こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。R社との建築条件付きでの設計が始まりましたが、勝手に耐震等級や窓の枚数が決められており、「標準」を外れると「オプション」とされる家づくりに違和感ありまくりの鳥夫婦です。■ ローン仮申請のために作った外観図外観図といえば、ローン仮申請のために作った仮プランの際にもいただいていました。でも、あの頃はまだ建築条件付きの家づくりについて無知で、ネット上で見ていたようなスタイリッシュな家ができると思っていた頃。「この外観図って、設計ソフトで自動的に出力されるやつだよね?ローン仮申請のためのイメージ図だよね?」と本当に当たり前に思い込んでしまっていたのです。「まさか私達の家がこのようなデザインであるはずがないでしょ。あはは」って……。そして無事ローンの仮申請が通り、R社と契約を結び、保奈美さんとの家づくりが始まりました。1か月半もすると、鳥の言いなりの間取り・標準枚数に収められた窓・7枚以上の耐力壁などが加味された平面図(間取図)ができあがってきました。そしてそれと同時に外観図(パース図)も渡されたのですが……「えっ……まさか……本当に……この外観……なの……?」あまりの衝撃に、鳥は言葉を発することができませんでした。■ 鳥夫婦の希望する外観イメージ時は少しさかのぼり、保奈美(40代半ばだと思われる女性設計士さん)さんと初めてお会いした日。実は鳥夫婦からマイホームの「希望イメージ集」なるものをお渡ししてあったのです。それは、鳥が「素敵だな」と感じたネット上の画像を貼って、特徴を明記したもの。以下が外観についてのページでした。ここに記載されている通り、外観における鳥の希望はシンプルモダン四角いでした。白いシンプルな壁に、シンボルのように配置された窓……。今宵もその窓から、家人が今・ここで生きている証の灯がもれ……。道往く人々の心まで点すような、計算された美しさ……。ここまでは語ってはいませんが、「四角くてシンプルな外観にしてほしい」とは保奈美さんに伝えてありました。チンク / PIXTA(ピクスタ)設計部長さんとメールだけで設計したローン仮申請とは違い、今回は正式に保奈美さんと相談しながらの本設計です。住設機器などは決められた既製品で仕方がないにしろ、デザイン的な面は(既製品などないのだから)希望通りにしてもらえるものと思い込んでいました。そんな無邪気でバカだった鳥が、保奈美さんから外観図を渡されたときの衝撃をご想像いただけるでしょうか?さあ……、保奈美さんから渡された外観図は……、こちらです!何?この三流音楽家の髪型のような屋根……。何?この乳みたいにうつむいた正面の双璧……。また見るたび脱力したのは、「鳥さんが、四角い外観がご希望とのことなので……」と付けてくれたというこの立ち上がり壁……。(古い商店街に行くと、この立ち上がり壁のある建物をよく見かける)建築家物件を見て憧れてつけてもらった「横長の地窓」が、皮肉にも鳥の儚い憧れを思い出させるシンボル窓となってしまいました……。想像していたイメージとのあまりのギャップに、その日は落ち込みのあまり食欲をなくしてしまいました。(鳥)
2018年08月02日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。勝手に決められている「標準」内での設計、鳥の言いなりの間取り、目を疑うダサさを誇る外観図に、とうてい満足できるはずもない鳥夫婦。そしてコンサルさんの指示通り、断熱・シロアリ対策についても確認したのですが……。■ 断熱について問うコンサルさんから「断熱工法を教えてもらってください」との指示を受け、保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)に質問してみました。すると「グラスウール(重さ10kg・厚み75mm)を壁面に敷き詰める予定です」とのご回答。断熱材については主義主張によって評価が変わり、どれが優れているのかは一概に言えないようですね。ただいずれにしろR社の「グラスウール(重さ10kg・厚み75mm)」という選択は、「それが最も断熱性能に優れている」からではなく「最低限の性能を確保するための選択」だろうと思いました。耐震等級と同じく。保奈美さんに一応「断熱性能についても気がかりなのですが……」と伝えたのですが、「まあー、でも昔に比べれば、今の家は暖かいですよ」という返答だけ……。ちなみに今回の施工業者に決まっているT社は、「Tハウス」という高気密高断熱工法をウリにしている工務店でした。だったらそのご自慢のTハウス仕様で建ててくれれば良いものを、今回の仕様はそうはなっていない。保奈美さんに「Tハウス仕様にしてほしい」と頼んだところ、「Tハウスそのものは無理だが(理由はおそらく保奈美さんが設計できないため)、せめて断熱材はグラスウールからTハウス用の断熱材に変えてくれる」とのこと。も・ち・ろ・ん、オプションで。なんかさ、コンサルさんのアドバイス通り、「自分たちの要望をぶつけて、できる限り良い家にしていただく」べく対応してもらっても、根本的なツギハギ感が否めないのよね……。ジップアップのフリースを作るお店に行って、「ジップアップのフリースなんて嫌よ!」「フリース生地ではなくダウン生地に変えて!」「裾はロングに伸ばして!」と要望をぶつけて、無理やり仕立てさせているみたいな……。フリース用の型紙なのにダウン生地に変えてしまってズレは出ないのか?ロング丈に伸ばすのにジップアップのままで良いのか?だったら、はなからオーダーメイドのお店に注文した方がスムーズに仕立ててもらえますよね?まさにニーズと合わないお店に行ってしまったということです……。■ シロアリ被害の実体験またコンサルさんから、シロアリ対策についても確認するよう指示がありました。ちなみに、鳥の実家はRC造なのですが、築10年ぐらい経った頃だったかしら……、突然、階段の踊り場に大量の羽蟻が出現しました!第一発見者はまだ若かりし頃の鳥だったのですが、いつものごとく無防備な心持ちで階段を駆け上がったところ……、Tevarak / PIXTA(ピクスタ)この突然目の前に現れた「本能が拒絶する光景」に、「ヒィッ!」と短い悲鳴をあげました(「キャーッ」という悲鳴って、現実には出ないですよね)。それから毎年、春になると、律儀に階段の踊り場から出現するようになった羽蟻たち。あいつら、風の強い日に出てくるんですよね……。きっと風に乗って、明るい未来へと旅立っていくつもりなんでしょう。最初は怯えまくっていた鳥も鳥姉も、いつしか春の風物詩として慣れてしまい、羽蟻が出ても無言でキンチョールだの掃除機だので処理するようになりました。ちなみに今ではもう羽蟻は出ていないようです。RC造りでも断熱材の種類によっては喰われることがあるとのこと。もう羽蟻は鳥実家の断熱材を喰い終わったのかもしれません。■ シロアリの大好物「ホワイトウッド」が柱に!?さて、このような実体験があるために、鳥は人一倍シロアリを怖れていました。やっと見せてもらえた詳細仕様書によると、構造材の仕様は以下のようなものでした。コンサルさん曰く、この通し柱・隅柱・管柱に採用されている「WW」とは「ホワイトウッド」のことらしいのですが……なんとこのホワイトウッドは腐朽菌にも弱い上に、シロアリの大好物とのこと!(ホワイトウッドの産地はシロアリの生息していない北欧)にもかかわらず、国産の木材に比べて安価ゆえ、コストダウンのために数多く流通しているとのこと。R社もさすがに土台にまで採用することはしていませんが、「シロアリの大好物が柱に使われる家」なんて知ってしまった鳥夫婦の気持ちは、あえて書かなくてもわかっていただけますよね……。(鳥)
2018年07月27日たくさんの物件を見学して、オンリーワンの住まいが見つかったら、次は「住宅ローン」の申し込みです。住宅ローンにはいくつかの種類がありますが、どれを選ぶのが一番「お得」なんでしょうか?■ 金利の種類を知ろう!MaCC / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンの金利には、変動金利と固定金利の2種類があり、さらに固定金利には、一定期間の金利を固定する「固定金利特約型」と、完済まで固定の「全期間固定金利型」の2種類があります。ここでは全期間固定金利型についてご紹介します。まずはそれぞれの特徴やメリット・デメリットをみていきましょう。■ 「変動金利」ってどんなもの?変動金利のメリット変動金利の大きな魅力は、固定金利より低い金利設定です。「変動」と聞くといつも金利が変わって返済額が安定しないイメージがありますが、変動金利の仕組みを知ると、実はそうではないことが分かります。saki / PIXTA(ピクスタ)変動金利の場合、その利率は年2回(4月1日、10月1日)見直されますが、しかし、その都度毎月の返済額が変わるわけではなく、返済額は5年間一定となります。5年後、年2回ずつ見直された金利がトータルで上昇または下降していれば、それが返済額に反映されます。そこで大幅に返済額が増えてしまうとその支払いが困難になる場合もありますので、金融機関はどんなに金利が急上昇しても5年後の返済額は、「現在の返済額×125%」を上限にするというルールを設けているのです。変動金利のデメリットKY / PIXTA(ピクスタ)固定型より安い金利、返済額が5年間一定、125%ルールなど、メリットの多い変動金利ですが、デメリットもあります。さまざまなルールを設けていても、金利の上昇はやはりリスクです。たとえば金利の急上昇が続き、5年後の返済額を125%まで上げても、払いきれない利息が発生した場合、それは「未払い利息」となり、元金の残高が減らない・通常の返済が終了しても未払いの利息ローンが続く・ローン期間終了後に未払い分を一括返済しなければならない、などの可能性もあるのです。■ 全期間固定金利型の代表「フラット35」TOSHI / PIXTA(ピクスタ)全期間固定金利型住宅ローンの代表といえば、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している「フラット35」ですが、このローンにもメリット・デメリットがあります。フラット35のメリットフラット35の最大のメリットは全期間固定金利で返済プランが安定することに加え、融資利率が「低利」であることです。また、保証人が不要で保証料や繰り上げ返済手数料が無料なのも大きな魅力です。フラット35のデメリットさわだゆたか / PIXTA(ピクスタ)変動金利の基準金利は現在2.475%ですが、多くの金融機関では基準金利から-1.7%や-1.85%の金利を優遇し、実際の貸し出し金利は0.7%前後で推移しているのが現状です。フラット35の金利は2018年7月現在、返済期間15年~20年が1.290%、返済期間21年~35年が1.340%(融資割合90%以下、いずれも最頻金利)と、変動金利の倍近くで推移していて、この傾向が続くようなら最終支払総額は変動金利の方がかなり少なくなる可能性があります。makaron* / PIXTA(ピクスタ)また、多くの金融機関ではフラット35の融資にあたり融資手数料を徴収しており、それを融資金額の2%前後に設定している金融機関もあったりします。保証料無料のメリットをうたっているフラット35ですが、融資手数料がかかることでその分が相殺されてしまっているのです。■ 結局、お得な住宅ローンはどれ?日本銀行の公表データによると、変動金利の基準となる短期プライムレート(企業向け最優遇貸出金利)は1.475で、2009年1月から変わっていません。さらにさかのぼって1995年までの短期プライムレートを見ても最高で1.875(2007年3月~2008年11月)となっていますのでその変動幅は大きくありません。変動金利型住宅ローンの基準金利は短期プライムレートに連動しており、その短期プライムレートが約22年という長い期間あまり変動していないことを考えれば、融資実行金利が0.7%前後という超低水準で推移している変動金利型住宅ローンが「今なら」お得といえるかもしれません。しかし、この短期プライムレート、1990年にはなんと「8.25」まで上昇したこともありますので、変動金利を選ぶリスクがゼロではないことも覚えておきましょう。Naoaki / PIXTA(ピクスタ)金利上昇のリスクを「最重要視」するなら全期間固定金利型住宅ローン以外に選択肢はありません。「どっちがお得か」だけではなく「自分に向いているのはどちらか」を考えて住宅ローンを選びましょう!
2018年07月24日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。コンサルさんを黒幕に据え、建築条件付きの家づくりを少しでも良いものにしてもらおうと積極的に働きかけている鳥夫婦です。■ 耐震等級を上げるにはいくらかかる?すると保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さんのことです)曰く、「それはちょっと……難しいですね。最初にご説明した通り、構造計算は一度しか行いませんので」とのこと。コンサルさんの入れ知恵通り、「え、いまどき、手計算というわけではないですよね?専用ソフトで自動的に出るのですから、ざっくりで良いので、それぞれの等級で計算して、どのくらいのコストが上がるのか教えてほしいのですが」と再度頼みました。しかし一旦持ち帰った保奈美さんから、数日後に改めて「やっぱりできません。構造計算を等級ごとにするなんて聞いたことがないです。でもコストがわからないと決められないというのはあると思いますので、本当にざっくりですが、仮の追加コストをお渡ししますね」という回答とともに、以下のようなオプション見積書を渡されました。耐震等級を3にするには200万円もかかるんだ!?しかも「これはあくまで仮なので、実際に等級を上げるとなったら、これ以上かかる可能性があることをご了承ください」とのこと……。実際に耐震等級3でお願いし、契約してしまってから「やっぱり500万円アップでしたー。テヘッ」などと言われたら困ります!!何十年も暮らすことになる家が耐震等級1で良いのか悩みましたが、このような状況で、耐震等級を上げる意思決定はできませんでした。■ 鳥夫婦が家づくりに求めたもの結局中途半端な結果でしたが、少なくとも「今回耐震等級を上げたいとなったら、最低でもこのぐらいお金がかかる」ということがわかり、「だったら耐震等級1のままで良い」という意思決定をすることができました。コンサルさんの入れ知恵がなければ、鳥夫婦は耐震等級のことなど知らないまま、耐震等級1で建てられていたことでしょう。このように「自分達が認識しないところで勝手に進められる」という状況が、すごく嫌でした。予算が低いのはこちらの問題なので、どうせ最終的に一番低い仕様を選択するかもしれない。それでも「自分達がわかったうえで選択した」というプロセスを踏みたい!R社との建築条件付きの家造りは、このように、自分達が無知であることの漠然とした不安がつきまとうものでした。■ 標準・オプションって何なのさ!?保奈美さんが設計中によくしていた仕草は、1階の耐力壁の数を数えることと、全体の窓の数を数えることでした。耐力壁について数えていたのは、耐震等級1を確保するためです。そして窓について数えていた理由は、最初はわからなかったのですが、あるとき、「1、2、3枚……、うん、この枚数だったら大丈夫ですね……」とつぶやいていたことから、標準仕様の枚数を超えないかどうか確認されていたのだとわかりました。実は、窓は鳥夫婦の家造りにおける優先順位の3位に上げられます。それほど重要なポイントであるのに、知らないうちに勝手に決められた標準に合わせて、枚数・サイズ・形が合格か不合格か判断されている(不合格だとオプション判定される)。だからこちらから何も言わないと、バルコニー面には掃き出し窓、その他にはやや長方形の引違い窓が自動採用されてしまうのです。ネットで建築家物件を拝見しながら「素敵だな~」と思っていた、上げ下げ窓・横長窓・横長の地窓・肘掛窓の数々は一切提案されない。当然、鳥夫婦のライフスタイルに合わせた窓の提案など、ひとつもない。このことに、とにかく強い違和感を感じました。(鳥)
2018年07月19日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。庶民にとって人生をかけた買い物なのに適当なことを言うR社社長、職人気質が感じられない設計士保奈美(40代半ばだと思われる女性設計士さん)との家づくりで、気持ちが萎え萎えの鳥夫婦です……。■ 土地の諸条件今回、鳥夫婦が契約した土地は、約20坪北側接道(北向き)北側以外は全方位が隣家に囲まれているという住宅密集地の狭小地です。1階の陽当りなど期待できません。いわゆる「ヨンパチの東南角地」等を希望される方々からは、敬遠される物件でしょう。でもありがたいことに(?)鳥夫婦は陽当たりや角地にこだわりがありませんでした。人それぞれの好みでしょうが、鳥夫婦が譲れなかったのはとにかく立地!陽当たりが悪い・狭小3階建て・隣家が近い・旗竿地などは、とにかく立地さえ好みであれば気になりませんでした(でも極端すぎて資産価値が低いのはNGです)。■ 狭小地でも南向き角地って良いものなの?日本人は南向きを好むのため、北向きの土地やマンションは価格が安く設定されますよね。北向きでも全くかまわなかった点も、鳥夫婦が安く土地を手に入れられたポイントだったと思います。新居は、3階南向きの一番良い部屋をパソコン部屋としたのですが、明るすぎて眼やフローリングを傷めるので、日中はブラインド閉めっぱなしです。結果として、窓をたくさん作った北向きリビングよりも暗くなっています。また狭小地となると、南向きの土地は(北側斜線のため)家が半地下になってしまうケースもあります。土地探しをしている時期、ある仲介業者さんから、「昨今のゲリラ豪雨で、半地下の家の被害が増えているんですよ。だから弊社としては半地下の物件を積極的にはお勧めしていません」と教えてもらいました。それ以来、カビ恐怖症の鳥夫により「半地下は対象外」となりました。あと角地も、狭小地の場合はデメリットになりえます。家のすぐ横が道路になるので、窓から通行人の気配がするでしょうし、散歩中のお犬様にマーキングされるリスクがあります。ということで、狭小地の場合は一概に「南向き」「角地」が良いとは限らないと思っています。それでも、鳥夫婦が購入した土地と同時分譲された南向き角地は、鳥夫婦の土地よりも坪数も少なく・変形地・家は半地下という条件にも関わらず、土地代が15%も高く設定されていました。日本人の「南向き信仰」が良く表れているなあと思いました。■ しっかり勉強してから契約しましょう……さて、保奈美さんとの設計の話。3F(不安・不信・不快)に満ちた悪夢の家造りとなってしまい、「ああ、もう、止めたい、逃げたい……」と本気で思いました。しかし、コンサルさんから「とにかく3か月間は白紙解除のことを考えずに、真剣に取組みましょう」と言われているので、なんとか踏ん張って保奈美さんと作業を続けました。それでもやはり根本的な諦めモードは否めず……。保奈美さんに伝えた間取図への要望は、その後の注文住宅の建築士さん相手に伝えたことの30分の1ぐらいでしたかね……。でもこの状況って、別にR社や保奈美さんが悪いことをしているわけではなく、R社の今回のサービスと鳥夫婦のニーズが合っていないだけなんですよね。強いて言えば、家づくりの勉強もせずに無知な状態で建築条件付きの土地契約をしてしまった鳥夫婦の責任です……。いや……。そうではないな……。ほら、あの場には、悪意(法律用語)の第三者がいたじゃないか……。そう。営業Sさん、お前だーーーー!!Sさんなら「鳥夫婦の要望的には建築条件付きではない」とわかっていたはず。にもかかわらず、そのことを鳥夫婦に教えてくれないまま契約させました。マイホームは人生にダメージを与えかねない高額な買い物なので、ほんと自分たちが勉強して身を守らないといけません……。(でもSさんには後々良い仕事をしてもらえることになるので、恨んでいません・笑)そして、この打合せの数日後、保奈美さんからメールで最新の間取図が送信されてきました。その間取図をコンサルさんに転送して見てもらったところ、「いろいろ質問や伝えたいことがありますので、電話で打合せを」という返信が送られてきました。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年07月12日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。自分達の希望から全くかけ離れた規格住宅仕様の設計をしなければならない状況になってしまい、コンサルさんを黒幕に据えて、なんとか理想イメージに近づけようと奮闘する鳥夫婦です。■ 自分たちの無知を思い知る保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)謹製の間取図を、さっそくコンサルさんに転送して見てもらった鳥夫婦。コンサルさんから次々とツッコミが入りました。「1階・2階・3階で、水回りの位置が見事にバラバラですねえ。揃えた方が建築費も安くなりますし、後々のトラブルにも対応しやすいですが……。このままで大丈夫ですか?」「工法はおそらく在来工法ですよね。ところで耐震等級はどうなっているのですか?」「断熱はどう取るのでしょうか?」「柱に使う木材の種類は聞いていますか?太さは?」「白アリ対策は? おそらく防蟻処理された木材だと思いますが、木材の種類は何になりますか?」「とにかく早急に詳細仕様書と矩計図をもらうようにしてください。それを見れば大体わかるので」素人の鳥夫婦にはちんぷんかんぷんなことばかり。初めて耳にする専門用語も……。コンサルさんからの質問にほとんど回答できなかったことからも、いかに鳥夫婦が無知なままR社任せの家造りをしているのかが良くわかりました。■ 家づくりについて勉強スタート!さあ、これから、少しでも良い家を建ててもらえるように、R社に働きかけてゆかねばなりません。しかし、あくまでコンサルさんは黒幕であり、保奈美さんに質問や依頼をするのは鳥夫婦です。コンサルさんの受け売りのままだとおかしい。ニートのお兄さんに、親戚の幼稚園生が「はたらいてこそ、いちにんまえなんだよー!!」とか言うようなものです。ということで、まずコンサルさんから聞いた内容を自分達が理解しなくてはなりませんでした。もちろんコンサルさんは解説・説明をしてくれますが、初めて聞く専門的な話を一度聞いたぐらいでは理解できません。それからは、コンサルさんにアドバイスいただいた後にまずネットで調べて理解し、理解できたら保奈美さんにお願いするのが日課となりました。白紙解除までの3か月間、このようにコンサルさんに報告相談コンサルさんから指示を受けるまずはお勉強して理解する保奈美さんにアクション保奈美さんから対応受けるコンサルさんに報告相談というプロセスが繰り返されましたが、工法だの断熱だのの話がこみあってくるごとに鳥はついていけなくなり、脱落……。最後はほとんど鳥夫がやってくれました(鳥夫は設計の中身に興味が持てて楽しかったようで、助かりました)。鳥はとりあえず「親戚にもう定年した建築士のおじさんがいて、いろいろアドバイスをくれる」という嘘をつき、「白蟻ガー!!」「耐震ガー!!」「見積りガー!!」「矩計図ガー!!」と騒ぐ、心配性な奥様の役をこなしていました。■ 耐震について問うそんなある日、コンサルさんから「耐震等級はどうなっているのですか?」と聞かれました。鳥夫婦「耐震……等級?すみません、ちょっとわかりません……。ただR社の設計士さんが、”東西に壁が7枚はほしいので”と言いながら壁の数を増やしていましたが……。とりあえずそれも聞いてみますね」そしてまず耐震等級について調べてみました。耐震等級1:建築基準法レベルの建物強さ耐震等級2:建築基準法の1.25倍の建物強さ耐震等級3:建築基準法の1.5倍の建物強さとのこと。要は最低限でも耐震等級1になるようですね。そして保奈美さんに聞いてみたところ、「今回の仕様は耐震等級1で設計しています」とのご回答。え、そんなこと、初めて聞きましたよ……。そういうことも勝手に決められているのですね……。それまで耐震等級のことなんて全く意識になかったくせに、知ってしまったら気になります。「建物強さが1.5倍になったからといって安全なのか?」という根本的な疑問もあり、自分達が耐震等級を高めたいかどうかもわかりませんでしたが、タダで耐震等級を上げられるなら上げてもらいたいものです。やはりお金の問題ということになります。そこで、コンサルさんからのアドバイス通り「耐震等級1、2、3の場合、それぞれでいくらコストが上がるのか教えてほしい」と保奈美さんに聞いてみました。(鳥)
2018年07月06日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。コンサルさんを黒幕に据えて、海千山千の業者(R社)相手に、建築条件付きでもなんとか質の高い、納得のいく家造りを進めようと奮闘し始めた鳥夫婦です。■ R社の女性設計士さん登場R社との建築条件付き家造りの、初回打合せの日。ローン仮申請のための間取図作成は、男性の設計部長さん相手にやり取りしました。しかし初回打合わせの日は、入室するなり鈴木保奈美様風の40代半ばだと思われる女性設計士さんを紹介され、「今後は彼女が設計を担当させていただきます」と伝えられました(以下、保奈美さんと呼ぶ)。保奈美さんはサバサバした感じで「それでは、あとは、もう大丈夫ですので」と言い、さっさと設計部長さんに退出を促しました。そして保奈美さんはおもむろに以下のスケジュール表を出し、今後の流れについて説明して下さいました。この表を見て、「えっ、たった1か月で間取り確定!?」と驚きました。また今回は3階建てのため構造計算が法律で義務付けられており、ついては専門の構造設計事務所へ外注しなくてはならないとのこと。「間取図が確定したら、これ以上は変更しないというサインをしていただきます。サイン入りの間取図で構造計算にかけます。構造計算は費用がかかるので一度しか行いません。もしどうしても二度以上行いたいという場合は、追加費用をいただきます。ただ他の区画の方々もいらっしゃるので、鳥夫婦さんだけ進みが遅れるというのはちょっと困るのですが……」と説明を受けました(追加の構造計算代は説明されなかったので不明)。■ 3F(不安・不満・不快)に満ちた設計スタートこのスケジュール表には「工事請負契約」という項目が明記されていませんが、白紙解約の期限を迎える3か月後までには締結させるためのスケジュールだったのですね。すでにローン仮申請のために間取図は作成してあるものの、あんなの、設計部長さんとメールのやり取りだけで、仕方なく急いで作っただけの代物です。この間取りなら私達は幸せに暮らせるという確信が微塵も感じられていないのに、あと1か月で間取図を確定させなければならないのか……!?「人生で二度とないかもしれない大きな買い物なのに、こんなんでいいの??みんなこんな短期間で決めているものなの!?」3F(不安・不満・不快)でいっぱいになりながらも、保奈美さんとの間取図作成が始められたのですが……。鳥があーだこーだと言うばかりで保奈美さんは言いなり状態!しょせん鳥は素人です。木を見て森を見ず状態になっているかもしれません。てっきり、鳥の自由気ままな要望を受け取りつつ専門家らしい現実的な意見や提案を加えてブラッシュアップしてもらえるものだと思っていたので、ほぼ鳥の言いなりになっているだけの保奈美さんに強い不安を感じました……。■ 悪夢のマイホーム設計それとなく鳥夫が聞いてくれました。「土地契約の際に社長から”注文住宅のように建てられる”と言ってもらえたのですが、何かお話は聞いてらっしゃいますか?」保奈美さん「え?それはちょっと聞いていない……ですね……。鳥夫婦さんのところも今回の仕様で建てるのだと聞いておりますが……」鳥夫婦「……」庶民にとっては人生をかけた大きな買い物なのに、適当なことを言う社長。一級建築士の資格はあれど、職人気質が感じられない保奈美さん。どうせ注文住宅に変えてもらったとしても、信頼感の感じられないこのR社に設計してもらう限り、不安な家造りであることに変わりはない。しかも前回の適当な間取図による見積りですでに2,200万円に達しているのに、さらにお金がかかるであろう注文住宅に変えるなど、もう現実的に無理です……。「ああ、もう、止めたい、逃げたい……」この頃の鳥夫婦にとって「夢のマイホーム」という言葉は、「悪夢のマイホーム」という意味でしかありませんでした。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年06月22日気に入った物件が見つかり、いざ「契約に進もう」とする前に不動産業者(仲介業者等)から住宅ローンの事前審査を促されることがあります。実はこの事前審査がとても重要で、この事前審査が通ればかなりの確率で本審査も通ります。まずは、「事前審査」の具体的な内容と審査を通過するポイントを解説。また、事前審査が通過しない人の共有ポイントもあわせてお伝えします。■ 事前審査でのポイント1. 「審査金利」euro/Pixabay住宅ローンの事前審査で金融機関がチェックするポイントはまず、年収に占める返済額の割合である「返済比率」です。この返済比率の算出方法は金融機関によりさまざまで、多くの金融機関は実際に適用される金利で返済比率を算出するのではなく審査のために設定した金利(審査金利)で算出した返済額によって審査します。例えばA銀行の住宅ローン金利適用が1.5%だとしても、その審査金利は3~4%等と「高く設定している」場合が多いのです。freeangle / PIXTA(ピクスタ)そのため住宅ローンのパンフレット等に「返済比率20%以内であれば融資可」と記載されている場合に、実際の適用金利で算出した返済比率はその範囲内であったとしても、審査金利で算出した返済比率はそれをオーバーしている場合があります。事前に返済比率を確かめたい場合は、利用したい金融機関の審査金利を不動産業者を通じて確認してください。ネット上には無料で利用できる「返済シュミレーション」のサイトがたくさんあり、そこで各項目を入力すると返済率を自動的に計算してくれるものもありますので一度利用されてみてはいかがでしょうか?■ 事前審査のポイント2. 「個人信用情報」money/pixabay事前審査のもうひとつのポイントは個信(個人信用情報)です。これはローン借り入れ時などに利用される情報(クレジットカード等の借入状況、借入金額、最終返済日等)ですが、ここでの審査基準も金融機関によってまちまちです。一般的には既存の借り入れが多額であったり、返済金の延滞が続いているような場合はここで落とされてしまう場合が多くみられます。最近は携帯電話を分割払いで購入するケースが増えており、この支払いが延滞するとその履歴が登録されることもあるようです。この個信が心配な方は、次の3つの個人信用情報機関でそれぞれ個人情報の開示請求ができますので各ホームページでその方法等を確認してみてください。(株)シー・アイ・シー全国銀行個人信用情報センター (株)日本信用情報機関■ ローンが通らない人に共通している3つのことこれまで住宅ローン申し込みのお手伝いをさせていただいたなかで、事前審査・本審査ともに通らなかった(通りにくかった)のは下記のような人です。1.クレジットカードをたくさん持っているSatoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)意外と知られていませんが、キャッシング機能がついているカードの場合、そのカードを持っていれば「いつでも」キャッシングが可能です。なので、実際に借り入れしていなくても借入金があると判断され、既に借り入れをしていることと同様の評価となってしまう場合があります。2.高額なカーローンが残っているmuku / PIXTA(ピクスタ)カーローンの返済金額は住宅ローン審査時の「返済比率に組み込まれてしまう」ため、高額なカーローンの残債がある場合、住宅ローンの審査にはかなりのマイナスになります。3.現在借り入れ金等がある場合、その内容をあまり把握していない、もしくは正直に申告しない住宅ローン審査の申込書には、現在の借り入れ金等を記入する欄があり、ここに正確な記入がされなかったり、その内容を正直に申告しないと審査が通りづらくなる場合がありますのでご注意ください!money/pixabay住宅ローンは金融機関ごとに審査の基準があり、その内容は不動産業者がおおまかに把握しているはずなので、物件の情報だけでなく、住宅ローンについても分からないこと・不安なことがあれば不動産業者に相談されてみると良いと思います。
2018年06月19日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。自分達が契約した「建築条件付き」というものが、「土地代を安く見せて客寄せし、上物の建築費で土地の利益分も取り戻す手法」だと知って、一気に落ち込んだ鳥夫婦です……。■ 一度会ったきりのコンサルさんに連絡を取ってみたマイホームは、一庶民には人生をかけた大きな買い物です。「安い買い物でもない」「おそらく上物の質は期待できない」「鳥も四ツ谷を忘れていない」となったら、もう白紙解約という文字が浮かびました……。「でも白紙解除ってそう簡単にできるの?たくさんの人の時間と労力を使って契約までしておいて、自分たちの都合でキャンセルできるの??それなりの理由がないと先方も納得しないんじゃないの???」不安に駆られた鳥夫婦は、あれから事後報告もせず放置してしまっていたことに罪悪感を感じながらも、あのコンサルさんに相談してみることにしたのです。メールしてみたところ、すぐにネット電話で相談にのってくれることになりました!建築条件付きの意味がわからないまま、土地を契約してしまった無知な素人の鳥夫婦では、どんな質の家なのかさえわからないいざとなったら白紙解約したいが、海千山千の業者相手に解約できるか不安などと説明し、サポートをお願いしたのですが、難色を示されお断りされてしまいました……。でも何千万円という人生かかった契約を締結してしまい、追いつめられている鳥夫婦。なんとか喰らいついて、「今回の家がどういう質のものなのか教えてもらえるだけで良い。あとは自分たちで意思決定するので!」と頼み込みました。するとやっとコンサルさんが「R社に恨まれるのは困るので、私の名前は決して出さずに黒幕のままでよければ、鳥夫婦さんの家造りの知識の一助にならせていただきます」と、サポートを引き受けてくださることになったのです!■ コンサルさんからのサポートメールそしてR社との初回打ち合わせの前日に、コンサルさんから以下のようなメールが届きました。*************************************明日以降の先方との打ち合わせについて、付け加えさせていただきたいことをお送りいたします。2点ございます。ひとつは、期限の日まで時間がありませんので、積極的に働きかけて、可能な限り打ち合わせを行うようになさってください。理由は工事契約前に、どの程度詳しい実施設計図と仕様書を出してもらえるか、わからないからです。そしてもうひとつは、(現時点では)あまり先方を追い詰めないよう、心がけながら進められた方がよいと感じております。私も付いておりますから、どうしても強気に出たいと感じる場面が出てくると思いますが、そこはグッとこらえて、先方を上手にコントロールするつもりで進めて行きましょう。なお、その場で即答してはいけないと感じたものについては一旦持ち帰り、ご質問くださいませ。これからお二人は大変な思いをされると思いますが、私は鳥夫婦の家づくりを楽しませていただくことにいたします(笑)。-追伸-「どうしても納得が行かない」ということになるまで、白紙撤回のことは一切考えず、工事契約するつもりで進めて行ってくださいね!*************************************■ コンサルさんを黒幕にして家造りスタート建築条件付きのからくりについても契約後に知ったほど情けない状態だったので、このように家造りのことを十二分にわかっている専門家がバックについていてくれるのは、非常に心強い思いがしました。それからは、R社との打ち合わせをしてはその内容をコンサルさんに話し、R社の家造りの思惑や甘さを解説してもらったり、次の対策を指示されたりするという日々が始まりました。初めてお会いしたときのように会話の中で引っかかるものはあれど、助けられることの方がよほど多く、「コンサルさんが居てくれて、本当に良かったね(泣)」と夫婦で日々感謝していました。メールにある通り、あくまでも契約するつもりで取り組むよう指示を受けてはいましたが、当然ながらコンサルさんはR社の家造りに批判ばかり……。たまにコンサルさんの口から「こうしてR社とやり取りしている内容は、決して無駄にはならないですから」「この家で、本当に良いのですか?」という本音めいた言葉も漏れていました。おそらくコンサルさんは、「鳥夫婦さんの性格で、建築条件付きでの家造りに満足できるはずがない」「この土地は白紙解約して、新たな土地に注文住宅を建てることになる」という見通しを持っていたのではないかと思います。(鳥)
2018年06月15日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。帰宅ラッシュの終わっていない中央線に揺られながら、「四ツ谷に注文住宅を建てる夢が忘れられない……。まさにマリッジブルーという感じ……。大好きな人以外と結婚するのが怖い……」と泣いて告白した鳥です。■ 好きではない土地と結婚する恐怖土地契約って結婚にそっくりですよ。今後の長い長い暮らしのなかで、自分が日々なにを感じて生きてゆくのか、相手からの影響は計り知れません。人それぞれ感じ方は違うと思いますが、鳥の場合は相手の将来性や条件などは二の次で、とにかくその時好きな人とじゃないと絶望してしまいます。大好きじゃない人と結婚するなんて……、ううう、もう怖くて怖くてしょうがない。普段からしばしば「もし自分がどこかの小国のお姫様で、お国のために別国の王子と政略結婚させられたとしたら……」と妄想しては、「ううう、どうしよう、絶対イヤだ……!」と無駄に苦しんで遊んだりしているぐらいです。この時はとにかく四ツ谷が大好きで、「四ツ谷≒幸せな未来が待っている」と思い込んでいました。整形地・破格・車庫も作れる・駅近・スーパーも便利という西新宿の土地の方が条件的には良いことはわかっているのに、鳥夫婦の予算では傷物の土地しか望めない四ツ谷に惹かれる心を忘れられなかった。でも自らの足でY社に行き、自らの手でたくさんの書類にハンコを押してしまった……。そんな状況に追い詰められていました。そんなときに鳥夫から「どうしたの?嬉しくないの?」と問われ、人目も憚らず泣き出してしまったのです。■ 鳥夫の反応マイホームは、夫から妻への愛のプレゼントです。こんなに大きな決断をしたのに、肝心の妻が喜んでくれないことに、いつも温厚な鳥夫もさすがに感情を露わにし、「なんでもっと早く言わないの!今更どうするんだよ!」と怒りをぶつけてきました。鳥はボロボロ泣きながら、「自分でもどうしたらいいかわからなかった。あそこがすごくいい土地だとよくわかっている。私だって新宿は大好きだし、あそこに地縁があるとも感じているし。あとは私の四ツ谷への執着だけ。私の気持ちだけが流れに逆らっているだけじゃない。それがわかっているから、早く気持ちを変えようと思っていたけど、そう簡単に気持ちが変えられなくて…。でも白紙解約の期限まで3か月あるから、その間にまた気持ちも変わっていくかと思って……」と説明するしかありませんでした。優しい鳥夫はすぐに鳥の告白を受容してくれましたが、それでも感情を押し殺しながらの抑揚のない声で「まあ、いざとなったら白紙解除できるから……。どうしても四ツ谷が良かったらやめればいいし……。でも、そう簡単に白紙解除ってできるものなのか不安だけど……」と言いました。■ 建築条件付きのからくりを知る契約が済むと、家造りについてほとんど勉強ができていないままに、すぐに建築条件付きでの家造りが始まりました。すでに住宅ローン仮申請のための間取図作成において、住宅性能の話はなかった建材の説明はなく、住設機器などの説明しかなかった標準仕様が決められていて、それ以外はオプション料金一式見積書しかもらえない間取りの相談しかされなかったという違和感を強く感じていました。そして建築条件付きの家造りについて調べて行くうちに、「建築条件付きとは、土地代を安く見せて客寄せし、上物の建築費で土地の利益分も取り戻す手法」だということを知ったのです!建築条件付きの物件に対して「土地だけ売ってもらいたい」と頼むと、1~2割の利益を上乗せされることが多いとのこと……。多めに見積もって2割だとすると、鳥夫婦が契約した土地は、3,500万円 × 1.2 = 4,200万円となります。まだこの付近の土地相場(ネットからの公開物件)に比べれば安いですが、鳥夫婦が契約に踏み切った理由である「破格感」「掘り出し物感」はない……。しかも、これから「実は見積金額よりよっぽど品質の低い家造り」が始まると思うと、もう、もう、暗い未来しか描けなくなってしまいました……。(鳥)
2018年06月12日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。破格の土地価格(※ただし建築条件付き)の契約を迫られ、「100万値引いてくれるなら契約するけどォ」とSさんのシナリオに黒いインクを落とした鳥です。※過去の記事を読む■ やり手Sさんの活躍ネットから得られる公開物件相場よりも、もともと坪40万ほど安かったので、鳥も内心「無理かなー」と思っていました。でも少しはこっちのためだけに動いてもらわないと!鳥ばかり妥協させられている犠牲感がぬぐえないし!さて、そんな鳥の挑戦状に対し、やり手の営業Sさんはどうしたかというと…縦横無尽に飛び回り、獅子奮迅の働きを見せて、非公開物件&安価だった物件にもかかわらず、なんと80万円値引きを獲得して来やがった。その方法とは、隣の分譲区画もY社が仲介中。しかも別の営業くん(若造)が担当今回の物件はベテランSさんの伝手で持ってきた話だから、その営業くんに「値引きはさせるなよ」とプレッシャーをかける売手R社に「隣の区画は決して値引きさせないので、なんとか鳥夫婦の区画は値引きしてくれないか」と頼み込むR社の社長と懇意の上司にも同行してもらい、何度も頼み込むというものでした……。どこまで本当の話か分かりませんが、80万円値引きを獲得してくれたのは事実です。ハラハラしていた鳥夫、さらに大喜び!■ 土地契約に運命を感じる人は多いここまで来ると、なんか変な感覚が生まれました。鳥の意思で決めるものではない感じ。川面に浮かぶ一葉のように、抵抗してもくるくると乱れるだけで、結局、地縁のある土地へとつながれてしまう感覚。思わず、空に向かって問いかけました。「ねえ、運命って決まってるの?」あとは鳥の気持ち次第。困ったことにすぐには「四ツ谷がいい」という気持ちに変化がありそうにない。でもこんなに強く「流れ」を感じているのに拒絶する勇気もない。「建築条件付きだから、いざとなったら白紙解約できるし……。とりあえず、とりあえず今は、契約しよう……」運命に抗う勇気も持てない鳥には、最終意思決定を先延ばしにすることが精一杯でした。■ とうとう土地契約!土地契約の日。退社後に鳥夫と待ち合わせ、Y社へと向かいました。Y社には、すでにR社の社長がお待ちになっていました。営業Sさんと宅建主任さんが横につき、淡々と契約締結のプロセスが進められていきます。現金で持参した分厚い手付金もお渡ししました。鳥夫が、たくさんの書類に氏名を書き込んでは、印鑑を押し続けます。契・約・締・結。事務作業が終わり手持無沙汰の雰囲気が流れると、どちらかともなく会話が始まり、話は家の設計に。鳥夫が「妻は注文住宅のような家が希望なので、そこだけが気がかりなんですが……」と伝えてくれました。するとR社社長は「うちは注文住宅も手掛けていますから!やれないことはないと思っていただいて大丈夫です!なんでしたら注文住宅専門の部署の設計士もいますので、もちろん料金はかかるのですけど、そちらに設計させることもできますから!」とニコニコ笑いながら言ってくれました。家造りの勉強をしていくにつれて、徐々に建築条件付きへの不安も強くなっていた鳥。社長の言葉を聞いて心底ほっとし、思わず「あ、そうなんですか……。良かったあ」と漏らしました。しかし後に、この社長の言葉は何の意味もなかったと思うことになるのですが…。■ まさにマリッジブルー!?Y社を後にし、電車で帰る道すがら。鳥夫は、大きな決断をした夜に興奮しています。山と川に囲まれる自然豊かな地方に生まれ育ち、毎晩のように「オールナイトニッポン」を聴きながら恋い焦がれた東京。その憧れの東京に、狭小地ながらも一国の主となれたのです。こうして多額のローンを背負う覚悟を決めるまでに、鳥夫もたくさん怖れの感情を越えてきました。その一方で、いまいち浮かない顔の鳥……。実は、鳥は「四ツ谷がいい」という本心を鳥夫に話せないままこの日を迎えていたのです。間取図作成・ローン審査・契約締結などなど、それなりに前向きな姿勢がないと進められなかったので、鳥自身も自分の気持ちに蓋をして走り続けてきたのです。いつも喜怒哀楽のはっきりしている鳥が、いまいち歓喜していない様子を見て、鳥夫が尋ねました。「どうしたの?嬉しくないの?」その一言を聞いて、堰を切ったようにぽたぽたと大粒の涙が流れ落ちました。「四ツ谷に注文住宅を建てる夢が忘れられない……。まさにマリッジブルーという感じ……。大好きな人以外と結婚するのが怖い……。将来が見えない……」まだ帰宅ラッシュの終わっていない中央線のなかで、鳥は泣きながら告白しました。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年06月05日建築家との家づくりが始まりました。しかし、8か月間も家賃と住宅ローンの二重払いが発生し、なぜこのようなことになったのか。契約から引き渡しまでの具体的なスケジュールなどを確認したところ、その理由が見えてきました。■ 契約から引き渡しまでの具体的なスケジュール実は、住宅ローンと家賃の両方を払わなくてはならない期間が丸々8か月ありました。一体どうしてこんなことになったのか、当時の手帳や契約書などを元に、実際のスケジュールを振り返ってみました。2016年2月土地の契約2016年6月建築家と建築士業務委託契約2016年7月下旬確認申請を提出2016年10月確認申請の審査がおりる2016年11月下旬基礎工事開始2016年12月上旬上棟2017年4月下旬引き渡し改めて建築家との契約書を確認してみたところ、設計業務は2016年2月〜7月、工事管理業務は2016年8〜12月に行う、とあります。契約書にはガントチャートに落とし込んだスケジュールが添付されています。そこには、2016年2月…基本設計2016年3月…本見積もり・実施図面作成2016年7月末…確認申請提出7月末2016年8月上旬…着工2016年12月末…竣工とありました。これが建築家が立てていた当初の予定です。建築家、工務店それぞれと契約を交わした時点で、少なくとも3か月は家賃と住宅ローンの二重払いが発生することがわかっていました。また、工期が冬にかかるため積雪などで1か月程度遅れる可能性があることも覚悟していました。「二重払い、4か月くらいなら我慢できるしなんとかなる」と考えていました。ところが、その予想の倍の8か月もの間、家賃と住宅ローンの両方を払い続けることになるとは。思いもよらない大誤算でした。■ 落とし穴のその原因は確認申請と道路にあったそもそも確認申請とは?建物の建築には、さまざまな法律による規定があり、それらに適合していないと新たな建物を建てることはできません。これから建てようとしている建物=私たちの家が法律を遵守し、条件に適っているかどうかを確認するのが「建築確認申請」。構造耐力、最高や通風、防火や耐火、安全性、建物内の環境など建物本体に関わる規定のほか、用途、斜線制限といった高さ、容積率や建ぺい率といった大きさの制限、敷地と道路の関係といった建物と地域、周囲に関わる規定について審査されます。我が家の前には、未舗装の道路が通っています。時期はまだ未定ですが少し道幅を広げて舗装する計画があると、土地の購入時に不動産会社の担当者から聞いていましたし、それを見越して売り主さんが隣家との境界を仕切ってくれていました。未来の道幅は当初から図面に反映されていて、私たちも納得した上で土地を購入しています。それを踏まえて作成した確認申請の書類を提出したところ、役所から、図面に反映されている道路の件でもう一度土地の測量をしたいという申し出が。その測量を終えないと、確認申請の審査をすることができないという状況になってしまったのです。確認申請の書類は、建築家が8月の第1週目に提出してくれました。その後、役所の測量が終えるまでに約1か月。改めて確認申請の審査が行われ、さらに1か月。確認済証に記載の日付は10月31日。通常約1か月で審査を終えるところ、我が家の場合、3か月もかかってしまったのです。■ ローンの支払い開始日の確認を!私たちが利用した住宅ローンは、引き渡しの時に住宅ローンの支払いが発生するごく一般的な住宅ローンですが、6か月以内の引き渡しが必須。つまり、土地の契約から6か月を経過するとローンの返済がスタートするというものでした。確認申請で足止めされた上、さらに、予定していたクロスを発注したらメーカー在庫切れだったり、現場での打ち合わせで変更になったことなどが重なって、工期自体も1か月近く長くかかったため、2016年9月から竣工した2017年4月までの8か月間、住宅ローンと家賃の両方を支払うことになってしまいました。貯金を切り崩し、家計を切り詰めてやりくりしましたが、正直しんどかったです。土地と住宅を同時に取得するのはさまざまな面でメリットがありますが、ローンの内容によって、土地の売買契約から竣工までに時間がかかるようならそれなりのお金の準備が必要だということを痛感しました。我が家の場合、覚悟していた以上に大きな金額になり、「大変だ」「なんでこんな目に遭うんだろう」「お金がなくてしんどい」を順繰りに何度も何度も思い続けていましたが、喉元過ぎれば熱さを忘れるという単純さ(笑)。完成した完成度の高い素敵な家を見たら嬉しくて、すっかりゴキゲンに。私たち好みの家を見て、いろいろあったけれどやっぱり建築家に依頼してよかったと、大きな満足感を得ることができました。■ 審査が終わるまでの間にできることを確認申請の審査は概ね1か月で終わると言われていますが、そうは問屋が卸さないこともあるんですね。そして、審査が終わらなければ、具体的に家づくりは進めることは許されません。遅々として進まぬ家づくり。審査の間にできたことは地盤調査と地鎮祭だけと意気消沈していましたが、下を向いていても前へ進むことはできません。この間に、私たちが選ばねばならないシステムキッチンとユニットバスを見極めるため、ショールームへ出かけることにしたのです。次回は、選んで良かった設備、失敗したと感じている設備について、書いていきたいと思います。※【住宅ライターの家づくり】過去の記事を読む
2018年05月26日「お金を貯めなきゃ!」「節約しなきゃ!」という「やみくもな焦り」は、見えない敵にシャドーボクシングをしているようなもの。それよりも具体的な目標を見定めてみませんか?ファイナンシャルプランナー資格を持つライターの楢戸ひかるが、「お金の最初の1歩」をナビゲーションします。前回、「未来のわが家年表」は、人生という航海の羅針盤になることをご紹介しました。今回は、実際に年表を書いてみましょう。【楢戸ひかるの「お困り家計」の見直し術】 Vol.1 お金は「いくら」あれば安心? 貯まらない人の失敗パターンとは ■私の人生どんなことやりたい?最初に、「4月1日現在」の家族の名前と年齢を記入します。次に、「予定」や「やりたい」ことを書き出してみます。(表の二重線の上の部分だけ書く)今回はここまででOK。今日、思っていることは、来年になったらまったく違っているかもしれません。最終確定なんてしなくても、大丈夫! むしろ、できないことの方が多いでしょう。紙に鉛筆でデッサンするようなつもりで、とにかく「思いつくまま」に、思ったことを書いてみてください。 ●「未来のわが家の年表」の目的「未来のわが家の年表」を書く目的は、次の二つです。極端な話、年表を実際に書かなくても、「わが家の未来について考えてみるという時間を作る」だけで、最初は十分に意味があります。キチっと書くことなど意識せずに、心の中にある私(わが家)の未来の風景を、まずは紙にアウトプットしてみてください。1)「わが家の未来を考えてみる」という時間を作ってみること2)俯瞰(ふかん)の視点で、わが家の未来に起こるイベントの流れをイメージすること■「未来にかかるお金」を具体的に調べてみる次に、未来にかかるお金を具体的に調べてみましょう。「予定、やりたいこと」の下の部分に、書き入れていきます。これまで書いた部分が絵の下絵(デッサン)であるとしたら、「未来にかかるお金を具体的に調べて記入してみること」は、下絵に色をいれていくイメージです。 あるお金のプロから、こんな話を聞いたことがあります。私は元・銀行員として、およそ数千人の方たちに住宅ローン融資をしました。その私の経験から言えることは、「住宅ローン破綻が一番多かったのは、年収1000万円くらいの人たちだった」ということです。いいエリアに家を買い、子どもを私学に通わせる。ファッションにもお金をかけ、休みの日は外食…。そんな生活は、年収が1000万円あっても難しいのが現実です。でも、ご自身は『うちは年収が高いから、大丈夫」』と思ってしまうんでしょうねこのお話を伺って私が感じたことは、「お金のことは、『一般論』で考えては危ない」ということです。つまり「わが家は、そのお金を実際に支払えるのか?」ということを検証する必要があるのです。■お金の貯めどきは、「子どもが10歳まで」さて。ここまで話が進んでくると、息苦しさを感じる方もいるでしょう。「考えなければいけないのはわかるけれど、いまはまだ…」。そう思うのも当然です。じつは私のワークショップでも、この数字を書き入れる瞬間が、もっとも重苦しい空気が漂います。ワークショップ主宰者としては、「居たたまれない瞬間」です(笑)。ひさしぶりに体重計に乗る時のように、いやいや、それ以上に! 現実を直視するのは、誰にとってもしんどい作業です。でも、こんなふうに考えてみてください。「この数字は、いつか直面しなければいけない現実。それに早く気がつけて良かった!」と。いま、0歳の子どもは10年後には、10歳になり教育費が本格的にかかり出します。マネー業界では、「お金の貯めどきは、子どもが10歳のときまで」というのが一つの定説ですそうは言っても、出てくる数字は普段接している金額とは桁が違いますから、怖いし、不安にもなりますよね。そんなときは、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみるのも良いでしょう。「ファイナンシャルプランナーの知り合いがいない」という場合は、日本FP協会のWebサイトから相性が良さそうな方を探すのもおススメです。》日本FP協会: 「CFP®認定者検索システム」 ※CFPとは、ファイナンシャルプランナーの最上級資格です。次回は、「「節約」ではお金が貯まらない!? 貯まる人が持っている“口座”が存在する」です。「未来にかかるお金」をどう準備していくのか? を具体的に考えてみます。■楢戸ひかる プロフィールHP 「主婦er」 を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。【楢戸ひかるのワークショップ: お金のリビング 】
2018年05月22日人には聞きづらい共働き夫婦の世帯年収。また、どうやりくりしているかも気になるところですよね。ただ、収入によって使えるお金・出ていくお金も変わってくるので一概には言えません。それぞれの家庭の生活レベルによっても変わってくることだと思います。そこで今回は、さまざまな人たちのデータをもとに、共働き夫婦の世帯年収の平均や年収別の家計簿内訳についてご紹介します。 共働き夫婦の平均世帯年収は?まず初めに、共働き夫婦の平均世帯年収についてご紹介します。統計局の2017年の家計調査「妻の就業状態,世帯類型別1世帯当たり1か月間の収入と支出」で、共働き世帯(夫婦2人のみが有業者)のデータを見てみると以下のとおり。なお、世帯主の平均年齢は46.5歳です。平均世帯月収:578,909円世帯主の平均月収:441,141円配偶者の平均月収:137,767円これに12ヶ月を掛けると、平均世帯年収は6,946,908円と700万円に届かないくらいです。こちらはボーナスや賞与を含めた額なので、20%を差し引くと手取り年収は約555万円。また、世帯年収は住居・生計を共にしている全員の年収を合わせたものです。税金や保険料が差し引かれていない額なので、実際に銀行に振り込まれる額はもっと少なくなります。 世帯年収別の家計内訳次に、世帯年収500万円~900万円の、世帯年収別の家計内訳を見てみましょう。年収500万円の場合厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査の概況」によると、平均所得金額は545万 8千円となっています。年収と所得はちょっと異なるのですが、それでもおおむね平均額くらいと言うことですね。夫婦2人なので、単純計算で1人250万ずつ。正社員同士で共働きならば、この金額をクリアしているかたも多いのではないでしょうか。手取り年収としてはおよそ400万円で月33万円ほど。毎月の家計内訳住宅:9万9千円生活費(保険・小遣い等含む):19万8千円貯金:3万3千円年収500万円で住宅ローンを借りようとすると、毎月約6万円の返済(35年ローン)で2500万円ほど借りられると言われています。ただ、35年後に何歳かという年齢を考慮する必要があります。年収600万円の場合冒頭で、共働き夫婦の平均世帯年収を694万6千円だとご紹介しました。共働きで世帯年収600万円はそう珍しくない金額だということですね。夫婦2人で割ると300万ずつ、手取り年収としてはおよそ480万円の月40万円ほど。毎月の家計内訳住宅:12万円生活費(保険・小遣い等含む):24万円貯金:4万円年収600万円で住宅ローンを借りようとすると、毎月約7万5千円の返済(35年ローン)で3,000万円ほど借りられると言われています。年収700万円の場合厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯の平均所得金額は707万8千円なのだとか。子育てにお金が掛かるということで共働き世帯が多いのと、晩婚化により30代後半など所得が増えた世代が多いのだと考えられます。夫婦2人で割ると350万ずつ。手取り年収としてはおよそ560万円の月手取り46万円くらいになります。毎月の家計内訳住宅:13万8千円生活費(保険・小遣い等含む):27万6千円貯金:4万6千円年収700万円で住宅ローンを借りようとすると、毎月8万5千円の返済(35年ローン)で3,500万円ほど借りられると言われています。年収800万円の場合1人で年収800万円を稼ぐ人は国税庁の調査によると2.7%ほどしかいません。ただ、夫婦2人で考えると1人400万ずつなので、共働き夫婦の世帯年収としては30代の平均程度。手取り年収はおよそ640万円の月50万切るくらいになります。毎月の家計内訳住宅:15万円生活費(保険・小遣い等含む):30万円貯金:5万円年収800万円で住宅ローンを借りようとすると、毎月10万円の返済(35年ローン)で4000万円ほど借りられると言われています。年収900万円の場合年収1000万円に届きそうな年収900万円。統計の2017年「年間収入階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出全国・二人以上の世帯のうち勤労者世帯」によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯の中で6.5%。世帯数としては少ないようです。ただ、配偶者の有業率が58.3%と半数以上なので、共働き世帯が多いよう。世帯年収による単純計算ですが、夫婦で1人450万ずつならクリアできます。手取り年収としてはおよそ720万円で、月60万くらいになります。毎月の家計内訳住宅:18万円生活費(保険・小遣い等含む):36万円貯金:6万円年収900万円で住宅ローンを借りようとすると、毎月11万円の返済(35年ローン)で4500万円ほど借りられると言われています。 世帯年収1000万円は目指せる?世帯年収が1000万円もあれば、生活がもっと楽になりそうですよね。シンプルに考えれば、夫婦で年収500万円ずつ稼げば到達できますが、共働きで世帯年収1000万円を目指すことは可能なのでしょうか。統計局の2017年「全国・二人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータを見てみると、世帯年収1,000万円~1,250万円の世帯は、二人以上の世帯・勤労世帯の約9%。なお、世帯主の平均年齢は50.1歳で、有業人員は2人、配偶者の有業率は62.8%となっています。少なくとも2人は働いていて、半数以上が共働きと言うことですね。妻が正社員ならば、目指せる金額ではありそうです。どんな生活?世帯年収1,000万円といっても、税金等が引かれるため20%差し引いて、年間の手取りは800万円くらいになると思います。贅沢な暮らしができる、とまではいきませんが、節約にあくせくすることはなく生活することができるでしょう。ただ、車や家のローン、子どもの人数や習い事などの教育費などを考えると、それなりに家計管理をしていく必要はありそうです、 一般的な目安で生活費や貯金額を紹介しましたが、通常住宅ローンや車、教育費などで生活費の増減があります。ご自分がどこに重きを置くのかで中身も変わってくると思うので、家計簿などで優先順位を付けて家族で話し合ってみてくださいね。ただし、必ず毎月一定の貯蓄額を確保するようにしておきましょう。まずはご家庭の世帯収入を調べてみて、現在の収入でやりくりしていくのか、さらなる上の金額を夫婦で目指してみるのかを話し合ってみてくださいね。 出典:家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表共働きで世帯年収1000万円の生活レベルは?住宅ローンや貯金事情住信SBIネット銀行平成28年国民生活基礎調査の概況平成29年賃金構造基本統計調査結果の概況
2018年05月14日近くには緑豊かな公園もある、東京都中野区の閑静な住宅街に位置するM邸。Mさんが19年前に建て替えた実家を、夫の母と同居するためにさらに二世帯住宅として工事費2,300万円(外装工事費・設計料・消費税含まず)でリノベーションしました。二世帯住宅の難しい点のひとつが、同じ家族でも年代が違えば個性もニーズも違うため、ある程度の譲り合いが必要になることではないでしょうか。しかしM邸は、両世帯ともに満足度の高いリノベーションになりました。設計・施工は、雑誌で見た事例が希望する雰囲気に近かったというフィールドガレージに依頼。打ち合わせでは写真を見せてイメージを伝え、お任せにした部分も多かったそうです。■ ゾーンを分けながらも、互いの様子が分かる程よい距離感リノベーションにあたって、まず考えたのは世帯のゾーン分けです。80歳を超える母のための居住スペースは、できるだけ負担が少なくなるよう1階東側にまとめることにしました。一方のMさん世帯は、夫婦と高校生の長男の3人家族。リビングと2つの個室があった2階を再構築することで住み分けをはかりました。玄関も世帯別に設けています。以前テラスだったスペースを利用した右側が母用の玄関で、手すりを設置。左側がMさん世帯用の玄関になります。玄関は別々ですが、両世帯は玄関ホールに設けた引き戸で簡単に行き来できる形になっています。■ こだわりの家具やアイテムに囲まれる空間を実現バルコニーからの光が気持ちいい吹き抜け周辺は、既存のまま生かしました。2階のMさん世帯は、独立したリビングとゆったりとしたダイニングキッチンを実現するため、2階にあった夫妻の寝室をロフトへ移動しました。既存床のカリンや梁を出した吹き抜けは生かしつつ、キッチンの天井などには新たに節の少ないオークを選んで使用し、「ミッドセンチュリー調の家具や北欧テイストが好き」という夫こだわりの家具がピタリとはまる空間に仕上げました。アイランドキッチンは海外のインテリア写真でイメージを伝え、壁面収納も含めオリジナルで造作したものです。キッチンの側面には、手持ちの棚を組み込んでいます。コンランショップで購入した大型のダイニングテーブルは、Mさんのお気に入りです。寝室をロフトに移動させたことで生まれたゆとりある空間に、見事にフィットしています。リビングは天井を黒く塗装し、アートやMさんが大切に使ってきたソファが引き立つ空間になっています。写真奥のブルーの壁に見える場所は、実は季節外の服の専用クロゼットです。ロフトへの階段はスケルトンとし、デザイン性と採光を重視しました。ロフトは季節によっては暑くて居住には向かず、以前は納戸にしていたそうです。寝室にするために窓やエアコンを設けるなどして居住性をアップしました。ロフトならではの天井の低さ、こもり感が、寝室らしいくつろぎを演出しています。トイレットペーパーのストック用に遊び心のある雲型ホルダーを選ぶなど、Mさんのセンスのよさは至るところに生かされています。以前は3か所に分けて収納していたという洋服は、2階西側にあった子ども室を丸ごとウォークインクロゼットとすることで解決しました。内部には可動式の棚を設え、部屋干し用のレールも設置するなど、使い勝手と収納量アップを実現しました。■ 家族全員が安心して暮らせるようにハード面を整える1階は既存のキッチンなどを生かしながら、母の生活に必要なものを効率よく配置し、将来の車椅子動線にも配慮しています。内部はすべてバリアフリーにし、手すりを設置。出入り口には、開閉時の負担が少ない引き戸を採用しています。1階西側には、以前は2階にあった子ども室もあります。長男が1階にいることで、気軽に母の様子をうかがうことができ、両世帯の安心にもつながっていると言います。本をたくさん持っている長男のために、子ども室には本棚を造り付けています。1階にはほかにも、Mさん世帯用の洗面・浴室もあります。洗面カウンターはオリジナルで造作したものです。家族が一斉に使う朝の渋滞解消のため、シンクは大型のものを採用しました。「リノベーションでやりたかったことが、全部できました」と話すMさんの表情からは、満足感があふれ出ていました。もっと詳しく見たい方は、ぜひ『住まいの設計2017年7.8月』も参考にしてみてくださいね。設計・施工/フィールドガレージ撮影遠藤 宏
2018年04月19日住宅コンサルタント兼住宅セカンドオピニオンである、寺岡孝さん著の最新刊『学校では教えてくれない!一生役立つ「お金と住まい」の話』を読んで、今後のライフプランニングに役立ちそうな内容をご紹介しています。最終回は、「保険」と「老後資金」の話を交えながら、住宅、保険など大きな買い物の際に必ずと言っていいほど遭遇する「ポジショントーク」についてです。kuro3 / PIXTA(ピクスタ)「貯金がしたい」「資産運用がしたい」「マイホームが欲しい」「安心な老後を送りたい」……。本書では、誰もが今もこの先も安寧な暮らしを送るために不可欠な「お金と住まい」の話について具体的にかつ分かりやすく教えてくれます。■ 様々な場面で遭遇する「ポジショントーク」は知識を持って対処をみなさんは「ポジショントーク」ということばを聞いた事ありますか。意味深な和製英語ですが「自分の立場で自分に有利(有益)になる発言」という意味です。もとは金融用語として使われてきたのですが、今は多くのシーンで使われています。sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)営業マンが自社の商品を売りたいがために本来比較すべきでない事例を引き合いに出して、論理立てて説明し、その論理に公平性がなくてもストーリーを成立させてしまいます。さもその商品が魅力的だ!お得だ!と勧めてくるのでついつい契約を結んでしまうのです。もちろん購入するのは自身の判断ですので、自分の選んだものに後悔なし!と胸を張れる人にはお節介な話に聞こえるかもしれませんが、自分にとって魅力ある商品はひとつではないこと。そしてどんな商品が自分にとって本当に魅力なのかは、家でも保険でも「仕組み」をきちんと知ることです。■ 「2人に1人はがんになる」のは80代以上の場合つい先日のことです。同世代で会社員の友人が「医療保険に入っていなかったから入った」というので、月額や詳細についてたずねてみました。ちなみに筆者は現在、掛け金の少ない医療共済保険に入っており月の支払額はとても少ないプランです。友人は筆者の2.5倍もの保険料を払っているので「結構高いね~」と言ったら「2人に1人はがんになる時代ですよ、言われて不安になって」と契約しました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)寺岡さんも本書内でまさに同じ事例を述べていますが、正しくは80代以上の場合「2人に1人はがんになる」のが実状です。大事な主語を隠してのポジショントークだよ!と、思わず言ってしまいました。会社員の方は、万が一病気になった時、会社の制度を申請して給与補償や見舞金を受け取れます。自営業でも高額医療費制度などの社会保障を申請すれば医療費は一定額を超えないので、医療保険は保障でまかなえない分を補えばよいという事です。保険は自分や家族の日常活動に見合ったものを選ぶのが大切です。Graphs / PIXTA(ピクスタ)例えば高額のオーディオや家電を買って長く使いたいと強く思う場合は、家電は地震や火災保険で補償対象にならないため、「家財保険」に加入したり、筆者のように日々の移動は自転車が多いという方は「自転車保険」の加入をおすすめします。活発な男の子の母親である別の友人は、「お年寄りが多い街に住んでいるので、万が一息子が年配の通行人に自転車で怪我をさせてしまったら」という事態に備えて自転車保険に入ったと言います。心配性になると、あらゆるものに保険をかけたくなりますが、何が必要かを吟味し、保険に回す分を貯蓄するという手も有効だなと思いました。■ ポジショントークで加入してしまっても、ローン同様「保険も見直し」できる上記では友人の例を引き合いに出しましたが、筆者自身もポジショントークに乗ってしまったことがあります。親から「貯蓄保険」はお得ということを聞き、筆者は昨年、貯蓄型の保険に加入しました。親が現役時代に運用していた貯蓄保険は現在と金利がかなり違うので、運用に成功した方は多くいるようです。(しかし金利が高い時代に住宅ローンを組んだので、実際にはプラマイゼロなのかもしれませんが)Greyscale / PIXTA(ピクスタ)成功体験をもとに大きな買い物を我が子に勧める親のポジショントークというのもあります。筆者が入った保険は、加入後10年以降は、元金が割れずに年を重ねるたびに元金が増えていくという商品で、目的は老後資金を少しでも貯めることでした。普通預金に預けているよりはお金が増えますが、保険会社が万が一倒産してしまったら利率が減ることもあり得ます。メリットのことしか考えなかったのが今回の反省点です。もし寺岡さんの本を先に読んでいれば、老後資金を貯めるという目的なら個人型確定拠出年金(iDeCo)で長期運用することを選択していた気がします。しかし、ローンや保険は定期的に見直しが必要という事を本書で学んだので、昨年契約した貯蓄型保険を10年後に半分あるいは全額解約し、iDeCoで運用するという方法を知ることができ十分な収穫でした。iDeCoは60歳までなら加入できるので、今後もっと意欲的に学んで検討したいと思っています。SK Photo / PIXTA(ピクスタ)筆者は今すぐにローンを組んで持ち家を取得するぞ!とは行動に移せませんが、マイホームを持つことはメリットの方が多いということ、住宅ローンを組む際は、賢明な選択が大切ということを学びました。いち早く家を買いたい気持ちになりましたが、残念ながら十分な資金がありません。機が熟したら、寺岡さんが教えてくれたお金と住まいの話を念頭において行動に出ようと思います。(おわり)【参考】『学校では教えてくれない!一生役立つ「お金と住まい」の話』
2018年04月18日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。スタイリッシュな注文住宅をイメージしているのに、よくわかっていないまま、建築条件付きへの自動エスカレーターに乗ってしまった鳥夫婦です。※過去の記事を読む■ 希望が確定していないと押しに弱くなるとりあえず契約を締結するにあたり、住宅ローンの仮申請を通す必要がありました。そのためには間取図のたたき台を作り、見積りを算出しなければなりません。この頃のことは、もう数年前のことですし、詳細なやり取りについては覚えていません……。ただ、自分だけが四ツ谷に執着しているまま、現実がどんどん新宿の建築条件付き物件に向けて進められていくのを傍目に見ながら、「引き返すなら今だ」「でも四ツ谷でいい土地が見つかるとは限らない」「この新宿の土地を選ぶ方がマトモな選択なのだろう」「でも本当にこの仕様の家でいいの?この仕様の家に大金を払うの?」と逡巡していた感覚は良く覚えています。鳥夫が興味あるのは土地(立地)だけだったので、家(上物)に対する希望イメージはありませんでした。だから家のイメージや仕様については、鳥の感覚にかかっていたのです。「建築条件付きだから、いざとなったら白紙解除できるし…」という甘えの気持ちがあり、結局、鳥は周囲に流されることを選択してしまいました。ただ関係者が動いてくれればくれるほど、「私のワガママで白紙解除なんてそう簡単に言えそうにない…」というプレッシャーが積み重なっていきました。そんなやる気のない状態のまま、とりあえずの間取図ができて、見積があがってきてしまいました。■ 建築条件付きの見積書にビックリ間取図たたき台のざっくりとした条件は以下です。3階建て+搭屋(ルーフバルコニー付き)延床面積は約30坪そして出された見積書がこれです。2行目以降はすべてオプション。つまりオプションなしで建てれば1,650万円で建つということです。やはり建売仕様(かつ数棟同時着工)ですから安いですね。ここに土地の利益も入っているのですから、実際はもっと安い見積書のはずです。…と、今でこそ感触がつかめますが、当時の鳥夫婦はこれが安いのか高いのかもわからない状態でした。でもこの見積書を見て唖然としました。「1.本体工事」が1,650万円という大金なのに、内訳がブラックボックスなの?キッチンの3枚引戸が40万円もするの?ユニットバスのサイズを上げるだけで35万円も変わるの?洗面化粧台をワンサイズ上げるのと、床暖房取りやめが、ほぼ同じ値段??ルーフバルコニーは雨漏りしやすいというけど、この175万円の仕様って、どのレベルの施工なの?とりあえずこの家の仕様でこの金額って、妥当なの??数百円の日用品でさえ、ネットで一番安いサイトを探して、送料もチェックして買うタイプの鳥夫婦にとって、この見積書はあまりに受け入れがたいものでした。■ 営業Sさんになけなしの抵抗ざっくりの間取図による見積額2,027万円に、消費税8%をかけると、2,189万円です。土地代約3,500万円に、この上物約2,200万円で、合計約5,700万円。諸経費を入れたら約6,000万円。もともとSさんには、「予算は諸経費入れて5,500万円まで」と伝えてあったのに……。不動産屋には、最初から1~2割引いた予算を言えと言われるそうですね。こうやって予算オーバーの物件を勧められてしまうから。無事ローンの仮審査は通ったので、いよいよ鳥夫婦は土地契約を迫られました。土地(立地)が強く気に入ったため契約したい鳥夫。契約を急かす営業Sさん。鳥だけが抵抗勢力。ああ、みんなに迷惑をかけている、どうしよう……と焦っていたのですが、ふと気づきました。四ツ谷じゃなくなっている予算から大幅にオーバーしている既製品だらけの建築条件付き…なんかSさんのシナリオ通りに進んでいるだけじゃん……?…なんかイライラしてきた……ということで、「土地代100万値引いてくれるなら、(どうせ白紙解除付きだし)契約するけどォ」とちょっと困らせてやることにしました。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年04月17日中古住宅を購入する場合、売りに出ている中古住宅の中でも少しでも“いい物件”を買いたいと願うのは当然のことです。その“いい物件”の意味や基準は、人によって違うと思いますが、構造的な安心感は多くの人が求めるところでしょう。住宅のプロでない限り、なかなか見極めが難しい部分ですが「築年数」からある程度の安心度を読み取ることは可能です。今回は筆者が1993年頃から取材してきた、中古の木造戸建て住宅を対象にお話ししたいと思います。HAKU / PIXTA(ピクスタ)■ ポイントになる年数は1981年と2000年たった2つだけ!freeangle / PIXTA(ピクスタ)中古住宅は建築の詳細がわかりにくいケースが多のですが、築年数から、どのような建築基準法のもとで建てられたのかをある程度知ることができます。建築基準法は何度も改正が行われていますが、木造の戸建て住宅ならば、まず「1981年(昭和56年)」がポイントになります。耐震性に関わる基準について、大きな見直しが行われた年だからです。ただし、1981年に建てられたものでも、改正前に建築確認申請を出している可能性もありますので注意してください。そして、さらに耐震性を向上させる内容へと改正されたのが、「2000年(平成12年)」になります。最初のポイントである1981年以降に建てられた住宅でも、2000年の改正以前に建築されている場合は、耐震性を高める補強などを検討したいものです。■ 「バブル期」の建物に要注意!cba / PIXTA(ピクスタ)特に1980年代後半~1995年頃の建物には、少し注意したいと筆者は思っています。この時期の前半に当てはまるのが、バブル期です。バブル期に建てられた住宅は、使う材料にもこだわって丁寧に建てられたものが多くあります。その一方で、「今こそ、マイホームを!」と住宅の着工件数が増えるなか、より多くの儲けを出そうとする業者も現れます。儲けを増やすために安価な材料を使い、さらに工期を短くして件数を稼ぐという方法が取られたケースもあるようです。工期が短くなれば当然手抜きが増え、いわゆる“欠陥住宅”が量産された可能性もあるのです。当時の業界内には、長く安心して住める住宅をつくるよりも「住宅をどんどん消費してもらったほうがいい」という空気があったように感じます。HAKU-No1 / PIXTA(ピクスタ)筆者は、バブル崩壊後の1993年に建築された一戸建てに住んでいたことがあります。取材でご一緒した建築士さんに自宅の建築年を言う機会があると「それは、お気の毒に」という声が聞こえんばかりのリアクションをよくされたものです。「あの時期の住宅は、マズかったね~」と、はっきり言われたこともあります。バブル崩壊直後に住宅の着工数が減り、経営が苦しくなった建築業者はやはり、安価な材料+工期短縮の傾向があったのではないかと筆者は推測します。■ 住宅の耐震性や構造への意識が高まった「阪神・淡路大震災」一本木 / PIXTAそして、1995年、阪神・淡路大震災が起きます。大きな住宅被害を目の当たりにして人々の間で耐震性や構造への関心が高まり、テレビのワイドショーでも「筋交い」「耐力壁」といった言葉を耳にするようになります。それまでは「業者にお任せ」「わからない」と思っていた住宅について、多くの人が疑問を持ち始め「うちは大丈夫なのかな?」という意識が生まれました。さわだゆたか / PIXTAその意識が住宅の不具合をあぶり出し、欠陥住宅について取り上げるテレビ番組なども増え、またインターネットの普及もあり、住宅に関する意識はより高くなってきています。その結果、「素人にはわかるまい」と思っていた建築業者は、襟を正すことになりました。一概には言えませんが、バブル期からこの時期までに建てられた中古住宅については、より注意が必要だと筆者は思っています。住宅のプロに診断をお願いするのも有効ですが、物件を探す際は、まず築年数で時代背景を読むことをオススメします。(written by いけだちよみ)
2018年04月16日築80年の木造2階建てを二世帯住宅にリノベーションした石渡・中村邸。古い材を所々で生かしながら、家族5人が快適に暮らせるよう、驚きのアイデアがちりばめられています。改装したのは、かつて宮大工が手がけたという妻の実家。リノベーション費用は1265万円でした。1階は父と母の個室のほか、水回りとみんなが集えるリビングダイニングを配置。2階は娘夫婦とその長男のプライベートスペース、という間取りです。■ 南向きの縁側と日当たりのいいダイニングに家族全員が集うリノベーションを依頼されたショセット建築設計室の山川紋さん。1階北東にあったダイニングキッチンを、家の中で一番日当たりがよく、縁側がある南側に移動するプランを提案しました。縁側や建具など、以前の家の雰囲気を残しながらも、シンプルでモダンなテイストでまとめられたLDKは、家族全員が集まる場所です。床に座るタイプの低いダイニングテーブルは掘りごたつ式。脚を外して天板で蓋をすれば、フラットになる優れものです。大きな開口部が南を向いているため、明るく暖かいリビングとなりました。今回、予算の都合で外壁や庭には手を加えませんでした。一見すると昔ながらの普通のお宅ですね。玄関脇にあったトイレを別の場所に移動したことで、広くなった玄関。神棚も設置しました。右手奥には階段とその先に洗面室・浴室があるため、視線を遮れるようロールスクリーンを設置しています。■ 古材を上手に活用して、雰囲気のある「和モダン」な空間に!「宮大工が手がけた家ということで、とても立派なつくりだった」と山川さん。大きな柱や建具など、古い材の良さを生かしているのも今回のリノベの特徴です。こちらの写真は、リビングから玄関方向を見たところ。葦簀(よしず)を再利用してつくった建具の奥は、収納スペースです。葦簀が風を通すので、収納の中に湿気がこもらず快適。左手の扉の中には仏壇が収められています。リビングと縁側を仕切る建具や欄間は既存を利用。知り合いの建具屋さんに洗ってもらい、障子を貼り替えたらすっかりきれいになりました。キッチン横の柱につぎはぎのような跡が見えるのも、古材を再利用した証です。柱をそのまま残して、梁を補強することにしたため、柱にいくつか穴ができてしまいました。その穴に埋め木を施してあるのです。年月を経た柱のあめ色がいい雰囲気ですね。ちなみに、座って過ごすことの多い家族のため、床を中心に断熱材を入れたり、北側の窓は2重サッシにしたりと、温熱環境もしっかりと整えました。■ 刷新された水回りと、父母がそれぞれのんびり過ごせる個室構造上の問題で位置は変えられなかった洗面室とバスルームは、設備を一新して快適に。そのすぐ横に階段があるので、「遅く帰ったときでも家人に迷惑をかけずにお風呂に入れます」と夫は言います。母と娘がふたりで立てるようにと要望してできたオリジナルキッチン。キッチンの裏に部屋がある父がトイレに行くときの動線にもなるため、通路を広めに取ってあります。キッチンカウンターや吊り戸棚も造作しました。カウンターのリビング側には棚を設けて食器などを収納しています。1階の北側には父と母の個室を配置。着物のリメイクが趣味、という母の部屋には作業台を、北向きの父の部屋には大きなWICと小窓を設けました。階段が親世帯と子世帯の生活の場を分けている石渡・中村邸。階段の途中にある小さな収納が、いかにも昔ながらの家、という雰囲気です。■ 2階は10坪に3人が暮らすためのアイデアが満載!2階は中村さん親子3人が暮らすプライベートスペース。10坪(33平米)の広さしかなく、小さくてもキッチンやトイレ、子ども室もほしい、との要望だったため、山川さんは様々な工夫を凝らしました。階段を上るとそこは、親子3人のミニLDK。コンパクトなキッチンがあり、造作したダイニングテーブルは何と壁に収納できる折りたたみ式です。キッチン側からLDKを見るとこんな感じ。右手が夫婦の寝室、左手が子ども室となっています。引き戸で仕切っているので、開け放てば大きなワンルームに。奥には音楽鑑賞が趣味の妻のために、レコードが楽しめるスペースが設けられています。右手前にダイニングテーブルが折りたたんであるのも見えますね。寝室は空間を広く使えるよう畳敷きに。奥にはWICがあり、キッチン側に通り抜けできるようになっています。引き戸を開ければリビングの延長のように使え、寝転がってのんびりできるので「畳にしてよかった」と妻。ミニキッチンにはエレクトロラックス社の2口IH調理器を採用しました。窓に面しているので明るく、コンパクトながら心地よい空間となっています。階段横にあったトイレは位置をそのままに設備を一新しました。リビングには、折りたたまれたテーブルが(写真右手)。収納式にしたことで、使わないときは広々と使うことができるのがわかります。たくさんの作品が置いてあるのは、工作が大好きな長男の部屋。「いっそみんなで一緒に住んだらいいんじゃない?」という夫のひと言から始まった、二世帯住宅へのリノベーション。すぐそばに家族の気配を感じながら、3世代が仲よく暮らす家に生まれ変わりました。設計/ショセット建築設計室(山川紋、伊藤康行)撮影飯貝拓司【住まいの設計2017年7・8月号】
2018年04月11日住宅の購入を考えている方の中には、やはり一から自分の思い通りに建てることができる注文住宅にしたいとお考えの方も少なくないと思います。しかし、注文住宅では住宅ローンの利用ができないからと諦めている方もいるのではないでしょうか?諦める必要はありません。建売住宅や分譲マンションの購入時より多少複雑になりますが、土地の購入時からローンを利用することが可能です。今回は注文住宅を建てる際の住宅ローンの利用方法をご説明します。住宅ローンは建物が完成していないと組めない!?住宅ローンは基本的に建物が完成していないと利用することはできません。住宅ローンは高額な融資となりますから、借りた人がローンを返済できない場合に備えて、金融機関は住宅ローンを組む際に、土地と建物を担保とするための抵当権設定登記を必須としているからです。土地と建物をセットで販売する建売住宅や分譲マンション購入の場合は、決済時に建物が完成しているため、住宅ローンが組みやすくなりますが、注文住宅の場合、建物の完成前に土地の購入費用や、建築費の着工金・中間金の支払いが必要になるため、建物完成後の融資実行では間に合いません。そのため、「つなぎ融資」や「土地先行融資」と呼ばれるローンを利用することになります。正式な住宅ローンが実行されるまでの「つなぎ融資」つなぎ融資とは、正式な住宅ローンの融資が実行されるまでのつなぎとして利用するローンです。このため住宅が完成し、正式な住宅ローンの融資が実行された時点で、つなぎ融資分を清算します。つなぎ融資で注意する点は、つなぎ融資が実行される際に金利と事務手数料が借入額から差し引かれるため、不足する金額は用意しておく必要があること。また、無担保ローンとなるため、金利が高くなることです。つなぎ融資の金利は金融機関によって異なりますが、2.5%~3%程度が多いようです。つなぎ融資の利点は、必要に応じて土地購入時や建築費の着工金・中間金と3回程度融資が可能なことです。※事務手数料は金融機関によって異なりますが、新生銀行・楽天銀行では108,000円になっています。土地代だけ先に融資を受けたい人は「土地先行融資」土地先行融資とは住宅を建てる際、土地代だけを先に融資が受けられるローンです。建物への融資は建物が完成した時点で実行されます。融資の条件は金融機関によって異なりますが、工務店の正式な見積書や図面などの提出を求められることもあり、ある程度建築プランが決まっていなければならい場合が多いようです。また、土地と建物で2回のローン契約(事務手数料が2回かかる)をすることになります。注意点は住宅ローンよりも金利が高く設定されていること(契約時点の金利が適用される)、土地先行融資分の返済は建物が建つ前から始まるため、家が建つまでに賃料(賃貸住宅に住んでいる場合)とローンの返済が重なってしまうことなどです。土地先行融資の場合、土地の購入費を融資してもらえる制度のため、建築費の着工金や中間金は自己資金が必要になります。土地は所有しているけれど建築費用の融資を受けたい人は「すまいとマネープラン」既に土地は所有していても、建築費用の着工金や中間金の支払いに融資を受けたい場合に利用できるローンが「すまいとマネープラン」です。「すまいとマネープラン」は株式会社ERIソリューションが金融機関と提携し、工事の着工前に融資が実行される制度です。融資されたローンは信託口座に預けられ、工事の進捗状況を調査して出来高払いで支払われます。出来高払いのため、請負業者の了承を得ることが必要になります。つなぎ融資が不要なため、金利や事務手数料は発生しませんが、信託口座設定料60,000円と支払いごとに支払い金額の1%の手数料が必要になります。メリットは建物の完成保証が付いているため、請負業者にトラブル(倒産など)があっても安心なこと。注意点は、融資が実行された翌月からローンの返済が開始されることです。「すまいとマネープラン」は一般的に建築費の融資を目的に利用する制度ですが、土地を購入する場合は、土地先行融資をセットにすることも可能になっているようです。土地購入費用は信託銀行を通さず土地の売主に直接支払われます。条件などは各銀行によって異なるため、提携銀行に確認が必要です。※「すまいとマネープラン」の提携金融機関は、埼玉りそな銀行・スルガ銀行・ソニー銀行・千葉銀行・八十二銀行・三井住友銀行の6行。以上のように、注文住宅を建てるため利用できるローンはいくつかありますが、金融機関によっては扱っていないこともあり、利用条件も様々です。目的に合ったローンの方法を選び、利用可能な複数の金融機関をリサーチして、条件や金利・事務手数料などを比較検討し、ご自分に合った無理のないローンを選ぶようにしましょう。
2018年03月10日完全分離型二世帯住宅を、自分達で設計しました。間取りのパターンによるメリット・デメリット、間取りを決める時にぜひ考慮して欲しいことなど、大切だと感じたことをまとめてみました。実際に住んでいる二世帯住宅の間取りも、すこし公開します。完全分離型二世帯住宅の間取りパターンわたし達夫婦は、完全分離型二世帯住宅を自分達で設計して建てました。一級建築士の資格を持っていても、それまで住宅の設計にはまったく縁がなかったわたし達。いろいろ試行錯誤しながら、設計を進めていきました。完全分離型二世帯住宅の間取りにも、いろいろなパターンが考えられます。上下分離型左右分離型よく想定されるのは、1つの建物を上下または左右で分ける方法でしょうか。その他には土地の広さや予算に余裕があれば、まったくの別棟で建てるという方法も考えられます。家は田舎で土地には余裕があったので別棟という案もありましたが、費用や維持のことなどいろいろ考慮した結果、最終的には親世帯は1階で子世帯は2階という上下分離型に近い間取りとなりました。上下分離型の間取りのメリット・デメリット住宅の設計において間取りは、住みやすさなどに直接影響するとても大切なもの。そして二世帯住宅の設計では、単独の世帯の住宅の設計する場合とは違った考え方も必要となりました。親世帯・子世帯それぞれの暮らし方が異なるため、間取りの点でも気をつけなければならないことがあります。まず二世帯住宅では、いずれ高齢者となる親世帯と住むことを配慮した間取りにすることが必要だと思いました。上下分離型では親世帯のスペースを1階に配置することができ、この点ではメリットになります。また各世帯の主たる部屋がワンフロアで完結するため、それぞれが平屋のような生活動線の短いコンパクトな間取りを実現することができます。逆に上下分離型では、2階の音が1階に伝わりやすいというデメリットもあります。親世帯と子世帯では、生活習慣に大きな違いが生じることもあります。入浴時間や就寝時間の違いなど生活時間帯の違いを考慮し、間取りに反映させることが大切だと感じました。二世帯住宅を建てたあとお互いに気持ちよく過ごせるように、間取りの決定には十分な配慮が必要です。上下分離型の間取り例では実際の我が家の間取りを、少しご紹介します。家は玄関ポーチを共有し、1階にそれぞれの玄関を設けました。子世帯が1階に設けたのは、玄関と納戸のみとなっています。玄関から階段を上ると、子世帯のLDKが広がります。2階に設けた、子世帯のLDK+子供部屋の間取りです。LDKの先には、もう1つの子供部屋・寝室・トイレ・浴室などを配置しました。このワンフロアの間取りは、子供は小さい時期こそメリットが多いと感じました。ドアを開ければLDKとひと続きの空間になる子供部屋の存在は、おもちゃの収納や幼稚園・学校の準備のために大活躍してくれています。さらになにかとお世話が必要な乳幼児期は、お風呂やトイレがワンフロアにあることが本当に便利でした。ほぼすべてがワンフロアで完結する間取りは、上下分離型の二世帯住宅だからこそ実現できたものだと思っています。まとめ二世帯住宅の設計には、間取りにおいても何かと制限や考慮しなければならない点が多くなります。そして二世帯住宅というと、何かとデメリットのイメージが先行することも多いと思います。実際に二世帯住宅を建てたと話すと、真っ先に「大変でしょう?」と聞かれることがとても多いです。でも二世帯住宅だからこそのメリットもあると、わたしは感じています。二世帯住宅を建てる方には、ぜひ1つでもメリットを感じることのできる二世帯住宅を建てて欲しいと思っています。ライター:usagi works1級建築士の夫婦が自分たちで設計した、こだわりの2世帯住宅に住んでいます。住まい・インテリア・収納など日々の暮らしを、ライブドア公式ブログ『usagi works』にて綴っています。ブログ:usagi works家購入の決め手や近居に関する人気記事⇒【メリット・デメリット】完全分離型二世帯住宅の費用は2倍!子育て面ではメリットも⇒【体験談】新築マンション購入の決め手は横長リビングの間取り!妥協点は日当たりでした⇒【体験談】妻の実家から徒歩8分の近居に家購入はメリットしかない
2018年03月08日住宅ローンを借りるとき多くの人はメガバンクやネットバンク、住宅金融支援機構などで金利面などを比較して住宅ローンを検討する人が多いでしょう。しかし、多くの人が見過ごしている住宅ローン借入先があります。実は、見過ごされがちなのは「地方銀行」なのですが、地銀で契約すると、人によってはメガバンクやネットバンク、住宅金融支援機構などよりも有利に住宅ローンを契約することができます。地銀は見過ごされがちな、優良な住宅ローン提供業者そもそも地方銀行とは、そのそれぞれのエリアに本社を構える銀行となっており、「横浜銀行」や「千葉銀行」「京都銀行」や「静岡銀行」など銀行の名前にも地域名が付されているような銀行になります。これらの地方銀行から住宅ローンを借りる場合には、他のメガバンクなどと同様に、まずは銀行の窓口に赴き、そこで住宅ローンの相談を行うことができます。実はファイナンシャルプランナーである筆者も関西の地方銀行である「京都銀行」で自身の住宅ローンを契約しています。筆者の例ではネットバンクはもちろん、メガバンクから住宅金融支援機構まで様々な銀行や金融機関の住宅ローンを検討しましたが、総合的に最も良いと考えたのが地方銀行である「京都銀行」であったため、京都銀行で契約をすることになったのです。それでは、具体的に地方銀行の住宅ローンがどのような点でメリットがあるのかをご紹介します。【メリット1】対面でコミュニケーションができるので、安心&便利地方銀行の一つ目のメリットとしては対面でのコミュニケーションが出来る点です。もちろん、これはメガバンクや住宅金融支援機構などでも同じように対面でコミュニケーションができるため、地方銀行に限ったメリットではありませんが、これは大きな点です。特に住宅ローンの契約などの場合、審査に必要な書類だけでなく、抵当権を入れる際の手続きや火災保険に関する書類など住宅ローンを契約する際に必要な書類は非常に多くなっています。これらの膨大な書類を一つ一つ揃え、確認をするためには対面でコミュニケーションをする方が便利です。ネットバンクの場合には、郵送などで書類のやりとりをすることが多くなりますが、「どこに判子を押すのか」「どの書類が必要なのか」を随時メールなどで確認をするのはストレスにもなります。そういった意味ではまず、対面で住宅ローンのやりとりが出来るという点が大きなメリットとなります。【メリット2】臨機応変な対応をしてくれるそして、二つ目のメリットが地方銀行ならでのメリットである「臨機応変な対応をしてくれる」という点です。具体的な臨機応変メリットとしては、不動産会社などへの支払いのタイミングを分けて融資をしてくれる点にあります。特に筆者の場合だと注文住宅を建築したため、支払いのタイミングが数多く分断されてしまっていました。まず「土地を購入したとき」に土地の支払い、注文住宅を契約したときに「契約金」を払うだけでなく、住宅が半分程度できあがったときに「上棟金(中間金)」。そして、建物が完成したときに支払う「完成金」、庭などの外構を作ったときに支払う「外構費」そして最後に引き渡しを行うときの「引き渡し金」と合計で6回も支払いを行わなければならなかったのです。このような場合、メガバンクなどの場合には建物に抵当権を入れてからでないと、住宅ローンを下ろせないため、最後の「引き渡し時」しか住宅ローンを支払ってくれなかったのです。そのため、メガバンクで契約を行う場合には、正式な住宅ローンが決裁される前に各支払毎に「ブリッジローン」が必要となり、そのブリッジローンの金利や手数料などが割高となってしまったのです。しかし、地方銀行であれば全ての地方銀行が対応してくれる訳ではありませんが、住宅ローンに積極的な地方銀行であれば、ブリッジローンの必要がないようにその都度ローンを決済してくれる銀行もあります。実際に筆者はこの地方銀行の柔軟な対応のおかげでブリッジローンの会社に支払う手数料や割高な金利分を含めて100万円近くの金額を圧縮することに成功しました。【メリット3】金利も低めで手数料も安いまた、柔軟な対応だけが地方銀行のメリットではありません。実際に金利も低めで手数料も安くなっていました。筆者の例ではメガバンクの提示してきた金利や手数料よりも地方銀行の方が安くなっていました。ただし、ネットバンクの金利や手数料と比べるとネットバンクの方が安かったのですが、中間金決裁などの臨機応変な対応や対面で住宅ローンの手続きが出来る手軽さを考慮して、地方銀行と住宅ローンを契約することになりました。最後にこの記事では、多くの人が見過ごしがちな「地方銀行」の住宅ローンについてを解説しました。地方銀行の場合、銀行によっては住宅ローンなどに力を入れていないような銀行もありますので、本記事で紹介したメリットを全ての地方銀行が実現出来るわけではありません。ですが、地域によってはメガバンクよりも強い地方銀行などであれば、この記事で紹介をしたようなメリットを得ることができるケースもあるため、現在住宅ローンを検討している人は地方銀行も選択の一つに検討してみはいかがでしょうか。
2018年03月07日賃貸併用住宅は住宅ローンを利用しながら収益用物件を購入することができるので、一般的な投資用のローンを使って購入するアパート経営よりも金利が低い分、毎月のローン返済が少なくなるというメリットがあります。しかし賃貸併用住宅は建築費がかかるため、自分で新築から建てようとすると、初期費用が非常に高くなってしまいます。そんな時に考えたいのが中古の賃貸併用住宅の購入です。中古物件の賃貸併用住宅を購入することで、購入額を抑え、各種のリスクを減らせるでしょう。しかしなかなか市場には出てこない希少価値の高い物件でもあります。では中古の賃貸併用住宅物件は一体どのように探せばいいのでしょうか。(1)専門の収益物件サイトで探すまず最も手軽な方法として考えられるのは収益物件を多数掲載している専門サイトで探すことです。収益物件を専門として掲載しているサイトと、一般的な住宅情報サイトの何が違うかというと、収益性を表す数字である「利回り」が掲載されている点になります。利回りが掲載されている物件は、以前から賃貸物件とし運営されていたということです。物件の内装や設備に関しては、事務所向け、店舗向け、また普通の賃貸住宅としてのものなど様々ですが、中には入居者に貸し出すだけではなく所有者の自宅も兼ねている物件も掲載されています。こういった専門サイトであれば一般的な住宅情報サイトで検索するよりも手早く収益性のある物件を見つけられ、さらに利回を見ながら比較検討できます。(2)二世帯住宅を購入して改装する賃貸併用住宅は建築費がかかるためにどうしても絶対的な数が少ないです。そこで既存の一般的な物件を賃貸併用住宅として活用することを考えてみましょう。最も賃貸併用住宅に転用しやすいのは二世帯住宅です。二世帯住宅は一つの建物内に2つの世帯がそれぞれ生活できるように独立して造られています。玄関、風呂、キッチン、トイレなどの日常生活を送るために必要な設備が別個設けられているのです。そのため自宅として利用する部分と賃貸物件として利用する部分、それぞれ特に設備追加やリフォームなどを行うことがなく、そのまま別の世帯に貸し出せます。特に完全分離型式の二世帯住宅であれば購入して即座に貸し出すことができるでしょう。一方で二世帯住宅の中にも玄関を共有しているもの、風呂を共有しているもののなど、一部の設備を二つの世帯で共有しているものもあります。そういった物件の場合はリフォームをしないと建物内に別の世帯に住んでもらっても、自宅と完全に隔離できません。購入前にはきちんと他人が自分の同じ家の中に住むということを意識して、それぞれのプライバシーの確保に気を配るようにしましょう。(3)アパートを改装して、一部を自宅にする二世帯住宅の場合は普通のファミリー向け物件を改装して賃貸物件に転用する形式になりますが、逆に今度は賃貸物件であるアパートを一棟購入し、その一部を自宅として活用する方法を考えてみましょう。この場合既存の賃貸用の部屋は特にリフォームする必要もなく、スムーズに貸し出せます。例えば1階に4部屋。2階に4部屋の賃貸物件が入っている場合、1階の4部屋はそのまま貸し出し、2階部分は自宅として活用することになります。中古の一棟アパート物件は非常に数が多く市場に出ているため、賃貸併用住宅を探すよりも選択肢が豊富であり立地や価格帯など自分たちの条件にあったものを選べます。ただし自宅部分に関しては、不要なキッチンや風呂、壁などを取り除き大幅な間取り変更などリフォームが必要になります。そのためある程度の改装費用は用意しておかなければいけません。賃貸部分はそのまま貸し出せるのですぐに家賃収入を得られることもありますが、大幅なリフォームが必要な場合は下の住人に迷惑がかかります。そこでどの程度のリフォームを予算内でできるか、また物件内の住人に迷惑をかけずにリフォームが行えるのかなど、しっかりとチェックしてから物件を購入しましょう。さらに賃貸併用住宅で住宅ローンを使うには自宅部分が建物全体の面積の50%以上ではないといけません。家賃収入を増やすために賃貸物件部分を多く残しておきたいという人もいますが、自宅部分を建物面積の50%パーになるように、リフォームプランを練りましょう。賃貸併用物件はそれほど数が多くないために、自分の条件にマッチする物件がなかなか見つからない時もあります。そういった時は二世帯住宅や一棟アパートを賃貸併用住宅に転用するといった方法を考えてみましょう。そうすればぐっと選択肢の幅が広がります。
2018年03月04日「リンネル」が住宅をプロデュース株式会社宝島社が発行する女性誌「リンネル」が、住宅のプロデュースを行うことが発表されました。南欧風住宅メーカー、カーサプロジェクト株式会社からの依頼を受け実現したものです。「心地よい暮らしと装い」をメインテーマに、背伸びをせずに自分らしく暮らすための情報を発信する同誌が、その世界観を詰め込んだ住宅を作るプロジェクト。北欧のデザインと機能美が散りばめられた、誰もが快適に暮らせる住宅を目指しています。目指すは人が集う家「リンネルコラボハウス」には、水回りに施されるタイルやフリースペース、多機能な広いエントランスなど、これまでの住宅の概念にとらわれない「リンネル」らしさが満載。家族や友人がついつい集まりたくなる、居心地の良い家を理想としています。コラボハウスの詳細については、2018年2月20日発売の「リンネル」4月号に掲載中。今後の展開にも注目です。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社宝島社のプレスリリース(PR TIMES)
2018年02月24日住宅ローンの繰り上げ返済とは、住宅ローンを契約していた返済計画を前倒して返済をすることで利息の支払額を抑える方法のことです。 この住宅ローンのの繰り上げ返済の方法には2種類の方法があります。それぞれの方法によって、利息の削減の効果が異なる一方で、今後の返済計画も大きく変わりますので、自分自身のライフスタイルにあった方法を選びましょう。まず、一つ目は、月々の返済額は同じ額のまま、残りの返済期間を短くすることによって利息の支払い額を抑える「期間短縮型」があります。 そして二つ目が、残りの返済期間は同じ期間のまま、月々の返済金額を少なくすることで利息の支払額を抑える「返済額軽減型」の2種類があります。どちらの場合でも、当初住宅ローンを契約していた際に予定されていた支払利息よりは金利負担を減らすことができます。それでは具体的に「期間短縮型」と「返済額軽減型」のそれぞれの繰り上げ返済の方法を解説し、どちらの方がより多くの利息の支払い額を減らすことができるのかや、それぞれの繰り上げ返済の方法のメリット・デメリットを解説していきます。月々の返済額がラクになる「返済額軽減型」返済額軽減型は、繰り上げ返済をした金額を毎月の返済額に充当する方法になります。つまり、毎月の返済額が少しずつ安くなるようになるため、利息の減少額も少なくなるのです。例えば、住宅ローンの金額が1,000万円で10年のローンがあった場合、100万円の繰り上げ返済を返済額軽減型で行ったとします。その場合1年目の返済額から10年目の返済額までが毎月均等に安くなるのです。そのため、実質的に「前倒し」で返済できている期間や金額としてはあまり多くはありません。返済額軽減型のメリットとしては、やはり月々の返済が楽になるという事で生活面が楽になるのが最大のメリットです。特に住宅ローンの返済は毎月固定の金額になるため、その返済額を少しでも低くすることができれば生活面でも余裕が出てきます。また、繰り上げ返済を行ったばかりの場合は貯金を取り崩しているケースもあるため、生活に余裕がないケースが多くなっています。そのようなことを踏まえると、返済額軽減型は月々の返済額をラクにしてくれながら、住宅ローンの利息の総支払額も軽減される、バランスの良い繰り上げ返済の方法といえます。大きく返済額を減らせる「期間短縮型」次に月々の返済額は変えずに期間を短縮する期間短縮型について解説をします。期間短縮型については繰り上げ返済分を残りの借入期間から短くする方法です。例えば、住宅ローンの金額が1000万円で10年だと仮定した場合、繰り上げ返済で100万円を「期間短縮型」で返済した場合には、毎月の返済額は変わらい代わりに約1年ほど返済期間が短くなります。つまり、この「期間短縮型」の場合は繰り上げ返済を行った100万円の金額の約10年分の金利を丸ごと支払う必要がなくなるのです。その結果、小分けで毎月少しずつ安くする「返済額軽減型」と比べると利息の支払い額を大きく減らせるため、期間短縮型の方が有利になるのです。次に期間短縮型のメリット・デメリットについて解説します。期間短縮型のメリットについては何といっても金利の削減効果が大きいことです。大きく利息の支払い額を減らすことができるため非常に有利に住宅ローンの返済を進めることができます。一方で期間短縮型のデメリットとしては、月々の返済額は変わらないことから繰り上げ返済をしているにもかかわらず生活面での余裕はあまり生まれてきません。むしろ、住宅ローンの繰り上げ返済をする際に貯金を取り崩すことがあるため、期間短縮型で返済をすると一気に家計に余裕がなくなってしまうデメリットがあります。繰り上げ返済をするときは住宅ローン減税のタイミングも考えよう!また、繰り上げ返済をするときにはここで紹介をした繰り上げ返済の方法だけではなく、繰り上げ返済のタイミングも考えましょう。というのも、繰り上げ返済を行った場合には期間短縮型や返済額軽減型のどちら場合でも「住宅ローン減税」の減税額が少なくなってしまうため、注意しましょう。住宅ローン減税は、その年末の住宅ローンの残額が減税の基準になります。そのため住宅ローンの残高が多ければ多いほど減税額も多くなり、住宅ローンの残高が少なければ少ないほど減税額も少なくなるのです。これらの点を踏まえて、住宅ローン減税を使うといくら減税されるのか、そして繰り上げ返済をすることでいくら金利の支払額が減るのかをシミュレーションを行って、繰り上げ返済を行うようにしましょう。また、一般的には住宅ローン減税には10年間という期間がありますので、その10年を超えたタイミングで一気に繰り上げ返済をするのが最も有利なタイミングと言われています。ただし、人によっては住宅ローン減税の減税額をフルに使えていない人などもいるため、自身がどれだけ住宅ローン減税の恩恵を享受出来ているのかなどを確認するようにしましょう。最後にこの記事では繰り上げ返済の方法である「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類を解説しました。また、「期間短縮型」の方が金利の支払いを大きく減らせて有利に繰り上げ返済ができると解説してきました。ただ結局のところ、期間短縮型の方が支払計画が大変になりますので、どちらの方法がトクするのか、損をするのかと言うわけではありません。「期間短縮型」の方が早く多額の住宅ローン分を返済しているため、利息の減少額も多額になっているに過ぎません。そのため、どちらがトクなのか、損なのかではなく、自分の人生設計においてどちらが良いのかという軸で「期間短縮型」と「返済額軽減型」を選ぶようにしましょう。
2018年02月23日完全分離型の二世帯住宅を建て、今まさに住んでいる筆者。メリットとデメリット、二世帯住宅を建てる前にぜひ考えておいて欲しいことなど。わたしが実体験にもとづいて、大切だと感じたことをまとめてみました。二世帯住宅を建てることになった経緯2010年に、二世帯住宅を建てました。結婚後は夫の実家から近い場所にアパートを借り、夫婦二人で生活していました。その後娘が生まれたことから幼稚園入園前に、そろそろマイホームをと考え始めました。夫は長男でいつかは家に入るものだと思っていたのを知っていたので、わたしもこの機会に夫の実家で暮らすことに同意しました。そして始まった、夫の両親との話し合い。夫の実家がちょうど建て替え時期だったこともあり、自然と二世帯住宅を新築する方向で話しは進んでいきました。二世帯住宅の形態一言で二世帯住宅とはいっても、その形態は様々です。・完全同居型:寝室などの個室以外を全て共有・部分共有型:玄関や浴室など一部の設備を共有・完全分離型:全く設備を共有しないわたし達夫婦は、同居の条件として完全分離型を提案しました。といっても実は、夫は玄関くらい共有してもいいと思っていたようですが。でもわたしは、中途半端に共有することでお互いに気を使うと考えていたため、完全分離型しか想定していませんでした。そんなふうに夫婦でも意見の違いがでるくらいなので、親世帯との話し合いは慎重に時間を掛けて行いました。お互いの譲れない部分を主張しあって、妥協点を探すことが大切だと思いました。費用は全て通常の2倍?完全分離型のメリット・デメリットお互いのプライバシーを保ちやすいことが、最大のメリットとなる完全分離型。そのデメリットは、やっぱりお金だと思います。家の費用の中で大きな比率を占める設備が、すべて通常の2倍。そしてやはり床面積も大きくなるので、基礎や屋根などの費用も大きくなります。費用が安くなることが二世帯住宅のメリットと考えていた場合は、注意したほうがいいかもしれません。二世帯住宅でどの形態を選ぶにしても、そのメリットとデメリットをよく理解したうえで、形態を選ぶことがとても大切だと思いました。どの形態を選ぶかで、その後の暮らしは大きく変わると思います。意外と忘れがちで大切な電気・ガス・水道・電話の分離そして、完全分離型の二世帯住宅の設計が始まりました。設計では間取りが決まると一安心してしまいがちですが、まだ忘れてはいけないポイントがあります。それが、電気・ガス・水道・電話などの分離です。間取りを分離してもそれらの設備を共有していると、毎月の光熱費を共有することになります。せっかく完全分離型を選んでも光熱費の請求が一緒だと、生活するうえでお互いに気を使うことになりかねません。もちろんメーターの設置費用や基本料金がそれぞれ掛かるなど、デメリットもありますのでそこでもよく検討が必要です。でも家が完成してしまってから分離することはなかなか難しい部分なので、十分な検討を設計段階でしておくべきだと思います。二世帯住宅に住んでみて、率直な感想二世帯住宅に住んで、約7年が経ちました。普段はお互い干渉しすぎず、それぞれの生活スタイルで生活できています。そして二世帯だからこそ、子供達は自然と親世帯と関わり見守られて大きくなっています。それも完全分離型のおかげと感じることも多く、完全分離型を選んで本当によかったと思っています。違う世帯が一緒に暮らす二世帯住宅は、通常のマイホームを建てる場合よりも考えなければいけないことがたくさんあります。気持ちよく一緒に暮らすことができるように、設計前に話し合いをたくさんしてお互いの考え方を伝えることがとても大切だと思います。これから二世帯住宅を建てる方の、参考にしていただけたら嬉しいです。ライター:usagi works1級建築士の夫婦が自分たちで設計した、こだわりの2世帯住宅に住んでいます。住まい・インテリア・収納など日々の暮らしを、ライブドア公式ブログ『usagi works』にて綴っています。ブログ:usagi works家購入の決め手や近居に関する人気記事⇒【体験談】新築マンション購入の決め手は横長リビングの間取り!妥協点は日当たりでした⇒【体験談】妻の実家から徒歩8分の近居に家購入はメリットしかない
2018年02月22日「念願だったマイホームをいよいよ購入したい!」そんなときに考えるのが住宅ローンですよね。もともと、住宅ローンの借り主の多くは夫でした。しかし共働きが一般的である今、さまざまな借りかたがあるのをご存知ですか?今回は「共働き夫婦のため」の住宅ローンについてご紹介します。 1. 共働き夫婦の住宅ローンは3種類共働き夫婦の住宅ローンには、「連帯保証」・「連帯債務」・「ペアローン」があります。主の債務者を「夫」としたこの3つの特徴は以下のとおり。連帯保証夫婦の収入を合わせた「収入合算」で、夫が住宅ローンを組む債務者となり、妻が連帯保証人になります。夫の返済が滞った場合は、妻に返済の義務が生じます。連帯債務夫婦の収入を合わせた「収入合算」で、夫が主債務者となり、妻が連帯債務者となります。住宅ローンを夫婦で借りる形になるので、夫婦どちらも同額の返済義務を負うことになります。ペアローン夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組みます。夫のローンの連帯保証人は妻となり、妻のローンの連帯保証人は夫となります。返済が滞った場合は、連帯保証人に返済の義務が生じます。 2. それぞれのメリット・デメリット3種類の借りかたのメリット・デメリットをご紹介します。 連帯保証メリット一人では借りられない額の住宅ローンも、収入合算することで借りられるデメリット住宅ローン控除は債務者だけが受けられる団体信用生命保険は債務者だけが加入できる住宅ローンを借りた分の所有権は債務者のみ※団体信用生命保険とは、住宅ローン専用の生命保険のことです。債務者が返済中に死亡したり、高度障害状態(介護が常に必要など、日常生活が極めて困難になった状態)の際に、保険金として住宅ローンの残額分が金融機関に支払われます。つまり、この場合は連帯保証人に万が一の事があっても、保険金は支払われません。 連帯債務メリットひとりでは借りられない額の住宅ローンも、収入合算することで借りられる住宅ローン控除が夫婦ともに受けられる所有権はそれぞれ持つことができる必要な書類や手数料は1人分だけデメリット団体信用生命保険は債務者だけが加入できる(夫婦加入が可能のローンもある)民間金融機関では取り扱っている金融機関が極めて少ない ペアローン メリット夫婦それぞれ住宅ローン控除が受けられる団体信用生命保険も夫婦それぞれ適用される所有権はそれぞれ持つことができるデメリットローンを2本組むため、作業と諸費用が倍になる離婚したときに、名義や残高処理等が複雑・片方が死亡した場合、自分の分のローンは残る(※ただし、団体信用生命保険に特約をつけることで、夫婦どちらかが死亡した際に住宅ローンの残高がなくなることも可能。金利等や名称は取扱金融機関によって異なります) 3. 「片方の収入がなくなった」「離婚した」ときは住宅ローンは30年近くも一緒に払っていくもの。一方で、暮らしていく上で必ずしも収入が一定とは限らないのが「夫婦」ですよね。夫婦で住宅ローンを考えているのなら、必ずそういったことも話し合った上で決めるようにしましょう。子育てに専念したいから仕事をお休み、またはパートなどにしたいとき、はたまた離婚したら、それぞれの借りかたはどのように変化するのでしょうか。妻が育休・仕事を辞めた「連帯債務」と「ペアローン」の場合妻が税金を納めていないと住宅ローンの控除が受けられません。育休の場合は復帰すれば再び受けられるようになりますが、仕事をセーブすると控除額も少なくなります。さらに妻が退職した際には、夫が妻名義の分も返済することになるため、贈与税の課税対象となる恐れも。それを避けるために登記の持分変更をしたり、住宅ローンの借り換えをすることも可能ですが、手間も費用もかかります。離婚した離婚をしても、住宅ローンの契約に変更はありません。連帯保証の場合元夫の支払いが滞ると、連帯保証人である元妻に返済請求が届きます。連帯債務の場合元夫と元妻どちらも、借り入れ全額の債務を負うことは変わりません。また住宅ローン名義は解消されないため、家を独断で売却できません。ペアローンの場合自分がローンを支払っていても、元夫もしくは元妻の住宅ローンの返済が滞ると、連帯保証人である自分に返済請求が届きます。離婚が決まったら、上記のことを避けるために家を売却して住宅ローンを完済させる、ペアローンは1つのローンに借り換えをするなど、夫婦で話し合っていく必要があります。 ひとりでは希望額が借りられなかったとしても、共働き夫婦で住宅ローンを契約することで借入額を増やすことができます。ただし、「妻が働けなくなる」「離婚する」などの理由で、多く借りられたローンによって支払いが苦しくなってしまうといったリスクがあることを忘れてはいけません。「夫婦で住宅ローンを」と考えているのなら、さまざまなパターンを想定しながら、夫婦に合った借り入れ方法を選択してくださいね。 参照: 共働き夫婦のための住宅ローン講座(1)我が家はどうする?基本編共働き夫婦が賢く住宅ローンを借りる方法団体信用生命保険(団信)の特約は付けるべき?扶養に入っても住宅ローン控除は受けられる?退職の可能性視野に選択共働き夫婦の住宅ローン共稼ぎ世帯に人気の収入合算・ペアローン。デメリットが多いって本当?
2018年02月20日「賃貸併用住宅」という形態の住宅をご存知でしょうか?アパートと自宅が合体した住宅のことを指し、多くの場合は1階がアパートのように個別の賃貸物件、2階以上を自分の家として使用するケースが多いです。賃貸併用住宅は自宅に住みながら家賃収入が得られるために、毎月の住宅ローンを家賃収入から返済できるだけではなく、家賃の金額によっては手残りが出て、家を買ったのに収入が増えたこともあり得る大変家計に優しい住宅なのです。そこで賃貸併用住宅のメリットや選び方、そして住む時の注意点などについて触れていきたいと思います。1.賃貸併用住宅は、住宅ローンが利用できる賃貸併用住宅は家賃を得られるだけではなく、金利の低い住宅ローンを利用して賃貸物件を購入できるメリットがあります。一般的にアパートやマンションなどの投資用物件を購入する時は、住宅ローンの融資は受けられず、金利の高い投資用ローンを利用して物件を購入します。住宅ローンは国民に対してできるだけ安い価格で住宅を購入してもらうことを目的としたローンなので、金融機関も利益度外視の側面があります。しかし投資用ローンは収益を出すことが目的なので金融機関も金利を高めに設定してきます。また返済期間も住宅ローンのように長期間にすることが難しいので、毎月の返済額はどうしても大きくなってしまいます。しかし賃貸併用住宅ならば自宅面積を建物の半分以上とすることで、住宅ローンを利用できます。マイナス金利の現在ならば、住宅ローンを金利1%以下で利用できます。一方で投資用ローンの金利はマイナス金利の現在でも3%程度は支払わなくてはいけません。同じ3,000万円を25年融資で借りたとしても、金利0.8%は約11万円、3%では約14万2千円と、毎月3万円以上も返済額が違うのです。2.賃貸併用住宅を買う時は新築が良い?中古が良い?賃貸併用住宅を購入する時は新築物件が良いのか中古か良いのでしょうか。結論から言えば建築費用のかからない中古物件の方がお得です。賃貸住宅併用住宅の欠点として、建築費が高くなることが挙げられます。それは賃貸併用住宅の場合、風呂やトイレ、キッチンといった設備を各居室に設けなければいけないからです。坪単価といえば普通の住宅であれば50万円以下でも家を建てられますが、賃貸併用住宅の場合、坪単価70万円は覚悟しなければいけないでしょう。中古住宅で賃貸併用住宅を買う場合、中古販売時の建物の評価額は単純に物件の構造や築年数で算出されることも多いので、住宅部分の価値は建築費用が高かったものでも一律に計算されやすいです。そのため価格面のメリットが非常に大きくなるのです。もちろん新築物件ならば家賃を高く設定できるメリットもありますが、住宅ローンを利用するだけに、年収次第では物件購入費分の融資が受けられないこともあります。それよりも普通の住宅と変わらない相場になる中古の賃貸併用住宅を購入した方が良いでしょう。3.賃貸併用住宅に住む時の注意点賃貸併用住宅は住むときにいくつか注意点があります。自宅の下の階に家族以外の世帯が住むことになるので、それぞれのプライバシーが確保できるような間取りや設備を心がけましょう。自宅部分の玄関と賃貸部分の玄関はできるだけ、方角が異なるようにしたほうが良いです。そうすれば大家と入居者が頻繁に顔を合わせることもなく、ストレスを感じずに済みます。また駐輪場を設けるときも自宅の駐輪場とは別に設けるようにしましょう。防音にも気を配らなければいけません。賃貸併用住宅の場合1階に入居者がいるので、2階に住む自分たちの騒音が下の階に聞こえてしまうことがあります。特に小さなお子さんがいる家庭では、2階の足音が1階にドンドンと響いて下の入居者が迷惑に感じ、退去してしまうことも多いのです。もちろん1階のそれぞれの部屋の壁による防音も必要ですし、逆に自分たちが入居者の騒音でストレスを感じることもあります。互いのプライバシーを配慮し、ストレスをなくすために賃貸併用住宅を建てる、もしくは中古をリフォームする時は、普通の戸建てよりも特に防音に気を配りましょう。賃貸併用住宅に興味はあるものの、宅の中で他人が生活していると思うと、どうも落ち着かないと感じる人もいるでしょう。賃貸併用住宅を購入するときには、特に防音に気を配らなければいけません。そういった点をカバーできるのであれば、賃貸併用住宅は、家賃収入でローンを返済できる上に、金利の低い住宅ローンを利用できるので、一気に生活を楽なものにしてくれます。
2018年01月31日住宅の購入予算を算出するためには、毎月返済額と住宅ローンの借り方(条件)がそれぞれ必要になります。この記事では、実際の住宅ローンのシミュレーションを行い、購入予算を設定・確認していきます。1. 住宅ローンシミュレーションを使ってみよう今回はフラット35のホームページにある、「毎月の返済額から借入可能金額を計算」するシミュレーション機能を使います。まずは次のページを開いてください。フラット35「毎月の返済額から借入可能金額を計算」(図1)フラット35の住宅ローンシミュレーション①毎月返済額小数点第1位まで入力できます。今の住宅費などから考えて、返済に無理のない金額を入力しましょう。②融資金利適用金利のことです。ここでは①の毎月返済額が完済時まで変わらない場合の借入可能額を算定したいので、「全期間固定型」の金利を入力しましょう。③返済期間返済期間は、それぞれの状況に応じて変わってきます。定年時の年齢から今の年齢を引いた年数を入れてみるのもひとつの方法です。まだ決まっていない段階であればとりあえず「35」を選択しましょう。④返済方法特に理由がなければ、「元利均等」のままにしておきましょう。上記項目をすべて入力・選択したら、「計算する」をクリックすると、図のように計算結果が表示されます。(図2)試算結果※各種数値は次の条件をもとに設定しています。毎月返済額:9.7万円/金利:1.800%/返済期間:35年/返済方法:元利均等返済※シミュレーション結果の詳細は、こちらのフラット35のページをご確認ください。借入額のシミュレーションはできたでしょうか。大切なのは「毎月返済額」と「金利」を自分で判断し、入力できているかどうかです。2. 購入予算=「頭金」+「住宅ローン借入額」借入額が分かれば、後は頭金分をプラスすれば購入予算が算出できます。(図3)購入予算の設定方法(住宅ローン利用時)頭金についてはこれまで説明をしてきませんでしたが、購入予算を決定するうえで、非常に重要になります。また、これまで「購入予算=物件価格」という前提で話をしてきましたが、家を買う場合は、物件価格とは別に住宅取得にかかる諸費用・税金が存在します。頭金は、これらの費用を除いて算出するようにしてください。3. 住宅ローンは「借りられる額」ではなく「返せる額」まず、知っておいてほしいこととして、住宅ローンは「借金」であり、利息がつく分、総返済額は借入額よりもかなり高くなるということを忘れないでください。実際に家探しを始めると、どんどん条件のいい家に目がいって、これまでに経験したことがない数千万円という単位の買い物ゆえに冷静な判断ができなくなり、高額なローンを組んでしまいがちです。現在の仕組みでは高額なローンを借りることも意外とできてしまいます。しかし、住宅ローンは「借りられる最大額」ではなく、「返せる額」を借り入れるということを、基本的な考え方としてください。ここまで、家探しを始める前に最低限必要と思われる住宅ローンの知識・情報を、購入予算の設定と関連付ける形で説明してきました。実際の物件を探し始める前に住宅ローンを学んでおくことの大切さが、多少なりとお分かりいただけましたでしょうか。まだまだ、住宅ローンのすべてを説明できているわけではありません。物件探しをしながらも、さらに住宅ローンへの理解を深めて、納得のいく商品プランを見つけていただければと思います。また、今から金融機関のホームページを見ることやシミュレーションの使い方に慣れておくこともお勧めします。
2018年01月30日ローコスト住宅とはローコスト住宅とは、比較的安い価格で販売されている住宅のことをいい、ハウスメーカーが建てることが多いのが特徴といえます。一体どのぐらい安いのでしょうか。住宅を建設する場所にもよりますが、一般的な住宅の坪単価相場は80~90万円ほどです。しかし注文住宅は、なんと坪単価30万円~60万円が価格相場となっています。なぜ、このような格安相場で住宅を販売できるのでしょうか。それは住宅の建築費用として重要な「3つの要素」に理由があるのです。ローコスト住宅の秘密は「3つの要素」にある!?「3つの要素」とは、「材料費」「人件費・広告宣伝費」「諸経費」といった、いわゆる建築費用のことを指します。これら3つの要素を抑えることで、ローコスト住宅の坪単価を30万円~60万円と格安にすることが可能なのです。材料費人件費・広告宣伝費諸経費イメージしにくいのは、3つの目の「諸経費」でしょうか。これは比較的シンプルな間取りにして、また部屋数を少なくするなどをしてコスト削減効果を狙っています。削るところはとことん削って建てられるローコスト住宅ですが、そのメリットは何でしょうか。ローコスト住宅のデメリットとメリットローコスト住宅のメリットを説明する前に、まずはデメリットについてみてみましょう。デメリットには2つあります。デメリットユニット(キッチン、バス、トイレ)のグレードが低いこれはローコスト住宅の前提条件ともいえます。断熱性・耐火性・耐久性・耐震性・遮音性などが優れていないしかし中には上記2つのデメリット要素が優れているものもあります。たとえば、リビングや寝室に床暖房があるIHクッキングヒーターなどオール電化に対応している国で定められた「長期優良住宅の認定」を受けた住居であるなどが挙げられます。これらのような要素があれば、それはそれでメリットの1つともいえます。メリット格安で住宅が建てられて「これ以上にメリットなんてない」と思うところですが、最大のメリットは他にあるのです。それは、「建て替えのしやすさ」にあります。ローコスト住宅は比較的安く家を建てることを念頭とした住宅であり、そのため設備や性能が優れていないのが前提であると先述しました。つまり住宅に耐久性はなく、「一生この家に住む」といった人向けの住宅ではないといえます。しかし逆にいえば「子どもが大きくなるまではこの家でいいか」など、ライフスタイルに合わせて住まいを変えていくといったスタンスをとるのであれば、非常に優れているといえます。これが最大のメリットといえるでしょう。どこに頼めばいい?ここまででローコスト住宅の定義やデメリット・メリットについてみてきました。家探しで苦戦する要因として、「業者探し」があると思います。そこで、考えられる業者を紹介して最後にしたいと思います。ローコスト住宅を依頼するにあたって考えられる業者は以下の3つが挙げられます。ハウスメーカー大手メーカーは、上記で挙げた「3つの要素」のうち「人件費・広告宣伝費」「諸経費」に費用を掛けている傾向があります。「材料費」でお金が掛からないから安心、と思ってはいけません。外構工事費などを「諸経費」に加算してくる場合もあるので、注意が必要です。工務店上記1で挙げたハウスメーカーは全国展開しているのが特徴的ですが、工務店は地域密着型が多いといったのが特徴的といえます。そのためフットワークが軽いといったメリットはありますが、ハウスメーカーほどの資金力はないので「材料費」などにお金を掛けることができず、品質の悪い材料となる場合もあります。もちろんすべての工務店というわけではないので、営業担当マンなどに確認するのが良いでしょう。建築設計事務所建築士が在籍する建築設計事務所なら、設計はお手並みのものなので安心して依頼することができるでしょう。しかし建築士は基本的に設計・施行監督が主な仕事で、施行に関しては下請け業者に依頼する場合がほとんどなので、理想とはすこしズレる可能性も否めません。まとめローコスト住宅を依頼する場合は、設計と設計確認は「建築設計事務所」とし、施行は「工務店」に依頼するのがベターといえるでしょう。「一般住宅を買うほどお財布には余裕がないけれど、子育てをするためにも戸建て住宅には住みたい!」といった方にはお勧めのスタイルといえます。今後のライフスタイルを考慮しつつ、検討してみてはいかがでしょうか。
2018年01月22日