きなリターンが結果として望めないことも十分に予想されます。インデックス型投資信託の筆者おすすめの組み合わせは?インデックス型投資信託でポートフォリオを組む際には、株式主体のインデックス型投資信託を選択することが理論上は重要だと考えられます。一例を挙げると次のような感じです。※図表は筆者作成上記のような組み合わせはいわゆる、「株式が100%」の組み合わせです。そして、この特徴はハイリスク・ハイリターンです。なぜこれがおすすめなのでしょうか。それは、資産形成が目的だからです。長期×分散×積み立て投資でできるだけ「お金を大きくすること」を目指すためです。ただ、あくまでも理論の上でのお話であり、未来は不透明です。そのため、これで絶対儲かる、とは言えません。インデックス型投資信託の株式や債券をバランスよく組んで、リスクを低減することは、理論上、優れているけれど?確かに、債券の入った投資信託を主体にすると、リスクは下がります。また、バランス型と呼ばれる投資信託のように、株式や債券を入れた投資信託の場合、リターンは平均化され、リスクはより低減されます。一見すると良いですし、理論上も優れていま。しかし、果たして本当に良いのでしょうか。考え方によるので正解はありませんが、数十年間という、長期間お金を使う必要がない資産形成期(老後に備える期間)においてはできるだけお金を大きくすることこそが重要ではないでしょうか。この点においては、正解はありません(ちなみにつみたてNISAでは株式主体のインデックス型投資信託がメイン)。ローリスク・ローリターンが良いか、ハイリスク・ハイリターンが良いかを決められるのは、投資家その人しかいないのではないでしょうか。初心者のためのインデックス投資講座:まとめインデックスとは、市場の賢い人々の平均のことインデックス型投資信託のメリットは、世界中のプロの分析結果を低コストで利用できることインデックス型投資信託のおすすめの組み合わせは、株式主体であることインデックス型投資信託を選択すると、自然と合理的な分散投資に近づきます。また、コストも安いので比較的「マシ」な資産運用に近づきます。インデックス型投資信託の中でも、長期×分散×積み立て投資において、より重要なのは国内外の株式のインデックス型投資信託だと考えられます。本記事が皆様の資産形成の一助になれば幸いです。
2019年04月04日人生100年時代といわれています。今後日本では少子高齢化が進み、これまで当たり前に受けてきた企業や国からのサポートが手薄になる可能性があります。ですから、老後の備えをするために「資産運用」をする必要があります。しかし、資産運用の種類は多くあるので、初心者の方は「どの資産運用を選べばいいのだろう?」と迷われるでしょう。そこで、初心者の方におすすめの資産運用法を6つ厳選し、特徴やリスクについて詳しく解説していきます。銀行預金と投資の違い三菱UFJ国際投信銘柄の組み合わせは以下のようになっています。三菱UFJ国際投信資産運用まとめ今回は次の6つの資産運用について特徴やリスクについて解説しました。預金国内債券外国債券国内株式外国株式投資信託初心者の方には、幅広く分散投資できるバランス型の投資信託で資産運用を始めることをオススメします。そして、慣れてきたら資産運用の目的や目標に応じて、株式や債券を組み合わせていくようにしましょう。この記事が資産運用を始めるきっかけになれば幸いです。
2019年03月25日ウェルスナビ(WealthNavi)は、預かり資産・運用者数が1番のロボアドバイザーです。簡単な質問に答えるだけで気軽に資産運用ができる人気のサービスですが、どのようなデメリットがあるのでしょうか。 今回はこれからウェルスナビで投資を始めようとしている方に知っておいてほしい5つのデメリットについて解説します。ウェルスナビ(WealthNavi)5つのデメリットウェルスナビのデメリットとしては、主に次の5つがあります。手数料がかかる元本保証ではない投資金額が10万円以上NISAに対応していない倒産リスクがあるそれぞれ詳しく解説します。デメリット1:手数料がかかるウェルスナビの手数料はシンプルで、預かり資産の1%(年率・税別)。ただし、3,000万円を超える部分は0.5%(年率・税別)と割引されます。さらに最大0.9%(年率・税別)まで手数料を割引く「長期割り」もあります。しかし、自分で運用できる人にとっては割高に感じるかもしれません。ウェルスナビは海外上場のETFを投資対象にしています。経費率は年率0.10~0.14%と非常に低いので、自分で銘柄を選んで海外ETFを買いつけできる人は、より安い手数料で運用することができます。ただし、ウェルスナビでは以下のことを自動でおこなってくれます。銘柄の選定ポートフォリオ(資産の割合)の決定銘柄の買付けリバランス(資産の再配分)しかも、銘柄の買付けやリバランスにかかるコスト(売買手数料・為替手数料)は無料です。投資経験者なら銘柄の選定から買付けまで自分で選べますが、難しいのがリバランスです。株式市場が大きく下がったときでも、淡々とルール通りに購入できるのか。利益がでた場合でも、利益確定せずに保有し続けることができるのか、など運用を続けることは想像以上に困難です。運用のストレスをなくして、お任せで運用できるというメリットを考えると、1%の手数料は高いとは言えません。デメリット2:元本保証ではないウェルスナビは10年以上の長期投資を前提としたサービスです。以下の図をご覧ください。ウェルスナビ1992年1月から2017年1月までの25年間の運用結果です。途中、ドットコムバブル崩壊やリーマンショックなどの大きな危機があっても、資産は2.4倍に成長し、1年あたりのリターンは6.0%となりました。このように金融危機があっても影響は一時的で、保有期間が長くなればなるほど、運用益がでる可能性は高まるのです。ただ、短期的には損失がでることもあります。ウェルスナビはAIが最適な資産配分を決定し、国際分散投資をしているので、下落相場に強いという特徴があります。しかし、それは「損をしない」ということではありません。リスクを分散し、下落率を軽減させているのです。このメリットがわかっていないと、株式市場が下がったときに、恐怖心からロボアドバイザーのサービスを中止してしまう人もいます。「下落相場でも淡々と運用を続ける」ことが大切なのです。デメリット3:投資金額が10万円以上投資初心者の方にとって、最低投資金額が10万円というのは少しハードルが高いかもしれません。ただし、従来の取引方法(米国ETFは1株単位)では、30万円前後の資金が必要でしたが、ウェルスナビでは端株取引(1株未満の取引)で取引できるようにしました。世界中の株式や債券に分散投資するには、ある程度の資金が必要になります。あまりにも少額では最適なポートフォリオを組めない可能性があります。10万円というのは、ウェルスナビが最適なポートフォリオを組むのに必要な資金だと考えているのです。以下の円グラフをご覧ください。ウェルスナビただし、10万円ずつしか購入できないというわけではありません。毎月決まった金額を積み立てる「自動積立」は、1万円以上で可能です。つまり、初期投資10万円+毎月1万円ずつ自動積立という方法でウェルスナビの運用を続けることができます。デメリット4:NISAに対応していないウェルスナビは特定口座に対応しているので、「特定口座+源泉徴収あり」を選べば確定申告の手間はかかりません。しかし、NISA口座には対応していません。NISAとは「少額投資非課税制度」のことです。NISA口座で買い付けた金融商品の利益に対する税金(所得税15.315%+住民税5%)が非課税になります。ウェルスナビでは年2回のリバランスをおこないます。リバランスによって買い付け金額がNISAの上限枠120万円を超えることが多いと想定されているため、NISA口座に対応していないのです。これはどのロボアドバイザーサービスも同じなので、仕方ないでしょう。ただ、ウェルスナビでは自動税金最適化(DeTAX)があります。「譲渡益に対する税負担」を自動的に最適化、つまり税金の負担を軽減してくれるサービスです。分配金やリバランスによるETFの売却で利益がでると、税金がかかります。そこで、含み損が発生している資産を同時に売却することによって利益を相殺し、税金の負担を軽くしてくれるのです。ウェルスナビ代表の柴山CEOによると、運用手数料は1%ですが、DeTAXの機能により年間0.4~0.6%程度の負担減となるため、事実上のコストは少ないものになるとの事です。デメリット5:倒産リスクがあるすべてお任せで運用できますが、ウェルスナビには倒産リスクもあります。そこで、財務内容や倒産した場合はどうなるのかについて解説します。まず、自己資本規制比率から確認しましょう。自己資本規制比率とは、金融商品取引業者の財務の健全性を測る指標です。高いほどリスクに対する許容度が高く、財務体質の健全性が高いと評価され、金融商品取引法では120%以上が義務付けられています。平成30年12月末のウェルスナビの自己資本規制比率は626.7%。財務の健全性は高いと判断できます。万が一ウェルスナビが倒産してもても、ウェルスナビと顧客の資産を分けて管理する「分別管理」がされているので、資産は保護されます。さらに、破綻したときに分別管理に不備があった場合でも、投資者保護基金が1,000万円まで補償してくれます。ウェルスナビ(WealthNavi)の運用実績それでは、実際の運用実績を見てみましょう。運用期間:15ヶ月毎月積立:5万リスク許容度:5総入金額 ¥2,300,000(初回100万スタート、途中55万追加入金)資産クラス(ポートフォリオ)は以下のようになっています。2018年の株式市場は厳しい環境でした。米国株の下落率は2008年のリーマンショック以来の大きさ。特に12月の下げは大きく、S&P500は世界恐慌以来で最悪の下落となりました。ウェルスナビでの運用も12月にマイナス幅が拡大。しかし、今年になってから米国株はリバウンドし、米国株ETF(VTI)では大きな利益となっています。全体でも+2.56%とプラスのリターンとなっています。一時的な下落に慌てることなく、ロボアドバーに運用を任せておけば長期的には利益がでる可能性が高くなります。長い目で運用を考えるようにしましょう。ウェルスナビ(WealthNavi)のデメリットまとめ今回は、ウェルスナビ5つのデメリットについて解説してきました。まとめると次のようになります手数料がかかる:銘柄選定から購入、リバランスまですべて自動で行ってくれることを考えると妥当な手数料元本保証ではない:ウェルスナビは下落相場でも利益をだしてくれるわけではなく、国際分散投資によって損失を軽減させるサービスです。一時的に損失が拡大しても、長期的には利益になる可能性が高くなります。投資金額が10万円から:最適な資産配分で国際分散投資を行うために必要な資金です。ただし、初期投資は10万円必要ですが、その後は1万円から積立投資を行うことができます。NISAに対応していない:NISAには対応していないものの、自動税金最適化(DeTAX)により、税負担を軽減することができます。倒産リスクがある:自己資本規制比率は600%を超えていて、財務内容に問題はありません。万が一倒産しても分別管理の徹底や、投資者保護基金が1000万円まで保護しているので安心です。以上、デメリットはありますが、大きな問題にはなりません。一番大きなデメリットは元本割れですが、長期・分散・積立投資を行っていれば回避できる可能性は高くなります。資産運用は長期的な視線で行うことが大切です。今回ご紹介したデメリットもきちんと把握しながらロボアドバイザーでの運用を続けるようにしましょう。
2019年03月15日ウェルスナビは「長期・積立・分散」投資を自動で行ってくれるサービスです。長期的には利益がでる可能性が高いものの、短期的には大きな損失がでることもあります。この記事ではウェルスナビで損失が出た時にどのように対処すればいいのかについて詳しく解説していきます。ウェルスナビは最も人気があるロボアドバイザーウェルスナビは初心者でも気軽に国際分散投資できるサービスです。AIが最適な資産配分を決定してくれて、買付けから実際の運用まで自動で行ってくれます。最低投資金額は10万円、手数料は預かり資産の1%(3,000万円を超える部分は0.5%)となっています。預かり資産は1200憶円を超えて、もっとも人気があるロボアドバイザーです。資産運用に手間をかけたくない株式投資で損失がでた長期的に資産を増やしていきたいそういった方にオススメのサービスです。ロボアドバイザーでもマイナスになることがあるただし、ロボアドバイザーが行う投資でも元本が保証されているわけではありません。ウェルスナビでの運用は10年以上の長期を仮定しているので、その間に株式市場が暴落する可能性もありますし、AIを駆使しても対応しきれない場合もあるかもしれません。しかし、それはどのような運用をおこなっていても避けられないリスクです。大切なことは、下げ相場や暴落相場でどのように対応したらいいのかということです。2018年の相場環境とウェルスナビの運用結果ウェルスナビ推奨ポートフォリオは以下のようになります。株式が全体の57.1%を占めます。1992年1月末に100万円、翌月から毎月末に3万円定額積立投資した場合、2017年1月末の元本は1000万円に対し、運用資産は2457万円(+146%)に増加。1年当たりのリターンは6%になります。長期シミュレーションからわかることこのシミュレーションから、次の3つのことがわかります。長期投資は金融危機などの暴落を乗り越えてきた分散投資の効果積立投資の効果1. 長期投資は金融危機などの暴落を乗り越えてきた上記シミュレーションでは、3回の金融危機や暴落が起こっています。2000年のドットコムバブル崩壊2008年のリーマン・ショック2015年のチャイナショック金融危機や暴落によって資産は一時的に減りますが、ウェルスナビで「長期・積立・分散」投資を続けていれば、結果的に増えているのがわかります。それは、世界経済が中長期で成長し続けているからです。世界経済に分散投資をすると、中長期的には資産運用のリターンが世界経済の成長率を上回ります。リーマン・ショック前という最悪のタイミングで投資を始めても、長期投資を行えばプラスのリターンを得ることができるのです。2. 分散投資の効果分散投資とは、ひとつの国だけでなく複数の国に資産を分け、さらに株式や債券、不動産など様々な種類の資産に分けて投資することです。分散投資によって、リスクを減らして安定的なリターンを目指すことができます。前図のシミュレーションで一番下落率が大きかったのがリーマン・ショックで約28%(2008年8月末~2009年2月末)。しかし、同期間のS&P500種の下落率は42%、日経平均株価は35%下落しました。しかし、シミュレーションでは、株式市場は暴落していますが、米国債や金の価格が上昇しているので、損失を抑えることができたのです。あらかじめ値動きが異なる資産に幅広く分散投資しておけば、相場が大きく下がる時のリスクをある程度吸収することができます。資産運用では、分散投資することが大切なのです。ウェルスナビでは、最大7本のETF(上場投資信託)を通じて、世界約50カ国の1万1000を超える銘柄に分散投資をしています。今後も世界経済が成長するという前提にたてば、国際分散投資は理にかなった方法なのです。3. 積立投資の効果投資では「損をしたくない」という感情が運用の邪魔をします。本来なら値段が安い(割安)資産を買い、高値(割高)の資産は売却するべきですが、株や投資信託ではもっと上がるのではないかと期待して値段が高い資産を買い、値下がりすると、もっと下がるのではないかという恐怖心から売ってしまう投資家が多いといわれています。ウェルスナビの自動積立機能を使えば、1万円から同じ金額で、月に1度など決まった間隔で、コツコツと投資をしていくことができます。株価や為替相場などの一時的な動きに左右されず、淡々と資金を積み立てることができるというメリットがあります。「相場が上がったときに強気で買い増し、相場が下がったときにパニックで売ってしまう」ということを積立投資によって避けることができるため、結果的にリスクをうまくコントロールできるのです。ウェルスナビは2016年に始まったサービスで、2018年2月や12月の株式市場急落時に実績に不安を持ち運用を停止してしまった投資家もいたでしょう。しかし、短期的な値動きを気にすることなく、「長期・積立・分散」で資産運用を行うことが大切です。最後に、運用開始(2016年1月~)以来の円建てでのパフォーマンスをリスク許容度別に掲載します。投資の参考にしていただければ幸いです(2019年1月時点)。ウェルスナビで損失が出た時の対応:まとめ資産運用を成功させるには、「長期・積立・分散」投資の考え方を理解して、市場環境にかかわらず運用を続けることです。そのために、ウェルスナビのロボアドバイザーは強い味方となってくれます。株式市場が大きく動いて、短期間で大きなプラスやマイナスがでれば、焦って行動したくなるのは普通のことです。しかし、短期的に資産が増えた・減ったということを意識するのではなく、長い目で見て資産が増えていくことが大切です。株式市場の値動きに一喜一憂するのではなく、淡々と資産運用を続けることが私たちの生活や老後を支えてくれることになるのです。
2019年03月12日ロボアドバイザーで最も人気があるWealthNavi(ウェルスナビ)。しかし「運用成果はどの程度なのだろう」「どのような銘柄で運用しているの?」と疑問を持っている方もいらっしゃると思います。今回は、実際の運用を参考にしながら、組入れ銘柄やパフォーマンスはどうなっているのかを解説していきます。ウェルスナビとはウェルスナビウェルスナビは、預かり資産1,200億円を突破している、ロボアドアドバイザーで一番人気があるサービスです。最低投資額は10万円。毎月同じ額を積み立てる「自動積立」なら月1万円から投資可能です。手数料は預かり資産の1%(年率)、3000万円以上の分は0.5%とさらに安くなります。「ほったらかしで運用できる」「簡単に分散投資」できると評判が高いロボアドバイザーです。ウェルスナビのメリットおまかせで運用を行うことができるロボアドバイザーですが、ウェルスナビの人気が1番なのは、主に次のような理由があります。ウェルスナビの信頼性預かり資産や運用者数が1番多いというのに加えて、みずほフィナンシャルグループや三菱UFJキャピタルなど大手金融機関・ベンチャーキャピタルによる出資を受けています。また、多数のパートーナーと提携していて、ウェルスナビのサービスが広がっていて始めやすいのもメリットです。例えば、次のような提携先から申し込むことも可能です。SBI証券最低投資金額10万円SBI証券からウェルスナビを申し込むことができます。SBI証券のWEBサイトでウェルスナビの資産状況を確認することができます。ANAやJALなどの航空会社最低投資金額:【ANA】30万円、【JAL】10万円資産運用の開始や資産評価額に応じて、マイルが貯まります。米国ETF(上場投資信託)に気軽に投資でき、リバランスも自動で行ってくれるウェルスナビは、流動性が高く低コストの米国ETF(上場投資信託)を毎月自動的に買付してくれます。2,000本以上のETFが米国市場に上場しているので、その中から厳選された7種類のETFに投資できるという安心感があります。そして、ETFは各国の株式をカバーしているので、最大で世界50ヶ国、約1万1000銘柄に分散投資しているのと同じ効果があります。また、常に最適なポートフォリオ(資産配分)になるように、値上がりした銘柄を売って、値下がりした銘柄を買うリバランスも自動で行ってくれます。DeTAX(自動税金化サービス)DeTAX(デタックス)は、ウェルスナビ独自のサービスです。分配金やリバランスから生じる税負担が一定額を超えた場合、含み損の出ている銘柄をいったん売却して損失を確定し、すぐに買い直します。そうすることで含み損を実現して税負担を繰り延べる機能です。DeTAXにより、0.4~0.6%程度の税金負担が軽減されるので、運用手数料1%よりも実質上のコストは少なくなります。ウェルスナビのデメリットウェルスナビのデメリットについても確認しておきましょう。元本保証ではないウェルスナビは、主に株式に投資する金融商品なので元本保証ではありません。ただ、ウェルスナビは10年以上の長期投資を前提としたサービスです。短期的には損失が出る年もありますが、株価が大きく下落したリーマンショック(2008年)前からのシミュレーションもあり、金融危機を経験しても保有期間を長くすれば、利益がでる可能性が高いことがわかります。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点で運用を行いましょう。そのためには生活費などとは別の余剰資金で投資することが重要です。ウェルスナビの倒産リスクウェルスナビが倒産した場合は、運用がストップします。ただ、ウェルスナビは自社の資産と顧客の資産を明確に区分して分別管理をしています。そのため、ウェルスナビが倒産しても資産は保護されます。また、万一分別管理に不備があった場合でも。日本投資者保護基金により1000万円まで補償されます。ウェルスナビの評判ウェルスナビの実際の評判を提携パートーナーであるじぶん銀行のお客様の声から見ていきましょう。始めた理由利用してよかったこと売買のタイミングを気にしなくていい簡単に資産運用を始めることができたウェルスナビを利用している年代20~50代の働き世代を中心に利用されているのがわかります。資産運用が初めての割合毎年、資産運用が初めてという方が増えています。それでは、実際の運用を詳しく見ていきましょう。ウェルスナビの運用実績をご紹介運用期間・条件現在の運用は以下のようになっています(2019年1月31日時点)。運用期間:13ヶ月毎月積立額:5万円リスク許容度:5総入金額 ¥2,200,000(初回100万スタート、途中55万追加入金)まずは、シミュレーションを確認してみましょう。運用プランはリスク許容度5で、30年間の運用です。シミュレーションでは、リーマンショック前に運用を開始した場合、30年後には投資金額2011万円。89%の確率で2500万円以上になるという結果になっています。現在のポートフォリオを確認してみましょう。ウェルスナビでは、リスク許容度に応じてポートフォリオを自動的に決定してくれて、リスク分散させています。リスク許容度とは投資におけるリスクとは「危険」という意味ではなく、「不確実性」のことです。値動きの幅が大きいほど「リスク」が高いといいます。リスクが高いほどリターン(収益)も大きくなります。つまり、リスク許容度とは「どの程度の損失に耐えることができるか」ということです。リスク許容度が高いほど、株式などのリスクが高い資産を多く組み入れることになります。ウェルスナビではリスク許容度を1(リスク小)~5(リスク大)の5段階に分けています。ウェルスナビの投資対象ウェルスナビは、地域・資産ごとの特性や、ETFを通じて長期投資が可能かなどを考慮して、以下の7つの資産のETFを運用対象としています。米国株(VTI)日欧株(VEA)新興国株(VWO)米国債券(AGG)物価連動債(TIP)金(GLD)不動産(IYR)以上、7つの資産をリスク・リターンで並べると、以下のようになります。リスク許容度が高いほど、米国株や新興国株の比率が上がります。現在のリスク許容度は5なので、米国株33.7%、日欧株33.8%、新興国株14.5%とリスクが高い3つの資産で82%とリスクを取りながら、リターンを目指した運用を行っています。資産評価額2019年1月末の資産評価額は以下のようになっています。円ベースでは38,833円のマイナス(-1.77%)となっています。しかし、昨年は各資産が大きく下落した年でした。下の表をご覧ください。各資産がこれだけ下がる中、―1.77%の損失で済んでいるので、損失は限定的と考えられます。昨年のパフォーマンスは悪かったものの、10年間のリターンは以下のようになっています。ロボアドバイザーは、運用開始後には最適なタイミングでリバランス(銘柄の入替え)や税金の最適化を行います。30年の運用期間があるので、毎年の損益に一喜一憂することなく、淡々と積立投資を継続していくようにしましょう。ウェルスナビの評判まとめ今回は、ウェルスナビにおける実際の運用を元に解説してきました。組入れ銘柄の特徴や資産配分がよくわかったのではないでしょうか。実は、分散投資は下げ相場の時に効果を発揮します。銘柄の分散、時間の分散でリスクを抑えることによって、損失を軽減させることができるからです。人が運用していると、相場環境に影響を受けて、予定通りに運用を行うことが困難な時もあります。特に、株式市場が下落してパフォーマンスが悪化すると迷いがでます。ですから、ロボアドバイザーに任せて、機械的な運用を行っていくことが大切なのです。
2019年03月11日年金のことは「会社員の夫におまかせ」と考える主婦もいるだろうが、家族の状況や制度改正によってその“計算”は大きく変わる。しかも自分で申請しなければ支給されないものがあって、知らぬ間に大損していることも――。「日本年金機構は、年金の受給対象となる人に毎年、受給に必要な手続きの通知を送りますが、おおよそ1割くらいの受給対象者からは反応がないといわれます。つまり10人に1人が手続きをしていない=年金をもらっていないことになるんです。また、年金事務所に相談に来る人も、約1割が手続きや申請に不備があるケースです」こう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金はいま、支給開始が65歳に引き上げられているが、政府は、さらに70歳までの引き上げを検討しているという。そんな状況だからこそ、自分の認識不足で年金が減ってしまうようなミスはおかしたくない。「65歳になる人の数は、例年180万人ほどいるので、毎年18万人ずつ、年金を『とりっぱぐれている』ことになります。ですから、私は大丈夫とか“主人の勤める会社が管理しているから安心”などと思い込まず、記入漏れや単純ミスが、あるはずだと思って、過去の記録をすべて見直すべきです」(加谷さん)制度が難解なうえに、受給資格があっても、自分から申し出て初めて受け取れるお金も多くあるという、いわば「申請主義」の年金システム。加谷さんの言うように、最初から「漏れがあるかもしれない」と疑ってかかっても損はない。そこで、ファイナンシャルプランナーの中村薫さん、社会保険労務士の石田周平さんに陥りがちな「年金の申請漏れ」のケースについて、解説と対策アドバイスをお願いした。【ケース1】はじめての妊娠・出産だったのでおっかなびっくり。年金免除の制度が新しくできたことを知ったのは、2月の出産後でした(30代・主婦)「自営業やフリーランスの人などが出産するとき、予定日または出産月の『前月から4カ月間』は国民年金が免除される制度が4月1日から施行されます。対象は『’19年2月1日以降に出産した人』で、彼女は2月に出産したので、4月の1カ月分の保険料を納めなくても納付したと見なされ、『1万6,000円』ほどお得になります。期間は最長4カ月ですが、双子など多胎児の場合は、最長6カ月免除となります」(中村さん)【ケース2】会社員の夫と離婚した際、ショックで第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更を忘れてしまいました(50代・自営業)「結婚、離婚、就職、退職など、人生の節目には、『種別変更』の届け出が必要です。会社員の夫(第2号被保険者)と離婚すると第3号から第1号へと種別変更し、国民年金保険料を納めるようにしなければなりません。それを忘れると、『未納』期間となり、受給可能な加入期間10年に不足してしまうこともありますので、注意しましょう。しかし、’61年4月から’86年3月までに20歳から59歳だった専業主婦は、この期間が、保険料を納めていないが加入期間には含まれるという『カラ期間』に該当します。受け取れる金額は増えませんが、加入期間が足りない人は補える場合がありますので、ねんきんネットなどで確認し、日本年金機構へ問い合わせてください」(石田さん)日本年金機構のHPトップページ「ねんきんネット」で必要情報入力などの手続きをして登録。「各月の年金記録の情報」ページでは国民年金=「国年」、厚生年金=「厚年」、未加=「未加入」、赤字は「未納」など、過去の年金の全記録を把握できる。「加入期間の情報」では国民年金、厚生年金ごと、および合計の加入月数と未納月数などがわかる。さらに今後の収入などの入力をしてシミュレーションし、年金見込額も算定可能だ。【ケース3】シングルマザーとして、子育てしながら仕事をしてきました。生活はキツかったのですが、意地で国民年金は支払い続けてきました(40代・自営業)「国民年金は、支払いが困難な人が申請をすると、免除される制度があります。これは、第1号被保険者だけが適用されます。この申請免除は、所得によって4段階の免除に分かれていて、『全額』『4分の3』『半額』『4分の1』となります。たとえば世帯主の年間所得が約120万円だとすると、半額免除の対象となり、その免除期間は加入期間と見なされるのに加え、保険料の半額を支払ったことにしてくれるんです。この期間の残りの保険料(=半額免除の場合は半額)は、10年以内に後から支払うことができます」(石田さん)さまざまなケースで大損とならないよう、アドバイスを参考に難解な年金パズルに取り組もう。
2019年03月06日年金のことは「会社員の夫におまかせ」と考える主婦もいるだろうが、家族の状況や制度改正によってその“計算”は大きく変わる。しかも自分で申請しなければ支給されないものがあって、知らぬ間に大損していることも――。「日本年金機構は、年金の受給対象となる人に毎年、受給に必要な手続きの通知を送りますが、おおよそ1割くらいの受給対象者からは反応がないといわれます。つまり10人に1人が手続きをしていない=年金をもらっていないことになるんです。また、年金事務所に相談に来る人も、約1割が手続きや申請に不備があるケースです」こう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金はいま、支給開始が65歳に引き上げられているが、政府は、さらに70歳までの引き上げを検討しているという。そんな状況だからこそ、自分の認識不足で年金が減ってしまうようなミスはおかしたくない。「65歳になる人の数は、例年180万人ほどいるので、毎年18万人ずつ、年金を『とりっぱぐれている』ことになります。ですから、私は大丈夫とか“主人の勤める会社が管理しているから安心”などと思い込まず、記入漏れや単純ミスが、あるはずだと思って、過去の記録をすべて見直すべきです」(加谷さん)制度が難解なうえに、受給資格があっても、自分から申し出て初めて受け取れるお金も多くあるという、いわば「申請主義」の年金システム。加谷さんの言うように、最初から「漏れがあるかもしれない」と疑ってかかっても損はない。そこで、加谷さんに加え、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、陥りがちな「年金の申請漏れ」のケースについて、解説と対策アドバイスをお願いした。【ケース1】国民年金を受給できる加入期間が10年に短縮されたと聞き、計算してみたのですが、私は丸8年にしかならず、あきらめていました(60歳・主婦)「60歳以上65歳未満で、『10年』の年金受給資格に満たない人は、任意加入して最大で60カ月(=5年)分支払うことで、受給資格を得ることができます。60カ月では足りない場合、さらに65歳以上70歳までの60カ月(5年)分を、特例任意加入で支払うことができます。65歳以降は、受給資格の120カ月を満たした時点で終了です。120カ月分フルに支払う場合は、次の(A)と(B)のパターンがあります。(A)後納できる最大の25カ月(約2年)+任意加入60カ月(5年)=85カ月分を任意加入で支払い、残りの35カ月(約3年)分を特例任意加入で支払う(=67歳11カ月で120カ月を満たした翌月より年額19万4,825円を月割で受け取れる)、(B)60歳から任意加入で60カ月支払い、65歳以降は70歳まで特例任意加入で60カ月支払う(=70歳の誕生月翌月より年額19万4,825円を受け取れる)」(中村さん)【ケース2】60歳で再就職し、月収28万円を超えたんですが、厚生年金が減額されてしまい……(60代・会社員)「働きながら老齢厚生年金を受け取ると、年金と給料の合計が28万円を超える場合は、減額されてしまいます。これを『在職老齢年金』と言いますが、会社との交渉次第で減額を回避することもできます。雇用形態を業務委託に切り替えてもらうなどすれば、本人は国民年金加入者になり、厚生年金は減額されずにすむんです」(加谷さん)【ケース3】年金は65歳にならないともらえないとばかり思い込んでいました(64歳・会社員)「年金が支給開始となる65歳までの段階的措置として、国民年金の受給資格期間10年を満たしていて厚生年金の加入期間が1年以上ある場合、60~64歳まで『特別支給の老齢厚生年金』を受け取れます。これは手続きすれば、働いた期間と平均給与額に応じて決まる金額を受け取れますが、日本年金機構から送付される『年金の請求手続きのご案内』(「年金請求書」封入)を、『繰上げ支給の案内』と勘違いして手続きしない人がいる。年金機構から来た通知に不明点があれば、気兼ねなく問い合わせるべきです」(加谷さん)【ケース4】主人より先に65歳を過ぎたのですが、加給年金の振替加算を申請し忘れてしまいました(66歳・主婦)「夫が65歳になって年金を受給するようになると妻子に加算される『加給年金』は、妻が65歳に到達すると支給されなくなります。そのかわりに妻の年金に一定額が加算されることを『振替加算』と呼びます(’66年4月2日生まれ以降の人は国民年金に40年加入できるため、振替加算はなし)。しかし、妻が年上の場合は先に国民年金を受給し始めているため、夫が65歳になる前日以降に手続きしなければ『振替加算』を受け取れません。妻が66歳だとすると、年額で6万2,804円が受け取れないことになりますので、申請を忘れないように」(中村さん)さまざまなケースで大損とならないよう、アドバイスを参考に難解な年金パズルに取り組もう。
2019年03月06日「公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、’18年10月~12月期の運用実績で、14兆8,000億円もの運用損を出していたことがわかりました。これは現在の方式で運用を開始した’01年以降で、最大の“赤字額”です。それまで165兆円あった積立金が、150兆円まで目減りしてしまいました。積立金は、保険料、国庫負担に次ぐ、年金の原資です。年金の危機といっても過言ではありません」そう警鐘を鳴らすのは、年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。私たちの老後を支える大事な年金積立が“大溶解”している。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人で、年金基金のなかでは世界最大の資産を持つ。現在、公的年金は現役世代の払う保険料を、高齢者に分配する“賦課方式”を取っているが、少子高齢化がより進むと、現役世代の負担が大きくなりすぎてしまう。そこで、将来的には積立金を少しずつ取り崩して制度を維持する予定になっている。GPIFはそのための積立金を運用し、少しでも増やすという役割がある。GPIFがリスクの高い運用制度となったのは、第2次安倍政権になってからだという。「もともと、GPIFはリスクの低い国内債券を中心に積立金を運用してきました。ところが、’14年10月から、株式投資の割合を大幅に引き上げたのです」(北村さん、以下「」内は同)国内債券での運用割合を60%から35%に半減させて、高い運用益が見込まれるがリスクも高い株式での運用割合を24%から50%に倍増させた。現在は超低金利時代。国内債券では運用益を見込めないために、株式の割合を増やしたというのが建前だが……。「GPIFの豊富な資金を株式市場に投入することで、株高を演出しようとする狙いもありました。つまり、アベノミクスの成長戦略として、年金積立金に手をつけたということです」もくろみは成功し、当時1万4,000~1万5,000円台を推移していた日経平均株価は2万円を超えた。「株高には誘導できましたが、年金資金は株価や為替変動のリスクに今まで以上さらされるようになったのです。’15年度には中国株の暴落の影響もあって、GPIFは5兆円の運用損を出しました。そして今回、昨年10月の世界同時株安の影響を受けて、約15兆円もの運用損を出していたことが発覚しました。多くの国では、基礎年金の積立金は、安全性の高い国債で運用されています。こんな“ギャンブル”みたいなやり方には、問題があると言わざるをえません」それでもGPIFは’01年からの累積の黒字額が56兆6,745億円あると喧伝している。だが、実は’14年10月以降に積み上げた黒字額は、この“大損失”で半減し、現在15兆4,000億円になった。ふたたび今回のような損失を引き起こせば、すべて消し飛んでしまうことになる。今回の“大損失”は私たちの年金にどのような影響を与えるのだろうか。今後、保険料率が引き上げられたり、厚生年金の加入義務対象者が拡大されたりするなどの可能性が考えられる。さらに影響は保険料率だけにとどまらない。まず考えられるのは、受給開始年齢の繰り下げだ。北村さんは、現在50歳で今年の4月1日までに誕生日を迎えない女性、そして49歳以下の女性は年金の受給開始年齢が68歳に引き上げられるだろうと考えている。すでに、実質的な受給額のカットは進行している。今年、マクロ経済スライドが4年ぶりに発動された。「かつては物価が上昇した場合、年金額も同じように上昇する決まりでした。しかし、それでは受給額がどんどん増大し、年金制度が持ちません。そこで、マクロ経済スライドという仕組みが誕生しました。物価が上昇しても、年金の上昇率を抑える仕組みです。物価の伸び率から、調整率0.9%を引いた値しか年金額は増えないのです」物価の上昇に対して、年金額の上昇が抑えられるので、実質的な年金受給額カットになる。「たとえば、物価が1%上がった年でも、年金額は調整率を引いた0.1%ほどしか上昇しません。仮にこうした状況が10年続けば、物価の上昇に追いていかれて、もらえる年金の価値が10%ほど減ったのと同じ状態になるのです」年金受給開始年齢の繰り下げや、マクロ経済スライドなどによって、北村さんは生涯もらえる年金の価値は、現在よりも15%ほど下がると予測している。有効な対策はあるのだろうか。「もはや公的年金だけを当てにして人生設計をするのは危険な時代です。個人型確定拠出年金(iDeCo)などで、節税をしながら、受け取れる年金額を増やすなどの努力が必要になるでしょう」時の政権や、国の都合で、どんどん消えていく私たちの年金。もはや自己防衛するしか策はないようだ。
2019年02月21日「公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、’18年10月~12月期の運用実績で、14兆8,000億円もの運用損を出していたことがわかりました。これは現在の方式で運用を開始した’01年以降で、最大の“赤字額”です。それまで165兆円あった積立金が、150兆円まで目減りしてしまいました。積立金は、保険料、国庫負担に次ぐ、年金の原資です。年金の危機といっても過言ではありません」そう警鐘を鳴らすのは、年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。私たちの老後を支える大事な年金積立が“大溶解”している。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人で、年金基金のなかでは世界最大の資産を持つ。現在、公的年金は現役世代の払う保険料を、高齢者に分配する“賦課方式”を取っているが、少子高齢化がより進むと、現役世代の負担が大きくなりすぎてしまう。そこで、将来的には積立金を少しずつ取り崩して制度を維持する予定になっている。GPIFはそのための積立金を運用し、少しでも増やすという役割がある。GPIFがリスクの高い運用制度となったのは、第2次安倍政権になってからだという。「もともと、GPIFはリスクの低い国内債券を中心に積立金を運用してきました。ところが、’14年10月から、株式投資の割合を大幅に引き上げたのです」(北村さん、以下「」内は同)国内債券での運用割合を60%から35%に半減させて、高い運用益が見込まれるがリスクも高い株式での運用割合を24%から50%に倍増させた。現在は超低金利時代。国内債券では運用益を見込めないために、株式の割合を増やしたというのが建前だが……。「GPIFの豊富な資金を株式市場に投入することで、株高を演出しようとする狙いもありました。つまり、アベノミクスの成長戦略として、年金積立金に手をつけたということです」もくろみは成功し、当時1万4,000~1万5,000円台を推移していた日経平均株価は2万円を超えた。「株高には誘導できましたが、年金資金は株価や為替変動のリスクに今まで以上さらされるようになったのです。’15年度には中国株の暴落の影響もあって、GPIFは5兆円の運用損を出しました。そして今回、昨年10月の世界同時株安の影響を受けて、約15兆円もの運用損を出していたことが発覚しました。多くの国では、基礎年金の積立金は、安全性の高い国債で運用されています。こんな“ギャンブル”みたいなやり方には、問題があると言わざるをえません」それでもGPIFは’01年からの累積の黒字額が56兆6,745億円あると喧伝している。だが、実は’14年10月以降に積み上げた黒字額は、この“大損失”で半減し、現在15兆4,000億円になった。ふたたび今回のような損失を引き起こせば、すべて消し飛んでしまうことになる。「しかも、株式市場に明るい材料はありません。相場は1年先を見て動くもの。現在はオリンピック特需のおかげで、建設事業が活況ですが、今年の秋にはすでにオリンピック後を見据えて、相場が冷え込むと予想されています。それならば、株価が下がる前に売り切ってしまえばいいと思うでしょうが、GPIFの株の保有数は莫大なため、日本全体の株価にも影響を与えてしまう。つまり、株価の暴落を招きかねないので、軽々に売ることもできないのです」アベノミクスの株高演出のために使われた結果、わずか3カ月で15兆円が消失してしまった公的年金。時の政権や、国の都合で、私たちの年金がどんどん消えていく――。
2019年02月21日将来の年金制度を支える積立金。アベノミクスの株価演出のために使われた結果、15兆円がわずか3カ月のうちに消失してしまった。その果てに待っているのは――。「公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、’18年10月~12月期の運用実績で、14兆8,000億円もの運用損を出していたことがわかりました。これは現在の方式で運用を開始した’01年以降で、最大の“赤字額”です。それまで165兆円あった積立金が、150兆円まで目減りしてしまいました。積立金は、保険料、国庫負担に次ぐ、年金の原資です。年金の危機といっても過言ではありません」そう警鐘を鳴らすのは、年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。私たちの老後を支える大事な年金積立が“大溶解”している。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人で、年金基金のなかでは世界最大の資産を持つ。現在、公的年金は現役世代の払う保険料を、高齢者に分配する“賦課方式”を取っているが、少子高齢化がより進むと、現役世代の負担が大きくなりすぎてしまう。そこで、将来的には積立金を少しずつ取り崩して制度を維持する予定になっている。GPIFはそのための積立金を運用し、少しでも増やすという役割がある。GPIFがリスクの高い運用制度となったのは、第2次安倍政権になってからだという。「もともと、GPIFはリスクの低い国内債券を中心に積立金を運用してきました。ところが、’14年10月から、株式投資の割合を大幅に引き上げたのです」(北村さん、以下「」内は同)国内債券での運用割合を60%から35%に半減させて、高い運用益が見込まれるがリスクも高い株式での運用割合を24%から50%に倍増させた。現在は超低金利時代。国内債券では運用益を見込めないために、株式の割合を増やしたというのが建前だが……。「GPIFの豊富な資金を株式市場に投入することで、株高を演出しようとする狙いもありました。つまり、アベノミクスの成長戦略として、年金積立金に手をつけたということです」もくろみは成功し、当時1万4,000~1万5,000円台を推移していた日経平均株価は2万円を超えた。「株高には誘導できましたが、年金資金は株価や為替変動のリスクに今まで以上さらされるようになったのです。’15年度には中国株の暴落の影響もあって、GPIFは5兆円の運用損を出しました。そして今回、昨年10月の世界同時株安の影響を受けて、約15兆円もの運用損を出していたことが発覚しました。多くの国では、基礎年金の積立金は、安全性の高い国債で運用されています。こんな“ギャンブル”みたいなやり方には、問題があると言わざるをえません」それでもGPIFは’01年からの累積の黒字額が56兆6,745億円あると喧伝している。だが、実は’14年10月以降に積み上げた黒字額は、この“大損失”で半減し、現在15兆4,000億円になった。ふたたび今回のような損失を引き起こせば、すべて消し飛んでしまうことになる。今回の“大損失”は私たちの年金にどのような影響を与えるのだろうか。「積立金は100年かけて、少しずつ取り崩していって、現役世代の保険料アップの抑制に役立てることになっています。少子高齢化によって、現役世代が毎月支払う厚生年金の保険料率は上がり続け、’17年には給与額の18.3%という水準になりました。しかし、厚労省は、保険料率を26%まで上げないと、将来的に年金を維持できないと試算しています。積立金は、その差額を埋めるという役割があるのです」今後、保険料率が引き上げられたり、厚生年金の加入義務対象者が拡大されたりするなどの可能性が考えられる。さらに影響は保険料率だけにとどまらない。’16年2月の衆院予算委員会で、GPIFが’15年に出した巨額の損失について問われた安倍晋三首相は、「想定の利益が出ないなら、当然、支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と答えた。アベノミクスのための“ギャンブル”の失敗のツケは、私たちの年金で払わされるのだ。まず考えられるのは、受給開始年齢の繰り下げだ。「選挙に影響が出るので、参院選後の秋の通常国会で、法案が提出される可能性が高い。現在の受給開始年齢である65歳が、68歳まで上げられるのは、まず間違いないと思います。過去に受給開始年齢が引き上げられた例からみると、’64年4月1日よりも前に生まれた女性は現状の65歳のままです。しかし、そこから段階的に年齢が引き上げられ、’68年4月2日より後に生まれた方は受給開始年齢が68歳になると予想しています」北村さんは、現在50歳で今年の4月1日までに誕生日を迎えない女性、そして49歳以下の女性は年金の受給開始年齢が68歳に引き上げられるだろうと考えている。
2019年02月21日作業着で有名な「ワークマン」が母体の「ワークマンプラス」という店舗が展開され、これまでのワークマンのイメージと違う店舗運営で注目されています。また、ワークマンプラスは女性向けのグッズもラインナップされており、これまでワークマンと無縁だった層における注目度がアップ。今回は「ワークマンプラス」の魅力と女性向けのグッズについて紹介します。■ 高性能でコスパも良し、ワークマンプラスの魅力2018年夏以降、ワークマンではカジュアルウェアブランドとして「ワークマンプラス」という店舗名でオープンしました。その第1号にあたるのが、ららぽーと立川立飛です。それ以降、川崎や世田谷などに続々オープンしています(※2019年2月11日時点)。そしてワークマンプラスは、2019年にヒットするショップ(ブランド)としても注目されています。ワークマンプラスの魅力は、何といってもこれまでの作業着の企画生産のノウハウを生かしたアウトドアグッズの開発とリリース。しかも、価格がほかのブランド(ショップ)よりも安めという点も魅力として挙げられます。防寒や防水仕様のウェアに関しては、アウトドアでもスポーツシーンでも使えます。しかも、四季を通じて快適に着用できるような設計にしているのがポイントです。また、女性向けのウェアも販売されており、身体のラインをキレイに見せるデザインと「映える」カラーが特徴。デザイン・性能と価格に惹かれて、思わずウェアを買ったという女性もいるそうです。このようにワークマンプラスは、女性の心をひきつけるショップといえるでしょう。■ 女性にオススメの「ワークマンプラス」のグッズ2つ女性にとってワークマンプラスの魅力は、高性能なウェアだけではありません。ワークマンプラスでは、ほかにも女性のオススメグッズがあるので、紹介していきます。使い捨てのゴム手袋ポリエチレン使いきり手袋価格/499円(税抜き)ワークマンが作業用のグッズを多数販売していたこともあり、ワークマンプラスでも作業用のグッズがラインナップ。日常生活で活用できるグッズが数多くあります。特に使い捨てのゴム手袋の種類が豊富であり、料理・介護・外での作業などの目的に分けて販売されています。素材は、薄手と厚めがあり、200枚(=100双)入りで税込みでも500円以下。手荒れの保護ができ、衛生面を配慮する作業のときにあると便利です。かかとガードかかとつるつるサポーター価格630円(税抜き)ワークマンプラスでは、靴下やスパッツ類の販売も行っており、アウトドアやスポーツなどのシーンで使えます。それらと併行し、かかとの保湿を促す美容健康グッズも販売されています。家にいる間にかかとに保湿クリームを塗り、ガードをかぶせれば、ガチガチのかかとから解放されます。いかがでしたか?今回紹介した以外にも、女性をはじめ、あらゆる世代のニーズ(素材・価格・使い勝手)に応えたグッズが多数ラインナップされています。買い物などのついでにワークマンプラスを見かけたら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。※掲載している商品名や価格は2019年1月時点の内容です。【参考】※プレスリリースワークマンが高機能ウェア専門店「Workman Plus」の2、3号店を11月に出店|ワークマン
2019年02月19日iDeCo (イデコ)をするなら、ひふみ年金に入るべき?運用成績が良い?本記事では、iDeCo (イデコ)のラインナップの一つ、「ひふみ年金」というアクティブ型投資信託(後述)について考察します。iDeCo (イデコ)では、窓口となる金融機関ごとに取扱商品が異なります。そのため、A証券では「ひふみ年金」を扱っているけど、B証券では扱っていない、ということがあります。また、最近では株式市場が急上昇、急下降した場合に、ネット上で「ひふみ年金を選んでて良かった・ダメだった」「さっさと売っておいて良かった・今こそ買うべきだ」などという正反対の意見も飛び交います。このような場合、どのように考えるべきなのでしょうか?考察していきたいと思います。※本記事は特定の銘柄に触れていますが、勧誘・斡旋・推奨をする意図はありません。SBI証券・マネックス証券・イオン銀行・野村證券などの大手でも取り扱っているiDeCo(イデコ)の金融商品「ひふみ年金」ってどんなもの?まず、ひふみ年金とはどのようなものなのでしょうか。ひふみ年金を運用するレオスキャピタルワークスのHPによると、次のようになっています。ひふみ年金は確定拠出年金制度を通じて「ひふみ」をご購入いただける投資信託です。出典:レオスキャピタルワークスなるほど、「ひふみ」という名前の投資信託があり、それがiDeCo (イデコ)のラインナップに入ると、「ひふみ年金」という名前の投資信託になるのですね。投資信託とは、投資家から集めた資金を、ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が株式や債券、不動産など複数の資産に分散投資し、その収益を投資家に分配する金融商品です。では、その「ひふみ年金」とはどのような内容なのでしょうか?「ひふみ年金」の投資信託説明書(交付目論見書)を参考にポイントをまとめてみましょう。投資対象:国内外の株式投資対象地域:グローバル(日本を含む)投資信託のスタイル:アクティブ型投資信託国内外の上場株式が主要な投資対象市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資する株式の組み入れ比率は状況に応じて変化すると、このようになっています。ポイントは、株式主体のアクティブ型投資信託である、ということです。楽天証券のiDeCo (イデコ)ラインナップには「ひふみ年金」は入っている?ちなみに、楽天証券のiDeCo (イデコ)ラインナップには「ひふみ年金」は確認できませんでした(執筆時点)。大手証券会社でもラインナップに入っていないところはあるのですね。「ひふみ年金」について、もう少し詳しく見てみましょう。iDeCo (イデコ)ひふみ年金のようなアクティブ型投資信託とはどんなもの?それでは、「ひふみ年金」の特徴の一つである、アクティブ型投資信託とは、どのようなものでしょうか?アクティブ型投資信託とは、「積極的」な投資信託です。何が積極的なのでしょうか?それは市場平均を超えることに対して積極的なのです。さて、市場平均とは何でしょうか?国内株式の市場平均として代表的なモノはこちらです。日経平均株価(225社の平均のようなもの)トピックス(国内株式市場の平均のようなもの)どちらも、毎日のニュースなどで発表されるので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これらの株式市場の「平均」を「頑張って超えることを目標としている」のがアクティブ型投資信託です。あくまでも「目標としているの」ですから、「市場平均を超えないものも、もちろんアクティブ型投資信託」です。ちなみに毎年全体の10分の7くらいのアクティブ型投資信託は市場平均を下回ります。上回った10分の3も毎年のように入れ替わります。そのため、積極的に投資信託内部の銘柄を入れ替えたり、積極的に株式銘柄などを分析します。アクティブ型投資信託:市場「平均」を超えることを目標とする。しかし、アクティブ型投資信託の平均こそが市場平均に酷似してしまう。長期で見ると、理論上はコスト分だけ市場「平均」に劣る。市場の「平均」とは、私たちの身近な「平均」のイメージをしていると、ミステイクを犯しやすいかも。iDeCo(イデコ)ひふみ年金の中身の割合は?そんな「ひふみ年金」の中身は何でしょうか?「ひふみ年金」の投資信託説明書(交付目論見書)(内容は2018/10/31時点)によりますと、このようになっています。※表は資料を参考に筆者作成国内株式が85%と大半を占めています。そのためかどうかわかりませんが、金融機関によっては、「ひふみ年金」の分類を「国内株式」に分類しているところもあります。また、筆者のおぼろげな記憶では「ひふみ年金」の運用成績が「日経平均株価やトピックスなどの市場平均より良かった」という表をどこかのサイトで見た記憶がありますが、これは一概に事実とは言えないかもしれません。確かに、運用利回りがそれらの市場平均を超えていたとします。ですが、「ひふみ年金」の中身は、海外株式も入っていれば、それらの平均に入っていない小型株も入っています。それらは一般的にリスクが「高い」です。つまり、リターンも「高い」ということになります(と同時に、理論上は下がり幅も大きいですが)。そのため、単純にその市場で扱っていないものが入っているので、「市場平均を超える投資信託」とは言えない一面もあります。株式主体:株式はハイリスク・ハイリターン。そのため、株式主体の投資信託は、短期的に見ると1年間で5割上昇したり、6割下落したりすることもある。しかし、長期分散投資では短期的なリスクに賭けるのではなく、高いリターンを期待するものなので、ハイリスク・ハイリターンの株式を投資対象の主体にすることは、合理的であると考えられる。結局、iDeCo (イデコ)で「ひふみ年金」を買うべき?不況時はどう考えたらいいの?iDeCo (イデコ)を「する・しない」を含めて、資産運用でどの投資信託を選ぶべきかは、結局のところ、個人が判断を下すことです。という点をふまえた上で、「ひふみ年金」をiDeCo (イデコ)口座で積み立て投資の対象に「するべきかどうか」を考察してみます。また、不況時や株価急落時にネットをにぎわす「下がる前に売っておいて良かった」や「○○(投資信託の名前)はダメ・良い」はどう考えたら良いのかについて根本的なところを見てみましょう。iDeCo(イデコ)口座でひふみ年金を選んだらマイナスになっちゃう?2018年末に大きく国内の株式市場が下落しました。その時に決まって出てくるのが次のような意見です。①「○○投資信託を買っていて大損した」②「さっさと売っておいて良かった」③「○○投資信託は大きく値下がりしたからダメ」というものです。それと同時に、大きく国内の株式市場が上昇した時には次の意見が増えます。④「いまが買い時」⑤「大きく上がっている○○投資信託を買えば正解」⑥「○○投資信託は急上昇しているから良い投資信託」このような意見です。私たちの日常生活では、前者と後者はそもそもの対象が違うことが多いです。例えば、映画でいえば前者は「面白くない映画」で後者は「面白い映画」でそれぞれ異なるタイトルの映画です。しかし、投資の世界では、前者と後者はしばしば「全く同じ投資信託」であります。どういうことでしょうか。投資信託は大きな風呂敷袋にたくさんの株式などを入れたような金融商品です。そのため、対象が(例えば)国内株式であれば「大体同じような値動き」になってしまいます。そのため、株式市場が大きく下がった場合は同じ投資信託でも①②③の意見が多く出やすいです。また、株式市場が大きく上がった場合は先ほどと同投資信託で合っても④⑤⑥の意見が出てきます。ここで重要なのは「投資信託には基本的に良い・悪いはない」ということです。ただ、コスト(※1)だけは実質的な運用成績を押し下げる存在ですので、信託報酬と呼ばれるものは低い方がより良いとなります(0.5%以下が望ましい。)ということは、当然ながら「ひふみ年金」を選んでも同様です。株式市場が好調なら良くなります。株式市場が不調なら悪くなります。これは「ひふみ年金」が「良い・悪い」投資信託であるかどうかとは、まったくの別問題です。(※1)コスト:コストはただのマイナス要因なので年率0.5%以下が望ましい。もちろんより低い方が良い。ちなみに前述の投資信託説明書(交付目論見書)によれば「ひふみ年金」の信託報酬は年率0.82%また、先ほどの①~⑥の考え方は、典型的な「お金が増えにくい考え方」です。添削してみましょう。①「○○投資信託を買っていて大損した」→値下がりするとは「売ると大損だが、安く買うチャンスが来たということ」、そのまま積み立て投資をするのが「吉」②「さっさと売っておいて良かった」→さっさと売ると、安く買うチャンスが得られない。積み立て投資は「いじらない」ことが重要③「○○投資信託は大きく値下がりしたからダメ」→どれを買っても投資対象クラスが同じならどれも大きく値下がりする、良い・悪いはない④「いまが買い時」→高くなった時が買い時ではない。投資の正解は「安く買って高く売る」⑤「大きく上がっている○○投資信託を買えば正解」→大きく上がっている投資信託を買うということは、高く買って安く売るということの要因になる。積み立て投資なら別にタイミングを読む必要は何もない、ただ積み立てるのが長期的には良い成績になりやすい⑥「○○投資信託は急上昇しているから良い投資信託」→どれを買っても投資対象クラスが同じなら、どれも大きく値上がりする、良い・悪いはない普通の考え方とはおよそ反対の意見になってしまいました。これには参照点依存症(※2)が大きく関与していると思われます。大きく値動きがあった時こそ、冷静に判断するようにしてはいかがでしょうか。(※2)参照点依存症:行動経済学の用語ですが、これはどういうことでしょうか。例えば、Aさんが1万円で買って、5千円に値下がりすると「これはダメなモノを選んでしまった」と錯覚しがちです。しかし、Bさんがその5千円に下がった時に買って、1万円に戻った時には「これは良いものを選んだ」とやはり錯覚しがちです。どちらも「同じモノを選んだ」のに、感情が異なります。その原因は基準点(参照点)に依存しているからです。この場合は、買った時のお値段がその基準です。Aさんにとっての基準点は1万円ですので、がっかりする。Bさんにとっての基準点は5千円なので、うれしい。ということですね。ただこの基準点には、まったく売買の根拠がありません。しかし、このように「感情・感覚・気分」で投資をしてしまうのが人です。それゆえに「損をしやすい」のだと考えられます。iDeCo(イデコ)をするなら、ひふみ年金を選ぶべき?では、iDeCo (イデコ)をする際に「ひふみ年金」を選ぶかどうか?ですが、どうでしょうか。前述のように株式主体の投資信託ですから、リスク(値動きの幅)は大きいですが、長期ではリターンも期待できそうです。ただ、以下2点気になります。コストが高いアクティブ型投資信託理論上は「アクティブ型投資信託の平均≒市場平均」となります。つまり、アクティブ型投資信託が優秀で「ひふみ年金」の特徴にもあったように市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資するということをしています。これは、世界中の賢いファンドマネジャーも行っています。もちろん「ひふみ年金」のファンドマネジャーも大変に優秀でしょう。同時に、割高だと思われる銘柄を選別して売っています。世界中の賢い人々が行っています。すると、どうなるでしょうか?結果として「平均」がとても効率的になっていきます。これは「賢い人々が真剣に頑張るほど、皮肉なことにコストの安い「平均」が良くなる」ということを意味します。そのため、投資をするなら、コストの安い市場平均ということになります。それはインデックス型投資信託と呼ばれます。ですから、理論上は長期分散投資での合理的な投資対象は市場平均と安全資産ということになります。現代投資理論:ModernPortfolioTheory1952年(ハリー・マックス・マーコウィッツ1990年ノーベル経済学受賞)では、合理的な投資対象は市場平均と安全資産となる。私たちに当てはめると「インデックス型投資信託と預貯金・国債」がそれに当たる。当然ながら、iDeCo(イデコ)はもちろん、つみたてNISAでも買える(つみたてNISAには預貯金タイプはない)。iDeCo(イデコ)ひふみ年金まとめiDeCo (イデコ)で人気のある「ひふみ年金」はアクティブ型投資信託iDeCo (イデコ)で買える「ひふみ年金」の主な投資対象は株式iDeCo (イデコ)で「ひふみ年金を買って、値下がりしたのは「失敗」ではない今回は「ひふみ年金」について考察してみました。同じようなアクティブ型投資信託はたくさんあります。それらに対して、こっちが「良い・悪い」というのは、事前に判断が付きません。また、去年良かった投資信託が今年も良いかどうかは分かりません。(あてになりません)高いコストを考慮したうえで、さらに市場平均を長期で上回れるかもわかりません。人気があるのと、運用成績が市場平均と同程度になるかどうかは関連性がありません。資産運用では「何を買うか」は個人の自由責任です。だからこそ、じっくりと考えてみたいところです。
2019年02月11日住宅ローン控除と個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、どちらも節税メリットがあります。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは、簡単にいうと、自分でつくる年金制度のこと。しかし、控除の金額と拠出金額のバランスで、住宅ローン控除のメリットがフルにいかせなくなる場合があります。あなたの場合は実際どうなのか、調べてみましょう。■ 1.まずは2つの控除の仕組みを知るfreeangle / PIXTA(ピクスタ)2つの控除は「どの段階で控除するか」が異なります。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)では、課税所得から年間に支払った拠出金額全額分を差し引きます。そこから税金計算を行い、算出した税額から住宅ローン控除を差し引きます。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは?個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、老後の資金を作るため積立投資を行うものです。拠出金が全額控除になることから節税効果があります。運用益も非課税になり、受け取り時も税制優遇されお得です。r.s / PIXTA(ピクスタ)また、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用になります。運用にあたっては、運営管理機関の手数料などがかかり、その額は運用機関によって異なります。掛け金には限度額があります。・自営業者などの「国民年金第1号保険者」 は国民年金基金と合算で6万8,000円/月(付加保険納付者は6万7,000円/月)・会社員が加入できる「国民年金第2号保険者」は1)企業年金なし、企業型確定拠出年金なし 2万3,000円/月2)企業年金なし、企業型確定拠出年金あり 2万円/月3)企業年金あり 企業型確定拠出年金あり、なしにかかわらず一律1万2,000円/月4)公務員 1万2,000円/月・専業主婦などの「国民年金第3号保険者」は2万3,000円/月となっています。住宅ローン控除とは住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%が税額から10年間または13年間控除される制度です。控除を受けるためには、年収が3,000万以下である、住宅ローンの返済期間が10年以上あるなどの要件を満たす必要があります。対象者は2009年から2021年12月末までの間に入居した人なら、所得税額から住宅ローン控除しきれないとき、住民税から残りの額を差し引くことができます(上限あり)。住民税からの控除は手続きを必要とせず、自動的に手続きされます。■ 2. 計算の仕方は?freeangle / PIXTA(ピクスタ)モデルケースの世帯の税額計算を実際にしてみましょう。・新築住宅を購入して、年末に2,500万円の残高あり・住宅ローン控除額25万円・世帯主は会社員の場合を考えます。最初に課税所得を算出します(図1参照)。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)で拠出していない場合、所得税額は300万円×10%-9万7,500円、つまり20万2,500円です。ここから住宅ローン控除で25万円をさらに引こうとすると、4万7,500円が引ききれなくなります。しかしこれは、住民税からは13.65万円までなら引けますので、このケースでは控除枠をすべて使うことができます。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)で月2万円拠出しているとしたら、年額は24万円なので20万2,500円-24万円=-3万7,500円となります。住宅ローン控除を加味すると-28万7,500円となり、住民税から引いても住宅ローン控除枠を使いきれなくなってしまいます。図1※平成27年分以降参考/国税庁■ 3.両方のメリットをいかすには?【IWJ】Image Works Japan / PIXTA(ピクスタ)住宅ローン控除の枠をすべて使いきれない人は、高所得ではないが、借入額が多い人です。両方のメリットをフル活用できないなら、住宅ローン控除を優先さるべきです。そして、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)ではなく、つみたてNISAを利用したらいかがでしょうか。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)と異なり、好きな時に引き出しができるので、いざという時にも役立ちます。Sqback / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを組む前ならば、夫婦二人に分けてローンが組める「ペアローン」にするという選択肢もあります。それぞれに住宅ローン控除が使えるために、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)と併用しても住宅ローン控除のメリットがいかせます。まずは、自分がどんなパターンに当てはまるかを知るために試算してみてください。税金のしくみは、国の政策で、ここに挙げた税率から変更になる、制度が新設されるなど、各制度が複雑に絡み合い、とても複雑です。専門家に相談し、自分がメリットを十分に受けられるよう検討することが大事です。
2019年02月09日投資初心者の方は、「資産運用を始めたいけど、どうすればいいのだろう」「少額から気軽にできる方法はないの? 」といった疑問があると思います。投資や資産運用というと怖いイメージもあります。そこで、初心者が気軽に少額から始められるおすすめの方法を3つご紹介します。まずは、資産運用の定義から確認していきましょう。資産運用の方法は2種類金融庁つみたてNISAの対象は投資信託です。金融庁が「長期・積立・分散」に適した約160本の投資信託を厳選しています。年間40万円までの投資金額に対して値上がり益や分配金に税金がかかりません。そして、非課税期間は20年なので、最大800万円分(40万円×20年)の非課税投資枠となります(下図)。金融庁毎年40万円が上限なので、毎月約33,000円まで積立投資をすることができます。約33,000円まではつみたてNISAで、上限を超える分は通常の投資信託で積立投資を行っていくことで、効率的な資産運用を行うことができます。3. 簡単にできる資産運用はロボアドバイザー(ロボアド)しかし、積立投資もつみたてNISAも銘柄を自分で選ぶ必要があります。「銘柄選びから資産配分まで、すべて自動でできるサービスはないだろうか? 」というニーズを満たすのが、ロボアドバイザー(ロボアド)です。ロボアドはいくつかの簡単な質問(収入や年齢など)に答えるだけで、最適な資産配分(ポートフォリオ)を決定してくれて、商品の購入から調整(リバランス)までおまかせで運用することができます。多くのサービスがありますが、「WealthNavi(ウエルスナビ)」と「THEO(テオ)」の2社が有名です。ウエルスナビとテオの投資対象は、「海外ETF」です。ETFとは、証券取引所に上場している投資信託で、取引時間中はいつでも、リアルタイムで取引することができます。ロボアドは、厳選された海外ETFの中から、投資家に最も適した銘柄を自動で購入してくれます。さらに、ウエルスナビは10万円、テオでは1万円から投資を始めることができます。「資産運用に手間をかけたくない」「投資対象をおまかせでお願いしたい」と考える投資家には、ロボアドが最適です。人気資産運用3つの比較表最後に、ご紹介した金融商品の比較表を掲載しておきます。資産運用を始める際の参考にしてください。資産運用に関するまとめ今回は、初心者でも低資金から資産運用できる方法として、積立投資つみたてNISAロボアドの3種類をご紹介してきました。積立投資は、幅広い銘柄の中から自分で選んで投資できます。また、つみたてNISAでは、金融庁が厳選した約160の投資信託から銘柄を選択し、値上がり益や分配金が非課税というメリットがあります。ただ、それぞれ自分で銘柄を選ばなければならないので、手間をかけたくない、資産配分を決めてほしい、と考える投資家にとってはロボアドが最適です。次回は、ロボアドの詳しい内容と、おすすめのロボアドバイザーをご案内します。
2019年02月07日1月18日、来年度の公的年金の受給額が発表された。’19年度は0.1%の引き上げ。この決定は物価の上昇に比べると実質目減りになるという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。’19年度は0.1%の引き上げです。厚生年金は、40年間夫が会社員で妻が専業主婦だったモデル夫婦が今年度より227円増えて、月22万1,504円。国民年金は、40年間保険料をかけ続けた満額の方1人分が、67円増えて月6万5,008円です。景気のよいニュースも聞こえるなか、年金額が今年度とあまり変わらないのは、「マクロ経済スライド」が発動されたからです。どういう仕組みか、見ていきましょう。もともと年金は、物価に合わせて受給額が変わるものでした。しかし少子高齢化が進み、年金を支える現役世代が減って、年金をもらう高齢者が増加。年金財政はご存じのとおり、ひっ迫しています。そこで、’04年に導入されたのがマクロ経済スライドです。現役世代の賃金と物価を基準として、人口構成の変化などから算出する「調整率」を差し引き、年金額を抑えようとするものです。ただし、マクロ経済スライドは、賃金も物価も前年より上昇した年に限って発動されます。’19年度は両方上昇したので、4年ぶりの発動となりました。具体的には、指標となる賃金上昇率が0.6%なので、本来なら年金も0.6%アップとなるところですが、調整率の0.5%が差し引かれることになりました。マクロ経済スライドは導入から15年たちますが、デフレ下では発動されないため、今回が2回目の発動です。政府のもくろみより年金額の抑制が遅れているため、’18年度から、マクロ経済スライドが発動されない年の調整率を翌年以降に持ち越す「キャリーオーバー制」が導入されました。’19年度の調整率である0.5%は、’19年度分の0.2%と、’18年度から持ち越された0.3%を合算したものです。そのため、0.5%という大きな減額になり、来年度の年金額は0.1%アップにとどまったのです。とはいえ、年金額自体は今より若干増えるため、危機感はそれほどないかもしれません。ですが、物価は1%上昇しています。年金は実質的に目減りしているのです。今後も年金は抑制されます。経済状況によりますが、約25年後には今より年金額を2割減らす試算もあります(’14年・厚生労働省)。たとえデフレでも、調整率がキャリーオーバーされ、マクロ経済スライドの発動時にまとめて引かれますから、年金の実質目減りは、ずっと続くと覚悟してください。私は、しっかり家計をやり繰りすれば、年金だけで暮らせると考えています。ただ、今までどおりの暮らしを続けるのは危険。年金だけでの暮らしを守るには、家計のスリム化が不可欠です。特に、よくわからないことにお金をかけないこと。たとえば保険は手厚い特約を付けても、請求を忘れるようなら保険料がムダです。また、投資も、銀行窓口で投資信託を買った人の46%が損をしているというデータがあります(’18年7月・金融庁)。よくわからない投資で損するなどムダ。ムダはとことん、なくしましょう。
2019年02月01日株式投資をする際、年間でどの程度の利益がでるのかというのは、最大の関心事です。その時に用いられるのが「利回り」です。自分が投資した金額に対して、年間どの程度の利益がでたのかを測る指標です。今回は、利回りの計算方法から、年間利回りの目標を何%にしたらいいのかを具体的に解説していきます。株式投資の参考にしていただければ幸いです。株式投資の利益は2種類バークシャー・ハサウエイ利回りが100%を超える年もありますが、長期での平均利回りは20.9%となっています。年率で20%を超える利回りを目指すということは単年では可能ですが、長期では世界一の投資家に挑むぐらいの高い目標となります。株式益回りでは7%程度株式益回りは「株式益利回り」とも呼ばれ、1株当たり税引利益(1株当たり純利益)を株価で割ったものです。会社の利益と比較して株価の利回りがどの程度かを測る指標です。計算式は以下のようになります。株式益回り=(1株当たり純利益) ÷ 株価 × 100東証1部の予想株式益回りは7.51%となっています。会社の利益から考えた場合、株式のリターン(利回り)は7.5%程度と考えることができます。債券と株式どちらがいいのかを判断する指標として「イールドスプレッド」があります。イールドスプレッドとは、債券と株式を比較して、どちらが割安かを示した指標です。長期金利(10年国債利回り)と株式益回りを比較します。計算式は以下のようになります。イールドスプレッド = 長期金利 - 株式益回り数値が大きい:債券投資が有利数値が小さい:株式投資が有利現在の長期金利はほぼゼロなので、株式益回りとの差(イールドスプレッド)はー7.5%前後になります。イールドスプレッドがー3%まで縮小すると、株式から債券へ資金シフトするといわれています。現在のイールドスプレッドでは株式投資の方が有利となります。株式配当利回りでは2%前後配当は税引後利益から還元されます。株式の利回りを考えた場合、最低でも配当利回りを上回ることを目標にしましょう。配当利回りの計算式は以下のようになります。配当利回り= 配当金 ÷ 株価東証1部の全銘柄の予想配当利回りは2.02%となっています。株式投資の目標利回りは4~5%程度が妥当以上をまとめると株式益回り7.51%配当利回り2.02%が東証1部銘柄の平均値となります。ただ、株式益回りは利益水準から考えた利回りです。株価は外部環境の影響も受けるので目標利回りを7.51%にするのは現実的ではありません。また、配当利回りを下回るということは、買値よりも株価が下落している(キャピタル・ロス)ことを意味します。以上のことから、現実的な目標としては、株式益回りと配当利回りの中間である4~5%程度が妥当な水準であると考えます。運用は複利で考えるヤフーファイナンスこのように配当利回りが5%を超える銘柄もあるのです。ただし、銘柄選択の際は配当利回りだけでなく、業績にも注意する必要があります。業績が悪化しているのに高配当を無理してだしている銘柄は、いずれ減配(配当を減らすこと)の恐れがあるからです。例えば、3%の高配当銘柄を購入した場合、年間のキャピタルゲインは2%程度が目標となります。5%ならキャピタル・ロスをださなければ目標達成です。この程度の利回りなら銘柄選びのハードルもかなり下がるのではないでしょうか。株式投資の利回り:まとめ今回は、株式の利回りについて解説してきました。利回りの目標は5%程度が現実的です。ただし、短期的には値動きの振れがあるので、長期での運用を考えましょう。そして、株式を長期で保有し続け、配当金を再投資することで「複利効果」を得ることができます。ただし、株式投資は元本や利回りが保証されているわけではありません。利回りはあくまでも目標と考え、余裕資金で無理のない運用を心掛けましょう。
2019年01月31日ちょっとの工夫で少しの得でも、積もり積もれば、結果は全然違う。年金は当てにできないと思う人は必読。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、年金受給額をふやすための裏ワザを教えてくれた――。「老後が心配だ」と多くの方が口にします。しかも高齢の方より、40代、50代の現役世代のほうが、不安感が大きいように思います。ですが私は「老後は年金だけで暮らせる」と考えています。40代、50代の方が老後を迎えるころも、大丈夫だと思います。ただし、年金制度をきちんと知って、十分に活用することが大前提です。私はこのほど、『年金だけでも暮らせます決定版・老後資産の守り方』(PHP新書)を出版しました。そこには、年金だけで暮らすための極意を詰め込んでいます。今回はその中から、特に40代、50代の『女性自身』読者の皆さんに今知ってほしい、年金を増やす裏ワザをお伝えしたいと思います。公的年金には大きく分けて、国民年金と厚生年金がありますが、今回は2組の夫婦を例に考えます。1組目は、夫が40年間会社勤めで厚生年金、妻はその間ずっと専業主婦だった「厚生年金モデル夫婦」です。2組目は、自営業などで2人とも40年間国民年金の保険料を払い続け、満額を受給できる「国民年金夫婦」です。まず、それぞれの今の年金額を知っておきましょう。厚生年金モデル夫婦は月約22万1,000円で、国民年金夫婦は月約13万円です(’18年度・厚生労働省・夫婦2人分)。では、今40歳の方が年金をもらい始めるころの年金額はどうなっているのでしょうか。将来の年金額は、厚生労働省が5年に1度「財政検証」を行い、試算します。前回’14年の財政検証でもっとも標準的な経済状況では、今から約25年後、’43年度の年金月額は、厚生年金モデル夫婦が約24万4,000円、国民年金夫婦が約12万5,000円となっています。現状より少しよいか現状並みに見えますが、実は、現役世代の給料が今より1.39倍に増え、物価も上がっていることを前提にしています。これを基に今の価値に換算すると、厚生年金モデル夫婦で月約18万円、国民年金夫婦で約9万円相当になります。つまり、今40歳の方が年金をもらい始める25年後は、今より2~3割程度、年金が減るということです。「老後がますます不安だ」と嘆く前に、今から紹介する年金アップの裏ワザをぜひ試してください。■国民年金のまとめ払い国民年金の保険料は現在、毎月払いだと1万6,340円です(’18年度・厚生労働省)。これを6カ月分まとめて口座振替で払うと、毎月払いより1,110円安くなります。まとめ払いは6カ月のほか、1年、2年とあり、長期ほど割引額は大きくなります。2年払いの口座振替は、毎月払いより1万5,650円安くなります。2年払いの保険料は1人分で約38万円と高額ですが、一度目だけ貯金からねん出し、それ以降は毎月払いの保険料を払ったつもりで貯めておきます。2年後、保険料貯金から2年払い保険料を払うと、手元に1万5,650円が残る計算です。夫婦2人とも2年払いにすると3万1,300円残りますから、これを老後貯金に回しましょう。今40歳の国民年金夫婦が、これから20年間2年払いにすると、割引総額は1人分で15万6,500円、2人分なら31万3,000円です。まとめ払いの申し込みは、毎年2月末までです。国民年金の方は、今が切り替えのチャンスです。■付加年金国民年金には、保険料に月額400円を上乗せして払う「付加年金」という制度があります。これを利用すると、将来年金をもらうときに、200円×付加年金を払った月数分がプラスして支給されます。たとえば、40歳の方が60歳まで、付加年金を払ったとします。付加年金分の保険料総額は、400円×12カ月×20年間=9万6,000円です。年金をもらうときには、200円×12カ月×20年間=4万8,000円が毎年、国民年金に加算されます。毎月の年金額にするとわずか月4,000円ですが、月400円の付加年金保険料からすると10倍です。付加年金でもらえる年金額は、保険料を払う月数に比例しますから、できるだけ早く手続きすることをお勧めします。さらに、付加年金の上乗せは一生続きます。先の40歳で付加年金を始めた方は、年金をもらい始めて2年たつと、付加年金分として4万8,000円×2年間=9万6,000円受け取れ、支払った保険料の元が取れます。3年目以降はずっと“もらい得”が続くことになります。女性の平均寿命は87.26歳です(’17年・厚生労働省)。88歳まで生きた方がもらえる付加年金は、23年間で約110万円。払った保険料を差し引くと約100万円お得です。これは1人分ですから、国民年金夫婦の方は、ぜひ夫婦2人そろって早めに手続きしてください。■年金の繰下げ受給年金は、国民年金も厚生年金も、65歳からの支給が原則です。ですが希望すれば、60~70歳の間の好きなタイミングでもらい始めることができます。65歳より早くもらい始めることを「繰上げ受給」、65歳より遅くもらい始めることを「繰下げ受給」といいます。65歳より早くもらい始めると、0.5%×早くもらった月数分が減額されます。たとえば60歳からもらい始めると、0.5%×12カ月×5年=30%の減額です。国民年金満額の方の年金額は月約6万5,000円ですが、5年繰り上げて60歳からもらい始めると30%減額され、月約4万5,000円になります。早くからもらえるのはメリットですが、76歳以上長生きすると、一生に受け取る年金総額で損になります。反対に、65歳より遅くもらい始めると、0.7%×受給を遅らせた月数分が増額されます。たとえば70歳からもらい始めると、0.7%×12カ月×5年=42%アップです。今40歳の厚生年金モデル夫婦は、65歳からの年金額が月約18万円でした。2人とも70歳からもらう5年繰り下げを行うと、月18万円×42%=約7万6,000円増額され、月約25万6,000円になります。国民年金夫婦も2人とも70歳からの受給に繰り下げると、月約9万円の年金が42%アップで月約12万8,000円になります。どちらの夫婦も81歳以上長生きすると、年金総額でお得になります。特に自営業の方は定年がありませんから元気で長く働いて、年金を遅くもらい始める繰り下げを活用するといいと思います。
2019年01月25日ちょっとの工夫で少しの得でも、積もり積もれば、結果は全然違う。年金は当てにできないと思う人は必読。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、年金受給額をふやすための裏ワザを教えてくれた――。「老後が心配だ」と多くの方が口にします。しかも高齢の方より、40代、50代の現役世代のほうが、不安感が大きいように思います。ですが私は「老後は年金だけで暮らせる」と考えています。40代、50代の方が老後を迎えるころも、大丈夫だと思います。ただし、年金制度をきちんと知って、十分に活用することが大前提です。私はこのほど、『年金だけでも暮らせます決定版・老後資産の守り方』(PHP新書)を出版しました。そこには、年金だけで暮らすための極意を詰め込んでいます。今回はその中から、特に40代、50代の『女性自身』読者の皆さんに今知ってほしい、年金を増やす裏ワザをお伝えしたいと思います。公的年金には大きく分けて、国民年金と厚生年金がありますが、今回は2組の夫婦を例に考えます。1組目は、夫が40年間会社勤めで厚生年金、妻はその間ずっと専業主婦だった「厚生年金モデル夫婦」です。2組目は、自営業などで2人とも40年間国民年金の保険料を払い続け、満額を受給できる「国民年金夫婦」です。まず、それぞれの今の年金額を知っておきましょう。厚生年金モデル夫婦は月約22万1,000円で、国民年金夫婦は月約13万円です(’18年度・厚生労働省・夫婦2人分)。では、今40歳の方が年金をもらい始めるころの年金額はどうなっているのでしょうか。将来の年金額は、厚生労働省が5年に1度「財政検証」を行い、試算します。前回’14年の財政検証でもっとも標準的な経済状況では、今から約25年後、’43年度の年金月額は、厚生年金モデル夫婦が約24万4,000円、国民年金夫婦が約12万5,000円となっています。現状より少しよいか現状並みに見えますが、実は、現役世代の給料が今より1.39倍に増え、物価も上がっていることを前提にしています。これを基に今の価値に換算すると、厚生年金モデル夫婦で月約18万円、国民年金夫婦で約9万円相当になります。つまり、今40歳の方が年金をもらい始める25年後は、今より2~3割程度、年金が減るということです。「老後がますます不安だ」と嘆く前に、今から紹介する年金アップの裏ワザをぜひ試してください。■厚生年金の加給年金厚生年金に20年以上加入している夫が年金をもらい始めるとき、年下の妻を扶養していたら、妻が65歳になるまで「加給年金」がもらえます。加給年金は18歳未満の子がいる場合などにも支給されますが、妻の場合は、年22万4,300円。妻の年齢による特別加算も付きます。先の厚生年金モデル夫婦の妻が夫より年下だった場合は、特別加算も合わせて年約39万円もらえます。月約3万3,000円ですから、忘れずに年金事務所にお届けを。1つ注意点があります。加給年金をもらえる方が、年金を65歳より遅くもらい始める「繰下げ受給」を行い、実際に年金をもらおうというときに、妻が65歳を過ぎていたら加給年金は一切もらえません。そういう方は、厚生年金部分と国民年金に当たる基礎年金部分とを分けて、基礎年金だけ繰り下げる手もあります。夫と妻との年齢差などで、加給年金を何年もらえるか、厚生年金を繰り下げたほうが得かが変わります。よく比べて考えてみてください。■企業年金などもらい忘れをチェック読者の皆さんには、若いころは会社勤めをしていた方もいるでしょう。そのとき働いていた会社で企業年金や厚生年金基金に加入していれば、たとえ1カ月だけの加入でも企業年金が一生もらえます。ただ企業が独自に行う企業年金は、結婚して名字や住所が変わってしまうと、本人が申し出ない限り支給するのがむずかしく、もらい忘れている方が130万人もいるそうです(’12年度末・厚生労働省)。心当たりのある方は勤めていた会社か、企業年金の加入期間が10年未満と短い方などは、企業年金連合会に問い合わせてください。
2019年01月25日20歳になると生じる義務のひとつが国民年金への加入。わが子が学生で収入がなくても保険料は納めなければいけません。決して安いとはいえないその保険料、みなさんはどうしてるんでしょうか?■ 国民年金は誰が加入するの?保険料は?akiyoko / PIXTA(ピクスタ)日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入することが法律で義務付けられています。会社員や公務員など「第2号被保険者」は、お給料からひかれる厚生年金保険料に国民年金保険料が含まれています。第2号被保険者に扶養(社会保険上の)されている専業主婦など「第3号被保険者」は保険料の負担がありません。収入のない大学生や専門学校生は、20歳になったら国民年金の第1号被保険者として保険料を納めなければいけません。第1号被保険者の保険料は月額16,410円(平成31年度)年間で約20万弱、家計への負担を考えると親が払うべきなのか悩みますよね。■ 学生の66%が「学生納付特例制度」を利用Graphs / PIXTA(ピクスタ)学生納付特例制度は、学生本人の所得が一定以下の場合に、申請により在学中の保険料の納付が猶予される制度です。厚生労働省の「国民年金被保険者実態調査」によると、学生のうち66%が学生納付特例制度を利用しています。国民年金からは老後の年金だけでなく、病気やケガで障害が残ったときに障害基礎年金が受け取れます。未納のままでは受け取れない場合がありますが、この制度を利用して納付を猶予されている間は、保険料を納めていなくても未納扱いとはなりません。■ 将来の年金額への影響は?Mugimaki / PIXTA(ピクスタ)学生納付特例制度で猶予された期間は、10年以内であれば遡って保険料を納めることが可能です(追納)。筆者は普段、ファイナンシャル・プランナーとしてご相談者の年金加入状況も確認していますが、実際に追納している方は少ない印象です。老齢基礎年金は、保険料の納付期間によってもらえる年金額が変わります。20歳から60歳まで40年間フルに納めてもらえる年金は年間約78万円(平成30年度)。kuro3 / PIXTA(ピクスタ)例えば、大学2年生の4月で20歳を迎え、卒業まで猶予を受ければ3年間。さらに大学院へ進学して2年間、計5年間猶予を受ければ、老齢基礎年金の年金額は満額で受けとるより12.5%(5年÷40年)少なくなります。学生納付特例を利用する場合は、年金額への影響や追納についても知っておきましょう。■ 親が払うと税金が安くなる!Graphs / PIXTA(ピクスタ)親が子どもの国民年金保険料を支払ったら、税金を計算するときに社会保険料控除として親の所得から控除できます。仮に所得税率が10%だとすると、住民税と合わせて、支払った保険料の20%が節税になります。また、国民年金保険料は、毎月納付する以外に6か月・1年・2年の前納制度があります。2年前納の場合、毎月納めるよりも保険料は2年間で約15,000円ほど割引になります。平成30年度の2年前納の保険料(口座振替の場合)は377,350円でした。所得税+住民税が20%だとすると、75,470円の節税になります。(注)節税効果や前納による割引があれば、親の負担感も少しは軽くなりますね。2年前納の申込期限は毎年2月末です。子どもの国民年金保険料を払ってあげようと思っているなら検討してみてはいかがですか?(こころFP事務所)※注節税効果はその他の所得控除や税額控除の状況によって変わります。【参考】※国民年金被保険者実態調査(平成26年度)- 厚生労働省※学生納付特例制度・前納について – 日本年金機構
2019年01月12日老後の資金としてまず確保しておきたいのが年金です。サラリーマン家庭で夫の方が妻よりも収入が多い場合、妻は離婚時に年金分割を受けることにより、将来の年金受取額を増やせます。本記事では、年金分割のしくみについてわかりやすく説明します。年金分割の手続きの大まかな流れについても知っておきましょう。離婚時年金分割制度って何?離婚時年金分割とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金保険料納付記録(納付実績)を離婚時に分け合う制度です。年金分割では、年金そのものを分けるのではなく、分けるのはあくまで保険料の納付実績になります。公的年金(国民年金・厚生年金)は、保険料の納付実績に応じて給付額が決まります。たとえば、夫が会社員(国民年金第2号被保険者)、妻が専業主婦(国民年金第3号被保険者)の場合、妻は保険料を負担していないため、婚姻期間中の納付実績がありません。このようなケースでは、妻は離婚すると、将来の年金受取額が少なくなってしまいます。離婚時に年金分割により夫の保険料納付実績を分割してもらえば、専業主婦の妻も、将来の年金受取額を増やすことが可能です。離婚時の年金分割の対象となる年金は?離婚時年金分割は、国が運営・管理している公的年金に関する制度です。「年金」と名の付くものがすべて対象になるわけではありません。公的年金でも国民年金は対象外離婚時年金分割制度の対象となるのは、公的年金のうち、厚生年金(旧共済年金含む)のみです。自営業などで婚姻期間中夫婦共ずっと国民年金の第1号被保険者だった場合には、年金分割はできません。私的年金は年金分割ではなく財産分与をする私的年金(公的年金に上乗せする目的で加入する年金)も、年金分割の対象外です。企業年金(確定給付年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金など)、個人型確定拠出年金(iDeCo)、国民年金基金、民間の保険会社の個人年金などは私的年金なので、年金分割はできません。私的年金のうち、結婚している間に夫婦で保険料を払った部分については、財産分与ができる可能性があります。私的年金を財産分与する場合には、将来私的年金を受け取った時点で受け渡しするか、受取見込額を計算して離婚時に清算する方法などを検討しましょう。離婚時の年金分割の種類とは?年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。手続きする前に、どちらに該当するのかを把握しておきましょう。①合意分割夫婦が合意することにより、婚姻期間中の納付実績を多い側から少ない側へ分割する方法が「合意分割」です。合意分割は、婚姻期間全体が対象になります。共働き夫婦の場合でも、夫の方が収入が多いなら、合意分割をして妻の年金受取額を増やすことが可能です。②3号分割平成20年4月1日以降に国民年金の第3号被保険者だった人(専業主婦)は、平成20年4月1日以降の納付実績については、相手との合意なしに分割が受けられます。これを「3号分割」といいます。3号分割ができる人も、平成20年3月31日以前の納付実績については、合意分割によらなければ分割が受けられません。なお、合意分割の対象期間に3号分割の対象となる期間が含まれているときには、合意分割を請求した時点で、3号分割の請求があったものとみなされます。離婚の際の年金分割に相場はある?年金分割では、年金そのものを分けるのではありませんから、分割してもらう金額の相場というのはありません。年金分割で分けるのは保険料の納付実績で、割合を指定して分けることになります。※以下、夫婦のうち夫の方が収入が多いと仮定して説明します。年金分割の按分割合とは?年金分割で保険料の納付実績を分けるときには、「按分割合」を指定します。按分割合とは、夫と妻の納付実績の合計を100%と仮定した場合の、年金分割後の妻の持分です。「夫の納付実績の○%をもらえる」という意味ではありません。婚姻期間中、妻に保険料の納付実績がない場合(専業主婦の場合)、按分割合50%とすると、夫の納付実績の半分をもらうことになります。一方、妻にも保険料納付実績がある場合(共働きの場合)、按分割合50%は、妻が元々持っている持分と夫から受け取る分を合わせて50%ということです。合意分割の按分割合年金分割では、妻の持分が夫の持分を超える指定はできません。そのため、合意分割で定めることができる按分割合の上限は、どの夫婦でも50%(2分の1)となります。按分割合の下限については、妻が元々持っている持分によって変わります。年金分割をしても、妻は元々持っている持分を奪われることはないからです。按分割合の範囲妻が婚姻期間中ずっと専業主婦だった場合には、妻が元々持っている持分は0%なので、0~50%の範囲内で按分割合を指定します。共働きで妻が元々25%の持分を持っている場合には、妻の25%は確保されるので、指定できる按分割合の範囲は25~50%です。合意分割の按分割合に相場はある?合意分割では、当事者同士で按分割合を決められますから、50%以外の割合にすることも可能です。しかし、当事者間の話し合いで合意できず、裁判所の審判や調停になった場合には、通常は50%の割合に指定されます。相手が按分割合50%の合意分割に応じてくれない場合には、裁判所に申し立てをした方がよいでしょう。3号分割の按分割合3号分割の場合には、按分割合は50%と決まっています。3号分割の対象期間については、年金事務所で年金分割の請求をすれば、妻は自動的に50%の持分の分割を受けられます。別居期間のある場合の年金分割婚姻期間中に別居期間があっても、年金分割は原則どおり上限50%の按分割合でできます。年金分割では、特別な事情がない限り、按分割合の上限50%が減らされることはありません。長期間別居していても、特別な事情には該当しないとされるのが通常です。離婚時の年金分割はどうやって手続きする?年金分割をするときには、事前に準備をした上で、離婚後に年金事務所で請求手続きをする必要があります。年金分割の手続きの流れ1. 「年金分割のための情報提供請求書」の提出年金事務所に行き、「年金分割のための情報提供請求書」を書いて提出します。2. 「年金分割のための情報通知書」の受け取り日本年金機構から「年金分割のための情報通知書」が自宅に郵送されてきます。3. 夫婦間の合意または調停・審判申立て(合意分割の場合)合意分割をする場合には、夫婦間の合意が必要です。話し合いで合意できない場合には、家庭裁判所に審判または調停を申し立てて、按分割合を決めます。4. 「標準報酬改定請求書」の提出(年金分割の請求)年金事務所で「標準報酬改定請求書」を提出し、年金分割の請求手続きを行います。合意分割の場合には原則として当事者2人で年金事務所に行かなければなりませんが、年金分割の合意について記載された公正証書や公証人の認証を受けた年金分割合意書、裁判所の調停調書や審判書を持参すれば、分割を受ける側だけで手続きできます。5. 「標準報酬改定通知書」の受け取り年金機構から「標準報酬改定通知書」が届いたら、年金分割の手続きは完了です。年金の受給時には、分割された納付実績にもとづき年金が支払われます。年金分割の期限は?年金分割で最も気を付けておかなければならないのが請求期限です。たとえ夫婦間で年金分割の合意をしても、期限までに年金事務所で請求手続きをしなければ、年金分割は受けられません。離婚後2年以内に年金事務所での手続きが必要年金分割の手続きは、離婚した日の翌日から2年を経過すると、それ以降はできません。離婚後に年金分割の合意をすることも可能ですが、離婚後2年以内に必ず年金事務所に行って、標準報酬改定請求書を提出する必要があります。なお、離婚届を出す前に年金分割の請求をすることはできません。相手の死亡後1か月を経過すれば請求できない離婚から2年経っていなくても、相手が死亡して1か月を経過すると、年金分割の請求はできなくなります。離婚すれば、相手が亡くなっても連絡が来ないこともあるでしょう。年金分割の手続きを先延ばしにしていると、相手が知らない間に亡くなっていて、年金分割が受けられないこともあります。年金分割の手続きは、離婚後速やかにすませておきましょう。まとめ年金分割で年金を増やせるのは、専業主婦だけではありません。共働きでも、年金分割をしておけば、年金受給額が増えることがあります。熟年離婚でなくても、多少は年金が増えるメリットがありますから、離婚の際には年金分割を検討しましょう。
2019年01月03日年末調整で、1月1日から12月31日までの1年間に支払った国民年金保険料は、社会保険料控除として所得控除の対象になります。そのため、勤務先から年末調整の時期になると渡される、給与所得者の保険料控除申告書へ記入し、控除証明書などを添付することで、1年間に支払った国民年金の全額を所得控除することができます。一般に、会社員や公務員などのように、厚生年金保険へ加入している方であれば、直接、国民年金保険料を支払うことはありませんが、実のところ、子供をはじめとした生計を同一にしている方の国民年金を代わりに支払ったとしても、控除の対象になります。そこで本記事では、年末調整と国民年金の関係性を中心に、絶対に押さえておきたいポイントをまとめて紹介します。そもそも社会保険料控除とは何か社会保険料控除について、国税庁のWEBサイトでは、以下のように記述しています。納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除ざっくりポイントをまとめますと、自分や配偶者、子供、両親など、生計を同一にしている方が負担しなければならない社会保険料を支払った場合は、支払った金額の全額を所得控除できるとしています。なお、社会保険料控除の対象となるものには、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料といった給料から天引きされる社会保険料をはじめ、国民年金、国民健康保険料(税)、国民年金基金や厚生年金基金の掛金などがあります。大切なポイントは、社会保険料控除の適用を受けられる方は、社会保険料を納めなければならない本人のみに限定されていない部分です。そのため、たとえば、20歳以上の大学生や短大生などといった学生が納めなければならない国民年金を親が代わりに支払った場合、その支払った国民年金について、親が年末調整で社会保険料控除を受けられることを意味します。年末調整で支払った国民年金の控除を受けるためには国税庁平成30年分給与所得者の保険料控除申告書年末調整で支払った国民年金の控除を受けるためには、給与所得者の保険料控除申告書(上記イメージ図の赤枠部分)に必要事項を記入し、併せて、毎年秋ごろになりますと、日本年金機構より郵送される社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を添付することで適用が受けられます。具体的な書き方の一例として、以下の前提条件で国民年金を支払った場合をイメージ図と共に紹介しておきます。平成30年の1月1日から12月31日までの1年間において、国税太郎さんは、国税一郎さん(20歳以上の大学生)の国民年金を代わりに納付した平成30年1月から3月までの1ヶ月あたりの国民年金は、月額16,490円平成30年4月から12月までの1ヶ月あたりの国民年金は、月額16,340円これだけ記入すれば完了となりますので、とても簡単に手続きが行えます。もしも、国民年金の控除証明書が年末調整に間に合わない場合は国民年金を支払ったのにも関わらず、時として、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を紛失してしまった場合や破棄してしまったなどの理由で年末調整の際に、控除証明書の添付が間に合わない場合があるかもしれません。このような場合は、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書でなくても、実際に国民年金を納めた時の控えなど、支払ったことを証明する書類を添付しても差し支えありません。(この方法を活用する場合は、控えの写しを手元に残しておきましょう)国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金に係る社会保険料控除の適用については、その保険料又は掛金の金額を証する書類を、確定申告書又は年末調整の際に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に添付するか、これらの申告書を提出する際に提示する必要があります。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除1年間に支払った国民年金について、社会保険料控除の適用を受けるためには、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が必要とは書かれておらず、保険料又は掛金の金額を証する書類と書かれています。なお、筆者自身も過去に社会保険料(国民年金保険料)控除証明書に代えて、国民年金を支払った際に受け取った控えを添付して控除の適用を受けたことがありますが、何ら問題はありませんでしたので、極度の心配をする必要はないでしょう。確定申告でも社会保険料控除は適用できる国民年金の控除証明書が、年末調整に間に合わない場合のほか、すでに年末調整が終わった後に社会保険料控除の適用ができることに気が付いた場合は、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に確定申告をすることで控除の適用も可能です。会社員や公務員といった普段から確定申告をしない方にとってみますと、確定申告をすることは、時間と手間がかかってしまい面倒だと思われるかもしれませんが、社会保険料控除は、支払った全額が所得控除の対象となるため、節税効果は高めです。ちなみに、確定申告で社会保険料控除の適用を受けますと、所得税の還付に加え、翌年、給料から天引きされる住民税の金額にも好影響を及ぼすことになるため、控除が適用できる場合は、率先して忘れずに手続きされることをおすすめします。国民年金は、あくまでも納めた年の控除対象になる国民年金を納めることによって、社会保険料控除の対象になることがわかりましたが、これは、あくまでも、実際に国民年金を納めた年の控除対象になるため、未納や免除期間分の国民年金は、社会保険料控除の対象外となります。たとえば、先の例で、国税太郎さんは、国税一郎さんが納めるべき平成30年の国民年金を実際に納めたからこそ、社会保険料控除の対象となっていることを意味しており、これが未納である場合や学生納付の特例を活用した免除申請を受けた場合は、社会保険料控除の対象外となるわけです。逆に言えば、平成29年分の国民年金が未納の状態であったものの、平成30年中に未納の国民年金を納めた場合は、平成30年中に支払った国民年金の全額について社会保険料控除の対象となることになります。同じく、免除申請を受けていた国民年金を実際に納めた場合も同様の取り扱いとなります。Q1生計を一にしている子供の国民年金保険料を過去3年分まとめて支払いましたが、その支払った全額を私の本年分の社会保険料控除の対象としてよいでしょうか。A1本年中に支払ったものであれば、過去の年分のものであっても本年分の社会保険料控除の対象になります。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除国民年金は、未納や免除分も含めて、支払った年の社会保険料控除になるため、年末調整や確定申告で控除の適用を忘れないように心掛けておきたいものです。夫婦のいずれかが自営業者で、事業所得が少ない場合は節税になることも夫婦共働き世帯が多い現在において、夫婦のいずれかが自営業者で、もう一方は会社員や公務員といったケースも考えられます。仮に、このような場合で事業の所得(儲け)が少ない場合や赤字の場合は、会社員や公務員である方へ国民年金を支払った社会保険料控除を適用した方が、世帯にとって有利になる場合も十分に予測できます。仮に、このような特殊な事情がある場合は、一度、専門家を通じて再確認されてみるのをおすすめします。まとめ年末調整と国民年金の関係性を中心に解説を進めてきましたが、絶対に押さえておきたいポイントは、以下の通りです。1月1日から12月31日までの1年間に支払った国民年金は、社会保険料控除の対象支払った国民年金は、本人だけではなく、配偶者や子供など生計同一の方が負担するべきものであれば、年末調整や確定申告で控除が可能国民年金は、あくまでも納めた年の控除対象になるため、過去に未納や免除を受けたものを納めることで控除金額が増加し、納めるべき税金が少なくなる夫婦のいずれかが自営業者で、事業所得が少ない場合は節税になることもあるため、社会保険料控除の適用が適切か再確認する押さえておきたいポイントは、決して難しいものではありませんので、いま一度確認していただきまして、今後に活かしてもらえればと思います。
2018年12月28日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】老後に働くと年金は減らされるの?60歳以降に、会社員として厚生年金に加入して、年金をもらいながら働いていると、受け取れるはずの年金が一部減額されることがある。「60歳から65歳未満までは、給料と厚生年金を足した金額が月28万円以上、65歳以降は月46万円以上となる人が対象です」(山中さん)たとえば60歳で給料20万円、厚生年金の受給額が10万円で合計額が30万円の人の場合、28万円を超えた2万円の半分の1万円がカットされる。つまり厚生年金の受給額が、9万円に減額されてしまうのだ。働き損を防ぐには、月収を28万円以下に抑える必要がある。【Q】将来、物価が上がっても、年金だけで足りる?年金受給が一定の場合、物価が上がれば実質的な収入が減ってしまう。それを防ぐため、物価などの上昇に合わせ、本来は年金支給額を増加させるのだが……。「ところが、マクロ経済スライドというものがあります。年金制度を維持するため、物価が上昇しても、年金額の上昇を抑制するという制度です」(山中さん)’15年、過去に一度だけ発動されたとき、本来2.3%の予定だった年金の上昇が0.9%に抑制された。’19年にも発動される見通しだ。【Q】年金が破たんして、丸損にならない?「少なくとも年金制度がなくなることはないでしょう。ただし、現在検討されているように、受給開始年齢の70歳への引き上げや、支給額の減額ということはありえます。60歳から65歳に受給開始年齢を引き上げるのに約20年時間がかかっているので、現在50代くらいの人は、現行のシステムが適用されると思います」(拝野さん)もっと視野を広げるべきと言うのは、山中さんだ。「年金保険料を払えば、老後の年金の受給だけではなく、病気を負った場合の障害年金や死亡したときの遺族年金などの保障を受けることができます。つまり、保険の機能があるのです。“どうせ減額されるから、払わない”と考えるのは、大きな間違いです」
2018年12月07日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】夫と離婚しても、厚生年金はもらえるの?離婚の際、夫の年金を半分もらえると誤解している人は多い。「分割できるのは、国民年金に上乗せされる厚生年金だけ。しかも、請求できるのは婚姻期間分のみです」(山中さん)実際に、離婚後の女性がもらっている年金の平均額は月約8万円にすぎない。「しかも、離婚が成立して2年以内に分割の請求をしなければ、権利を失ってしまうので注意が必要です」(山中さん)【Q】夫と死別したら、年金は減ってしまうの?死別した夫が厚生年金を受給していれば、妻は遺族厚生年金として、受給額の75%を生涯もらえる。夫が在職中に亡くなっても、18歳以下の子どもがいる場合、高校卒業までは支給が。「年額77万9,300円と子1人あたり22万4,300円(3人目から7万4,800円)の遺族基礎年金に加え、夫が会社員などであれば、収入から推計した厚生年金の75%が支給されます」(拝野さん)
2018年12月07日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】もっともお得な繰下げ受給の方法は?年金受給開始年齢は原則65歳からだが、5年以内の範囲で、繰り上げ、繰り下げができる。「1カ月早めると、0.5%支給額が減額されます。60歳で受給開始すると65歳の場合と比べ、3割減となります。一方、繰り下げは1カ月遅らせると、0.7%の増額。最長の70歳まで待つと、本来の支給額より42%増に」(拝野さん)年金は個人のものなので、妻だけ年金の受給時期を変えることも可能。だが、早く小遣いが欲しいからと“繰り上げ”すると、長い目で見ると損となる。一方、必ずしも繰下げ受給=得ではない。「妻が年下の専業主婦で、夫が厚生年金を受給しているなどの場合、年間約39万円の加給年金が支給されます。妻が65歳になるまでもらえますが、夫の厚生年金受給が条件なので、繰り下げるともらえる期間が減ります。それを避けるため、厚生年金は65歳で、夫の基礎年金の部分だけを繰り下げるという方法も」(山中さん)【Q】夫は退職と就職を繰り返しているけど、年金はどうなるの?会社員として、厚生年金に入っていた期間が無駄になることはない。受給年齢になれば、基礎年金に、厚生年金を上乗せして受給することができる。ただし受給には手続きが必要なので、忘れずに。掛金を積み立て、社員がそれを運用して老後に受け取る「企業型確定拠出年金」に加入していた場合は、注意が必要だ。「退職後、それを忘れて手続きをしない人がいます。積み立てていたお金は国民年金基金連合会に預けられますが、そこに放置されたままのお金は1,500億円にもなるといわれています。年金事務所などで、年金支払い状況を確認しましょう」(拝野さん)
2018年12月06日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】専業主婦は何の年金に入っているの?「自営業や無職の人は第1号被保険者で、国民年金(基礎年金)に加入します。会社員は第2号被保険者。掛金の半分を企業が負担してくれるうえ、収入に応じて厚生年金が、国民年金に上乗せされます。会社員の夫をもつ専業主婦は、第3号被保険者です。掛金の負担がなく、国民年金をもらえます。主婦の方でも、パートなどで年収130万円以上となると、国民年金などの社会保険料を支払う義務が出てくるので、注意しましょう」(拝野さん)【Q】どうやったらもらえる年金が増えるの?「国民年金、厚生年金だけでは老後が心配という人は、公的年金に加入しながら、証券会社など金融機関で加入できるiDeCo(個人型確定拠出年金)で“上乗せ”をすることができます」(山中さん)拝野さんがiDeCoの利点を解説してくれた。「毎月、一定額の掛金(専業主婦の場合、月5000~2万3,000円の範囲内)を支払います。元本割れのない定期預金や国内株式の投資信託商品などの中から、あらかじめ決めておいた割合で、積み立てた掛金を運用することになります」積み立てた年金は60歳以降に受け取ることができるが、その際、退職所得控除や公的年金等控除を利用することができる。「さらに、通常、投資などの運用利益の20%が課税されますが、iDeCoでは非課税です。税制面でも、大きなメリットがあるといえます」(拝野さん)【Q】未納期間が長いけど、どれくらい減額される?国民年金は、加入期間は最大40年間。個人で支払うため、未納期間ができている人も多いはず。「1年間の未納があれば、将来もらえる基礎年金が、1カ月あたり1,620円、年間1万9,440円の減額。これが生涯続くことになります」(拝野さん)未納で減る年金の計算法は、1万9,440円/年(1,620円/月)×未納年数。だが、60歳から65歳も年金を払い続けることで、年金を増やせる「任意加入制度」がある。未納期間が長い人は検討しよう。【Q】掛金が払えなくなったら?「経済的に年金の支払いが困難な場合、“免除”が認められることがあります。所得や家族の有無で基準が変わりますが、全額免除が認められれば、保険料を払わなくても、全額払った場合の半分の年金を将来受給できます。半額免除の場合は75%です」(山中さん)滞納だけは避けたい。「老齢年金が減るばかりか、大病しても障害年金が下りなかったりする弊害も」(山中さん)
2018年12月06日前回の記事では、「ボーナスから始める資産運用」としてその中で「iDeCo(イデコ)」の活用もふれました。せっかくのボーナスをもらって気分も新たに見直ししたい今こそ、資産運用デビューにもベストなタイミング!でも、どうやってはじめたら良いの?と思うあなたへ。「iDeCo」のはじめ方、金融機関選びや商品選びののポイントについて今回はご紹介したいと思います。まずは「iDeCo」のはじめ方4ステップ【はぴマネレッスン】vol. 49まず、「iDeCo」のメリット、デメリットを含めた特徴はこちらの記事をお読みください。資産運用をはじめるだけでなく、税制面でのメリットもある「iDeCo」は原則として60歳までは引き下ろし不可という特徴があるため、将来に向けての長期間の資産形成にオススメです。そんな「iDeCo」のはじめ方を4ステップでまとめてみました。1.はじめる金融機関を選ぶ!&口座を開設するまず重要なポイントである、「金融機関選び」からスタート。「iDeCo」では、自分の選んだ金融機関1つを選んで加入ができるため、安易に誘われたところではじめて、後から変えたい!と思うと手数料がかかったり手続きが面倒だったりと意外と大変なので最初の金融機関選びは重要なポイントです。でも、金融機関によって何が違うの?と疑問に思う方も多いはず。金融機関によって異なる点としては、「取り扱っている商品の数」や「手数料の額」などが挙げられます。そのため、はじめた金融機関で「思っていた商品が取り扱っていなかった!」「手数料が高い商品しかなかった!」など、同じように見えても長期で積立てるようなiDeCoを活用する際には大きな違いが出てきます。まず、金融機関を選ぶ際にチェックしたいのは「口座管理手数料」と「信託報酬」の2つ。「iDeCo」に加入するうえで、加入する際に掛かる手数料としてはじめの1度だけかかる手数料、その他の手数料として国民基金連合会に103円+信託銀行への手数料が64円、計毎月167円がかかるほか、重視したい点の1つ、「毎月掛かるコスト」が発生する可能性があります。そのひとつである「口座管理手数料」とは、金融機関によって異なる口座を持っている限り「毎月」発生するコスト。そのため、1年単位ではなく長期の積立ての際には大きなコストとなってしまいます。できるなら安い金融機関を選びたいところですよね。また、「信託報酬」については投資信託で運用する際に毎月掛かるコストなので、こちらは後ほど「商品選び」のところでお伝えします。そして「金融機関」を選んだら運用するための口座開設が必要です。重要な「金融機関選びのポイント」もまた改めてご紹介しますね。2.積立てる額を決める金融機関を選んだら、お次は「積立てる額」を決めていきます。「iDeco」では一般的に5000円〜と2万3000円の間で少額からはじめられます。例えば企業にお勤めのOLさんでしたら、60歳までの長い間無理のない金額で始めることをおススメ。ちなみに、金額の変更は可能ですが「1年に1回のみ!」です。ボーナスの3分の1を貯蓄、投資分と考えてそのうちのさらに1部の金額を「積立て」に回してみてはいかがでしょう?3.投資配分を決める額を決めたら、「投資配分」を決めましょう。投資配分は「ポートフォリオ」とも呼ばれます。例えば、月2万円で「iDeCo」を始めるとして、「iDeCo」は現在元本保証のある「預金、保険商品」タイプと、リスクを伴う「投資信託、MMF」のタイプのがあり、ご自身で組み合わせて商品を選びます。「iDeCo分は1万円全て投資信託で運用」などもOK、「半分の5000円は預金で元本保証をしながら、残り半分の5000円は投資信託へ」などの配分も決められます。安全型、リスクを求めてもOKなど、ご自身の投資タイプで配分を決めておくことで商品選びがしやすくなります。ただ、預金は手元に置いておく資金としてiDeCoを活用しなくてもできるため、「iDeCo分は全て定期預金へ!」というのも少し考えもの。なぜなら「iDeCo」を活用するうえでは増えた分に対して税金が掛からないメリットもあり、十分に恩恵を受けられない可能性のほか、毎月掛かるコスト分のほうが運用益よりも大きく、結果的に目減りしてしまう可能性もあるためです。投資信託等の運用商品も組み合わせて、「どの程度のリスクなら許容できる?」という点や、手元に置いておく現金分もしっかりと確保しておくことは必要です。ご自身の運用タイプなどは、ロボットがアドバイザーとしてオススメのポートフォリオを提案してくれるような無料のサービスなどもあるため、一度参考にご自身のタイプに合った投資配分を決めるとiDeCoを活用するメリットはより大きくなる可能性があります。4.運用する商品選びさて、金額を決めたら商品を選びましょう! 投資する商品は「預金」と「投資信託」にわかれ、かつ投資信託のなかでも金融機関ごとに取り扱っている商品のラインナップも変わってきます。1万円の中で「3000円を日本株に連動する投資信託、3000円を世界株に連動する投資信託、残りを日本国債に連動する投資信託」など少ない金額でも組み合わせて商品を選ぶことができます。投資信託は元本保証がない商品ですが、タイプもさまざま。例えば日経平均や国内外の株価指数や債券の指数等と連動する「インデックス型」、運用会社の専門家が運用してくれる「アクティブ型」、そのときの情勢に合わせて投資配分を変更してくれ、1種類の中でも「国内株・海外株・国内債券・海外債券」の4つ(またはその他商品)にバランス良く投資してくれる「バランス型」などがあります。一般的に、ステップ1で紹介した「信託報酬」は投資信託を選んで運用する際に毎月掛かるコストですが、「インデックス型」はこの信託報酬が低いことが多く、「アクティブ型」はプロが運用するコストが掛かるため、一般的に「インデックス型」よりも信託報酬が高めな場合が多いです。「バランス型」は、「自分での組み立て方がわからない!始めたら放っておきたい」などの方には1つのファンドで世界中の商品に投資してくれるため、信託報酬の割安な商品を選べば初めての方でも安心な商品の1つです。ただ、同じような投資配分を選べるならばご自身で「インデックス型」などを組み合わせて投資するほうが信託報酬も安く済むなどメリット・デメリットがありますのでご自身のタイプにあった商品選びをしてみてくださいね。以上4つが「iDeCo」に加入する際に必要な4ステップです。最後に口座開設手続きをする際に、「金融機関選びのポイント」をチェックしてみて下さいね。金融機関の選び方のチェックポイントは?何度もご紹介したように、「手数料が安いか?」「商品が豊富か?」の2点が長く積立てる「iDeCo」を始める金融機関選びでは重要なポイント。はじめることができる金融機関は、銀行、保険会社、証券会社などがありますが、今のところ「ネット証券・ネット銀行」が手数料などに関して優れている金融機関が多いです。口座管理手数料、そして取り扱う商品の手数料の安さから考えると「SBI証券」、「楽天証券」などが今のところラインナップ的にも手数料的にも優れています。SBI証券では加入時に掛かる手数料を含めた運営管理手数料も6月より無料、楽天証券でも運用管理手数料は無料のため、毎月掛かるコストは国民基金連合会への手数料、信託銀行への手数料で月167円+「信託報酬分」のみで済みます。以下のサイトではさまざまな金融機関を加入時、運用期間にかかる手数料、口座を変える際にかかる手数料、各金融機関の揃える商品ラインナップ、信託報酬も一覧でチェックできますのでぜひチェックしてみることをオススメします。iDeCo(確定拠出年金)ナビ今回は「金融機関選び&商品選びのチェックポイント」として選び方のポイントや始め方のポイントをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?投資運用は自分次第となる「iDeCo」の制度ですが、将来に向けた資産形成をしながら税金も安くなるメリットがあるので、はじめての資産形成デビューとしても恩恵を受けることができる方も多い制度です。もちろん運用次第で元金保証が無いデメリットもありますが、早くから資産形成に慣れ親しんでいくことはこれからの時代にとても必要なスキルの1つでもあります。ボーナス分から、ぜひ資産運用デビューをしてみてはいかがでしょうか?以上、はぴマネレッスンvol. 49でした。©Melpomenem/Gettyimages©monkeybusinessimages/Gettyaimages※2017年8月7日作成
2018年11月26日年金の支給開始は65歳が原則だが、現在は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能に。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにする案が、今の国会で検討中だという。そのメリット、デメリットとは?経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。10月23日、自民党の小泉進次郎議員が、「生産年齢人口」の見直しについて発言しました。生産年齢人口とは、生産活動ができる現役世代のことで、今は15~64歳とされています。小泉氏は「18~74歳にしたほうが現状とマッチする」と述べました。ですが、生産年齢はさまざまな統計に使われる指標です。むやみに変えると、以前のデータと比較できなくなります。私は、軽々しく変えるものではないと思います。こうした年齢に関する定義の変更が持ち出される背景には、年金問題があるからでしょう。ひっ迫する年金財政をなんとか改善したい国は、今の国会で、次の2点を検討したいようです。1点目は、年金の支給開始は65歳が原則ですが、今は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能です。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにすることです。年金を繰り下げるためには、高齢者も収入が必要です。そこで2点目。今は、60歳以降も働きたい会社員は、全員65歳まで働くことができます。これを70歳まで延長することです。1点目の年金繰り下げは、老後資金を増やすための選択肢として、メリットのある制度だと思います。受給を1カ月先延ばしするごとに0.7%ずつ年金額が増えますから、1年先延ばしすれば8.4%、現状では最高の70歳からの受給にすれば、42%アップです。たとえば、国民年金の満額を受給するAさんだと、65歳からの年金額は年約78万円(’18年度)ですが、70歳まで先延ばしすると、年約111万円に増えます。今後、この制度が70歳以降に広がり、仮に75歳まで10年間の繰り下げが可能になったとすると、Aさんは75歳から、84%アップで年約144万円受給できることになるかもしれません。ただし、75歳までは年金がもらえないので、87歳より長生きしないと損になります。年金の繰り下げには、デメリットもあります。まずは、健康寿命との関係です。介護を受けず自立した生活ができる健康寿命は、女性が74.79歳、男性は72.14歳です(’16年・厚生労働省)。年金を元気なうちにもらって、有意義に使いたいという方が多いのではないでしょうか。また、厚生年金などで年金額が多い方が繰り下げると、課税対象になることがあります。せっかく増額されても、税金のほか、社会保険料などの負担も増えるので、課税ラインには注意しましょう。さらに、70歳まで働けたとしても、給与は定年前の半額以下になる方がほとんどです。自分の収入と年金額、健康状態などを考えて、選択してください。私は、70歳以降の年金繰り下げを選べる方は、それほど多くないと思います。それでも国が検討するのは、その先に、年金受給そのものを、現行の65歳から68歳などへと引き上げたいもくろみがあるからでしょう。人生100年時代などの言葉にまどわされず、政府の動きを注視しておきたいものです。
2018年11月09日