【医師解説】その不眠、レストレスレッグス(むずむず脚)症候群が原因では?
実はその患者さんは、大腸がんによる出血が原因で貧血になっていて、その鉄欠乏によってむずむず脚の症状が引き起こされていたのです。
もちろん私たちは大腸がんの検査や治療が優先だということをご説明しましたが、患者さんご本人にとっては、脚のむずむず感をなんとかしない限りとても検査や手術を受けられないと考えてしまうほど大きな問題だったのです。
結局その患者さんは、大腸がんの手術を受けて貧血が解消されたことによって脚のむずむずもよくなり、私たちも患者さんも手術をしてよかったと喜べる結果になりました。
レストレスレッグス症候群の原因は?
レストレスレッグス症候群は、脳内伝達物質のひとつであるドパミンの働きが悪くなることによって起こるといわれています。また、鉄分が不足すると脳内のドパミンの働きが悪くなることもわかっています。鉄分が不足している方の場合には、鉄を補充することによってドパミンの働きがよくなり、脚がむずむずする症状もよくなっていくと考えられます。
腎機能の悪い方や妊娠中の方、過多月経の人などは鉄が不足しがちです。高校生の女子で、下肢をさすり続けないと寝られない、足だけでなく手や身体を動かさずにいられなくなってちっとも落ち着かないという方が受診されたことがあります。