ガッツダイナマイトキャバレーズ(GUT’S DYNAMITE CABARETS)が、2019年10月19日(土)に2020年春夏コレクションを発表した。2013-14年秋冬シーズン以来の東京コレクションカムバックとなった、ガッツダイナマイトキャバレーズ。今回は、4つストーリーを空想してコレクションを展開した。ブランドのコア部分であるロックの精神まず、ひとつ目にインスピレーションの元となったのは、アメリカのシンガーでありフリートウッド・マックのボーカルであるスティービー・ニックス。彼女の音楽を聴いているときにこういうものを作れたら、という考えからロック&ポップなスタイルを提案したという。また、自身の憧れでもあるジュリーこと沢田研二の要素も交えてパンキッシュなムードも取り入れた。春夏らしさ溢れるハッピーオーラ2つ目に考えたのは、春夏らしさ溢れるハッピーなムード。そのために用いたのは、シースルーのガウンやフラワーモチーフのワンピースだ。デニムのスキニーやティアードスカードなど、着飾らないフェミニンなデイリーワードローブを繰り出した。武藤敬司らも登場、新スポーツライン「GCGX」3つ目にはデザイナーAKIも今季の肝だと話す、新たなスポーツライン「GCGX(ジーシージーエックス)」。ブランド名は「GAIN CHAMPION WITH GOODESS’S XX」の略。今後は、オンラインで老若男女問わず着られる、フーディーやTシャツ、ハーフパンツなどスポーティを提案していくという。今季は、ブランドロゴをカラフル、あるいはモノトーンでコラージュしてテキスタイルを採用している。スポーティな服ともあり、ショーにはプロレスラーの武藤敬司のほか、神取忍、清宮海斗が登場した。終盤はエレガントなスタイルで終盤にかけては、女優の美保純が、ドラァグクイーンの枝豆順子ら“SM嬢”を想わせる様相で登場。そして4つ目のストーリーであるエレガントなドレスルックへと繋がる。しかしテキスタイルは、今季のストーリーを交えたグラフィカルなものだ。最後はあえてシンプルなロングドレスを連ねて、ランウェイの幕を閉じた。
2019年10月22日ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)の2020年春夏コレクションが、2019年10月19日(土)、渋谷ヒカリエで発表された。“不格好”なロックスタイル今季は「ロック スター(ROCK STAR)」をテーマに、1970年代後半の音楽カルチャーやシルエットにインスピレーションを得たピースを生み出している。コレクションに特徴的に用いられていたのは、アイキャッチーなモチーフだ。独自のカッティングやパターンはさることながら、ロックを象徴するアイコンを多用することで、あえて“アナログ”で、どこか“不格好”なスタイルを提示しているように感じられた。ロックミュージックを連想させるモチーフこのロックミュージックを連想させるモチーフは、ブラックのセットアップを味付けするのに一役買っている。今季のシグネチャーとなったスターはパンツの裾やジャケットのバックスタイルに大胆に、エレキギターはセットアップ全体に散りばめるようにしてあしらった。ユニオンジャックを彷彿とさせるグラフィックはアシンメトリーに配して、漆黒のピースをパンクなムードに導いている。ブラックのセットアップ以外にも、イエローのシャツやブルーのトートバックにカラフルなレコードを並べるなどして、予定調和的な“正統派”のロックスタイルではない、独自の世界観を創造した。メタリックなパーツを駆使ミツル オカザキが好んで起用するメタリックな装飾は、今シーズンも存在感を放つ。たとえばノーカラーのジャケットは、ハトメ金具を使って生地を寄せ、表面に立体感を生み出している。またジッパーをホワイトシャツに張り巡らせてハーネス風のジャケットに、格子状に組み合わせてジャケットの下から垂らしクリノリン風のスカートに仕上げた。ヴィヴィッドピンクをアクセントにカラーパレットはモノトーンが主流。ブラックとホワイトをベースにする姿勢は今までと変わらないが、今季のアイコンとして起用されたのがヴィヴィッドなピンクだ。ハッとするほど鮮やかなピンクが、アームにパステルピンクのネット状ディテールをあしらったロングシャツや、サイドラインを走らせたクロップドパンツに採用され、コレクション全体にアクセントを加えていた。
2019年10月22日ザ ファクトリー(THE FACTORY)は、2020年春夏コレクションを「Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S」5日目の2019年10月18日(金)にTENOHA代官山・&NEXTにて発表した。南仏プロヴァンスのラベンダー畑に流れる日常ラベンダー畑がどこまでも広がる、19世紀から20世紀にかけての南仏プロヴァンスへと思いを馳せる本コレクション。ランウェイに登場したのは、自然の中で暮らす日常の作業着をイメージソースに、モダンに再構築したウェアの数々だ。空気を含むような仕立て天然素材にこだわり、着心地の良いコットンやコットンリネンで仕立てたドレスやブラウス、ワイドパンツは、プロヴァンスの風を含んでいるかのように柔らかく軽やか。ギャザーやプリーツを多用し、優しくリラクシングな雰囲気に仕上げたピースが散見された。ふんわりとしたバルーンスリーブのドレスは、バックに細かいギャザーを寄せ、分量感のあるギャザードレスの背面にはリボンがたっぷりとあしらわれている。頭に被ったつばの広いハットが、眩しい陽の光を連想させる。ほのかにセンシュアルさを加えたウェアも体をすっぽりと覆うようなスモックドレスや、シャツをそのままロング丈に仕立てたようなワンピースなど、ワークウェアのイメージをストレートに反映したウェアが登場する一方で、後ろのみウエスト部分をセパレートさせ、わずかに肌を見せるようなノースリーブドレスや、深めのVネックブラウス、スリットを斜めに配したコットンドレスなど、繊細なセンシュアリティを添えたピースも展開された。細やかな色彩表現ラベンダーカラーをはじめとする、きめ細やかな染めの色味にも注目だ。キーカラーとなるラベンダーの色調は淡い色にはじまり、ショーが進んでいくにつれて、熟したようにスモーキーな色味へと変化していった。成熟したラベンダー色のドレスは、ウエストに曲線を描くように優雅なひねりを加え、しっとり落ち着いた表情に仕上げている。また、若草色のニットや、深みのあるカーキのセットアップ、温もりのある生成りのサスペンダーパンツ、光を通す真っ白なシャツワンピースなど、自然の風景に馴染む色彩は身体にもすっと溶け込んでいくようだ。陽光が混ざった空のようなブルーのギャザードレスは、快活な白のタンクトップに重ねて、清涼感あふれるムードを演出する。ヴィンテージライクなムードやけたような色合いのドットスカートや、表情豊かなシワ感のストライプスカート、キルティングを配したブルゾンとスカートのセットアップなど、どことなく漂うヴィンテージ感も魅力。エンベロープ型のポシェットや、ばさっと物を入れられそうな大きなバッグなどの小物からは、“生活”の気配や重ねていく“時”の存在が感じられるようだ。
2019年10月21日ダイエットブッチャースリムスキン(DIET BUTCHER SLIM SKIN)の2020年春夏コレクションが、2019年10月18日(金)、渋谷ヒカリエにて発表された。ファッションとアートの“共存”一時期は画家を目指していたというデザイナーの深民尚が今季目指したのは「アートと洋服の共存」だ。そうした関心のもと、深民自身の好奇心を駆り立てる2人のアーティスト、河村康輔とGUCCIMAZEの作品を、ストリート感あるウェアのなかへと住み込ませた。2人のアートワークは、ジャケット、シャツ、パンツ、シューズや小物まで、さまざまなアイテムに取り入れられた。その中で深民が気を遣ったのは、「着られるものである」ということ。洋服自体が「アート」となってしまうのではなく、気張らずに着てどこへでも出かけることができること。あくまで問題は両者の「共存」なのだ。だからこそ、ウェアのシルエット自体は軽やかでゆったりと。テロっとした質感のセットアップ、ノーカラーのブルゾンなど、どれもリラックス感あふれるシルエットだ。グラフィックが鮮烈でハードなぶん、それを支えるウェアには柔らかい雰囲気があふれ、両者のバランスを取っている。ヴィヴィッドなアートワークの取り入れ方はさまざま。クルーネックのニットには大胆にも一面に描かれるし、スポーティなブルゾンやロングコートのバックにも配される。プルオーバーやパンツに大胆な切り替えとしてあしらわれる。また、シンプルなシャツのショルダーにアクセントを添える。あるいは、コーディネートのポイントとして、落ち着いたスタイルの中にシューズやスカーフなどを通しても使われている。アートを身にまとって街へと出るという意識のゆえ、軽やかさの演出も随所に見られた。ブラックのシャツやスリムなショートパンツには、サイドにコードが垂れ下がり、歩みに合わせて軽快に揺れる。リズミカルにランウェイを進むモデルが手にするバッグにも注目。小型のクラッチバッグには、アートワークをプリント。また、ストラップの先に束ねられたポーチは、三角形や円形、四角形とかたちはさまざま。カラーもブラックのみならずブルーやイエロー、ピンクをポップに使い、軽やかでアクティブな雰囲気を高めている。
2019年10月21日リト(Rito)が、東京で2020年春夏コレクションを発表した。© JFWO/INFAS.com/Rito
2019年10月21日タエ アシダ(TAE ASHIDA)の2020年春夏コレクションが、2019年10月18日(金)、東京・六本木のグランド ハイアット 東京にて発表された。今シーズンも2019-20年秋冬にデビューしたメンズコレクションを織り交ぜての新作披露となる。アーティスティックなモチーフ時代の変化や流れに目を向けたという今季は、グラフィカルなモチーフや、軽やかな色遣いが印象的。ファーストルックは、コンテンポラリーアートのようなイラストをあしらったトップスに、カラフルなペイントを施した優美なシルエットのロングスカートをスタイリングしたもの。続いて現れるメンズルックのジャージトップスにも、目や唇などを模したグラフィックが描かれている。アーティスティックなピースは今シーズンのシグネチャーであり、バックスタイルにフェイスモチーフをあしらったメンズブルゾン、色とりどりの幾何学模様を敷き詰めたオフショルダードレス、日本の浮世絵を連想させるジオメトリックなホルターネックワンピースやメンズシャツなどが続々と顔を出し、ランウェイを色鮮やかに染め上げていく。金魚を散りばめたワンピースや、鯉をあしらったドレス、とかげの刺繍を施したジャケットなど、生物モチーフを取り入れた遊び心溢れるピースも揃った。ディテールで軽やかさを加速春夏らしい軽やかなムードを演出しているのは、グラフィカルなパターンや、華やかなカラーリングだけではない。プリーツやラッフル、フリンジといったディテールも、軽快でリズミカルな印象を生み出すのに一役買っている。細やかなプリーツを入れたパステルカラーのマルチボーダードレスや、チュールを幾重にも重ねたシルクドレスは、モデルが歩くたびにゆらゆらと揺れて、可憐な表情を見せる。メタリックな輝きを放つプリーツドレスは、袖にもたっぷりのフリルをあしらって。どこかエキゾチックな魅力を纏ったジグザグ模様のポリエステルジャカードドレスにも、胸元や袖にフリンジを配して、動きのあるルックへと導いた。バッグ&シューズもカラフル小物類で目を惹いたのは、カラーコントラストを効かせたバッグ。パープルにイエローのラインを走らせたトートバッグや、ホワイトにネイビーのラインを配したチェーンバッグなどが現れた。足元にもパープルにオレンジや水色を組み合わせたポップなストラップサンダルが登場し、全身で鮮やかな色彩を楽しむシーズンとなっている。
2019年10月21日ディーベック(D-VEC)の2020年春夏コレクションが、2019年10月18日(金)に表参道ヒルズで発表された。「光と影」をテーマにフィッシングブランドの「ダイワ(DAIWA)」が手掛けるディーベック。海、風、そして雨。とりわけ“水”との親和性の高いこのブランドが、今回テーマに掲げたのは「ヒカリ ト カゲ(HIKARI TO KAGE)」だ。まるで表参道の風景を想わせる、横断歩道と石畳が描かれたフロアでモデルたちは歩いた。風・水との高い親和性、光と影のファブリック軽やかな素材は、アノラックパーカーやオーバーコートなどに採用され、風を孕んで大きく揺れる。防水・防風の機能をもったそれらは、実用的なデイリーワードローブに適しているが、ただ実用性を重視したものに仕立てるのではなく、モードにいかにして転換するかという視点が組み込まれている。今回は、表面にはコットンなどのマットな自然素材、裏面には光沢のあるテクニカル素材を用いてテーマを再現し、モード感を纏わせている。また、今季はライニングをある一種のデザインとして捉えているのも面白い。コートでは、裏地によくあるパイピングやメッシュ素材を装飾にシフトし、スカートではライナーのメッシュを長めに設定し、外にあえて見せることでレイヤードを完成させた。テーマを如実に表すカラーパレットテーマを顕著に表すカラーパレットも見どころだ。スモーキーなカラーをベースに置きつつ、時折ネオンカラーを織り交ぜて光を表現している。透明感のあるシースルー素材やメッシュ素材を用いてアウターがある一方、まるでタフタのように硬質的なパーカーも登場し、テーマを如実に表す両極の表現が組み合わせられている。フィッシャーマンたちの日常をモードへそして、最後に釣り具メーカーの名残を残すデザインにも注目しておきたい。コートにはまるでバッグほどもある大きなポケットを配置して、バッグいらずの1枚として提案。フィッシャーマンベストにプリーツスカートをあわせる斬新なスタイルも目にとまった。そして時折、手元には、ディ―ベッグ定番の釣り具入れを、まるで新感覚バッグのようにコーディネートさせている。
2019年10月21日ショーヘイ(SHOHEI)の2020年春夏コレクションが、2019年10月18日(金)、東京・表参道のITH GALLERY Omotesandoにて発表された。静かに狂える心表参道の中、閑静な白い空間で発表された今季のコレクション。高機能ファブリックを得意とするショーヘイらしく、スポーティな素材を上品かつモードなスタイルへと仕上げるも、しかしそこにある種の“狂い”を含ませた。スポーティなファブリックは、もちろんアウトドアジャケットなどアクティブなウェアとして登場する。そこにエレガンスを加えるのは、薄いグリーンのロングシャツ。シースルーのファブリックが雨に濡れたように繊細であり、1本1本の繊維が光に揺らめき上品な光沢感を帯びる。しかしそこにあるのは洗練だけではない。ブラウスの袖先や胸元には帯のような布地が垂れ下がり、歩みに合わせて不穏に揺らめく。その後ろ姿を締め上げるコルセットは、そうした“狂い”を押し留めんとしているのだろうか。またスリムシルエットのパンツには、膝上にシャープなスリットが開けられ、ミニマルに“狂い”が姿を現している。非均一な染め模様ホワイトやネイビー、薄いベージュなど、カラーが概して控えめであったなか、非均一に染料で染められたウェアはひときわ鮮烈に現れた。シャツ全体を大胆に覆うことがあれば、袖先などのディテールにアクセントを加えもする。あるいは、ややリラックス感あるネイビーのセットアップスタイルのインナーで密かに主張する、ニットとしても使われた。上品さに添える非対称また、左右のアシンメトリーでも“狂い”が、あくまで静かに表現された。仕立ての上品なホワイトブラウスには、その片側だけに非均一な染めが配される。深いネイビーが上品なジャケットスタイルも、片方の肩を露出するよう荒く着こなしている。
2019年10月21日ジェニー ファックス(Jenny Fax) 2020年春夏コレクションが、2019年10月18日(金)高田馬場・ゲーセンミカドで開催された。テーマは、“トレジャー”。ノルウェイの街で見つけた“宝物”会場となったのは、デザイナーのシュエ ジェン ファンが携わるもう1つのブランドミキオサカベ(MIKIO SAKABE)のショーにも使用されたゲームセンター。今季は、シュエ ジェン ファンがノルウェイの小さな街で見つけたショーウィンドウのデコレーションを着想源に、ブランドらしい“とびきり”ガーリーなワードローブを提案する。フォーマルだってガーリーに!ショーの始まりを飾ったのは、漆黒で染まったセットアップ。“ブランドらしくない”そのシックな佇まいに一瞬目を疑ったが、ランウェイでモデルが近づく度にその仕掛けは明らかになっていく。膝丈のパンツはドロワーズのように“キュッ”と裾を絞ってガーリーに。会場を横切るモデルの後ろ姿は、ぱっくりと背中が露わになっており、おまけに足元はたっぷりのフリル付きのソックスでキュートに仕上げている。フォーマルをもとにしながらも可愛く。そんなデザイナーの遊び心が反映されていくかのように、セットアップの色や柄も次々にチェンジ。ブルー地にたっぷりの薔薇を散りばめた、ロマンティックなムードの一着も登場した。ディテールを強調“日常の洋服”を基にしたワードローブは、ガーリーなディテールを強調して。赤いミニスカートに合わせたブラウスは、バスト下から大胆にラッフルをプラス。大きな丸襟をあしらったダンガリーブラウスや、胸元にフリルをたっぷりとあしらった小花模様のカットソーなども登場する。PVCをドレッシーに着こなすレースやチュールなど、ガーリーな要素を掛け合わせたレイヤードスタイルも散見された。ショーの中盤に差し掛かると、そこに加わるのはモデルの肌を透かせるPVC素材。ケープのように立体的なフォルムを描くPVCは、レースのリボンを裾にあしらうことで、ドレッシーなムードに。下に差し込んだドレスの小花模様も相まって、可憐なムードに仕上げている。デコラティブな“ギブス”洋服とコーディネートされたキッチュなアクセサリーにも注目したい。モデルたちが、腕や首にこぞってはめた“ギブス”は、バラやテディベア、リボン、“キラキラ”パーツをあしらってデコラティブにアレンジ。それはまるで、怪我をしたときだって“女の子”であることを楽しんでいるかのようだ。また貴婦人のようにボリューミーにスタイリングしたヘアには、フリルとフラワーモチーフを重ねた髪飾りで、エレガントなムードをプラスしていた。
2019年10月21日タイのブランド「ウィシャラウィッシュ(WISHARAWISH)」が再びランウェイショーを東京で開催。2019年3月に続き、2019年10月18日(金)に2020年春夏コレクションを発表した。12人のタイの職人とコラボテーマは、社会というフレームの中でも、個人の自由な発想に対して皆が尊敬していける世界と表現する「Post-Wore Delicacies」。また、タイの伝統や文化を発信したいとの思いから、テキスタイルは12人のタイの職人とコラボレーションして仕上げたものだ。内8割は一から作り上げたオリジナルのファブリックだという。シルクの名産地タイ・スリン県の光沢感のあるシルクや、上糸・下糸で色を変えて織った高級なコットン、ろうけつ染めで作られたパテック、木の彫刻とロウを使って染め上げるインディゴ地など、クラフトマンシップを感じられるこだわりの素材が並ぶ。印象的に差し込まれた菊の花やシダ植物の柄を落とし込んだファブリックは、女性職人がハンドペイントで仕上げたものだ。黒や白、灰、茶など落ち着きのあるカラーを選んで、ラグジュアリーなムードを纏わせた。ベーシックを追求「美しいテキスタイルが出来上がったので、その美しさを全面に出したい」と願って作り出したのは、ベーシックなスタイル。男性は、ジャケットとスラックスを基本スタイルとし、女性は1枚布で仕上げたドレスが主流だ。メンズのジャケットはボクシーなシルエットに整えられ、身幅は広く、肩周りも大きい。ビッグサイズに仕上げることでテキスタイルの色柄は、より印象的に観客のもとへ届けられる。シングルジャケット、ダブルジャケットといったスタンダードなデザインとならんで、ボディを途中で断ち切ったようなクロップド丈や、コートのように羽織れるロング丈、くるみボタンやフラップポケットでデザインアクセントを効かせたものもある。ボトムスはショートパンツやレギンス、前にスリットを入れたスラックスなど、遊びを効かせたものが多く選ばれた。ウィメンズは男性と比較すると、自由で開放感のあるスタイルだ。背中を大きくV字にカットしたロングドレスや、タイトなIラインドレス、またミニ丈のベアドレスやキャミソールドレスなど、様々なシルエットでドレスが展開された。対峙させた個性豊かなアクセサリースタイルに個性をもたらしたのは、個性豊かな小物たちだ。顔を覆うようにつばの伸びたボンネットや、たすき掛けしたビーズアクセサリー、布地で仕上げたスリッパシューズなどがコーディネートされている。
2019年10月21日アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)は、2020年春夏コレクションを、表参道・SIDEにて、2019年10月14日(月・祝)に発表した。“愛と許し”を表現今季のクリエーションにあたり、デザイナー・李燦雨の念頭にあったのは“愛と許し”の概念だ。ブランドを続けていく中で幾度となく困難に直面してきたと話す李燦雨。その中でも都度リカバリーしながら、前進することができたことを振り返り、自身の中で大きな心境の変化もあったという。コレクションを通して、良くないことが降りかかっても呪ったり恨んだりするのではなく、ポジティブな姿勢を貫く、自身の前向きな意思表示を表現。強い気持ちを込めたコレクションピースは、全てショーのためだけに作られた1点物となっている。前シーズンとは異なり、ゲリラ的に開催された今回のコレクションでは、アクオド バイ チャヌと元々縁のあったモデルを起用。ランウェイには、EXILEのネスミス、モデルの西山茉希、松井愛莉などが登場した。キリストのアートワークや聖書から引用した言葉今回散見されたのは、グラフィティのように描かれたメッセージやアートワーク。レザーのライダースジャケットの背中には、イエス・キリストの絵が象徴的に描かれている。また、クロスモチーフや聖書から引用した言葉を描いたブラウスやジャケットなど、“愛と許し”の概念を強く打ち出したピースが散見された。アクションペイントのような荒々しさがありながらも、叫び出すような強さを思わせる筆致が印象的だ。絆を表すチェーンや丸く削ったスタッズなどアクオド バイ チャヌの得意とするファスナー、ハトメ、チェーンといった金属的な装飾使いは、今回も全ピースに登場。特に、敢えて生地を裂くようにしてカットされたジャケットの背面には、空間を埋めるようにしてチェーンがあしらわれている。破れた心、メンタルを表す生地の端と端を繋ぐようにして、ダイナミックに配されたチェーンは太い絆を表すものだ。また、一見エッジの効いた表現に見えるスタッズも、よく見ると表面が丸く削られているのが見て取れ、ディテールにもしっかりとテーマを落とし込んでいる。肩を大きくドロップさせ、オーバーシルエットに仕立てたジャケットや、ブラウスの襟に、整然と並ぶハトメやスタッズは、ペイントと呼応して主張を強めているかのように見える。ブーツの装飾として整然と並べられたスタッズに場内のカラフルな照明が伝う様子は、まるで電飾のよう。ソリッドな金属の表情だけでなく、ポジティブさや明るさも感じられる表現を見せた。
2019年10月21日ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)の2020年春夏コレクションが、2019年10月17日(木)に発表された。「マーガレット」をアイコンに女性たちのライフスタイルに繋がる、着心地のよい洋服を提案しながらも、毎シーズン新しいスパイスを加え、フレッシュな装いを作るユキ トリヰ。特に春夏シーズンは、花や色からインスピレーションを得てコレクションを仕上げるという。今季は「マーガレット」をシーズンテーマに選んだ。そして、今季はマーガレットをアクティブなムードのストライプパターンと組み合わせているのがユニーク。エレガントなワンピースやカーディガンには、下地に縦縞模様をあしらい上からフラワーモチーフ散りばめ、花柄ワンピースにはインナーにストライブ柄を差し込むことで、楽しく着れるフラワールックを作り上げた。また、マーガレットそのものも、ホワイト×イエローのイノセントな配色から脱して、褪せたブラウンやレッド、グレー、ブルーなどで描き出した。スカートやワンピースの上で花咲くフラワーたちは、ヴィンテージアロハシャツのような味のある表情をみせている。マーガレット柄と肩を並べて登場させたのは、パステルカラーで仕上げた幾何学模様。ワイドパンツやハーフスリーブドレスに落とし込み、スカーフとコーディネートすることで、フレンチシックに着こなした。新しい季節の到来を告げるのは、花々やカラフルなパレットばかりではない。今季は、薄くて軽い素材を多用し、軽やかに仕上げている。特に、リネンとガーゼの組み合わせはプッシュ。ドレスはもちろん、トレンチコートやシングルジャケットなどのアウターにも取り入れた。クロップドパンツは、透明感のあるオーガンザを上から一枚かませることで、動きのあるシルエット仕上げている。気品を纏ったカジュアルウェアグレイッシュピンク、ライトブルー、フレッシュなシトラスカラー。自然の中からインスピレーションを得たやさしい色彩で仕上げたカーディガンやTシャツは、キラキラ輝くストーンやスパンコール、レースの装飾を施すことで、ドレスアップしている。また、カジュアルウェアの代表格といえるデニムもブラッシュアップ。ワイドシルエットの側章パンツも、センタープレス加工を施すことで上品にみせ、ノーカラージャケットはレースとコンビネーションさせることで可憐さを纏っている。
2019年10月20日HARE(ハレ)の2020年春夏メンズ・ウィメンズコレクションが2019年10月17日(木)に渋谷ヒカリエにて発表された。今季のテーマは「ハレ(HARE)」。ブランド名にも重なる“ハレ”は、日本人の伝統的な世界観のひとつだ。そして、HAREが東京コレクションデビューシーズンでテーマに掲げた言葉でもある。日本における“ハレ”は、儀礼や祭など日常のうちの非日常を表す言葉だ。その言葉を再び登場させたのは、東京オリンピックの開催年である2020年、スポットライトを浴びる日本にとって特別な日が続く、すなわち“ハレの日”が続くことに対して、賞賛の意味もあるのだろう。“ハレの日”を目の前に、日本の文化に目を向ける“ハレの日”を目の前に、日本文化に改めて目を向けた。だからこそ、今回のショーは日本らしさが満載だ。ウィメンズではトップスに帯のようなデザインをプラスしたり、メンズのオーバーコートには着物の袖のシルエットを取り入れたりと、和服のディテールが多用されている。ボトムスは袴やモンペ、クラシックなはずのジャケットはほのかに平面的で肩衣を想わせる。しかし、古いものをそのままではなく、あくまで新しいものに馴染ませるかたちで。着物独特の前合わせのディテールは、アシンメトリーのロングベストに名残を感じさせ、さらにプリーツやスリットが施されることで機能的で、モダンな動きを見せている。今と昔の融合で生み出す軽やかさ素材では、シアサッカーやオーガンジー、テクニカル素材など現代的なファブリックが軽やかさを生み出しているのが印象深い。春夏のアクティブな印象を促すメッシュの存在も目を引いた。もともと和服に使われる絞りのようなファブリックも混ざり合い、柔らかなジャケットやパンツに和の表情を浮かばせた。時折混ざる和の要素として、歌舞伎プリントが力強く配されている。また、それらを彩るカラーリングには、黒や白、さらに日本を想わせる朱などを交えながら表現。昔は高貴な色とされていた紫色は、今季のテーマを捉えるにふさわしい選択だ。“日本の文化”をモードに捉えたシューズやアクセサリー今季はコラボレーションも多彩。特に小物では、静岡の下駄メーカーである「みずとり」や、“ひらがな”をデザインに用いるアクセサリーブランド「ひらがな(Hiragana)」とコラボレーションしている。シャークソールのウィメンズサンダルやビブラムソールのメンズスニーカーなど機能的なシューズがある一方で、視線を奪った「みずとり」とのコラボレーションによる下駄は、鼻緒に着物の残布を用いてサステナビリティも意識したという。HAREの提案するモダンなワードローブに馴染みつつ、温故知新をその1足で表現している。
2019年10月20日メルシーボークー、(mercibeaucoup,)が約4年ぶりのランウェイショーを開催。2020年春夏コレクションを2019年10月17日(木)に発表した。4年ぶりのショー、テーマは「山」“人に見せることに注力をしていて、どんな人が着てくれているのかに意識を向けていなかった”、ショー開催をストップしてからの4年間を振り返ったデザイナーの宇津木えり。時代に合わせた服作りと「清く・楽しく・美しく。」というブランドコンセプトに再び向き合った宇津木えりが決めたテーマは「山」。新しいメルシーボークー、を見て欲しいという願いと、新たに挑戦していくという意思を込めたという。情熱的なテーマ設定ではあるが、出来上がったコレクションは、メルシーボークー、らしい楽し気な仕上がり。山からインスピレーションを得たというシルエットは、八の字にキレイに広がったと思えば、くるんと丸まったり、アシンメトリーに流れたり…と山の天気のように表情をコロコロと変える。山そのものもモチーフとして取り入れ、世界各国の山や日本の象徴・富士山を額縁に収めたモチーフなどをテキスタイルに落とし込んだ。草木染めで仕上げたこだわりウェア山で生きる草花の力を借りて作った洋服もある。ファーストルックに登場したピンクのシャツワンピースや、メンズモデルが着用したブラックの羽織風コート、ドレスの下に忍ばせたタートルネックトップスなどは、すべて草木染めで仕上げたものである。スポーツMIXスタイル時代に合ったものづくりが導いたのは、程よいスポーツミックススタイル。サーモンカラーのプリーツワンピースにはリブネックを合わせ、シャツワンピースにはロゴベルトやボディバッグで、ウエストマークした。さらには登山のときにも役立ちそうな切り替えのナイロンジャンパーも用意している。ただただスポーティーを追い求めるだけでなく、テイストミックスで遊びを効かせるのがメルシーボークー、流。ボウタイブラウスやカシュクールドレス、マーメイドスカートなど、女性らしいエレガントなピースを心地よく交えている。また、久しぶりのランウェイショーは音楽・演出も印象的。ラッパーJUAとサウンドデザイナーSHIMON HOSHINOとコラボレーションし、彼らが仕上げた5曲のサウンドとともに、ライブ感あふれるランウェイショーを完成させた。
2019年10月20日シンヤ コヅカ(SHINYA KOZUKA)2020年春夏コレクションが、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S4日目の2019年10月17日(木)に、インスタレーション形式で発表された。“平凡な生活”をテーマに今季のインスピレーション源になったのは、イギリスのアート集団・ヤンファミリーによる、身近な生活用品を使用したユーモラスな写真集。そこからイマジネーションを膨らませたコレクションは、“平凡な生活(ORDINARY LIFE)”をテーマに、どこか一捻りを効かせたリアルクローズを展開する。平凡という言葉の“曖昧さ”“そもそも、平凡とは何なのか?”。服作りの上でデザイナーが探求した“平凡”の概念とは、一言に明確な基準がないのが事実だ。人の数だけ異なる価値観や物事の視点。平凡にも非凡にもなりうる、物事の“曖昧さ”を表現するかのように、会場に現れたモデル達は全員顔が覆われており、性別も人種も隠されている。違和感をまとったリアルクローズ彼らが纏うのは、横縞のトップスや縦縞のシャツ、単色のセットアップなど、一見“平凡”に見えるリアルクローズ。しかしよく目を凝らしてみると、どこか“違和感”を感じさせる生地が使用されているのが特徴だ。生活に密着したファブリックを使用例えば膝丈のスカートに合わせたブラックのトップスは、玄関マットやコースターを彷彿させる和製ニットのよう。またクールな印象をもたらすブラックのセットアップに差し込まれたインナーはキッチンクロス、ゆったりとしたアウターは厚みのあるラグのようにもみえる。これらの日常に密着したファブリックは、ボンディングや特殊加工を施して、本来とは異なる質感に仕上げたことで、より“違和感”のある存在へと変化している。“ひねくれた”パターンパターンワークにも一捻り。ゆったりとしたボトムスや、ロングTシャツにレイヤードしたTシャツのボーダー柄は、よく見ると途中から柄の流れが切り替わっていることに気付かされる。真っ直ぐに伸びていたと思い込んでいた縦縞や横縞が、途中から屈折していている姿からも、“本来の正解とは一体何なのか?"という、デザイナーの平凡に対する探求心が感じられる。ディッキーズとのコラボも前季に続き、ディッキーズ(Dickies)とのコラボレーションも登場。パンツとジャケットのグリーンのセットアップで、ディッキーズお馴染みのブランドタグをポイントにあしらっている。
2019年10月20日トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1er Vol)は、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S4日目の2019年10月17日(木)に2020年春夏コレクションを発表した。カリブ海に浮かぶ「バハマ」がテーマテーマは、カリブ海に位置する国「バハマ」。リゾートスポットから無人島まで、700を超える島を持つ、バハマの個性を切りとり洋服に落とし込む。南国特有の陽気さと、海に面した国ならではの開放感をカラーパレットや装飾、プリントなどで表現した。美しい自然から生まれたカラーパレットサンサンと降り注ぐ太陽の光や晴れやかな青空、美しいターコイズブルーの海など、バハマの自然を想起させる華やかな色彩。ネオングリーンやビビッドなイエロー、鮮やかなピンクなど心躍るカラーパレット交えることでと、バハマののびのびとした姿を表現した。旅行気分を味わえるバハマのモチーフ大きく伸びたヤシの木やトロピカルカラーの鳥たち、南国育ちのフルーツや花々、そしてバハマの女性たちなどは、様々なスタイルで描かれた。点画タッチの繊細なプリントや、ステンドグラスを想起させるプリント、コミックタッチで描かれたワッペン、キラキラと光るスパンコールやラインストーンの刺繍。花々に至っては、ブーケのように立体感のある装飾となり肩や襟元を優美に飾っている。ゆったりウェアを重ね着シルエットはリラクシングなスタイル。ふわっと広がったAラインのドレスや、ハンカチーフヘムのスカート、ウエスト周りをすっぽりと覆ったチュニック、複雑に布を重ね合わせた超ワイドなパンツなどが揃い、それを自由に重ね着して楽しんでいる。種類豊富なドット模様また、今シーズンはアイコニックにドット柄を起用。大小異なるドットを寒色カラーで描いたものや、マルチカラーのドット、地球のようにも見えるビックサイズのドット柄などを揃えて、シースルードレスやフレアスカート、カーディガンなどを彩った。個性豊かなアクセサリーも注目。大ぶりなピースマークのピアスや動きのあるチェーンピアス、レースやフリンジを組み合わせたロングネックレスなど。また、ピンクやイエロー、ブルーなど、様々なカラーのヘアビーズをあしらったドレッドヘアも印象的だ。
2019年10月20日ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)は、2020年春夏コレクションを「Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S」3日目の2019年10月16日(水)に発表。渋谷・SOUND MUSEUM VISIONで、コウザブロウ(KOZABURO)との合同ショーにて発表した。大胆なペインティングけたたましい雷鳴とともにスタートしたランドロード ニューヨークのショー。ファーストルックは、血しぶきを思わせる大胆なペイントをべったりと施したフーディーとパンツのスタイリング。物々しい空気が会場内を覆う。コレクションの随所に用いられたペイントは、サイケデリックな配色が印象的。オレンジのコーチジャケットとパンツには、ホワイトとブルーが入り混じったようなペイントが配されており、カーキのコーディネートにはパープルとライトブルーのペイントが施されている。オーバーシルエットのデニムジャケットとパンツは、元の生地を覆いつくす程に、様々な絵の具を塗りたくったデザイン。隣り合った色同士が溶け合いながらも、それぞれの色の痕跡を残して作り上げるカオスなマーブル模様は、個の主張の強さを表現するかのようだ。剛柔のコントラスト物々しさとともに始まったショーだが、柔らかなファーのフーディーやジャケットが登場した辺りで、ファンタジーでゆるいBGMに切り替わりモデルの表情も柔らかくなる。ホワイトのファージャケットに身を包んだモデルの首には、おもちゃをたくさん連ねたようなネックレスが提げられており、黄色のジャケットにフーディー、ショートパンツを組み合わせたティーンエイジャーのようなルックには、「ハローキティ」のリュックをスタイリング。エッジを効かせた“硬質”な雰囲気と、キャラクターやファーといった“柔らかさ”のコントラストがコレクションに遊びと奔放さをもたらしている。金とセレブへのパロディまた、札束をピンでとめたネックレスに、紙幣を模したグラフィックのTシャツ、また、素手に紙幣を持ち、ヴィヴィッドなピンクのジャケットに身を包んだモデルなど、「金」や「セレブリティ」のパロディともとれるようなルックも登場。ラストを飾ったのは、ブルーのコートにイエローのファーを配したパーカー、オレンジのショートパンツを身に着けたモデル。どことなくセレブリティのような雰囲気を漂わせているが、手には紙幣ではなくテディベアを持ち、空のショッパーにはビニールがかけられているなど、あえて“抜け”を作り出すことでユーモアを効かせた。尚、ランウェイにはラッパーのTohjiなどが、モデルとして登場した。
2019年10月19日コウザブロウ(KOZABURO)は、2020年春夏メンズコレクションを、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S」3日目の2019年10月16日(水)に発表。渋谷・SOUND MUSEUM VISIONで、ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)との合同ショーにて発表した。ナイトクラブに和太鼓と枯山水ショーの幕開けは、和太鼓のパフォーマンス。地下のナイトクラブというロケーション、真っ赤なライティングに相反するような清々しさをもって、力強い演奏が行われると、枯山水を思わせる装飾が施されたランウェイにモデルが登場した。無骨なブラック目に留まったのは、ブラックに彩られた無骨なピースの数々だ。開襟シャツは、ゆったりとしたシルエットながらも立体感があって凛とした雰囲気を演出し、ブーツカットのパンツは身体とつかず離れずの距離感を保ちながらも、独創的なフォルムを描き出す。潔い仕立てデニムのセットアップや、肉厚なマスタードイエローの生地で仕立てたロングコートなどもまた、そのソリッドな質感を生かした、堂々としたパターンメイキングがなされている。こうしたピースの1つ1つからは、冒頭の和太鼓パフォーマンスに相通じるような、ある種の潔さやそこはかとない気合が感じられるようだ。風格のあるセットアップショー終盤に登場したオーバーサイズのセットアップは、端正な仕立てからくるオーラによってそれまでの空気を変えた。襟を大きめに仕立てたジャケットは、かっちりしたフォーマルさがあるわけではないが、緊張を崩したり緩めたりしているわけでもない。その静かな佇まいは、厳かな風格を感じさせた。東洋的なモチーフまた、陰陽を表す太極図をバックに配したロングコートや、サイドライン、袖などに崩し書きの文字を羅列したトラックスーツなど、東洋的な発想のデザインが随所に散りばめられていたのも印象的だ。図柄を背面に配したスーベニアジャケットや、地図プリントのシャツなどは、ポップな要素とともにコレクションに軽やかさをもたらした。
2019年10月19日チノ(CINOH)は、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S3日目となる2019年10月16日(水)に2020年春夏コレクションを発表した。フレンチシックを遊ぶ今シーズンのテーマは、シックなフレンチスタイルにいかに遊びを加えるか。シャツ・パンツ・ジャケットなど、定番服で構成させるミニマムなスタイルに、カラーや柄、シルエットで刺激を加え、個性豊かな脱ベーシックスタイルを作り出したという。インスピレーションとなったのは、パリジャンがサラリと巻いたスカーフや、モノトーンルックを極めたココ・シャネルのスタイル。そこに、バスクシャツやセーラーといったマリンテイストも融合させて、春夏らしい軽やかなフレンチスタイルを作り出した。シャツの新しい楽しみ方定番の白シャツは、今季はコンパクトなサイズで展開。超長綿を取り入れたこだわりのファブリックでシャツを仕立て、キレイなフォルムを保ったまま、いつもと違ったディテールをプラスした。胸元やアームラインにもう一枚布をかませると、立体感や広がりが生まれ、白シャツがドレスのような華やかさを持つようになる。パールボタンをアクセのように散りばめてメンズライクなパンツのセットアップやロングジレなどには、パールボタンをあしらって女性らしさを添えた。通常よりもちょっと多いボタンの装飾は、まるでアクセサリーのようにきらめきを添える。ココ・シャネルが生んだ“シャネルジャケット”の要素を落とし込んだロングコート。袖口、襟元のアイコニックなラインディテールはそのままに、ガウンコートのスタイルに変形させた。フレッシュな空気を纏った新アウターは、洗いをかけた風合いのよいリネンで仕上げることで爽やかに生まれ変わっている。リネンを筆頭に、今季は軽やかな素材を厳選。オーガンジー加工を施したコットン、シルキーな印象の薄手ナイロンなどが起用されている。オリジナルのスカーフ柄印象的に差し込まれたのは、オリジナルのスカーフ柄だ。ストライプや格子柄を組み合わせて仕上げた表情豊かなモチーフは、シルクスカーフとしてだけでなく、ポンチョ風のシャツやスカートになっても登場している。鮮やかトリコロールカラーを差し色にそして、フランスの国旗を想起させる、大胆な色使いも印象的。赤、白、青のトリコロールカラーは鮮やな発色で、ピンタックパンツやダブルジャケットを染め上げるだけでなく、タイダイ模様になってドレスにも彩りを添えている。
2019年10月19日トモ コイズミ(Tomo Koizumi)の2020年春夏コレクションが、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S3日目の2019年10月16日(水)、表参道ヒルズにて発表された。感情を“かたち”へ変える円形劇場衣装デザイナーとして活躍し、ニューヨークでの2019年秋冬コレクションでデビューを飾ったトモ コイズミが、日本で初のショーを開催。その会場に現れたのは“円形劇場”──中央には広場さながらに円形の空間が設えられ、無色透明の椅子がそれを囲むよう並べられた。一旦暗転したのち、白い光と優しげな音楽とともに、ショーは幕を開けた。披露するのは、小泉が得意とするラッフルをたっぷりとあしらった、いやむしろラッフルで構築されたとでも言うべきドレスピースだ。やや背中の開いたピュアな純白のドレスは、ラッフルで首も肩も埋もれるほどにボリューミー。豊かに広がるスカートは、あたかも1つ1つのひだが膨らんだよう。長く引きずる裾は、ほとんど尾のような存在感を示している。膨らむのはスカートだけではない。背中にあしらわれたリボン状のモチーフも、これでもかと言わんばかりにラッフルで肥大化された。バックのみならず、フロントも異様に膨らむ。あるいは、スリーブは腕の原型を留めぬほどに大きく、また長くなり、鳥の羽のようにすら見える。丈感の短いドレスに合わされば、身体の元々のシルエットと巨大なスリーブとが怪しげなまでのコントラストを見せる。ショーが進むにつれ、色合いはますます豊かに。快活なオレンジとイエロー、ミステリアスなパープルにグリーン、ポップでヴィヴィッドなピンクやレッド。多様な音楽に合わせて、それらはさまざまに沸き立つ感情を映し出す。スカートのみならず、パンツのスタイルもラッフルが咲き乱れて現れる。ピンクのボディにレッドのパーツが垂れ下がる姿は、どこかプレゼントボックスのよう。華やかなラッフル、数多とあしらわれたリボンとあいまり、“ギフト”というテーマが見え隠れるする。そこには、ニューヨークでの初のショーの折にお世話になった、たくさんの人たちへの感謝の気持ちを伝えたいという小泉の思いが込められた。モデルは円形劇場の舞台を、練り歩き、かがみ、そして舞い踊る。それに合わせて、豊かにあしらわれたラッフルは風をはらんでふわりと揺れる。あるいは、長いスリーブがひらりと宙に翻る。人元来のシルエットからは離れた“虚構的”な見た目であるとはいえ、それらはショーを見る人の目の前にあって、しかもたしかに揺らめいてみせるのだ。感情というのは、普通目には見えない。けれども劇場こそ、現実とイメージが交錯する場ではなかろうか。身体のうちに沸き起こるさまざまな思い、それらが華やかなラッフルとなって、身体のギリギリ外側へと発露する。この“円形劇場”でトモ コイズミは、不可視の感情を目に見える“かたち”として、たしかに提示したように思える。
2019年10月19日ティボー(thibaut)は、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S3日目となる2019年10月16日(水)に2020年春夏コレクションを発表した。テーマは「ヒューマンズ マーケット」。約2年ぶりに東コレに参加したティボーのショーは、東京・三宿のアンティークショップザ・グローブ アンティークスが舞台。ヨーロッパで買い付けしたインテリアなどが並ぶショップ全体を使って新作コレクションを発表した。ソフトカラーのリラックスウェアモデルたちは、ヴィンテージのソファに転がったり、テーブルでくつろいだり、シャンデリアの下で佇んだり…まるでアンティークショップで暮らしているかのよう。そんなリラックスしたムードを落とし込んでいるのが、今季の新作ピースたち。肌あたりの柔らかいコットンやリネンで仕立てたクルーネックトップスやパンツ、キャミソールドレス、ルーズなソックスなどは、肌着のように優しくボディを包み込んでいる。カラーも、ホワイト、ベビーピンク、ライトブルーなど、優しい色彩が多数チョイスされている。バレリーナを想起させるウェアもデザイナー・伴芽衣子が幼少期に習っていたというバレエは、今季もインスピレーションに。レオタードやレギンスが度々登場し、デイリーウェアと組み合わせて提案されている。既存概念を打破特徴的なのは“いつもと違う”着こなし。片方だけ袖を通してトップスを着ていたり、トップスの上から下着を重ねていたり、洋服を帽子のようにかぶっていたり。また、男性モデルがフリルたっぷりのブラウスを身につけていたり、トップス一枚だけを纏っていたり、当たり前を打ち壊したスタイルが提案されている。ここには、心の中にある既存概念を破り、違和感を感じず自分にフィットする形を見つけて欲しいというデザイナーの思いが反映されている。
2019年10月19日スリュー(SREU)は、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S3日目となる2019年10月16日(水)に2020年春夏コレクションを発表した。2016年フルギニレースという名でブランドをスタートした、植木沙織とディレクターの米田年範が、ブランド名をリニューアルしてランウェイショーを開催。生歌・生演奏、セルリアンタワーの螺旋階段を使って行ったライブ感のあるショーでは、フルギニレース同様に古着にリメイクを加えてオリジナルデザインを作り出している。古着×新品ファブリック一度価値がなくなってしまった商品に手を加えて、より長く楽しんでもらえるものを提案する。彼らの目指す先は変わっていないが、今季からはあらたに、古着だけでなく新品のファブリックもコンビネーション。古着ではなかなか手に入らない繊細なオーガンザを組み合わせることで、より新鮮なデザインを追求した。パッチワークで作り出す新しい洋服植木沙織自ら国内外から選び抜いた古着のTシャツやスウェットは“きれいに使える”部分を切り取りパッチワークした。トップスだったそれらは、パンツやオールインワンなど全く新しい形に姿を変えている。新品オーガンザのピースと並べてパッチワークすることで、古着特有のぬくもりが際立ってみえる。ソフトで肌当たりのよいコットン地は、その長所を生かして、レースリボンやフリルのような装飾になって登場しているものもある。2つの要素をドッキング前後で全く表情の異なるスウェット×オーガンザのショートパンツ、ストライプシャツとヴィンテージジャンパーを合わせたジャケット、オーガンザとTシャツをコンバインさせた落ち感のキレイなシャツ、デニムパンツを開いて作ったロングスカート。スリューのアイデアによって新しい命を授かったウェアたちが肩を並べている。スタイルは“いま”を意識した旬な仕上がり。大きなフードつきのワンピースやポンチョのようなフーディ、ロゴ入りスウェット、スニーカーなどアクティブなピースを交えることでスポーティーな雰囲気を纏っている。古着Tのナンバリングロゴも、スポーティーなムードを高めるのに一躍担っている。ロング×ロングのレイヤードシルエットは遊びのあるロングラインが主流。裾をアシンメトリーにカッティングすることで、軽やかな動きを作り、ドレスとスラックス、ワンピースとワンピースなど、“長いもの同士”を重ねることでロングラインを強調している。
2019年10月19日レインメーカー(RAINMAKER)2020年春夏コレクションが、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S3日目となる2019年10月16日(水)に発表された。香りのおもてなし歴史と文化にあふれる京都で生まれたレインメーカーのショーは“香りのおもてなし”からスタート。京都で香づくりを続ける、創業300年の老舗松栄堂の香を用意し、気品をそなえた香りとともに来場者を迎えてくれた。洋の世界に溶け込む和の文化控えめで奥ゆかしいその姿勢は、服作りにもリンクしている。シーズンテーマを設けずコレクションを展開しているレインメーカーは、デビューショーから変わらず、和の香りを纏った服作りを続けている。洋の世界に、和服を想起させるエッセンスを加えて仕上げたのは、品格のあるモダン服だ。紳士のワードローブ・パンツスーツやジャケットスタイルには、着物や羽織りのエッセンスを投下。ジャケットを羽織りのようにふわりと広がったフォルムに整えたり、帯のようにベルトを上から巻いたりしている。インナーには半衿のような合わせスタイルのシャツを仕込み和の雰囲気をプラスする。軽やかなテキスタイル選びまた、春夏らしい軽やかなテキスタイル選びも印象的だ。纏うだけで温かな季節の到来を感じさせる麻や、風にたなびくほど薄手のナイロンでシャツのように羽織れるジャケットやロングコートなどを仕立てている。遊びをきかせたスタイリング「シンプルに着ると小奇麗になるので、スタイリングで個性を出した」という今季。パンツスーツの中にスタジャンを合わせたり、開襟シャツを仕込んで襟を出したり、シャツとシャツをレイヤードしたり、ハイネック&カーディガンをタックインしたり…たしかにユニークなアイデアが満載だった。小花柄&しぼり染めでアクセント落ち着きのあるスモーキーカラーを基調としながらも、間に柄を差し込むことでムードに変化を付けた。小花柄のジャカード地や、深みのあるパープルの絞り染めなどは、日本のメーカーや京都の伝統工芸士と仕上げたこだわりのテキスタイルだ。また、今季は老舗竹工芸品メーカーの公長斎小菅ともコラボレーション。竹を繊細に編み込み小物を作った。仕上げには漆をのせて。工程は、日本の古き良き文化に根差しながらも、出来上がった小物はキャッシュレス対応のウォレットで現代に即している。
2019年10月19日HYKE(ハイク)の2020年春夏コレクションが、2019年10月15日(火)東京・晴海のCROSS DOCK HALLで発表された。ミリタリーウェアをベースにミリタリー、ワーク、アウトドアといった、HYKE が原点に持つ要素は今季も健在だった。まずトップバッターを飾ったのは、軍服に着想を得たロングジャケット。淡いカーキで優しく染め上げられたアウターは、ふんわりと膨らむスリーブや、ベルトでキュッとウエストマークされた女性らしいシルエットが印象的。本来男性が着用するアーミー服の力強さを排除するかのように、フェミニティに近づけるアプローチが見て取れる。女性らしさを香らせるアプローチ続くアウターや、ロングワンピース、プルオーバーといったピースも然り。大胆にあしらわれたスリットや、バックに入るカッティング、胸元に編み込まれたリボンなど、女性らしいディテールを組み合わせている。また単色で統一されたミニマルな表情ながらも、シースルーやブランドの得意とするプリーツ素材を多用することで、素材からも女性らしさを引き出していく。特筆すべきスタイリングは、毛足の長いフリンジをあしらったロングスカートを差し込んでいること。アウターやワンピースの隙間から顔を覗かせるそれらのスカートは、モデル達が歩みを進める度に、ゆらりゆらりと柔らかな曲線を描き、女性らしさ溢れるしっとりとした動きを強調している。ユニフォームを再解釈したピースも中盤に差し掛かると、ミリタリーの要素は弱まり、その代わりに、ユニフォームを再解釈したユニークなピースが現れる。デニムジャケットは、細身のモデルをすっぽりと覆うビッグサイズ、プレッピーライクなニットベストは、踝まで伸びるロング丈にアレンジ。またブラウスとスカートを合わせたフォーマルライクなオフィスワーク着には、シースルーを差し込んで軽やかに仕上げた。カラーパレットカラーパレットは、例年通りのアースカラーに加え、パステル調の鮮やかなパープルやピンクも登場。また縦縞・横縞といったボーダー柄が多く散見されたのも特徴的だった。アディダスとコラボレーション!毎年多くのブランドとのコラボレーションで注目を集めるHYKEだが、今年は前シーズンで終了したザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)に代わって、アディダス(adidas)とのコラボレーションウェアを発表。2020年秋冬と合わせた2シーズンで展開されていくが、初お披露目となる今季は、“ランニング”をコンセプトに、スポーツウェアらしい機能的なテクニカル素材を起用。けれどやはり女性らしさを忘れたくはないから、プリーツをのせたり、スカートとスタイリングしたりして、日常で楽しめるウィメンズウェアへと変身させている。人気ブランドとコラボした、バッグ、シューズ、アイウェアもそのほか前シーズンに続く、人気ブランドとのコラボレーションアイテムも続出。足元には、ビューティフルシューズ(BEAUTIFUL SHOES) とタッグを組んだミュールやベアフットサンダルを、手にはチャコリ(CHACOLI)とコラボレーションしたビッグサイズのトートやショルダをチョイス。また前季に続く、2シーズン目となるアイウェアブランド・ジュリアス タート オプティカル(JULIUS TART OPTICAL)とのコラボレーションモデルも登場。テンプルを太めに設定した存在感溢れるアイウェアは、バイカラーでアレンジされていた。
2019年10月18日バルムング(BALMUNG)は、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S2日目となる2019年10月15日(火)に2020年春夏コレクションを発表した。無彩色で彩られた“温度のない世界”壊れたテレビ、障子のないふすま、コードの外れたライト。会場の中央に無機質に置かれたのは”不完全な”日用品だ。デザイナーHACHIが今シーズン作った舞台は、人が消え忘れ去られた街のように、温度のない世界だった。この”温度のない感覚”はコレクションピースにも連動している。ウェアのほとんどは、白やグレーなどの無彩色で彩られ、温かみを感じられない。時折飛び出す、街の一角を切り取ったようなフォトプリントや、スポーティなロゴ、洋服をモチーフにしたようなマークが、何かメッセージを隠した暗号のようにもみえる。フィット&フレアなユニークシルエット色彩を制限された中、洋服の個性を生むのはシルエットだ。スリムなパンツは無理やり引きちぎられたかのように裾がカッティングされ、ビックサイズのワンピースは羽のように袖が広がっている。身体のラインを露骨に出すレギンスやインナートップス、モデルの体型を無視したようにオーバーサイズのアウターやトップス。個性をぶつけ合うように、フィット&フレアのフォルムを組み合わせることで、遊び心溢れるスタイルを作り出している。パッチワーク&ステッチをアーティスティックに組み合わせ洋服そのものは、まるで絵やアート作品を作るように創作的に仕上げられている。極短のパンツ、スリット入りのワンピースなどには、シースルー素材ややや厚みのあるリブニットなど、異素材がランダムにパッチワークされている。本来内側にあるはずのポケットは外に飛び出し、立体的な凹凸に。そのポケットを強調させるようにステッチが施され、繰り返される装飾によって洋服そのものが複雑に見えてくる。キルティングのビッググローブバルムングらしい近未来なエッセンスは、今季も継続。オーロラのように輝くシースルー素材とシルバーのキルティング地で、洋服や小物を作った。特に印象的なのは、大きなグローブ。このビッググローブは“異質”で、どこか異世界へトリップしたような不思議な気分にさせてくれる。合わせた透明素材のシューズもまた、近未来の要素に満ちている。
2019年10月18日ステア(STAIR)の2020年春夏コレクションが、2019年10月15日(火)に東京・南青山にて発表された。“瞳に映る世界”に想い巡らせて「瞳に映る世界は、誰ひとり同じではない」と考えるデザイナーの武笠綾子が、その曖昧で不完全な境界線にある“視界”の世界を落とし込んだ今季。テーマは「SIGHT(=視界)」と掲げた。カラーはグレイッシュやベージュのトーン、そしてアースカラーをメインに採用し、時折見えるはっきりとした確かな存在を少量のネオンカラーで魅せようとした。グレーのセットアップやスカートのヘムにはオレンジのパイピングが施され、ブラウスのディテールには、なめらかなファブリックに混ざり込んで、まるでレース素材のように実用的なオレンジ色のスポーティメッシュが配されている。朧気な世界を示すファブリックは、薄いニットやクリアなポリ素材など様々。フラワーモチーフや木目調のテキスタイルなど、自然を想わせる表現は、目に映るものと目に映らないものを混合させるための手段として採用した。たゆたうファブリックにのせたグラデーションは、曖昧な世界そのものだ。儚さだけではない強さの部分ゆらぎのある未完成なものから読み取る儚さは、女性がもつ繊細な美しさとリンクさせて、エレガンスなワンピースやスカートを生み出した。ただ、レースやラッフルなどは使わず、今季は直線的な要素を抱合するマクラメ編のニットやフリンジ、そしてプリーツを採用している。その表現は、“移ろう何か”を意図しながらも、甘さのない女性の芯の強さを感じさせる。
2019年10月18日ヒロコ コシノ(HIROKO KOSHINO)の2020年春夏コレクションが、2019年10月15日(火)、東京都現代美術館にて発表された。インスピレーションは"楽器"から今季、コシノヒロコがインスピレーションを得たのは、“楽器”。鋭い直線、優美な流線形など"楽器"の持つ美しいシルエットを洋服たちに落とし込んだ。そんな着想源をベースにした洋服たちの中でも特に目を惹くのが“ピアノ”のモチーフ。モノクロカラーの鍵盤を滑らかな生地感のドレスやスカート、ジャケットなど様々なアイテムに描いた。直接的に鍵盤を表現したものから、モノクロカラーで鍵盤を想起させるパターンなど、その取り入れ方は様々。まるで一つのコラージュアートのようなワンピースドレスには、体躯を斜めに大きく横断するモノクロのボーダーを配した。絵画と音楽という2つの芸術的要素をミックスしたシャツのインパクトも大きい。水彩画タッチのパターンを総柄で描き、スタイリングの主役となるアイテムを生み出した。楽器が奏でる優美な音はフォルムに“楽器”そのものだけでなく、それらが奏でる美しい音たちも重要な着想源となった。コレクション内に散見される、直線と曲線を組み合わせ、ゆったりとなだらかなフォルムを描くピースはその好例。直線と曲線を組み合わせることで、一つの楽曲の中に共存する異なったリズムを表現しているように思える。平面と立体の交差“楽器”以外にも、コシノが注目した要素が“平面と立体の交差”だ。テキスタイルの平面に描く、立体的な造形物のモチーフ。本来相対する性質を持つ2つの要素を掛け合わせることで、コシノが思い描く美学を表現している。蛇腹状に構築し、本物の鍵盤の様に立体感を演出したスカートや、裾だけレイヤードで仕上げたシャツなど“立体×平面”はあらゆる部分に反映されている。絶妙なバランス感覚でミックスした相対する2つの性質が、より表情豊かなスタイリングを作り上げる。ビビッドなカラーがアクセントモデルたちが纏ったエレガンスな雰囲気の中にアクセントとして取り入れたのが、ビビッドなネオンカラー。バッグやシューズといったアクセサリーを中心に、ウェアのパーツの一部など様々な箇所にワンポイントでグリーンやイエロー、ピンクのカラーを挿した。
2019年10月18日ボディソング(bodysong.)の2020年春夏コレクションが渋谷ヒカリエで2019年10月15日(火)に発表された。今回は、「ずっと真夜中でいいのに。」とのコラボレーションによるショーだ。ずっと真夜中でいいのに。の音楽を背景に「正しい偽りからの起床」でデビューし、その後フジロック・フェスティバル’19に出演するなど活動を広げる音楽ユニット「ずっと真夜中でいいのに。」。このショーのために彼らが準備した音楽は、ギターとドラム、そして日常の中の雑音や金属音で編成された垣根のない1曲だ。紙を引き破る音、電子レンジを破壊する音、流れるのは不協和音にも似た不安定な旋律。“破壊的な音楽”が、“破壊的な服”に寄り添っていくーー。破壊と構築の狭間今季はインダストリアルな要素が強い。工業用資材のようなグレーの素材を張り付けたパンツやシャツ、工事現場の人々が身に着ける安全帯を想わせるベスト。デニムはPVCのボンディングによって、工業的に再解釈されている。過剰なまでのレイヤードは、破壊されたあとの再構築の名残だろう。クロップド丈のダッブル風ベストにはワークウェアを肥大化させたアウターと、シャツをセット。さらにバックには、まるで燕尾のようにナイロン素材のファブリックが顔を出している。雑多なディテールもまた、“破壊的な服”を思わせ、デニムパンツは、前後で切り替えて、敢えて丁寧につなぎ合わせることをしていない。アウターの袖はジッパーで取り外せる仕組みで、そのジッパーを開けて着こなすのも今季のコンセプチュアルな部分に通じている。垣根のない服で楽しむファッションワークウェアを基軸にしながらも、時折見せるアイビーやフォーマルのアイテムは、垣根のない服を象徴するスタイリング。それは、体全体でファッションというひとつのメロディーを奏でていく姿勢だ。破壊的かつ構築的なテクニックを繰り返して“美しい旋律”へと変化させていく。
2019年10月18日ノントーキョー(NON TOKYO)は、ブランド初のランウェイショーを開催。Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S2日目となる2019年10月15日(火)に2020年春夏コレクションを発表した。幼き頃、一度は耳にしたことがあるのでは…?ショーの始まりは心躍る、セーラームーンの音楽からスタート。主題歌のイントロだけをサンプリングしたというオリジナルのミュージックは、これから始まるショーへの期待を高めてくれた。ファーストルックは、セーラー戦士さながらのライティングとともに登場。サーチライトでモデルが見え隠れする演出は、エンターテイメント性がたっぷりだ。女の子のヒーロー「愛の戦士」現れたのは、キラキラ、フリフリ…の“女の子が大好き”がつまったドレス。超ボリュームのパフスリーブワンピースにはたっぷりのフリルをあしらっている。ピュアな純白のドレスには、リボン型のカラフルストーンピアスをコーディネート。女の子なら一度は憧れた、そんなキュートなヒーローの姿がそこにはあった。今季はセーラームーン、プリキュアなど、女の子のヒーローが着想源。花柄、オーガンジー、キラキラのストーン、リボン、フリル…などカワイイを全部詰め込んで「愛の戦士」を作り出した。“カワイイ”が詰まったヒーロールック白色のノースリーブドレスやカラフルなティアードドレスなど、フェミニンなウェアを多数ラインナップ。カジュアルなTシャツには、フリル付き胸ポケットをあしらい、フーディはフレアなAラインに整えることでキュートにアレンジしている。ワイドパンツはこれでもかと生地をたっぷりと使って、ロングスカートさながらのフォルムに。ただ、カワイイを追い求めるのではなく“戦士”の要素は、迷彩柄のロングコートやベストといったミリタリーウェアで表現。強くなりすぎないよう、迷彩柄の上には大ぶりな花模様を重ねて、女の子らしさを織り交ぜた。得意のリメイクでスニーカーがヒールにノントーキョーが得意とするリメイクは、フットウェアで顕著に表れた。ユーズドのスニーカーを解体して、シューレースを3つあしらいカスタム。さらに、機能性を追求したスポーティーなソールから、ピンヒールやウエッジソールへ変えて、女の子のためのスポーティシューズを完成させている。ヒーロー戦士さながらのヘアメイクこれまでルックや展示会で新作を披露していたノントーキョーが、ショーを行うにあたりこだわったのはエンターテイメント性。音楽、照明はもちろんだが、セーラームーンを想起させるキュートなヘアや、マットなピンクリップ、ハートモチーフを隠したメイクからも、デザイナー市毛綾乃の強い思いが感じられた。
2019年10月18日