アンリアレイジ(ANREALAGE)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク1日目の2017年9月26日(火)に発表された。テーマはPOWER=力。「力を見る。誰も見たことのない服の力。力を着る。誰も着たことがない服の力。服に力を。」デザイナーの森永邦彦は、ショーの前メッセージをくれていた。パリ左岸のPalais des Beaux-Artsで行われたショーは、真四角な空間に直線的なランウェイ。アンリアレイジにしてはシンプルな空間が今季の舞台のようだ。先陣を切って現れた、メッシュ地のドレス。華美な装飾はないが、アームの膨らみと重量感、そして何よりぐるぐるに巻かれたテープが目に付く。メッシュだけでなく、シフォンのワンピースやアンリアレイジロゴ入りのTワンピース、スウェットパーカードレスなど、素材・シルエットを変えて様々なドレスが続くが、ぐるぐる巻きのテープは継続的に起用されている。このテープが時間と共に変化する。アンリアレイジロゴ入りリボンへの変幻を境に、テイストも変化。比較的ガーリーな印象だったコレクションは、スポーツシックへと転換され、クロップドパンツ、フルジップトップス、フード付きジャンパー、トレーニングシーンで活躍するウェアが並んだ。と同時に、身体中に巻きついていたテープは解き放たれ、星のような形を作ったりデコレーションとしての役割を果たすようになる。テープに新しい機能を見つけた後は、再びライトな素材で作ったガーリードレスへと興味関心を戻す。次々にカラフルなテープを使って装飾を。あるいは、肌に直接ジオメトリックな模様を描いてインナーのような役割に。アーム部分は、テーマである”パワー”を象徴しているのか、たっぷりと膨らみそして広がり、ストロングな印象を観客に植え付けていく。”カンカンカンカン”ー高音の音が鳴り響くと同時に場内はライトダウン。同時に暗闇から、発光したテープのみのシルエットが浮かび上がった。そうぐるぐる巻きテープの正体は力を加えることで発光する「応力発光」素材。歩いていたモデルたちも、ランウェイ上で屈伸をしたり、腕を曲げ伸ばしたり。こうしてテープまたはテキスタイルに力を加えると、服全体やテキスタイルが光輝き、新しいファッションの形を作り上げていた。
2017年09月30日ディオール(Dior)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。今季の起点となったのは、ニキ・ド・サンファル。ラクダの背中に乗った姿、そして芸術家と活動する前のこと、モデルとして活躍した時代。さらに、かつてディオールを引っ張ていたマルク・ボアンと親しい友人関係を示すもの。それらの時代を切り取った写真が、今季のクリエーションのインスピレーション源となる。象徴として取り入れられたのは、ニキ・ド・サンファルの代表作の一つ「Nana」。フランス語で女性のことを差す”ナナ”を名に持つ作品は、とにかく鮮やかな色彩がポイントだ。それら溢れんばかりにカラフルなパレットは、レースやシルク、レザーと交わり、ファッションとして現代に飛び出す。そして、もう一つ「タロットの庭」と呼ばれる作品。鏡のようなキラキラとしたパーツを寄せ集めた、トスカーナにあるこの作品もファッションへと変化を遂げる。洋服は、マルク・ボアンの時代からヒントを得て、60~70年代の要素をふんだんに。ディオール史上”最も大人しい”デザイナーとも呼ばれていた彼だが、女性の日常着を多数提案した影の立役者。特に、ミニドレスとフロントオープンのスカートは、マリア・グラツィア・キウリに大きな影響を与えた。ニキ・ド・サンファルの作品から飛び出した色々は、ミニドレスの上に姿を現す。「Positive」のロゴやモンスター風のキャラクター、鮮やかなガラスビーズがファッションに独自性をもたらす。また「タロットの庭」のミラーバーツもドレスへと着地。作品のイメージそのものがテキスタイルの上で花を咲かせる。ディオールのアイコン・バージャケットは、ニキ・ド・サンファルのピストルで撃って絵具の色を決める”射撃絵画の手法”から着想して、幾何学的な色使いで登場。マリア・グラツィアになってシーズンを飛び越えて登場している、シースルースカートは、今季マルク・ボアン風のフロントオープンスタイルで、様々なレイヤードが楽しめる。バリエーション豊富な小物、アクセサリーを展開するマリア・グラツィア。暖かな夏の提案として、今季はカジュアルに持てるブックトートを提案している。
2017年09月29日現在「FOD」と「Netflix」で続編が配信中のドラマ「グッドモーニング・コール」で白石隼也とW主演を務める福原遥が、2018年カレンダーを発売することが決定した。小学1年生のときに子役としてデビューし、子ども向け料理番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」で柊まいん役を演じ人気を博した福原さん。今年19歳となった彼女は、ドラマ「グッドモーニング・コール」「ふたりモノローグ」、映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』、TVアニメ「キラキラ☆プリキュアアラモード」などに出演し、女優・声優として活躍中だ。そんな福原さんの魅力がたっぷり詰まった今回発売される2018年カレンダーは、全8ページで構成。絶品の笑顔からちょっと大人っぽい表情まで、1枚1枚で様々な季節を感じられるカレンダーとなっているようだ。福原さんは「2018年のカレンダーを出すことが決定しました!大きなカレンダーは、ずっとずっとやりたかったものだったので聞いたときはすごく嬉しかったです!!」と発売決定への喜びを述べ、「色んな衣装を着て、季節を感じるショットをたくさん撮っていただきました!」と撮影をふり返る。また来年は、福原さん20歳になる記念の年ということで、「そんな1年をこのカレンダーと共に過ごして頂けたら嬉しいです!よろしくお願いします!」とコメントを寄せている。なおカレンダーは、全国の書店・ネットショップなどで予約を受け付けるほか、研音公式オンラインショップ「K-SHOP」では、福原さん直筆サイン入り特典付きで予約が行われる。福原遥の2018年カレンダーは11月上旬発売予定。(cinemacafe.net)
2017年09月29日MSGM(エムエスジーエム)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月24日(日)に発表された。エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)を退任し、自身のブランドに今季より再び専念する、デザイナーのマッシモ・ジョルジェッティ。創作意欲が一つの方向に統一されたからか、新作はエネルギッシュなものばかりだ。ファーストルックは、Red、GREEN、ORANGE、BLACK…と色の名前を集めたニットトップス&スカートのコンビ。これはここから始めるコレクションの予言書のような役割を果たし、ここに示された色彩が順々に登場する。どの色も鮮やかな発色。コンビネーションを楽しむように、タイダイ模様やチェック柄にしたものもある。シーズンピースは比較的オーセンティックなものを中心に揃えた。シャツ、ニット、トレンチコートなど。個性を育てるのは、先に述べたビビットなカラーリングと質感の違い、そしてブロークンディテールだ。ニットの裾や袖口はダメージ加工が施され、中にはクロップド丈にカットオフしたものもある。さらに、スプレーペイントとミックスすれば”ダーティー”な印象すら受ける。ビックサイズのパーカーやジャケットなど、マッシモらしいストリートの影響を受けたラインナップに加えて、今季は思い切りフェミニンに寄せた、ティアードドレスやパフスリーブワンピースなども仲間に加えた。素材はレースを用いて可憐なムード。ただし、足元はスポーティーなソックス&サンダルやカラーブーツで、アクセサリーは細みのサングラス。MSGMらしいマッシュアップの手法は、大切にしていることが伺える。
2017年09月28日ウジョー(Ujoh)の2018年春夏コレクションージョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)による若手デザイナーサポートプログラムの支援を受け、2016年秋冬でミラノデビューを飾った、デザイナー西崎暢による日本ブランドが再びミラノへ。2018年春夏コレクションをミラノ・ファッション・ウィーク最終日となる2017年9月25日(月)に発表した。パタンナーとして経験を積んだ西崎暢が作る洋服は、大胆なカッティングが魅力。「春夏はアシンメトリーが似合う」、そんな言葉通り、新作は身体を軸にした均等さはなく、どれもアンバランスなシルエットである。一つにベスト。テーラードジャケットを再解釈したピースは、袖をばっさりと切り落とし、袖口にえぐるような大きな穴をあけた。芸術作品のようなアンバランスなフォルムは、潔いカッティングが成せる技だ。ピンストライプのベルトも同様に不均衡に。こちらはベルトディテールを胸元に添えて、複雑なシルエットを作り出した。ドライな質感のコットンキャンバス、サマーウール、タフタは、独創的なシルエット作りに力を貸す。ワンピースやブラウスにも穴をランダムにあけても形が崩れていない。その穴にドローコードでギャザーを作り、豊かな表情を加えた。ストライプリブのワンピース、トップスは、昨シーズンから続くスポーツテイストの意識だろう。メッシュ、ナイロンといった素材の起用、フラットサンダル、シースルーのフード付きジャンパーも同じ着眼点から生まれていそうだ。シーズンピースといえるのは、アシンメトリーなサロペット型ワンピース。片方だけのストラップは、今季のキーワードを顕著に表現。上半身はアンバランスであるが、スッと落ち感のあるスカート部分をみると、パタンナーとしての経験が存分に生かされていることが感じられる。
2017年09月28日トッズ(TOD’S)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月22日(金)に発表された。ファッション・ウィーク真っ最中のミラノは、10月を目の前にしていることを微塵も感じさせないような陽気な気候。特に日中は太陽が照り付け、サマーシーズンを思わせるほど暖かい空気が流れている。そんな環境で展開されたトッズの新作は、「イタリアの夏」がキーワード。サンサンと照りつける太陽の光、流れゆく涼しい風。そんな豊かな気候を持つ母国への愛に満ちたワードローブが展開される。キーファブリックはもちろんレザーだ。トッズブランドを象徴する皮革は、ダブルブレザーになり、ボンバージャケットになり、バイカージャケットになり登場。なんたってパジャマシャツまでレザーで仕立てる心意気だ。イエロー、サンド、ライトブルーにほんのり柔らかなニュアンスをのせて、真心を込めたレザーピースを送りだす。イタリアンヘリテージに融合させたのは、スポーツの要素。特にテクニカルナイロンで仕立てたショートパンツは、シーズンピースといえる存在感。豊かな光沢、リズムを生むロープのディテール。プルオーバータイプのトップスやアウターとコーディネートすれば、軽やかで都会的な印象を生む。シューズラインからは、ゴンミーニをデニム地で仕上げたダブルT ゴンミーニが登場。またトッズのアイコンの一つであるウェーブ バッグはバックスタイルに進化。さらに、軽量さがポイントのニューバッグ・トッズ セラもローンチしている。
2017年09月28日ロベルト カヴァリ(roberto cavalli)は、新クリエイティブディレクターにポール・サリッジを迎えて、初めてのコレクションとなる2018年春夏コレクションをミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月22日(金)に発表した。デビューシーズンのテーマは「変化のスピリット、進化のムード」。ポール・サリッジの着眼点は鋭く、様々なシーン・シチュエーションに直面する現代女性へ向けたものだ。出来上がりはエレガントでグラマラスであるのに、着心地はゆったり。なおかつウェアラブル。そんな視覚的にも機能的にも富んだデイウェアは、元々男性服を手掛けていたポールの感性によって紡がれている。コレクションにふんだんに用いられたドレス。クラシックなカヴァリのスタイルに沿ったシルエットであるが、素材に一工夫。肌触りがソフトでかつタイトに見せてくれるニット地を選び、女性らしいシルエットを作り出した。タイトな上半身であるが、袖口は大きく開きヨガウェアをイメージ。反してスカート部分は、ボリューミーでふわっととした広がり、ドレスシーンでも眩い存在感を放つだろう。また、異素材の差し方、デコレーションによる装飾も得意なようだ。レザーのストラップやクロコダイルのブラ、また上半身をタキシード生地で仕立てたり、キャビアのように繊細なビーズデコレーションを施したものもある。アクセサリーは、肌にぴったりとフィットしたツヤのあるブレスレットを選んで。シューズは機能性を一番に考慮してフラット一択。ポニー、スエードなどラグジュアリーな素材で着脱しやすいデザインに仕上げた。しかし、ポールは新規参入だ。一番に重きを置いているのはブランドのヘリテージへの尊敬のまなざしである。ゼブラやレオパードといったアニマルモチーフは、ポニーを筆頭としたプレシャススキンの上にペイントであしらった。そして、カラーパレットは、サンドやベージュ、ブラウン、カーキ、ブラックなど全て、トスカーナの風景に思いを寄せたものである。
2017年09月28日スポーツマックス(SPORTMAX)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月22日(水)に発表された。2018年で50周年を迎えるスポーツマックスは、アニバーサリーイヤーへのカウントダウンとして、ブランドの原点へ立ち返る。スポーツの着想ーこれが大きくクリエーションに影響を放ちアクティブな印象のワードローブを提案する。象徴的の用いられたのは、マルチカラーのストライプ。ソフトピンク、アクアグリーン、イエローなど多彩な色彩を組み合わせたこのモチーフが、裾に袖にウエストに、そしてウェア全体に散りばめられている。キーアイテムとなるのはトレンチコート。大きなポケットを斜めにつけた、ワークウェアのような機能的なアウター。異素材をドッキングしたロングコート。さらには、トレンチコートのベルトディテールだけがピックアップされ、トップスやアウターの胸元に大きくバックルをデコレーション。フード付きジャンパーやパーカー、ポンチョ、レギンスなどイタリアンスポーツのアイコンと交わり、機能性への探求心を色濃く示す。バッグはウエストポーチ型に、シューズはリボンディテールのフラットサンダルで、”動き”に対応できる軽快なラインナップだ。しかし、スポーツマックスが手掛けるのは、運動服ではないレディトゥウエアだ。その根本的な概念を呼び覚ましてくれるのがしなやかなシルエット作りであろう。ストレッチの効いた素材は豊かに延び、ボディの輪郭を露わにする。ストレッチの効いた素材は豊かに延び、ボディの輪郭、そしてインナーまでも明らかにし洋服そのもの正体を露わにする。トランスペアレントな素材は、肌の露出を絶妙にコントロールして官能性を優しく表現。また、ニット、オーガンザといった優しい素材選びも、快活なムードの中で一際フェミニンな印象を灯す。
2017年09月28日ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、2017年9月24日(日)イタリア・ミラノで発表された。6月に発表されたメンズコレクションを継承展開しているウィメンズコレクション。メンズのテーマは「キング オブ ハート」。…と繋げて考えると、自ずと今季のヒロインは見えてきた、そう”クイーン オブ ハート”。観客の予想を裏切らず、ステージに並んだクイーントランプのモチーフたち。縦に横に動き周り、ショー開始までのひと時を格別なものにしてくれる。ドルチェ&ガッバーナのショーと言えば、洋服はもちろん演出も含めてエンターテイメント性が高いのが特徴だ。今季は13人のモデルがステージに登壇。一斉にポージングし、順々にランウェイに舞い降りるという一つのドラマのもと今シーズンは幕を開けた。オープニングの装いは、ブランドらしいブラックの装い。テーラード・ボディコンシャスなドレスなどアイコニックなシルエットが並ぶ。異なるのは素材とディテール。シースルー素材やはとめのデコレーションを使って、エレガンスの中に若々しさも投じている。続くのは、母国イタリアへの愛を綴った多彩なプリント。シチリアモチーフを筆頭に、魚・クッキー・缶詰といった食の宝庫ならではのイラスト、そして美術館から飛び出てきたようなエンジェルの姿。さらに、ドルチェ&ガッバーナを象徴する大輪の花、今季はスズランにもフォーカスされている。これらがフレアドレス、ボウタイブラウス、フリルスカートに個性を差していく。また、今シーズンの特徴としてアラジンのジャスミンのようなオリエンタルなルックが起用されている。丸みのあるパンツ型のアラビアンプリンセスルックは、ソフトなテキスタイルがよくマッチし、上質なテクスチャーであることを視覚的に表現。コーディネートとしては、同じ柄で全身覆うようなスタイルが提案されている。ナポレオンジャケット、ミニドレスといった定番のブランドスタイルに、レギンス、グローブなどが合わせられ、バッグ・シューズまで同柄で統一。小物は、アイキャッチなものが多く、OKの手の形をしたアイウェアやハート柄バッグ、クリスマスオーナメント並みのビッグサイズイヤリングが登場。しかしながら、最も大切なのは”クイーン オブ ハート”というキーワードだ。トランプ柄ドレスやパンツ、そしてハート柄のルックはそこらかしこに散りばめられている。
2017年09月27日トラサルディ(TRUSSARDI)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク5日目の2017年9月24日(日)に発表された。今シーズンは、ブランドのヘリテージを大切にしながらも、スポーツ・ミリタリーなど異なるカルチャーを交えて、若々しい印象へとシフト。動きのあるディテール使いや鮮やかなカラーリング、カジュアルな素材の起用といった部分に、フレッシュなアイデアが行き届いている。象徴的なのは、ベルト・リボンの使い方。ジャケットの袖、ミリタリーパンツのサイド、カーゴパンツのポケット、キャミソールドレスの中央など、あらゆる場面でトレンチコートのベルトのような太いテープが使用されている。また、ドローコードも同様に、ロングドレスを中心に部分的に取り入れられ、躍動感をもたらしている。テーラードジャケット、セットアップといった、オーセンティックな装いは、コットン・リネンなどを使ってカジュアルダウン。全面に総柄模様を配した、ポップなものもある。ウィメンズに見られるプレシャスレザーを使ったアイテム。例えば、パイソンのスカートなどは、スウェットトップスやフード付きジャンパーなどと組み合わされ、着こなしによって軽さを纏わせた。スポーツミックスの象徴として用いられられたのは、メンズのサイドラインパンツ。トラサルディならではのしなやかなレザーで仕立てられ、上質なスポーツミックスといったどころだろうか。また、ウィメンズにはミリタリーシャツやジャンプスーツといったワークウェアのエッセンスが繰り返し混ぜ込まれ、エレガントなドレスルックとの中和を図る。
2017年09月27日マルニ(MARNI)マルニの2018年春夏ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク5日目の2017年9月24日(日)に発表された。フランチェスコ・リッソがクリエイティブディレクターに就任して2度目となる本ショー。前回はコンサバティブな印象もあり、どの方向へ舵を切るのか…と思わせたが、うまく新生マルニを軌道にのせたようだ。自身の個性とマルニのヘリテージを融合させ、振り切ったと言えるほど、潔いクリエーションを見せている。繰り返されるフォルム遊び、そしてパッチワークの連続。シルエットはウエストシェイプが基本で、ビックサイズのものも断固として、砂時計のように腰辺りをギュギュッと絞っている。落ちたショルダーライン、広がりを見せるスカート。コントラストを効かせたフォルムは、重量感と同時に軽やかさも備えている。テキスタイル、そして色柄のバリエーションは豊富だ。サテン、ナイロン、シフォン、そしてビニル。マルニを象徴するフラワーは大花・小花両方揃えて、鮮やかな色にのせた。ボタニカル模様の中に溶け込んでいくのはチェック、ボーダー、ドット柄とオーセンティックなもの。さらに、悪趣味ギリギリのラインで、イラストタッチの人物画やドッグモチーフまでも交える。キーピースとなるのは、ビスチェトップス。これがブラウスやカットソー、ドレスの上にレイヤードされ、実際のアイテム数以上のバリエーションを生む。また、レディライクなウェアに混じって、ビックサイズポロシャツやカーゴパンツといたマニッシュな装いも展開。リッソのアイデアのアソートメントといった具合に、あらゆる要素が混在するコレクションであるが、仕上げの決め手となるのは、ある意味"トゥーマッチ"とも言えるデコレーションだろう。大玉のパールとカラフルなビジューで作られたフラワーパーツは、胸元そしてウェア全体に散りばめられた。断ち切りの裾でカジュアルに仕上げたワンピースにも、このデコレーションは顔を出し、リッソ印の刻印が押されている。
2017年09月27日2018年2月、振付家ジョン・ノイマイヤーが芸術監督を務めるハンブルク・バレエ団が日本公演を行う。2016年春、7年ぶりに実現した日本公演は独特の熱気に包まれ、ノイマイヤー作品、またこのカンパニーの根強い人気を印象づけたが、彼らの代表作を携えての今回の来日は、その興奮を再びもたらすものと期待される。ハンブルク・バレエ団 チケット情報上演作品のひとつ、『椿姫』はパリ・オペラ座バレエ団による上演でも知られ、もっとも有名なノイマイヤー作品といってもいいかもしれない。ヴェルディのオペラ『椿姫』と同じく原作はデュマ・フィス。パリの高級娼婦と純粋な青年の悲恋を描いた傑作だが、ノイマイヤー版は全編ショパンの音楽を用い、原作の世界をより細やかに表現、物語バレエの最高傑作と賞賛されている。あらためて、ノイマイヤーのもとで切磋琢磨を続けるダンサーたちの演技で観たい作品だ。もうひとつは、伝説的ダンサー、ヴァスラフ・ニジンスキー(1890~1950年)の半生を描いた『ニジンスキー』。ウクライナに生まれ、ダンサーとして才能を開花、ディアギレフのバレエ・リュスに参加し、舞踊史に輝かしい足跡を残しながら、不遇のなかで生涯を終えた彼の数奇な運命を描いたバレエだ。作中には彼が演じた傑作の役柄が次々と登場、そこに立ち現れる、美しくも切ない天才ダンサーの姿が大きな感動を呼ぶことだろう。ガラ公演〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉も見逃せない。前回の日本公演で初演され、その2日目には当日券売り場に長蛇の列ができたという、予想を遥かに超えた反響と感動が思い出される。ノイマイヤーの数々の傑作からの単なる名場面集にとどまらない、その作品世界の多彩な魅力を一夜にして体験できる、圧巻のスペクタクルである。これを踊るカンパニーのダンサーたちも、その実力は世界最高峰と評されるが、そこでの日本人団員の活躍も注目だ。2012年、ローザンヌ国際バレエコンクールで第1位入賞を果たして話題となった菅井円加は、現在このハンブルク・バレエ団でプロとして活躍、今回初めて『椿姫』への出演が決まり、ヒロインの友人プリュダンスという大役を任される。「一番好きな作品で、いつか関わりたいと思っていた」とインタビューに応えた菅井。「『ニジンスキー』にも何度か出演していますが、ラストシーンでのニジンスキーの狂気は、自分も出演していることを忘れてしまうほどの迫力」とダンサーの素晴らしさを強調、「両作品ともぜひ、キャスト違いもご覧になって、それぞれの魅力を味わっていただきたいです」と訴えている。公演は2018年2月2日(金)から2月12日(月・祝)まで、東京文化会館にて。チケットはチケットぴあにて9月29日(金)より先行発売。取材・文:加藤智子
2017年09月27日サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月23日(土)に発表された。今季はメッザノッテ広場に特設会場が設けられ、フレッシュな香りが漂う草花の上にガラス張りのランウェイステージが引かれた特別な空間で展開された。今季のサルヴァトーレフェラガモは、女性の様々なオケージョンを意識した、バリエーション豊かなラインナップが特徴だ。ただし、どれもスタンダードに一捻りも二捻りも加えた、エクスクルーシブな仕上がりであることは間違いない。一つは、キャリアウーマンへ向けた新スタイルのオフィススタイル。スーツスタイルはリデザインされ、テーラードジャケットはノースリーブに、ストライプシャツは継ぎ接ぎパッチワークで遊び心あふれる仕上がりに。素材選びにもユーモアを持たせ、かっちりとしたシーンにあえてポップな素材を持ち込む。ジャケット、ベストの類には光沢あるシースルー素材を、シャツにはスポーティーなメッシュ地を取り入れた。また、職場を出たらパーティーにイベントに。そんなパワフルに遊ぶ女性をイメージしたのだろうか、オフスタイルも幅広いスタイルで展開。ベアトップとスカートのコンビ、フード付きジャンパー、ショートパンツとベアトップのスタイル。特に、象徴的に用いられたのはスリップドレスだろう。華奢なストラップ、斜めにカッティングした胸元。極めつけはばっくりと開いたバックスタイルで、ブラストラップやリボンディテールを添えた、官能的な後ろ姿を演出。デザインは様々で、総フリンジの躍動感溢れるものから優しいフラワー柄、オーガンザを上からアタッチしたものまで。並んで、ホルターネックスタイルのロングドレスも登場した。アクセサリーラインの担当者が変わり、このパイソンを使った小物も満載。ニーハイブーツやバッグ。特にバッグは、同じ形でサイズ違いで3つコーディネートしたり、ゴールドの金具と合わせたピアスを一緒に合わせてみたり。ジュエリーのような感覚で組み合わせ、取り換えを楽しめるデザインが多い。
2017年09月27日アキラーノ・リモンディ(AQUILANO・RIMONDI)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月23日(土)に発表された。サルトリアの真髄を追求し、職人的な服作りを極めるアキラーノとリモンディ。今季は、力強いカラー、グラフィカルなセンス、幾何学的な要素などをキーワードとして寄せ集め、コレクションを進行する。一見シンプルなワードが揃っているように感じるが、これらの集合体となるピースは、パワフルで個性的である。ストライプ、チェック、ボーダー。普遍的な模様も、ランダムに、そして不均衡に合わせてみると、万華鏡を覗いた時のような魅力がある。ビーズの刺繍でラインを縁取ったり、異なる色のパッチワークも交えれば、より一層ユニークになり観るものを惹きつける。加えて今季は、デザイナーの名前から取ったロゴデザインも起用した。L、A、N、O…彼らの名前の一部が洋服を彩る要素として活躍する。カラーはブラック&ホワイト、差し色で強い赤を入れた。モノトーンでできたグラフィックは、幾何学的にカッティングしたスカートやドレスにのせた。四方八方に広がる裾は、豊かなボリュームを生み、高い位置に設定したウエストライン&太いベルトマークがスカート部分の重量感を引き立てる。また、融合させた要素としてスポーツのアイデアがある。ライン入りパンツ、ロゴTシャツ、タンクトップまたはヨガウェア風のトップス。また、ビニルやコットンに混じってジャージもキーファブリックとして登場させている。
2017年09月26日エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月23日(土)に発表された。今季のマストハブアイテムとなるのは、スリップドレス。華奢なストラップ、大きく開いたバックスタイル、Vの字にカッティングされた胸元。あらゆるディテールで女性らしさを表現するこのドレスがシーズンの鍵を握る。アイテムそのものの個性を際立たせ、デコレーションもフェミニニティを意識。全面にまんべんなく配されたフラワーのチーフや繊細なレースワーク、そしてランダムなフリルまで表現のバリエーションは豊かだ。さらに、オケージョンに合わせて選べるよう、ラメを散りばめたり、スカート部分にボリュームを持たせたものもある。シースルーグローブと合わせればよりスタイルはドレッシーへと変わる。ショーはエンターテイメント性を持たせているのか、このフェミニンなコードに、突如として男性性を降り注ぐ。ミスマッチとしか言いようにない、ブルー&ホワイトのストライプ柄シャツやレザージャケット、ボンバージャケット、ピンストライプのテーラードジャケットがドレスとコーディネートされて衝撃的に登場する。最も意表を突いたのは、ダウンコートだろう。鮮やかな赤やグリーンに染め上げられたアウターはそれだけでも存在感が抜群であるのに、スリップドレスと交われば、スポーティーさとアクティブさをより発揮する。スリップドレス単体のモデルと、これらマスキュリンなアウターを羽織ったモデルが交互に顔を出せば、一方は開放感に満ち溢れているように、一方は強烈な官能性を内に秘めたように映り、コーディネートの幅の広さを感じさせる。
2017年09月26日マックスマーラ(Max Mara)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2017年9月21日(木)に発表された。今季は、都会で生活する女性に向けたワードローブを提案。ブランドの根底であるエレガンスを尊重しつつも、アクティブさや遊び心を取り入れて、魅惑的なアーバンスタイルを築き上げている。シティウーマンの象徴として用いられてたのは、トレンチコートだ。マックスマーラカラー・キャメル色のトレンチコートは、透け感のある素材使いで、陽の光を通すほど軽やかな仕上がり。柔軟な発想でアレンジを加えたアイテムも。アーム部分を切り取り、ペンシルスカートへとトランスフォームしたトレンチコート風ボトムスは、バイオレットカラーで染め上げられ優し気な印象だ。オフィスの必須アイテムであるスーツも、今季はプレイフルにリデザイン。テーラードスタイルは、ボトムスをクロップド丈にカットオフして軽さを出し、全面に色とりどりの花模様を散りばめた。また、カジュアルなウェアは洗練された印象に昇華。両胸ポケット付きのカジュアルなジャケットには、センタープレスパンツを合わせ、デニムのセットアップは、裾を膝までロールアップしたボーイカットパンツをコーディネートし、スタンダードから離れた上質なものへと引き上げている。新しい取り組みとしては、マックスマーラのアーカイブロゴをデザインに起用したこと。ブランド創業から間もなくして生まれたサンドカラーのモチーフは、ジャガードに織り込まれたり、レザーにプリントされ、シャツやパンツの上から顔を出している。アクセサリーラインもニューカマーが加わり、オーバーサイズのバッグとクラッチ、そしてアイリスのサングラスといった新作が同時にランウェイデビューしている。
2017年09月25日ジバンシィ(Givenchy)は、元クロエ(Chloé)のクレア・ワイト・ケラーを新アーティスティック・ディレクターに迎えて初となる2018年春夏ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表。今季は初めてメンズウェアとミックスして新作を披露した。彼のジャケット、彼女のシャツーコレクションノートに書かれたこの言葉。クレアが作る新作は、メンズとウィメンズが呼応するように寄り添った、まとまりのある印象。ウィメンズはショルダーラインを大きく広げ、メンズは反対にストレートなラインに。同時に見ると、このショルダーメイクによってどちらもシャープな姿に映る。新しくジバンシィに加わった要素と言うと、英国文化のエッセンスだ。トレンチコート、そしてUKロックのアイデアから、稲妻モチーフが起用され、プリーツスカートの上にプリントされている。また、リカルド・ティッシの時代には見られなかったが「4G ロゴ」が復活。ブランド名のGが4つ並んだこの印象的なマークは、ジャケットやコートのボタンなどに用いられている。ボーダーのロゴ入りTシャツやデニムパンツなど、カジュアルな装いが現れたかと思うと、クラシックなミニドレスが交わる、そんなリズムのある進行。新しいアイコンとなるサブリナドレスは、重なるプリーツの狭間にレースをあしらった、女性らしいディテールが光るものだ。新バッグはGV3。名前には、クチュールが始まったオフィスの番地から「3」を起用したという。ミラー仕上げの’G’型留め具がポイントでウエストポーチタイプも展開される。
2017年09月25日フェンディ(FENDI)2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2017年9月21日(木)に発表された。今シーズン、フェンディにインスピレーションを与えたのは、イタリアのフューチャリズムと熱帯地方への旅。カリブ海独特の色彩や温暖な気候から生まれるテイストがクリエーションに力を与えている。フェンディならではの長いランウェイ。ショーの始まりと共に、リズミカルなサウンドが響き渡る。幕開けと同時に顔を出すのは鮮やかなカラー。海を想起させるブルーや豊かな草木を思い起こさせるグリーンに、コーラルピンクやサンドベージュが加わり、温かい春夏シーズンの訪れを軽やかに告げる。これら豊かな色彩の数々は、グラフィカルなプリントへと姿を変える。ストライプ、ボーダー、チェック。これらマルチカラーの模様は、シースルー素材をかませることで、よりグラフィカルで立体的になり、その魅力を増す。また、今季の面白さは、この直線的にモチーフを使って、広がりや奥行きを待たせた洋服を仕立てていること。キーシルエットは、ウエストを絞ったオフショルダーのトップと花のようなフレアなスカートのコンビ。このフィット&フレアなシルエットがアイコンとなり、ドレス、コートなどが形づくられている。スリーブはバルーン型にしたり、トップスのヘムを広げたり、リボンをあしらって動きをつけたり…とアレンジ方法は様々だが、一着の中で重さと軽さの絶妙なバランスが共存しているのは統一されている。レザー、ファー、シルク、シフォン。あらゆるファブリックで作られたピースには、とっておきのデコレーションを添えた。揺らめくように光を放つスパンコール刺繍やふわふわと浮かぶファー。また、熱帯に育つ植物たちからヒントを得て、イギリス刺繍「ブロデリー・アングレーズ」のシダの葉やレザーの花びらなども登場した。ニューバッグの提案としては、バケツ型のミニバッグ「モン トレソール」をメインに。エキゾチックレザーにメタリックパールを散りばめた、プレシャスな仕上がりだ。また、人気モデルのトートバッグ「ラナウェイ」は、トランスペアレントな素材使いで進化。タータンチェック柄を施し、丸みのあるハンドルとコンビネーションさせた。バッグに取り付けた、モンキーやバナナチャームも今季の起点となったポップなテーマを大胆に表現している。
2017年09月25日マルニ(MARNI)が、9月24日ミラノで2018年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
2017年09月25日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)の2018年春夏コレクションは、モデル約30体に及ぶプレゼンテーション形式で発表された。ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2017年9月21日(木)のこと。マッシモ・ジョルジェッティがエミリオ・プッチを去った。迎える新シーズンは、クリエイティブチームが一丸となり、ブランドの原点に立ち返るものとなった。エミリオ・プッチに縁の深いカプリ島。美しい海に囲まれたこの島で、海とプールに挟まれた絶好のリゾートスポットに初めてのブティックを持ったのがブランドの始まりだ。セレブが集って夜な夜なパーティを繰り返すエリア。今季はこの地にインスピレーションを膨らませ、「プール パーティ」をキーワードにコレクションを進める。主役となるのは、そのまま海にもプールにもくり出せそうな軽やかなルックだ。スイムウェアに、シンプルなハーフスリーブワンピースとシャツドレス、そしてカフタン。裾には派手なクリスタルを、袖口にはオーガンザを重ねたデコレーションを添えてパーティ仕様に。カラフルなラッフル装飾は波の印象を、ポップなドット模様は泡のイメージを投影し、カリブ島のエッセンスを加えた。シルク、コットン、ジョーゼット。それにエミリオ・プッチならではのジャージ。これらをホワイト、アクア、オレンジ、エメラルドに染め上げる。プリントはすべてオリジナルの新作だ。「ビーチを上がったら、ガウンを羽織ってパーティだ!」そんな声が聞こえてきそうなほど、エミリオ・プッチガールの前にはガウンコートが多数揃う。濡れた頭を覆うべく、タオル地のヘッドドレスをトップに添えて。くるりとタオルを巻いたような形状だが、実は頭にはめるだけで、この渦巻シルエットが作れる優れもの。気軽さと遊び心はシューズラインにも影響を与えた。マルチカラーのサンダルは、レザージャケットーとPVC素材をミックスして個性豊かに。パンチングされたポインテッドトゥ、新型のカプリサンダルまで加われば、朝からは夜まで存分にパーティを満喫できるほど、バリエーション豊かなコーディネートが楽しめる。
2017年09月25日エトロ(ETRO)は、50周年を記念してメンズ・ウィメンズ合同ショーを開催。ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月22日(金)に、2018年春夏コレクションを発表した。テーマは、生命の樹を意味する「The Tree of Life」。家族経営のファッションハウスであるエトロ。ヴェロニカとキーン、兄と妹が家族が手と手を取り合って紡ぐ最新コレクションは、彼らの父親が若くして旅したインドからインスピレーションを得た。エトロのアイコン・ペイズリー柄がエキゾチックなカルチャーと交わり、新たな局面を追求するシーズン。メンズ・ウィメンズ同時発発表の記念すべきショーは、両者のモデルがランダムに入り乱れ、右から左からランウェイをまんべんなく闊歩する斬新な演出である。序盤は純粋さを象徴する白の装いから。ホワイトの顔料で特徴的な模様を描いたドレス、クリーム・アイボリーと同系色のグラデーションドレスなどが並んだ。蕾からゆっくりと花開くように、白いキャンバスにマスタードやイエローの差し色が施され、時の流れとともに、バイオレット、エメラルドグリーン、サーモン…といった色彩が顔を出す。頭角を現すアジアのカルチャー。ペイズリーと花模様をプリントしたシルクトップスは、チュニックのようなフォルムで異文化を主張。異素材をパッチワークしたウェアはカフタンのようであり、輝くゴールド、艶めくエメラルド。そういったジュエルで作られたピアスはシャンデリアのような存在感で、インドの王族をも思わせる。メンズ・ウィメンズ同時発表の醍醐味として、ジェンダーレスで提案されたルックも存在した。プリーツを配したコットンのジョッパーズパンツやワイドシルエットなパンツ。ウィメンズのパジャマシャツもパンツのセットアップで提案され、男性スーツ顔負けのクラシックなスタイルへと昇華している。男性服もこれの影響であろうか、斬新な佇まいに。力強いテーラリングを感じるブレザーやスモーキングジャケットも、渦をまくようにサイケデリックな模様が敷き詰められモダンに。合わせたタイには、ペイズリー型ジュエルを合わせ個性的なコーディネートを表現している。
2017年09月25日アンテプリマ(ANTEPRIMA)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2017年9月21日(木)に発表された。2018年で25周年を迎える、アンテプリマが選んだテーマは「Re:LOOK」。エレガンスを基軸としながらも、ほんの一さじのアレンジでスタンダードから離れた個性を打ち出してきたブランド。アニバーサリーイヤーを迎える今季もこのスタンスを尊重し、優しく力強いモードを打ち出している。アイコンに据えたのはスズランの花。高貴の象徴としても用いられているこの花をプリントにおこした。花が持つ本来の魅力を引き出すように、黒地にホワイトカラーで生き生きとした姿を描き、ドレスを作り出している。柔らかさと心地よさを基準に選ばれたテキスタイルは、流れるように揺らめき、安らぎを届けてくれる。アンチスタンダード、このアンテプリマスタイルを作り出すのは、アシンメトリーなフォルムだろう。裾はどちらか一辺が長いイレギュラーな形で、アームはワンショルダーのものが多い。ディテールを見ても、ウエストの一部分にプリーツスカートのアタッチが取り付けられたり、部分的にくりぬかれていたり、身体を横切るよう斜めにギャザーが配されたりしている。また、新鮮さでいえば、トランスペアレントな素材、ミラー素材の起用が挙げられる。色柄違いで登場したレインコートは、その透明度を利用して、インナーウェアを透けて見せる粋な活躍。今季のアイコンであるスズランは、ミラー素材のイヤリングになってコーディネートされていた。アンテプリマ25周年、デザイナー荻野いづみにインタビューアンテプリマ25周年を記念するアニバーサリーショーには、サンリオの人気キャラクター・ハローキティもサプライズ登場し、祝福ムード。最新コレクションからレインコートをピックアップしておめかしし、新作ローズゴールドカラーのワイヤーバッグをもって駆けつけた。ショーを終えた荻野いづみに、今季の感想と今後の目標について話を聞いた。Q.アニバーサリーを記念する特別なショーとなったと思いますが、今季を終えた感想を教えてください。過去に行ったことの中から、楽しかったことだけを思い出して作り上げたコレクションです。今季はとても良かったかなと思っています。Q.ずばり今季のテーマは何でしょう?スズランの花をテーマとして挙げました。これは、スズランの持つ幸せの再来であるとか、可憐なところが、アンテプリマととてもフィックスするところがあったためです。色彩は、1950年代のカラーも意識しました。また、今年はトリエンナーレにも足を運びましたし、ベネチアやハワイにも訪れ、アートシーンに触れてきました。そういった経験から、アーティスティックな雰囲気をディスコンストラクションなフォルムなどで、コレクションに落とし込んでいきました。Q.25年間大切にしてきたものと今後の目標を教えてください。エレガントをキープしつつ、だけど普通でありたくないというのが私のテーマです。やはりアンテプリマのアイコンと言えば、ワイヤーバッグ。今季はフィナーレにワイヤーバッグを登場させました。プラスチックマテリアルを編むという技術に注目していただいておりますので、今後もこのアイコンを育てるよう、もっとワイヤーバッグを極めていきたいと思っています。
2017年09月25日ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)は、2018年春夏メンズ&ウィメンズ合同ショーをミラノ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月23日(土)に開催。会場となったPalazzo Archintoは、1830年から1847年までの間、旧宅として使用されていた場所である。今シーズンのキーワードは、ずばりカラー。現在観光地となっている英国のケドレストン・ホールや、いくつもの宮殿を手掛けたスコットランドの建築家ロバート・アダムがインスピレーションになったとトーマス・マイヤーは語る。ランウェイには、くすみのあるグリーン、ピンク、パープルといったニュアンスカラーが並び、鮮烈なレッドが交わると引き締まった表情に変化する。パレットに反映して、今季はメンズ・ウィメンズ共に楽し気な印象だ。ウィメンズはとにかくデコレーションが多かった。パイソンのドレスにはハトメが飾られ、ワンピースにはフリンジ、透明のラウンド型パーツをたっぷりと。レングスは短めが主流で、パンツもワンピースもどれもミニ丈である。メンズとペアで提案されたのは、プルオーバーのアウターとレインコート。ビニルのような光沢素材で仕上げた、フード付きジャンパーも提案されている。メンズのジャケットスタイルも、これに伴いカジュアルに。スエード、アンティーク調のサテンなどのトレンチコートやブルゾンは、オーバーサイズでスポーツウェアさながらの軽やかな着心地。サイドラインのパンツやウォッシュドデニム風のトップス、パンツといった、ラフな装いも登場し、アクセサリーにバックパックやスニーカーを選べば、コーディネートはよりフレッシュで晴れやかな仕上がりとなる。
2017年09月24日ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月22日(金)に発表された。エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)の新作は、先んじてイギリス・ロンドンで発表されたため、ミラノでアルマーニの最新コレクションに出会えるのは、このジョルジオ アルマーニだけとなる。今季はとても明るくプレイフル。ピンクやグリーン、パープル、レッド…ブライトカラーを寄せ集めたパレットは元気と勇気をくれる。コレクションの幕開けは、春の訪れを告げる花々の登場から。ポップなフラワーたちがジャケット、スカート、ドレスの上を優雅に飛び回り、ストライプ模様、格子模様といったグラフィッカルなパターンと交わっていく。キーピースとなるのは、ショートジャケットとミニスカートのコンビ。ボディラインを美しく見せるためウエストシェイプされたトップスは、裾を斜めにカッティング。合わせたスカートは、フレアなものからプリーツタイプまで様々であるが、フレッシュな空気感は統一され、歩く度にふわふわと揺れ、躍動感に溢れている。後半にかけて登場するイブニングラインも、デイウェアのムードを受けて軽やかな印象だ。ほぼほぼ全てミニ丈スカートで統一され、ソフトなテキスタイルで仕立てられている。ブラックの下地に浮かび上がるスパンコール刺繍はもちろんだが、マルチカラーの”ポンポン”装飾も華やかなアクセントに。帽子やスタイルに散りばめられ、黒一色の世界に明るい光を差している。
2017年09月24日ヴェルサーチ(VERSACE)が、イタリア・ミラノで発表した2018年春夏コレクションは、ブランドにとってメモリアルなコレクションとなったであろう。ジャンニ・ヴェルサーチが没後20年を迎えた。アニバーサリーコレクションとなる今季は美術展覧会が行われるミラノ・トリエンナーレが会場に選ばれた。座席には一つの冊子が置かれている。カレンダーサイズのそれには、ジャンニが手掛けてきたアーカイブプリントがいくつも記されていた。そして、この冊子がこれから開かれるランウェイショーにつながっていく。始まりの合図と共に「Thank you ジャンニ、we love you.congratulation genious」といったジャンニを讃えるサウンドが流れる。ジジ・ハディッド、ベラ・ハディッド含む豪華モデルが纏うのは、アーカイブ作品から生まれたウェア。中でも、ヴェルサーチならではのシルクプリントは美しい。ブラック&ゴールドの「BAROQUE」、アニマルモチーフの「ANIMALIER」、インディアンの姿を描いた「NATIVE AMERICANS」、ヒトデや貝を現した「TRESOR DE LA MER」など、1997年からのブランドの軌跡を辿る思い出の数々が、ボディコンシャスなシルエットにのる。クラシックなシャツ、スポーティーなブラトップ。そしてシェイプされたジャケット&ドレス。デニムをモードへと昇華させたセットアップや、シャツ&スリムパンツで作るカーボーイルック、ペールトーン一色のロゴTシャツ&パンツスタイル、女性らしいベアドレスまで数々のスタイルが披露される。モデルたちは3体、4体で並んで歩いたり、1体で優雅に舞ったり。最もエンターテインメント性が高かったのは、フィナーレを終えた後のこと。会場のライトが消え、再びステージに明かりが灯ると、ジャンニの栄光を讃えるかのように往年のトップモデルがドナテラと共に顔を見せた。ナオミ・キャンベル、シンディ・クロフォード。「Gianni this is for you」のサウンドにマッチする、華麗な笑顔を見せていた。
2017年09月24日トッズ(TOD’S)2018年春夏ウィメンズコレクションが、日本時間の2017年9月22日(金)16:30よりイタリア・ミラノで発表される。ファッションプレスでは、その様子をライブ配信。先シーズンは、馬具の要素をベースに、アウトドアやストリートのムードを取り入れることで、トッズの洗練されたスタイルにフレッシュな新しさを見出した。表情豊かなヴィンテージ、ナッパ、ヘアカーフなどの様々なレザーを使用して作られたドレスや、ワンピース、コートなどのアイテムが登場。フェミニンなフォルムによって、レザーのハードさを抑え、優雅な表現に。また、ビッグシルエットのアウターや、大胆なカラーの切り替えが印象的なルックも披露した。【詳細】トッズ 2018年春夏コレクション開催日時:日本時間 2017年9月22日(金)16:30現地時間 9月22日(金)9:30
2017年09月24日N°21(ヌメロ ヴェントゥーノ)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク初日の2017年9月20日(水)に発表された。N°21を手掛けるアレッサンドロ・デラクアが追い求めてきた「男性性と女性性」というキーワード。両者の共通項と融合点を見出すため、これまで幾重にもクリエーションを繰り返してきたが、昨シーズンはフェミニニティに寄った印象で変化が見られた。今季は、より大胆にフェミニニティへとシフト。女性性への興味関心が増したようで、ショー全体はロマンティックなムードに包まれている。象徴するのは、ピンクの連続となるスタート。キャミソールドレス、パフスリーブワンピースなど、桃色で染め上げられたウェアに、スパンコール装飾、くしゅっと寄せたギャザーがのり、可愛いらしい雰囲気を作る。続くのは、ペンシルスカートやプリーツスカートなど。くすんだピンク色のレザーシャツやジャンパー、スウェットパーカなどでトーンを抑えつつも、それらには、オーガンザのカバーリングや、フェザー、花刺繍などの装飾が施されているため、男性性の参入は極めて印象に薄い。ピンクを筆頭に、ソフトなイエローやヌードカラーなど、柔らかい色彩が並ぶショー。後半からはレッド、ブルー、ブラックと力強いカラーが姿を見せる。このカラーチェンジにより、テイストそのものも変化すると思いきや続行。プリーツスカートやノースリーブドレスなどが主役を担い、可憐なムードを盛り上げる。ここで気付かされるのは、カラーの影響力の強さである。序盤から登場していた、同じシルエットのアイテムが強い色彩が頭角を現すことにより一気に刺激的に見えてくる。特に、タイトスカートは青と赤でボタニカル模様をパッチワークすることで、民族的なエッセンスも保有する。また、レオパード模様がさらに拍車を掛け、肌の上に重ねることで夜のムードを運び、女性から可愛いらしさだけでなく、センシュアルなムードを引き出している。
2017年09月24日アルベルタ フェレッティ(Alberta Ferretti)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク初日の2017年9月20日(水)に発表された。花模様が彩る、ロマンチックで詩的なフェレッティの姿はどこへやら。今季は、春夏シーズンの到来を楽しむかのように、ハツラツとしたスイムウェアからのスタートである。背中のカッティング方やネックのつき方で個性を出したワンピース水着。ラフなカーディガンやシャツを羽織り、頭にはつば広のハットをのせて、リゾート気分を満喫している。一方、色彩選びは陽気なムードを差し置いて慎重に。ブラック&ブラウンと、厳格な色彩がキーカラーに選ばれている。ワントーンのドレスルックの登場と共に、ビーチシーンから一転、進行方向はシティへと向かう。変わらずベースカラーは黒または茶色。スイムウェアの余韻を残し、バックスタイルは大きくカッティングされ、リボンディテールが首元を飾ったドレスが並ぶ。時間と共に色濃くなる都会のムード。レザーベルトのアクセントや、ギャザー、スリットといった技法が加わると、ドレスはより豊かな表情を見せていく。さらに素材にも変化が。レース、ニット、シースルー地とテキスタイルのラインナップが増えれば、生地を重ね束ねて…と遊び方もバリエーション豊富になる。ラストにかけては、装飾でより豪華に。ふわふわと揺れ動くフェザー、光を纏って輝くビジュー、鱗のように配されたレザーパーツ、生き生きした植物の姿を映し出す立体刺繍。これらがドレスの上で踊り出し、会場全体を軽快なムードからドラマティックな世界へと導いていく。
2017年09月24日アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)の2018年春夏コレクションが、イタリア・ミラノで2017年9月20日(水)に発表された。日本人デザイナー中島篤が、ミラノに挑むのは4シーズン目。今季はミラノ・ファッション・ウィーク初日にランウェイショーを行った。テーマは、合体、連合などの意味を持つ「coalescence」。サブテーマとして「多様な造形物を分解し、一つの被写体へ結合」というキーワードが添えられている。今シーズンもKinKi Kids堂本剛のソロアルバムからセレクトしたサウンドのもと、衣服の解体&再構築ショーが繰り返される。ただし、今季はデザイナー中島篤の変化に気付かされた。数シーズン続いていた和の要素が払拭されている。着物や帯といったジャパニーズカルチャーは排除され、トレンチコート、モッズコート、デニムジャケット、スウェットパーカーといったクラシックなアイテムが解体の対象となっている。これらをカットアウトし、ジップによって立て替えていく。身頃全体は幾何学的に分解され、異素材が一つに調和。さらにこのジップ切り替えにより、異なるアイテムの装着を無限に広げ、アームの着脱、シルエットの変形など、自由度の高いカスタマイズが可能となっている。後半からは、再構築アイテムに打って変わって、パッチワークウェアがランウェイを彩る。小さなパーツを幾何学的に配置し完成した、スウェットパンツやシャツワンピースなどが肩を並べる。また、ピンク、ブルー、イエローといったポップカラーの登場など、色彩の豊かさも後半戦の醍醐味。特に、メタリックシルバーのパラシュートワンピースやウィンドブレーカーといった類は、スポーツウェアのような軽快な仕上がりで、涼し気な印象をもたらした。
2017年09月23日モスキーノ(MOSCHINO)の2018年春夏コレクションーミラノ・ファッション・ウィーク2日目の夜、毎シーズンお祭り騒ぎのように行われるのが、モスキーノナイト。ジェレミー・スコットが繰り出す、ファッションショーよりエンターテインメントショーに近いコレクションは、多くの人の心を虜にする。そんなジェレミーによる新作は、モスキーノらしいスタートダッシュであった。アイコンの一つライダースジャケットを基軸に、身頃を胸上でカットオフしたり、スタッズを”じゃらじゃら”デコレーションしたり、裾を広げてチュールをかませたりしてアレンジ。合わせたのは、バレリーナをイメージしたというカラフルなチュールドレス。そこにさらに、ユニコーンのキャラクターMy Little Ponyとのコラボレーションによる、ライトピンクやライトブルーのシャツ、タンクトップ、ランチボックス型のハンドバッグが加われば、”甘辛ミックス”なスタイルが完成する。ジェレミーにしては穏やかでファンシーなショーと思いきや、ジェレミーの春はここから。ランウェイ奥に広がった「MOSCHINO」ロゴを見ると自ずとシーズンキーワードは伝わってきた。ブランドロゴを囲むように咲いた赤や黄色、紫の花々。そう、今季の鍵を握るのは「花」だ。そこからの展開は目まぐるしいほどスピーディー。まずは、一輪のピンクの花をモチーフにしたドレスが登場すると、モデルは胸元から、一枚また一枚…といった感じで花びらを観客に振る舞っていく。続くのは、モスキーノ流フラワープリンセスといったルックだろうか。花びらを忠実に再現するため、ムラ染めしたビッグドレスや蕾と見まがうほどタイトなドレス、またテキスタイルの重なりで花びらのボリュームを表現したワンピースなどが続く。中には、ドレスそのものが花の形をした球体のウェアもあった。おしべやめしべはよりリアルに再現され、ドレスから黄色い突起物が顔を出している。また、花そのもので作ったワンピースやパンツルックも登場。色とりどりの花を寄せ集めたウェアは、まさに”動く花々”といったところ。白いテキスタイルで包み込み、真っ赤なリボンと合わせれば、花束のようなドレスにも姿を変える。また、花に誘われてきた蝶々までもデザインに。紫のふわふわとした球体に集まる、色彩豊かな蝶々がふんだんにあしらわれたドレスルックも、ミラノの夜を盛り上げた。
2017年09月22日