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受験内容は、時代の流れの影響を大きく受けるもののひとつです。近年では、「思考力」や「表現力」がより重視されるようになっていると言われますが、実際のところはどうなのでしょうか。中学受験の現場をよく知るカリスマ塾講師の馬屋原吉博先生と、『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』(KADOKAWA)の監修を務めた歴史学者の岡美穂子先生が、思考力・表現力を向上させるための工夫や歴史学習の意義についてじっくり語り合いました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人「理解が伴わない暗記」は、いつの時代の受験にも通用しない岡美穂子先生(以下、岡):現代の教育は、かつての「暗記」重視から「思考力」「表現力」重視に大きく変化していると言われます。馬屋原先生は、受験の歴史学習においてこの変化をどのようにとらえているでしょうか。馬屋原吉博先生(以下、馬屋原):このことについては、「暗記」の定義をどう認識しているかがポイントです。仮に暗記というものを、ただ言葉だけを覚えてその中身や意味合いはわかっていないことだとするのなら、それが受験で通用していた時代は存在しないというのが私の考えです。「理解が伴っていない暗記」では、かつての受験でも太刀打ちできなかったのです。ただ、その通用しない度合いというものが、いまはさらに強まったというのはたしかでしょう。中学受験というフィールドでは、大学受験に先んじて、思考力や表現力がより問われるようになってきました。いわゆる偏差値を問わず、そのような入試問題をつくる学校が増えてきたのです。岡:そういった問題をクリアするためのコツのようなものはあるのでしょうか。馬屋原:こう言うと身も蓋もないかもしれませんが、とにかく問題文や資料を丁寧に読み、なにを問われているかを正確に把握することに尽きます。グラフを読み取る問題なら、そのタイトルや縦軸・横軸をしっかり見ることなく解答しようとすれば、正解から遠ざかるというあたりまえの話でしかないのです。もちろん、前提として、その問題にかかわる知識をインプットしておくことは欠かせません。その知識を深めるためにも、『日本の歴史』は強力な手段のひとつだと思います。岡:『日本の歴史』は、歴史を流れで理解させるということを重視していますよね。歴史上の出来事というのは、それ単体で存在するものではありません。あらゆる出来事にはその前後左右につながりのある別の出来事があります。そのつながりを理解するために、ストーリー性が高い『日本の歴史』はとても有効だと思っています。親子の対話こそが子どもの思考力と表現力を育てる馬屋原:子どもの思考力や表現力を高めるために、家庭ではどのようなことができると思われますか?岡:馬屋原先生を前にこういうのはちょっと恐縮ですが……思考力や表現力について、学習塾で対応できる部分は限定的だと思っています。というのも、思考力や表現力を高めるために効果的な方法は、他者との対話だからです。親子での対話なら、子どものお友だちのことでも家のペットのことでも、話題はなんでもかまいません。対話のなかで自分の考えを言語化してアウトプットすることで、思考力や表現力は伸びるのだと思っています。馬屋原:まったく同感です。本などを読んで、「これってどういうことだろう?」「なるほど、そういうことか!」というように、書き手との対話でも同じ効果を期待できますが、小さい子どもの場合には、それはまだ難しいでしょう。そうであるなら、岡先生がおっしゃるとおり、親子での何気ない対話の時間を増やすことが、もっとも効果的だと言えそうです。岡:一般的にはだいたい小学校の中学年くらいになると、言語能力が大きく伸びる時期ということもあり、多くの子どもがすごくおしゃべりになります。そのとき、「いまは忙しいからあとにして」ではなく、その対話にしっかりつき合ってあげてほしいですね。子ども自身が言ったことに対して親がなんらかの言葉を返すと、子どもは「お母さん、お父さんはこういう考えなんだ」と理解し、「だったら自分はどうだろう?」と考え、それを言語化します。その繰り返しこそが、思考力と表現力向上のための最適なトレーニングではないでしょうか。人間が人間として生きていくため、社会科こそが最重要教科馬屋原:受験からはちょっと離れた話になりますが、歴史を学ぶことで育まれる「人間力」や「生きる力」について岡先生のご意見をお聞かせください。ご自身のお子さんやまわりの子どもたちを見ていて、歴史学習が人格形成に与える影響を感じた場面はありますか?岡:私には娘がふたりいます。『日本の歴史』ではなく同じKADOKAWAの『角川まんが学習シリーズ まんが人物伝』というシリーズがあるのですが、やはり女の子なのでたとえばアンネ・フランクなど女性の歴史には興味があるようで、よく読んでいます。伝記が出版されるような女性はもちろんすばらしい人物ばかりですから、生き方に変化があったとまでいうと大げさかもしれませんが、なんらかの好影響は受けているはずです。馬屋原:私は塾業界の人間ですが、歴史を含めた社会科の勉強を小学生からそんなにたくさんやらせるべきなのかという疑問はずっともってきました。でも、有名中学の社会の先生方にその疑問をぶつけると、みなさん「社会科こそが最重要だ」と答えるのです。人間が人間として生きていくために必ず必要な知識だと言うわけです。社会科は、文字どおり社会を理解し、よりよい社会を形成するための資質を育むことを目指す教科ですから、先生たちがそう語るのも当然なのかもしれません。岡:現代に起きている出来事には、必ず歴史上にそのルーツがあったり似たような出来事があったりするものです。歴史を知ることで、現代をよりよく生きるための学びを得られるのだと思います。『角川まんが学習シリーズ日本の歴史全16巻+別巻5冊定番セット』山本博文・五百旗頭薫・岡美穂子監修/KADOKAWA(2024)【岡先生&馬屋原先生のおすすめ巻】『よくわかる近現代史』第②巻[戦中・戦後の日本]が無料公開中!※2025年8月15日(金)まで■ 岡美穂子先生・馬屋原吉博先生 インタビュー一覧第1回:戦後80年で話題沸騰!中学受験のプロが選ぶ “本当に効果がある” 歴史漫画第2回:有名進学校が欲しがる子の条件|「現代と歴史をつなげる力」は歴史漫画で育ちます第3回:暗記は昔から通用しない!東大准教授が語る「現代を生きる力」を育てる歴史学習法【プロフィール】岡美穂子(おか・みほこ)1974年生まれ、兵庫県出身。京都大学大学院博士課程修了。博士(人間環境学)。現在、東京大学史料編纂所准教授。専攻は中近世移行期対外関係史、キリシタン史。『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史別巻まんが人物事典』(KADOKAWA)の監修を務める他、著書に『商人と宣教師 南蛮貿易の世界』(東京大学出版会)、『海域アジア史研究入門』(岩波書店)、『海からみた歴史 シリーズ東アジア海域に漕ぎ出す 第1巻』(東京大学出版会)などがある。【プロフィール】馬屋原吉博(うまやはら・よしひろ)1983年生まれ、北海道出身。東京大学在学中から大手予備校・進学塾で大学受験指導、高校受験指導の経験を積んだのち、中学受験専門のプロ個別指導教室SS‒1副代表として多くの中学受験生の指導にあたった。2024年に独立し、オンライン学習サポート「ハルミナ」を立ち上げる。定期的なオンラインの集団授業に加え、完全1対1のオンライン個別指導も続けている。主な担当科目は国語・社会。『中学入試 塾技100 社会』(文英堂)、『国際社会のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)、『頭がよくなる 謎解き社会ドリル』(かんき出版)、『おもしろくてとんでもなくわかりやすい日本史』(アスコム)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年07月16日受験勉強に使われるツールは多数あります。いわゆる「学習漫画」もそのひとつですが、なかでも人気を博すのは『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』(KADOKAWA)です。同シリーズの監修を務めた歴史学者の岡美穂子先生と、 中学受験を志す小学生と保護者をサポートするカリスマ塾講師の馬屋原吉博先生が、家庭での効果的な活用法について意見を交わしました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)進学校は現代的課題と歴史をつなげる力を見る岡美穂子先生(以下、岡):『日本の歴史』の活用法の前にお聞きしたいのですが、中学受験において、とくに頻出とされる時代やテーマはありますか?馬屋原吉博先生(以下、馬屋原):出題される時代の偏りはほとんどないというのが実情です。ただ、もちろん年によって多少のちがいはあります。たとえば、今年(2025年)は戦後80年ですから、おそらく来年度の入試であれば、戦争の時代についての出題はされることでしょう。また、去年もそうだったのですが、いまはお米がなにかと話題になっていますから、米騒動関連の出題も予想されます。さらに、資料やグラフの読み取り問題が増加傾向にあることも踏まえれば、江戸時代や大正時代の米価の変動についてのグラフなどを絡めた問題も出題される可能性が高いと見ています。岡:私は、いわゆる進学校といわれる中学や高校の先生方と仕事をする機会も多いのですが、そういう学校ほど、単なる歴史好きというよりは、現代的課題につながる歴史を意識している生徒を欲しがっているように感じます。馬屋原:実際そうなのだと思います。私立の中高一貫校では、その学校の世界観や理念に基づいて入試問題をつくります。そのなかで、岡先生がおっしゃるように、ただ歴史が好きというのではなく、普段の生活のなかで世のなかの動きをどれだけ歴史とつなげてキャッチアップできているかという力を見ているようです。岡:そう考えると、子どもと親が一緒にニュースを見るような習慣があったほうがいいのかもしれません。馬屋原:たしかにそうですね。私としては、情報があふれている時代のなかでパンクしそうになっている親御さんに「あれもこれもしたほうがいい」といったことは言いたくないのですが、子どもにニュースを見る習慣をつけさせることは大切です。そのとき、親の主観を伝えることもポイントだと思います。私自身、授業のときにはあえて「僕はこう思う」と主観を話すようにしています。併せて、「お父さんやお母さんの考えは違うかもしれない」「このことについてはこんなカウンターの考え方もある」と話して、情報に対する解釈にはいろいろあるということを伝えるのです。なぜなら、最近の中学入試では自分の考えを記述させる問題が徐々に増えているからです。でも、ただ知識をインプットしただけで「自分はこう思う」と考える習慣が身についていない子は、なにも書けないということになりかねません。歴史の「流れ」をつかみ、知識を強化する馬屋原:もちろん、自分なりの考えをもつためにも、一定の知識があることが前提となります。そこでお聞きしたいのですが、たとえば年代を覚えるのが苦手な子が『日本の歴史』を活用するとしたら、どうするのが効果的だと思いますか?岡:実際の入試では、年代そのものを問う問題はほとんどないですよね。でも、短い文章で表されたいくつかの出来事を時代順に並べ替える問題はよく出ます。つまり、多くの学校が、単発の知識ではなく、流れで歴史を理解できているかを重視しているのでしょう。そういう点でいえば、『日本の歴史』はとても有効なツールです。ストーリー性がとても高いため、活用法などと難しく考えることなくただ読むだけでも歴史の流れがスムーズに頭に入ってきます。馬屋原:とはいえ、それも子ども次第かもしれません。すべての子にとって、歴史学習はストーリーで流れを知ることから入るのがいいとは言えないはずです。もちろん、それが合う子もいるでしょう。でも、少し乱暴な表現になりますが、逆に知識を先に詰め込んでからあとで流れを知ることで知識が体系化されやすいという子もいます。たとえば、ある大手学習塾では、まず150ほどの年代を子どもたちに覚えさせます。それだけだったらまさに乱暴な指導ですが、そうして覚えた年代と出来事は、その後の学習のとっかかりになります。そのうえで『日本の歴史』で流れをつかんで知識同士の隙間を埋めるような方法が効果的なのかもしれません。無理やり読ませるのではなく、家に「置いておく」もの馬屋原:『日本の歴史』デビューは何歳頃がいいといったお考えはありますか?岡:それについては、私も失敗してしまったのです……(苦笑)。娘が小学生になった頃に『日本の歴史』を買い与えたのですが、早いうちにひととおり読んだことで、娘のなかではもう「読み終わった本」になって読み返すことがありませんでした。低学年のうちになんとなく読んで、高学年になったらもっと深く読み込んでほしいと思っていたのですが……。馬屋原:なるほど、そんなことがあったのですね。私としては、『日本の歴史』は読ませるものではなく、家に置いておくものだと思っています。もしかしたらそのまま読まれることがないかもしれませんが、「どこかのタイミングで自分からすっと読んでくれたら儲けもの」くらいに考えておくのがいいのではないでしょうか。親自身がたまに読むのもいいかもしれませんね。その姿を見て、子どもが興味をもつことだって考えられます。岡:『日本の歴史』ではありませんが、私が子どもの頃は本を頻繁に買ってもらえる家庭ではありませんでしたから、家にあった百科事典を延々と読んでいましたね(笑)。『日本の歴史』も、置いてあるだけでも子ども自身が興味をもてば読むでしょうし、逆に興味もないのに無理に読ませたところで意味はないのかもしれません。ただ、長期休みで家族旅行に行くようなタイミングは意識的に読ませるチャンスであると思っています。たとえばお城など歴史が絡むスポットに行ったのなら、あとでそのスポットにかかわる部分を読ませることで実体験と知識が結びつき、興味や理解が深まることも考えられます。身近な博物館などに行って、そこで学んだことを話し合うのもいいですね。夏休み中、博物館は自由研究のサポートを提供しているところも多いですし。馬屋原:旅行の前に読ませてもいいですよね。ただの知識としてインプットしたものであっても、その実物を目にすると感動しますから、インプットの質も高まるのではないでしょうか。『角川まんが学習シリーズ日本の歴史全16巻+別巻5冊定番セット』山本博文・五百旗頭薫・岡美穂子監修/KADOKAWA(2024)【岡先生&馬屋原先生のおすすめ巻】『よくわかる近現代史』第②巻[戦中・戦後の日本]が無料公開中!※2025年8月15日(金)まで■ 岡美穂子先生・馬屋原吉博先生 インタビュー一覧第1回:戦後80年で話題沸騰!中学受験のプロが選ぶ “本当に効果がある” 歴史漫画第2回:有名進学校が欲しがる子の条件|「現代と歴史をつなげる力」は歴史漫画で育ちます第3回:暗記は昔から通用しない!東大准教授が語る「現代を生きる力」を育てる歴史学習法(※近日公開)【プロフィール】岡美穂子(おか・みほこ)1974年生まれ、兵庫県出身。京都大学大学院博士課程修了。博士(人間環境学)。現在、東京大学史料編纂所准教授。専攻は中近世移行期対外関係史、キリシタン史。『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史別巻まんが人物事典』(KADOKAWA)の監修を務める他、著書に『商人と宣教師 南蛮貿易の世界』(東京大学出版会)、『海域アジア史研究入門』(岩波書店)、『海からみた歴史 シリーズ東アジア海域に漕ぎ出す 第1巻』(東京大学出版会)などがある。【プロフィール】馬屋原吉博(うまやはら・よしひろ)1983年生まれ、北海道出身。東京大学在学中から大手予備校・進学塾で大学受験指導、高校受験指導の経験を積んだのち、中学受験専門のプロ個別指導教室SS‒1副代表として多くの中学受験生の指導にあたった。2024年に独立し、オンライン学習サポート「ハルミナ」を立ち上げる。定期的なオンラインの集団授業に加え、完全1対1のオンライン個別指導も続けている。主な担当科目は国語・社会。『中学入試 塾技100 社会』(文英堂)、『国際社会のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)、『頭がよくなる 謎解き社会ドリル』(かんき出版)、『おもしろくてとんでもなくわかりやすい日本史』(アスコム)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年07月14日漫画ではあっても、「学習漫画」はあくまでも勉強に使うものであり、いわゆる知識詰め込み型のような教材をイメージする人もいるかもしれません。しかし、KADOKAWAの『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』は、これまでにも多くの子どもたちを「歴史好き」に変えてきました。同シリーズの監修を務めた歴史学者の岡美穂子先生と、中学受験を志す小学生・保護者をサポートするカリスマ塾講師の馬屋原吉博先生が、その魅力について語り合います。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)『日本の歴史』は、断片的な知識を整理・定着させる最強ツール馬屋原吉博先生(以下、馬屋原):いわゆる勉強というかたちではなく「『おもしろい』から子どもの歴史学習をスタートさせたい」と考える保護者も多いですよね。『日本の歴史』における、「これは子どもが手に取りたくなる」「子どもが読み進めたくなる」というポイントはどこにあると思いますか?岡美穂子先生(以下、岡):歴史漫画シリーズは出版社によってまったく内容が異なるのですが、とにかく文字が多く、まるで教科書にちょっと絵をつけただけのようなものもあります。一方、KADOKAWAのものは文字が少なく、絵が本当にきれいでストーリー性に富んでいます。そのため、歴史の知識が無理なく頭に入ってきます。馬屋原:科目を問わず「漫画でわかる」といった本は流行っていますが、たしかに岡先生がおっしゃるように、「挿絵つき参考書」のようなものも多いですよね。KADOKAWAの『日本の歴史』は、漫画というメディアとしてきちんと丁寧につくられていますから、子どもでも読みやすいのかもしれません。それに、巻ごとの「でこぼこ」をあまり感じないのも特徴だと感じます。こういったシリーズは、複数の漫画家さんが分業するのが通常のケースなのですが、するとたとえば、「3巻までと4巻からでテイストがまったく違う」ということもよく見受けられます。でも、KADOKAWAのものは編集に1本筋が通っているというか、巻や漫画家さんが違ってもテイストが一貫していますから、抵抗感なく読めるのです。岡:馬屋原先生から見て、子どもたちが歴史漫画を楽しく読むことで、学力向上に結びついていると感じる場面はありますか?「これは効いているな」と思うシーンがあれば教えてください。馬屋原:一般的には、歴史学習が本格的に始まる前に親が買い与えることが多いと思いますが、期待どおりに子どもが読むケースはあまり多くないでしょう。逆に、歴史の勉強がひととおり終わって、断片的にインプットした知識を整理したり定着させたりするのにいちばん役立つツールなのではないでしょうか。やはり、歴史漫画を読むにも一定の知識は必要です。そうでなければ、登場人物を誰ひとり知らないまま読むことになりますから、おもしろくないですよね。知っている言葉や人物が増えた状態で読むことで、「そういうことか!」と理解が深まるように思います。興味をもった時代をトリガーに、歴史全般を好きになってほしい岡:馬屋原先生の塾生のなかで、歴史が得意な子に人気の時代はありますか?「男の子なら戦国時代から入ると歴史が好きになりやすい」など、「子どもが歴史を好きになるきっかけ」に多く見られる時代があれば教えてください。馬屋原:それほど偏りは感じませんね。戦国や幕末に偏るイメージもあるかもしれませんが、そう考える大人の側がその時代を好きということではないでしょうか(笑)。岡:たしかに、たとえば大河ドラマもほとんどが戦国や幕末が舞台ですから、大人にはファンが多いかもしれません。馬屋原:ただ、戦国や幕末の問題は、残念ながら中学入試においてとくに頻出というわけではありません。でも、子どもが戦国や幕末が好きになったのなら、そこをトリガーにして歴史全般を好きになってくれたら嬉しいですよね。そもそもの話をすると、私は子どもたちに対して「楽しんで」とか「興味をもって」とは絶対に言わないスタンスをとっています。なぜなら、私自身が、「これを楽しみなさい」と言われたら、「嫌だ!」と反発しちゃうような子どもだったからです。代わりに、自分が楽しそうに歴史について話すようにしています。そうするなかで、子どもたちがそれぞれに楽しみを発見してくれたらいいなと考えているのです。岡:私にはふたりの娘がいますが、そろって近代史が好きですね。馬屋原先生自身が楽しそうに話すこととは違うかもしれませんが、おそらく日常生活のなかで一緒にニュースを見る習慣があるからなのだと思います。「どうしてこういう問題が起きているの?」という質問をされると、そこに直結している過去の歴史について説明するようにしていますから、やはり現代に比較的近い時代に興味をもっているのでしょう。来年の入試では「戦中・戦後」に要注目!馬屋原:『日本の歴史』のなかで、「まずはここから読んでほしい」と子どもたちにおすすめしたい巻があれば理由と併せて教えてください。岡:いまであれば、今年(2025年)は戦後80年ですから、別巻の2巻「戦中・戦後の日本」ですね。先にも歴史漫画シリーズは出版社によってまったく異なるといいましたが、じつは沖縄戦をきちんととり上げているのはKADOKAWAのものだけです。そういう意味でも、必読の1冊だと思います。逆に、馬屋原先生のおすすめはありますか?馬屋原:じつは私もまったく同じで、別巻の2巻ですね。これは、受験対策という点でもおすすめしたいものです。中学受験の問題で扱う時代には、偏りはそれほどありません。時代を問わず広くまんべんなく出題されるのが実情です。でも、やはり戦後80年ですから、来年の入試は違ってくるでしょう。いま、1年に1回しか入試を実施しない学校は限られていて、2回、3回と入試を実施する学校が増えています。すると、2種類、3種類の問題をつくるとなったとき、戦後80年ということもあって昭和の前半について出題される可能性は高いと見ています。『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』山本博文・五百旗頭薫・岡美穂子監修/KADOKAWA(2024)【岡先生&馬屋原先生のおすすめ巻】『よくわかる近現代史』第②巻[戦中・戦後の日本]が無料公開中!※2025年8月15日(金)まで■ 岡美穂子先生・馬屋原吉博先生 インタビュー一覧第1回:戦後80年で話題沸騰!中学受験のプロが選ぶ “本当に効果がある” 歴史漫画第2回:有名進学校が欲しがる子の条件|「現代と歴史をつなげる力」は歴史漫画で育ちます(※近日公開)第3回:暗記は昔から通用しない!東大准教授が語る「現代を生きる力」を育てる歴史学習法(※近日公開)【プロフィール】岡美穂子(おか・みほこ)1974年生まれ、兵庫県出身。京都大学大学院博士課程修了。博士(人間環境学)。現在、東京大学史料編纂所准教授。専攻は中近世移行期対外関係史、キリシタン史。『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史別巻まんが人物事典』(KADOKAWA)の監修を務める他、著書に『商人と宣教師 南蛮貿易の世界』(東京大学出版会)、『海域アジア史研究入門』(岩波書店)、『海からみた歴史 シリーズ東アジア海域に漕ぎ出す 第1巻』(東京大学出版会)などがある。【プロフィール】馬屋原吉博(うまやはら・よしひろ)1983年生まれ、北海道出身。東京大学在学中から大手予備校・進学塾で大学受験指導、高校受験指導の経験を積んだのち、中学受験専門のプロ個別指導教室SS‒1副代表として多くの中学受験生の指導にあたった。2024年に独立し、オンライン学習サポート「ハルミナ」を立ち上げる。定期的なオンラインの集団授業に加え、完全1対1のオンライン個別指導も続けている。主な担当科目は国語・社会。『中学入試 塾技100 社会』(文英堂)、『国際社会のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)、『頭がよくなる 謎解き社会ドリル』(かんき出版)、『おもしろくてとんでもなくわかりやすい日本史』(アスコム)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年07月11日株式会社キョーイク(所在地:愛知県名古屋市、代表取締役:矢追 俊和)は、医系専門予備校「メディカルラボ」にて、2025年度「学校推薦型・総合型選抜 プレミア対策講座」を開催します。全国トップクラスの実績と蓄積されたデータを最大限に生かし、効率よく学校推薦型・総合型選抜の対策を行うことができます。初めに学力診断テストによって生徒の得意・苦手を分析。その結果から合格への最短ルートを導き出し、個別カリキュラムを作成します。その後、プロ講師との1対1の個別授業で学力レベルを高めながら、面接・小論文対策を進められます。大学ごとの出題傾向に合わせたプレテストで、本番を想定した対策も可能です。学校推薦型・総合型選抜 プレミア対策講座 プレミア対策講座【講座概要】■開催日時2025年6月30日~受験終了まで(受講期間:受講開始から1ヶ月間)※申込受付中■対象大学獨協医科大学/埼玉医科大学/東京医科大学/聖マリアンナ医科大学/金沢医科大学/愛知医科大学/藤田医科大学/近畿大学/兵庫医科大学/久留米大学/福岡大学■受講料1大学につき、205,000円(税込)■受講内容●1対1個別授業受講科目・回数は受験校・学力診断テストの結果をもとにご相談のうえ決定します。<英語・数学・理科より6回受講>※1回50分(講義)→50分(演習)→50分(講義)<面接・小論文・志望動機より4回受講>※面接1回50分 ※小論文1回100分添削付 ※志望動機1回100分添削付※校舎により実施内容が異なる場合があります。詳しくは校舎までお問い合わせください。●学力診断テスト・テスト後面談●大学別プレテスト●受講期間中の自習室利用●現役医学部生への質問対応利用●受講後面談■特典「学校推薦型・総合型選抜 プレミア対策講座」資料請求で、「学校推薦型・総合型選抜のためのスタートガイド」を無料プレゼント! 【会社概要】商号 : 株式会社キョーイク代表者 : 代表取締役 矢追 俊和所在地 : 〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4-6-17名古屋ビルディング6F設立 : 1981年事業内容: 医学部専門の大学受験予備校「メディカルラボ」の運営URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年07月11日障害受容をしない夫と支援に繋がろうと奔走する妻。そして娘は小学校へ入学し……娘の障害について理解してくれない夫。家族で話し合いができない中、妻は一人頑張って、児童発達支援へ繋がります。最初は泣いてばかりだったりんさんも、笑顔を見せるようになってホッとしたのでした。そして就学前に受けた知能検査で、中度から軽度知的障害(知的発達症)と診断されたりんさんは、自閉症・情緒障害特別支援学級へ入学することになったのですが……。以下から続きをお楽しみください。特別支援学級でのりんUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談「子どもの好きを伸ばしたい」Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談娘の障害を理解しない夫が中学受験を提案。本人も乗り気になり自閉症・情緒障害特別支援学級に入学、放課後等デイサービスにも通い、少しずつ成長していくりんさん。そんな中、夫はりんさんの「生き物好き」を伸ばしてあげたいと、私立中学校の生物部を調べて見学を提案、妻は困惑します。そしてりんさん本人の希望で予想外の中学受験が始まることになりました。次回「自閉症娘の中学受験で家庭内はギグシャク…「障害のレッテルを貼っているのは君」と夫から責められ【マンガ発達障害の子どもと私たち/りん編4話】」は7月10日(木)に公開予定です。是非ご覧ください。イラスト/志士ノまる(監修:井上先生より)自閉症・情緒特別支援学級に入級し、りんさん自身の障害特性に合わせた支援によって学校生活も順調にスタートしました。環境が整い行動面の問題が落ち着くことにより、学習も安定した成長が見られています。学習面では、中学年以降は抽象的な学習が増え、特定の教科や単元で困難を感じる子どもも出てきますが、りんさんも好きなことや得意なことに関する動機付けを活かしながら全体的な学習を頑張っていたのだと思います。苦手分野の克服だけに力を注ぐのではなく、興味が高い分野を中心に学びの楽しさを重視して教えていくことはこの時期に大切なことだと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年07月03日中学受験ー夫婦と祖父母の意見が合わない時には「中学受験は親子の戦い」と言われますが、夫婦間で意見が食い違うこともめずらしくありません。夫婦間ではまとまっていても、祖父母とは意見が異なるケースもあるでしょう。けれど中学受験に挑むなら、子どもが迷わず全力で受験に臨める環境をつくってあげたいもの。そのためには、子どもを取り巻く大人の意見を統一させておくことも重要な要素です。今回は、夫婦や祖父母間で中受への意思統一ができない理由と、その対策についてお話しします。どうして意見が割れるのか子どもの中学受験に対して意見が割れるのは、めずらしいことではありません。夫婦のどちらかが率先して情報を集め、もう片方がそれに従うというケースが多いのではないでしょうか。以前は母親がメインの家庭が多かったですが、最近では在宅勤務などもあり、父親のかかわりが増えているように感じます。たとえば塾後に子どもを迎えに来たり、塾との連絡窓口になっていたりと、学習面だけでなく受験生活そのものを熱心にサポートしているお父さんも多いです。結果、夫婦どちらも中学受験に積極的にかかわることで、意見も割れやすくなっているのではないかと思います。中学受験自体への認識が違うから意見が割れる理由として、そもそも夫婦間で中学受験自体への認識が異なっているケースが挙げられます。高校や大学とは違い、中学は受験をしなくともどこかへ進学できます。小学生が友だちや家族との時間を削って、夜遅くまで勉強をすることに疑問を抱く人もいるでしょう。一方で「中学受験は大変なものだから、他をすべて犠牲にするくらいでないと」と考える人もいます。高学年では寝る時間を削って勉強し、学校行事への参加や家族旅行をひかえるのが当然という認識です。このように中学受験自体への認識が異なると、意見が割れるのも自然なことのように思えますね。中学受験への経験が違うから中学受験への認識は、実際に自分が経験したかどうかにも左右されます。中学受験を経験している人は、自身の経験が良くも悪くもひとつの指針となります。「自分はこの時期には○時間は勉強していた」「このレベルの問題は簡単にできた」「親にはこういうことをしてもらった」などです。たとえば中学受験を考えず公立中学へ進んだ夫と、中学受験を経験した妻であれば、意見が割れるのも自然なことですよね。また、自分が親として中学受験を支えた経験がある祖父母だと、親である夫婦に「こうすべき」といった意見が出ることも考えられます。今の中学受験に対する情報量が違うから中学受験に関する情報量の違いは、認識の違いに繋がります。たとえば妻が率先して情報を集めている場合、妻は今の情報で、夫は自分の時代の認識で話してしまうため、感覚の食い違いが生まれるということも。また、最新の情報を集めている妻は現実が見えて焦ってしまいがちです。情報を集めるでもない夫の発言が、無責任なアドバイスに聞こえてしまうという話は、私自身も心当たりがあります。これは年代に差がある親と祖父母でも起こりやすく、地域差も関係してくるでしょう。意思統一ができないと子どもがつらくなる夫婦間で意思統一ができなかったり、親と祖父母の意見が対立したりすると、勉強時間や志望校決定などがスムーズにいかないこともあります。大人の意見がまとまっていないと、子どもは誰の話を聞けば良いかわからなくなってしまうんですよね。たとえば、親に言われたことをしてみたら祖父母に嫌な顔をされた、という状況は避けたいものです。また、夫婦間で意思統一ができないと、塾との連携が取りにくくなります。塾講師として学習相談に答えるかたちで保護者に電話をしたとき、「母親はそう言っているのですが私(父親)としては……」と一向に解決しないこということも、実際に何度かありました。塾側では「ご家庭で話し合ってください」としか言えないので、家庭内である程度方向性が定まっていたほうが塾との話し合いもスムーズですね。意思統一が難しいときはどうすればいい?では、意思統一が難しいときはどうすればいいのでしょうか。話し合って意見をすり合わせるのが良いとは思いますが、それができれば苦労はしないんですよね。家庭によって状況はさまざまなので、「こうすれば誰でも解決」という完全な解決策はありませんが、試してみてほしいものをいくつか紹介しますね。情報をアップデートする中学入試は多様化し、中学校も変わっています。夫婦も祖父母も合わせて、中学受験にかかわる保護者はみんなで情報をアップデートしてみましょう。たとえばかつては偏差値40未満だった「渋谷女子中学校」は共学化し、現在は「渋谷教育学園渋谷中学校」となって偏差値も60を超えています。親世代が子どもの頃といえば約20年前で、その頃と比べると中学校の形態も偏差値もずいぶん変わっています。一気に情報を詰め込むのは難しいので、まずは塾や情報サイトにある学校一覧や偏差値を見てみると良いでしょう。子どもの考える志望校について、最新の偏差値を知ることで話し合いもしやすくなります。私の場合、娘の志望校を祖父に話したところものすごく嫌な顔をされました。そして、「え、あのバカ学校に行かせるの?」と言われたんですよね。私の親なので40年以上前のイメージだけでしゃべってしまったようですが、娘の志望校をそんな風に言われるのは心外でした。しかしパンフレットや偏差値表を見せると印象もアップデートされたようで、施設や進学実績、系列校の情報を知ると一転して応援ムードとなりました。やはり実際に今の情報を知るのは大事なのだなと思ったエピソードです。最新のデータに目を通すことは意見のすり合わせに効果的だと思います。フラットに子どもに意見を伝える夫婦間で異なる考えを無理矢理合わせるのは難しいですよね。志望校などについて意見が違うこともあるでしょうし、夫婦の意見に祖父母が賛成しないという場合もあるでしょう。家族関係が良好で、子どもが親の話を真面目に聞けるなら、親や祖父母の意見の違いをそのまま伝えるのも良いと思います。ポイントは、それぞれをひとつの意見としてフラットに伝えること。「母はこう思う、父はこう思う、祖父母はこう思う。あなたが決めていいんだよ」というように、選択肢として提示できると子どもも落ち着いて聞けるのではないでしょうか。選択肢があることで視野が広がり、ひとつがつらくなったときに他に逃げられるというメリットもありますね。大事なのはストレスを抱えないこと保護者間での意思統一はできるに越したことはありませんが、無理に合わせようとしてケンカになるのも良くないですよね。子どもの将来がかかっているため、意見が異なるのは仕方がないことです。その中で、情報をアップデートしつつ適宜話し合いをしていくのがベター ではありますが、意見の完全な一致を見ないことも当然出てくると思います。その場合、入試に向けて子どもの心はどんどんデリケートになるということを思い出し、子どものために保護者間の空気が悪くなるのは避けようという点でなら合意できるのではないでしょうか。塾や志望校を選ぶのも、入試のために勉強をするのも、保護者ではなく子どもです。子どもが迷わず前に進めるよう、ストレスを抱えない範囲で話をして意見をすり合わせていってほしいと思います。※中学受験ナビの連載『塾のトリセツ』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。
2025年07月01日株式会社日本教育指導総合研究所JET(所在地:東京都新宿区、代表取締役:屋口 京子)が運営する中学受験専門の個別指導塾・家庭教師派遣の受験Dr.は、中学受験生である6年生保護者対象の「夏の過ごし方セミナー」を、2025年6月30日(月)に開催します。夏の過ごし方セミナー■「夏の過ごし方セミナー」とは受験Dr.の最上位コースであるクラウン講師が講演。志望校合格を左右する夏期の過ごし方、中学受験生が「夏」やるべきことを算数・国語・理科・社会・全般に分けて教えます。■開催概要セミナー名:夏の過ごし方セミナー日程 :2025年6月30日(月)時間 :10:00~12:55受講方法 :対面受講・オンライン受講対象 :6年生保護者【セミナー受講料】11,000円(税込)【お申し込み】電話(03-5304-8225)もしくは下記申し込みフォーム 【担当講師】*安部 公一郎 講師(写真中央左)受験Dr. 塾長 京都駅前校校長 クラウンドクター講師*春野 陽子 講師(写真中央)国語科講師指導最高責任者 国語科御三家最高責任者 クラウンドクター講師*海田 真凜 講師(写真中央右から2人目)四谷本部校校長 校長総責任者 クラウンドクター講師*亀井 章三 講師(写真左)算数・理科御三家最高責任者 自由が丘校校長 教科総責任者 クラウンドクター講師*清水 栄太 講師(写真右)社会科御三家最高責任者 スーパードクター講師【アンケート回答特典】<対面受講>教科別 講演資料、セミナー内容に即したトレーニングブック<オンライン受講>教科別 講演資料の当日閲覧、セミナー内容に即したトレーニングブック送付【注意事項】・同業他社の参加禁止・セミナー中の撮影・録音・録画禁止■受験Dr.について「受験Dr.」は【目の前の1人を勝たせる】をモットーに、お子さん一人ひとりの性格や学習状況に合わせたオーダーメイド指導の「個別指導塾」「プロ家庭教師の派遣」「オンライン授業」のサービスを提供。開成中学校の合格者数は2020年、2021年、2022年、2023年、2024年、2025年の6年で計65名となり、個別指導No.1の合格実績を達成しています。■会社概要商号 : 株式会社日本教育指導総合研究所JET代表取締役: 屋口 京子所在地 : 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2-8 四谷THビル7階設立 : 設立 1998年2月/法人化 2003年10月事業内容 : 中学受験プロ講師による個別指導塾・家庭教師 受験Dr.校舎 : 四谷本部校、麻布十番校、代々木校、自由が丘校、吉祥寺校、東京校、成城学園校、横浜校、京都駅前校資本金 : 1,000万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年06月19日もはや「乱世」と言ってもいい予測不能な時代を生きる子どもたちにとって、本当に必要な力とはどのようなものでしょうか。この問いに対して、「冒険力」と答えるのは、小学校受験において高い合格実績をもつスイング幼児教室を運営する矢野文彦さんです。冒険力の意味、そして、それらを構成する「4つの力」について詳しく解説してもらいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)日常的な「創意工夫」が、将来の「冒険」を支えるこれからの時代を生きる子どもたちにとって、もっとも必要な力は「冒険力」だと私は考えています。冒険力とは、「成功するかどうかわからなくても、『まずやってみよう』と行動して挑戦する力」に加え、困難や失敗から立ち直る、いわゆる「レジリエンス」も含まれます。なぜこの力が大切かというと、人生は予想どおりに進むことが少なく、むしろうまくいかないことが前提としてあるからです。さらに現代は、コロナ禍のような予測不能な出来事が頻発し、かつてのように安定した将来が約束される時代ではなくなりました。いわば、「乱世」の時代なのです。だからこそ、挑戦を恐れず、失敗しても再び立ち上がる力がこれまで以上に重要になっているのです(インタビュー【第1回】参照)。私が言う「冒険力」は、以下のような4つの力で構成されるものです。【冒険力を構成する4つの力】①くらし力②コミュニケーション力③ちしき力④からだ力「①くらし力」とは、日々の生活を営む力です。この力が冒険力につながるのは、挑戦意欲を高めるからです。服のボタンをとめる、部屋の片づけをするといった些細なことでも、「自分でできた」という経験は子どもにとって大きな自信を生みます。そこから、「きっと自分にはできる!」という挑戦意欲をもつことができるのです。あるいは、くらし力を高めるなかで創意工夫することも見逃せないポイントです。たとえば掃除をするにしても、最初は親に教えられたとおりのやり方でやるでしょう。でも、そのうち子どもは自ら「こうしたほうが早く終わるのではないか」「もっときれいになるはず」と考えはじめます。そうした創意工夫の思考が、将来的な冒険力を育んでくれるのです。「察する力」をもつ人のまわりには、自然と協力者が集まる「②コミュニケーション力」は、対人スキルを意味します。なかでも「察する力」はとくに重要なものではないでしょうか。コミュニケーション力というと、上手におしゃべりできるような、自分発信の力をイメージしがちかもしれません。もちろんそういった力も大切なものですが、察する力の重要性はさらに高いものだと考えます。誰かにあいさつをする場面で、ただ元気にあいさつをする人と、あいさつをしながら相手の表情を見て「ちょっと顔色がよくないようだけれど、大丈夫?」と察して気遣うことができる人なら、どちらのコミュニケーション力が高いといえるでしょうか。間違いなく後者であるはずです。察する力とは、他者に対する「優しさ」に他なりません。そのような優しさをもつ人のまわりには、自然と人が集まります。大人になったとき、たとえ仕事のスキルがそこまで高くなかったとしても、その人がなんらかのチャレンジをするときには多くの協力者が現れるといったことも考えられるはずです。そのような意味で、コミュニケーション力は冒険力を支えているのです。「③ちしき力」は、単純な知識の他に知的好奇心も含みます。この力がなぜ大切かというと、生きる楽しみを深めてくれるために、結果的に行動やチャレンジを起こすことにつながるからです。たとえば、節分の日にただ恵方巻きを食べるのではなく、恵方巻きを食べる理由も知っていたらどうでしょう?「だから食べるのか」と日常生活のなかにも納得感をもつことができ、ひいては「もっといろいろなことを知りたい」という意欲をもつこともできるでしょう。あるいは、水族館や美術館に出かけるにしても、「この生き物にはこんな特徴がある」「作者はこの絵にこんな思いを込めている」といった知識をもっていれば、ただ「ふーん」と見ることと比べて楽しみははるかに大きなものになります。そうして日々の楽しみが深まることで、「人生をより豊かにするにはどうすればいい?」「もっと楽しく生きたい!」といった気持ちから、積極的に冒険をしようという思いももつようにもなるでしょう。体を上手に扱おうとすることは、試行錯誤そのもの最後の「④からだ力」は、自分の思いどおりに体を動かして目的を達成する力のことです。なかでも「道具を扱う力」がとくに重要だと思います。実際、小学校受験でも、ハサミやクレヨン、あるいはボールといった身近な道具を扱う試験がよく見られます。というのも、体を上手に扱おうとすることは、「試行錯誤」そのものだからです。「ボールを3回投げて的にあてる」という試験があるとします。このような試験では、1回目については採点しないこともよく見られるケースです。1回で上手にボールを的にあてる力ではなく、「1回目は強く投げ過ぎたから、2回目は弱く投げてみよう」「今度は弱過ぎたから、3回目はもう少しだけ強く投げよう」といった試行錯誤、あるいは状況に合わせた調整能力を見ているためです。自分が置かれた状況に応じて試行錯誤し調整する力が、チャレンジをよりよい方向に導いてくれることは言うまでもありません。ここまでを読んで、子どもの4つの力を高めたいと考えた人もいるでしょう。そのための指針、あるいは子どもの成長度合いを確認する「レベルアップトライ」というものを、「年少まで」「年中年長向け」「小学校低学年向け」の3レベルにわけて、私の著書『スイング幼児教室が教える 冒険力の育て方』(光文社)に記載しています。スペースに限りがありますので、ここでは「くらし力」のレベルアップトライの一部を紹介しましょう。わが子を見ながら、「できる」「挑戦中」「これから」のうち、あてはまるものにチェックマークを入れてみてください。「これはもうできているからOK」「次はこれを目標にしよう」といったことをはっきり認識できます。「できる」のチェックマークが増えれば増えるほど、子どもの「くらし力」が順調に育まれていることになります。ただ、現時点でできないものがあっても焦る必要はありません。親子でじっくりと取り組み、最終的にできるようになることを目指せばいいだけのことです。もちろん私の著書ではもっとたくさんのレベルアップトライを紹介していますから、興味をもってくれたなら、ぜひ本を手に取ってほしいと思います。【年少まで】「くらし力」のレベルアップトライできる挑戦中これから1自分が脱いだ衣類を洗濯かごに自分で入れる□□□2家族と一緒に洗濯物を取り込んだあと、家族の衣類をそれぞれ仕分けする□□□3毎日ひとつの衣類をたたむチャレンジをする□□□【年中年長向け】「くらし力」のレベルアップトライできる挑戦中これから1その日の天気に合わせて着る服を自分で選ぶ□□□2自分で服のボタンをとめられるようになる□□□3自分の服をたためるようになる□□□【小学校低学年向け】「くらし力」のレベルアップトライできる挑戦中これから1自分がどう見せたいかを考えて服を選ぶ□□□2自分で明日の持ち物の確認と準備をする□□□3家のなかで家事が行き届いていないところを自分で見つけて、片づけたり掃除をしたりする□□□『スイング幼児教室が教える 冒険力の育て方』矢野文彦 著/光文社(2024)■ スイングアカデミア代表取締役・矢野文彦先生 インタビュー一覧第1回:「できない」を「できる」に変える冒険力!小学受験のプロに聞いた、子どもの力を伸ばす親とは?第2回:教育方針に迷いや焦りを感じたら、「わが子の名前の由来」を思い出して。どんな願いを込めた?第3回:【冒険力の育て方】スイング幼児教室が教える、乱世を生き抜くための「4つの力」【プロフィール】矢野文彦(やの・ふみひこ)1973年生まれ、東京都出身。株式会社スイングアカデミア代表取締役。大学卒業後、広告代理店やインターネットプロバイダを経て大手通信会社に入社。ブランドマーケティング、広告宣伝等を担当。2011年に退社して独立。WEB制作、アーティストマネジメント、教育事業をはじめ、東京都港区にスイング幼児教室を開校。2014年に株式会社スイングアカデミアを設立。社会経験を経て、学力だけではない社会で活躍するために必要な本当の力に気づき、「未来につながる学び」を、学びのスタート地点にいる子どもたちに伝えたいという思いから小学校受験業界に参入。培ったマーケティングノウハウを活かし、教育トレンドを速やかに分析して反映するなど、効率的で信頼性のある独自のカリキュラムが定評。講師やスタッフたちとのチームワークを大切にしながら、自らも授業やセミナーを行い、生徒や保護者に学びの本質である「冒険力」を伝えていくことを続けている。【公式X】矢野文彦 (スイング幼児教室)【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年06月11日現役教師が教える、人間関係や受験に役立つスキルコミュ力やプレゼン力の高さは「生まれつき」じゃない!?人間関係を円滑にするコミュ力、相手に情報を正しく伝えるプレゼン力は、社会生活を営むうえで大切かつ必須な能力です。そのため中学や高校の受験時の面接で、その有無を見極めようとする学校も増えています。こうした能力は生まれ持った素質によるところが大きいと思われがちですが、練習や実践によって誰でも高めることができます。同書では、現役の教師(教育のプロ) が未来を担う子どもたちに向けて、実践と経験に即したコミュ力・プレゼン力を高める方法をわかりやすく教えます。書籍情報『9歳から知っておきたいコミュ力・プレゼン力をアップさせる方法』発売日:2025年6月13日定価:1,650円著:TOSSコミュ&プレゼン力研究会監:谷 和樹(TOSS代表/玉川大学教職大学院教授)サイズ:四六判ISBN:9784867167731書籍URL:マイクロマガジン社(マイナビ子育て編集部)
2025年06月09日周囲からの情報やほかの親の考えなどに惑わされ、子育ての「軸」がぐらつくなど悪影響を受けていないでしょうか。インターネットを通じてかつてとは比較にならないほど多くの情報に触れる現代では、とくに注意が必要かもしれません。そのような状況において、高い小学校受験の合格実績をもつスイング幼児教室を運営する矢野文彦さんは、「子どもの名前の由来を思い出す」ことをすすめます。その効果は、どのような点にあるのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもの名前の由来は、親の教育方針の第一歩子育て中の親御さんは悩みがつきないでしょう。子どもの性格や行動に関する悩み、発達や学習度合いに関する悩み、しつけ方に関する悩みなど多種多様だと思います。そうした悩みにさいなまれているときは、「軸」ともいえる教育方針を見失い、袋小路に迷い込んでしまいかねません。すると、子育てに多くの悪影響が表れます。たとえば、わが子に対して「周囲に流されず自分自身の力で力強く人生を切り開ける子になってほしい」と願っていたのに、「子どもに失敗させたくない」「いい学校に行かせたい」といった目先の思いが先行してしまうと、もともとの願いとは矛盾した育て方になってしまいます。そのような、軸がブレた育て方のもとでは、子どもも「結局どうすればいいの?」と混乱し、精神的にも不安定になってしまうでしょう。あるいは、親のなかで「なにを大事にしたいのか」という軸が明確でなくなれば、周囲の情報や他の親と自分を比較して親自身が迷いや焦りを感じ、ストレスを溜めやすくなることも考えられます。親が強いストレスを感じることは、子どもにとっても好ましいことではありませんよね。そのような状況にいる親御さんには、改めて「わが子の名前の由来」を思い出してほしいと伝えています。子どもの名前をつけるとき、すべての親は「こんな子に育ってほしい」と願いを込めます。それは、それぞれの親の教育方針の第一歩に他なりません。それが、まさしく子育ての軸なのです。わが子の名前の由来を思い出し、子どもが生まれたときの気持ちに立ち返ることで、「そうだった、この子の名前にはこういう願いを込めていたのだった」と自らの教育方針を思い出すことができ、あるいは教育方針を立て直して今後の子育ての方向性を決めることもできるのです。「軸」を見失えば、自分らしい判断ができなくなる少し話が逸れるようですが、仕事だって同様ですよね。私は、子育てと仕事はとてもよく似ているものだと考えています。理想としていた職業に就くことはできていないとしても、みなさんが現在の仕事をはじめたときには、「こういう理由でこの仕事をするんだ」「この仕事を通じて将来的にこんなふうになりたい」「そのためにはこういうことを大事にしよう」という初心をもっていたはずです。この初心は、子育てでいえば、子どもが生まれたときに決めた教育方針です。でも、同じ仕事に長く携わるうちにその初心を見失ってしまうと、モチベーションの低下や判断のブレなど、多くの悪影響が出てきます。もちろん、そうなると成果も出づらくなって当然です。そうした「なにを大事にしたいのか」という軸は、普段の仕事の進め方にも顕著に表れます。「なによりも人の気持ちを大事にしたい」という人なら、パートナー企業がなんらかのトラブルを起こしたときに「パートナー企業の要望に柔軟に対応しよう」と考えるでしょうし、「契約や計画といった取り決めを守ることこそ優先しなければならない」という人なら、「パートナー企業に多少の負担をかけることも仕方がない」と考えるでしょう。もちろん、子育ての教育方針にも仕事における軸にも正解というものはありません。ただ、その内容は問わず、軸を見失ってしまっては自分らしい判断をすることが難しくなるのです。子育てでは「ふたつの顔」を使いわけるただし、子育てにおいては、「ふたつの顔」を使いわけることも大切です。仕事においては、先のトラブルが発生したときの例ではありませんが、場面に応じた仕事の進め方や対処法を、「自らの軸」に照らし合わせて打ち出さなければなりません。このことについては、子育ても同じです。子育てにおいても、理想通りにうまくいくことはほとんどないでしょう。うまくいかないことがあれば、自らの教育方針に立ち返って打ち手を見出す必要があります。たとえるなら、アスリートをサポートするトレーナーの顔であり役割のようなものです。「礼儀を重んじる子になってほしい」と願う親が、玄関で靴をそろえることを子どもに教える場面をイメージしてみてください。「靴をそろえておくと、お客さんが来たときに『すてきなお家だな』と思ってもらえるよ」といったほうが響く子もいれば、「靴をそろえるのがマナーだから」とシンプルに伝えたほうが納得する子もいます。「いまこの子にはどのような伝え方が最適なのか」と考えるのは、アスリートの個性や状況を見極めて成長をサポートする、まさにトレーナーのような役割です。仕事はもちろん、子育てにおいても、このような冷静な見方が欠かせないのです。でも、そういった関わりだけではやっぱりさみしいですよね?子どもの誕生日や旅行など特別なときには、「かわいい、かわいい」と徹底的に甘やかしてもいいと思うのです。「トレーナーの顔」と、子どもに甘い、いい意味での「親ばかの顔」、ふたつをうまく切り替えながら適切な関わりをしていくことで、より深い親子関係を築けるはずです。『スイング幼児教室が教える 冒険力の育て方』矢野文彦 著/光文社(2024)■ スイングアカデミア代表取締役・矢野文彦先生 インタビュー一覧第1回:「できない」を「できる」に変える冒険力!小学受験のプロに聞いた、子どもの力を伸ばす親とは?第2回:親自身が迷いや焦りを感じたら、「わが子の名前の由来」を思い出して。どんな願いを込めた?第3回:【冒険力の育て方】スイング幼児教室が教える、乱世を生き抜くための「4つの力」(※近日公開)【プロフィール】矢野文彦(やの・ふみひこ)1973年生まれ、東京都出身。株式会社スイングアカデミア代表取締役。大学卒業後、広告代理店やインターネットプロバイダを経て大手通信会社に入社。ブランドマーケティング、広告宣伝等を担当。2011年に退社して独立。WEB制作、アーティストマネジメント、教育事業をはじめ、東京都港区にスイング幼児教室を開校。2014年に株式会社スイングアカデミアを設立。社会経験を経て、学力だけではない社会で活躍するために必要な本当の力に気づき、「未来につながる学び」を、学びのスタート地点にいる子どもたちに伝えたいという思いから小学校受験業界に参入。培ったマーケティングノウハウを活かし、教育トレンドを速やかに分析して反映するなど、効率的で信頼性のある独自のカリキュラムが定評。講師やスタッフたちとのチームワークを大切にしながら、自らも授業やセミナーを行い、生徒や保護者に学びの本質である「冒険力」を伝えていくことを続けている。【公式X】矢野文彦 (スイング幼児教室)【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年06月09日先行きが不透明で不確実な時代、子育て中の親御さんのなかには「子どもにどのような力をつけてあげればいいのか」と悩む人も多いことでしょう。小学校受験において高い合格実績をもつスイング幼児教室を運営する矢野文彦さんは、「これからの子どもたちには『冒険力』を身につけてほしい」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)そもそも、ものごとがうまくいくことなどほとんどないこれからの時代を生きていく子どもたちにとって、必要な力については多くの見方がありますが、私は「冒険力」こそがもっとも重要だと考えます。私が言う冒険力とは、「成功するかどうかわからなくても、『まずはやってみよう』と行動して挑戦する力」を意味します。さらに、チャレンジの先にある、「困難や逆境に直面した際にしなやかに適応して回復する力」まで含めれば、いわゆる「レジリエンス」と言い換えてもいいでしょう。なぜこの冒険力が重要かといえば、長い人生において、ものごとが思っていたとおりにうまくいくことなどほとんどないからです。みなさん自身のことを振り返ってみてもそうではありませんか?これまでの人生、すべて期待どおりに進んできているでしょうか?おそらくそうではないはずです。そう考えると、「人生はうまくいかないものだ」ということを前提としなければなりません。そのうえで、うまくいかなかったことに対してどのように向き合っていくのか、どう立ち上がってネクストチャレンジを続けていくのかといったマインドセットが必要なのではないでしょうか。とくに現代は、コロナ禍のような誰も予想し得なかったことが世界中で次々に起きていますし、あるいは、以前のようにいい大学を出ていい会社に入れば一生安泰という時代でもなくなりました。先行きが見えないなかでチャレンジしなければならない場面、その結果として失敗から立ち上がらなければならない場面は、かつてよりはるかに増えているはずです。だからこそ、冒険力の重要性が増しているのです。子どもに「好きなこと」だけをさせるのは危険ところが、とくに「失敗に向き合う」ことについては、親子ともに慣れていない家庭が多いという印象を私はもっています。教育の専門家の考え方もいろいろで、親御さんに対して「子どもの好きなことをさせてください」とアドバイスをする人もいます。「好きなことなら子どもが自ら率先してやろうとするし、頑張ることができる」という理由からです。これは一見、ロジカルな主張に思えるかもしれません。しかし、「子どもの好きなことをさせる」ということは、裏を返せば「子どもが嫌がることはさせなくてもいい」ということになります。子どもが嫌がることとは、たとえばできないこと、やったことがないこと、あるいはこれまでにうまくいかなかった経験があることなどでしょう。それらをしないということは、つねに挑戦を避けることにもなるのです。本来であれば、思い切ってやってみたらできるかもしれません。過去の失敗経験を活かしてもう一度チャレンジしてみたらうまくいくことだってあるでしょう。そういったことも、もともとやらないという選択になってしまうのです。そのような人生を歩んでいく子どもが、将来、厳しい社会のなかで果たして通用するでしょうか?なにか卓越した能力を発揮して個人で稼ぐことができるならともかく、組織のなかでは「私は好きなことしかやらない」などという人間が求められることはありません。親の役割は、子どもの成長のわずかな「差分」を見つけることだからこそ、「できないこと」「失敗」に対する向き合い方を、親子ともに変えていってほしいのです。その過程においては、とくに親の価値観を変えることが大切です。なぜなら、ものごとに対する親の見方を通して子どもは学んでいくからです。「できないこと」「失敗」に対して「悪いことだ」とネガティブにとらえる親の子どもは、同じような見方をするようになります。その結果、失敗することを恐れて最初からチャレンジしないという選択をするにちがいありません。そのような事態を避けるには、まずなによりも「ヨコの視点」で子どもを見ないことを意識してください。「ヨコの視点」で見るとは、自分の子どもと他人の子どもを比較する見方のことです。幼少期の子どもの発達度合いには、大きな個人差があります。それなのに、わが子とよその子を比較すると、「〇〇ちゃんはもうこんなことができるのに」「うちの子はダメな子なのかな」と、「できないこと」に対するネガティブな見方を強めてしまうのです。そうではなく、あくまでも「タテの視点」で自分の子どもの成長を見てください。先月より今月、先週より今週、できなかったことがほんの少しでもできるようになれば、それだけでもその子にとって大きな成長です。そして、その小さな「差分」を見つけて子どもに伝えてあげることこそが親の役割です。鉄棒の逆上がりがまったくできなかった子が、先週よりほんのちょっとだけ体を上に振り上げることができるようになりました。逆上がりができたわけではありませんから、子ども自身は「やっぱりできない……」と落ち込んでしまうかもしれませんよね。でもそこで、「前よりずっとよくなってるよ!」「もう少しでできるよ!」と声かけしましょう。当たり前かもしれませんが、子どもができないことを見つけるのは簡単なことです。親の力が問われるのは、できなかったことが少しずつできるようになっていくその過程のなかで、わずかな変化、まさに子どもの成長を見つける場面なのです。『スイング幼児教室が教える 冒険力の育て方』矢野文彦 著/光文社(2024)■ スイングアカデミア代表取締役・矢野文彦先生 インタビュー一覧第1回:「できない」を「できる」に変える冒険力!小学受験のプロに聞いた、子どもの力を伸ばす親とは?第2回:親自身が迷いや焦りを感じたら、「わが子の名前の由来」を思い出して。どんな願いを込めた?(※近日公開)第3回:【冒険力の育て方】スイング幼児教室が教える、乱世を生き抜くための「4つの力」(※近日公開)【プロフィール】矢野文彦(やの・ふみひこ)1973年生まれ、東京都出身。株式会社スイングアカデミア代表取締役。大学卒業後、広告代理店やインターネットプロバイダを経て大手通信会社に入社。ブランドマーケティング、広告宣伝等を担当。2011年に退社して独立。WEB制作、アーティストマネジメント、教育事業をはじめ、東京都港区にスイング幼児教室を開校。2014年に株式会社スイングアカデミアを設立。社会経験を経て、学力だけではない社会で活躍するために必要な本当の力に気づき、「未来につながる学び」を、学びのスタート地点にいる子どもたちに伝えたいという思いから小学校受験業界に参入。培ったマーケティングノウハウを活かし、教育トレンドを速やかに分析して反映するなど、効率的で信頼性のある独自のカリキュラムが定評。講師やスタッフたちとのチームワークを大切にしながら、自らも授業やセミナーを行い、生徒や保護者に学びの本質である「冒険力」を伝えていくことを続けている。【公式X】矢野文彦 (スイング幼児教室)【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年06月06日今回の調査は、同社代表の神田直樹氏初の著書『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)の発売を記念して実施されたもの。近年、教科書の読解すら困難な「読み飛ばし」や「設問の意図を読み取れない」子どもが増えていると指摘され、国語力の低下が他教科の理解や思考力にも影響を及ぼしていると言われています。特に中学受験や高校受験では「読解力」が重要視される傾向が年々強まり、保護者の間でも「国語力の鍛え方」に注目が集まっています。約8割の東大生が「学力の基盤は国語力」と回答学習において基盤となる科目は?約8割(77%)の講師が「学力の基盤は国語力」と回答/数学(17%)や英語(4%)を大きく上回る結果に「学習において一番基盤となる科目は何か?」という問いに対し、東大生講師100名中77名が「国語」と回答しました。次いで「数学」が17名、「英語」が4名と続きました。大多数が「読解力や設問の意図を読み取る力がすべての教科の土台になる」と実感している様子がうかがえます。<現役東大生講師コメント>・「全ての教科で文章を読むので、全てが国語要素を含むと思っています」・「なんの教科の学習をするにも問題を解くにも、文章を読む力や要点を理解する力、自分の考えをまとめる力が必要だと思うから」国語力を伸ばすには何が有効?段階ごとに「国語力増強に一番役立ったこと」をたずねたところ、小・中学生時代には「読書」と「対話」が圧倒的に多く挙げられました。「読書」と「対話」が国語力を伸ばす2大要素に◎小学生時代・読書:64名・対話:21名・その他(学校、親の影響、環境など):15名◎中学生時代・読書:48名・対話:27名・その他(塾、受験勉強、作文など):25名◎高校生時代・読書:14名・対話:16名・その他(受験対策、参考書、現代文の授業など):70名中学〜高校と段階が上がるにつれて、塾や受験対策など“外部からのインプット”が増えていく一方で、基礎的な国語力の土台は「読書」と「対話」によって早期に築かれていたという傾向が明らかになりました。<現役東大生講師コメント>・「今の自分の国語力の基礎は、幼少期から小学生時代に本をたくさん読んだことで培ったもの」・「幼少期から小学生の間に母とたくさん話していたことが、国語力の形成に大きく役立ったと考えています」調査概要調査名:東大生講師に聞く「学力と国語力」に関する調査調査方法:オンラインアンケート調査時期:2024年12月〜4月調査主体:Overfocus調査対象:ヨミサマ。に所属する東大生講師回答者数:100名Overfocus(マイナビ子育て編集部)
2025年05月29日子どもの好奇心を育てる驚異の理念を徹底解説子どもに「勉強しなさい」と言うのはうんざり、という人は必読!渋谷教育学園幕張中学・高等学校、通称「渋幕」。東大をはじめとする国内の難関大学のほか、海外大学の進学実績も豊富な、いまいちばん注目のスーパー進学校で、一体なにが行われているのか。同書では、その教育の秘密を解説します。子どもの中学受験を考えている人、「勉強しなさい」と言うのはうんざりという人は必読の一冊です。“ゆるい”「渋幕」でなぜ、圧倒的な進学実績や多彩な進路が叶うのか?東大合格者数14年連続TOP10入り。海外大学への進学実績も豊富かつ、アナウンサーの水卜麻美さん、サッカー元日本代表の田中マルクス闘莉王さん、直木賞作家の小川哲さんなど多彩な卒業生を輩出する渋幕の特徴と言えば……・チャイムが鳴らない・修学旅行は現地集合、現地解散・メイクも服装も自由・校則はほとんどない・進路指導なしと、ある意味“ゆるい”ことがわかります。「東大に行きなさい」という進路指導もなし、「勉強しなさい」もなしで、なぜ圧倒的な進学実績や多彩な進路が叶うのでしょうか?「渋幕の奇跡」と言われる躍進の影にあったもの渋幕の進学実績は開校からの40年間で驚異的な伸びを見せており、この現象は「渋幕の奇跡」と呼ばれるほどに。徹底した教育理念と、「真に学ぶ力をつける」カリキュラムを教員一人ひとりがしっかり理解することで、子どもたちの学びたい気持ちはぐんぐん伸びます。同書では「3つの秘密」をじっくり解説他校ではもちろん、各家庭でも実践できるエッセンスが散りばめられているので、「渋幕は憧れだけど、偏差値が高すぎて受けるのはムリ」「遠くて通えない」と受験を諦めている人にもぜひ、読んでもらいたい内容です。学校長、教員、在校生、卒業生を1年半にわたって密着取材!今回、1,000人以上の教員を取材した教育ライターが渋幕に初潜入。「英語が強い」と言われる秘密や、多彩な進路の裏側には、とにかく忍耐強く子どもたちに向き合う大人の姿がありました。「勉強しなさい」「宿題やりなさい」をグッとこらえて好奇心の芽を育てる方法と、勉強のポイント、入試問題からわかる「渋幕が求める生徒像」を解説。実際の問題を例に出して、求められる生徒像を導き出しています。渋幕の受験を考えている人には必読の内容です。書誌情報『渋幕だけが知っている「勉強しなさい!」と言わなくても自分から学ぶ子どもになる3つの秘密』著者:佐藤智定価:1,760円刊行日:2025年5月29日飛鳥新社(マイナビ子育て編集部)
2025年05月28日(この記事はアフィリエイトを含みます)「中学受験」は、子どもの将来を見据えて親ができるサポートのひとつと言えます。しかし、20歳で学習塾を創業して以来、35年以上に渡って子ども教育に携わってきた石田勝紀さんは、中学受験に伴うリスクも指摘します。中学受験に向いている子、そうでない子の特徴について、それぞれ解説してくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)親の都合で中学受験をさせても結果は伴わない「中学受験」の話題を見聞きすることが増えていますが、首都圏など一部の地域で過熱状態にあることは間違いありません。中学受験向けの模擬試験や教育情報の収集を行なっている首都圏模試センターの集計によれば、2024年に首都圏1都3県で中学受験をした小学6年生の割合は、推計18.2%と過去最高を記録しています。しかし、「みんなが受験するから」といった同調圧力、あるいは「自分が子どもの頃に受験に失敗したから」といった劣等感、はたまた「自分が楽しかったから子どもにも私学に行ってほしい」といった気持ちから子どもに中学受験を強いるのは避けたほうがいいでしょう。それらはいずれも親の勝手な都合でしかありません。当の子どもにフォーカスしていないのですから、よく考えてみればおかしな話です。子どもの気持ちが伴っていなければ、勉強の成果だってついてこないのは目に見えていますよね。そもそも、「塾」というものの存在を勘違いしている人も少なくないようです。多くの親が、「中学受験をさせたいが、うちの子は勉強が苦手だから」といった気持ちから子どもを学習塾に通わせます。でも、学校のテストや宿題があるうえに塾でもテストや宿題が課されるのですから、勉強が苦手な子にとっては大きな負担となり、親が思うような結果にはつながらないというのが実情です。塾とは本来、「学校の勉強は簡単すぎて退屈だ」「もっと高度な勉強をしたい」と思っている子どものためにあるものです。中学受験を目指す子どもが通うような学習塾は、その最たるものと言えるでしょう。「中学受験に向く子」と「中学受験に向かない子」そのような視点から、中学受験に向く子のタイプが見えてきます。先に述べたような「学校の勉強が簡単すぎる」という子は、中学受験に向いています。「高度な勉強をしたい」と思っているのですから、一度塾に通わせれば楽しさを見出して熱心に勉強に取り組むはずです。ほかには、たとえば「英語が好きで、国際的な仕事に就きたい」「将来的にITの分野で活躍したい」など、将来の方向性が定まっている子も中学受験に向いているタイプです。それぞれに独自性を打ち出している私立校には、自身の将来像が明確な子どもの希望に沿った学習環境が備わっている学校もあるので、夢に向かって邁進できるからです。将来像が明確なタイプと重なる部分もありますが、特定の分野に対する知的好奇心が強い子も中学受験に向いているタイプですね。公立校の場合、学習においてはバランス型が求められます。要するに、あらゆる教科で好成績を残せる子のほうが内申点は高くなるわけです。すると、興味や能力が特定の分野に偏っている子はのちの高校受験で不利になりますから、中学受験を考えてもいいかもしれません。あるいは、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)といった診断をされている子にも、中学受験をおすすめします。発達障害の子どもたちに対して適切なフォローや学習指導ができる学校もあるので、親としては安心です。詳しく調べてみるといいかもしれません。中学受験をしないほうが普通のルート!?これらのことから言えるのは、残る大半の子どもたちは無理に中学受験をする必要はないということです。「学校の勉強が簡単過ぎる」という子、小学生のときから明確な将来像を抱いている子、興味や能力が特定の分野に偏っている子、発達障害の子どもたちは、全体から見れば少数派です。「まわりもみんな中学受験をするから」と焦る気持ちも理解できますが、中学受験をしないほうが普通のルートなのです。もっと言えば、東京など中学受験が盛んな地域の場合、公立のほうがのちのち子どもにとって有利に働くこともあるほどです。「学校の勉強が簡単過ぎる」といった優秀な子どもたちが中学受験で私立校に行って抜けるため、公立校でしっかり勉強することで内申点が上がることも考えられます。そうして上位の都立高に進学し、最終的には中学受験をした子どもと同レベルの大学に進むことも珍しくありません。親の立場としては、経済的にもお得だと言えるでしょう。それとは別の視点からも、中学受験をしないほうがいいと言える点があります。受験をする場合、「自分の学力よりも上位の学校を目指す」のが一般的です。わざわざ、現状の学力で行ける学校は目指しませんからそれは当然ともいえます。しかし、そうすると合格者のなかの下位でどうにか入学できたという子が出てきます。「まわりはすごい子たちばかりだ」「自分も頑張ろう!」と刺激を受けて高みを目指せる子もいますが、「小学校では優秀だったのに、ここではビリだ……」と自己肯定感が大きく低下し、勉強に対するモチベーションを失ってしまうケースも多いのです。仮にその子が公立校に進んでいたなら、「自分はできるんだ!」という気持ちをもって意欲的に勉強を続け、大きく学力を伸ばせたかもしれません。そのようなリスクがあることも、ぜひ知っておいてください。そして、中学受験をするしないにかかわらず、子どもが小学生のときにしかできないことを思いっきり経験させてあげてほしい。中学生になれば、学習内容もより複雑になったり部活を始めたりして、自由に使える時間はぐっと少なくなります。特に、なんらかの挑戦を伴うような自然体験は子どもの自己肯定感を大きく高めてくれるという研究結果がいくつも存在します。そうした体験は、子どもの生涯にわたって大きな財産となってくれるはずです。『10年後、どんな親子関係でいたいですか?子どもを育てる7つの原則』石田勝紀 著/大和書房(2024)■ 教育専門家・石田勝紀先生 インタビュー一覧第1回:後天的にだって「賢い子」は育てられる。わが子のタイプに着目すれば長所は確実に伸びていく第2回:中学受験に「向いている子」「向いていない子」。教育のプロが教える4つの判断ポイント第3回:「人間力」が高い子の親がしていること。完璧を目指さない7割の子育てが子どもを伸ばす(※近日公開)【プロフィール】石田勝紀(いしだ・かつのり)1968年生まれ、神奈川県出身。教育者、著述家、講演家、教育評論家。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。国際経営学修士(早稲田大学)、教育学修士(東京大学)。1989年、20歳で起業し学習塾を創業。4500人以上の子どもたちを指導する。35歳で東京の中高一貫私立学校の常務理事に就任し、大規模な経営改革を実行。2016年からは「カフェスタイルの勉強会〜Mama Café」という子育て・教育の学びの会を全国で年130回以上主宰し、これまでに1万3000人以上の母親から相談を受けている。東洋経済オンライン連載「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」は、累計1億3000万PV。音声配信メディアVoicy「Mama Caféラジオ」は、1500日以上連続で配信しており、フォロワー数は1万8000人を超える。著書は『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)、『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』(新興出版社啓林館)、『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』(ダイヤモンド社)など全30冊。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年05月23日「うちの子の習い事、多い?少ない?」「教育費っていくらかかるの?」「将来のために、どれくらい貯めておけばいいの?」子育て中のパパ・ママなら、こんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。特に未就学児から小学生の時期は、「これからどんどんお金がかかるって聞くけど……」と不安になることも多いはず。この記事では、最新の統計データやアンケート調査をもとに、子どもの年齢別にかかる教育費や習い事の費用、そして将来に向けた貯金の目安をファイナンシャルプランナー監修のもとわかりやすく解説します。監修者プロフィール水野圭子(みずの・けいこ)株式会社K’sプランニング代表取締役1級ファイナンシャルプランナーとして15年以上の相談実績を持つ。家計の見直しや教育資金の準備、資産形成についてわかりやすくアドバイスし、企業向けの確定拠出年金やライフプランセミナー研修など、大人のための金融教育にも力を入れている。 教育費って、どこまでが「教育費」?「教育費」にはどんな費用が含まれているのでしょうか。文部科学省の「子どもの学習費調査」では、以下の3つの費用を合計したものを「学習費総額」としています。学校教育費:教材費、学級費、PTA会費など学校給食費:小中学校の給食代(保育園・幼稚園は除く)学校外活動費:塾・習い事・通信教育・スポーツ・文化活動など未就学児であっても、「保育料」の他に「習い事」や「園外活動費」などがかかります。また、実際には食費や衣服費、医療費など日常生活全般にかかる「養育費」も別途必要です。教育費は子育てにかかる費用の一部に過ぎません。【年齢別】2〜3歳(保育園・未就園児)の月額教育費保育料・教材費など:月約1.5万円(無償化対象外の世帯の場合)習い事費:月約4,000〜5,000円(1〜2個程度)保育料は家庭の収入によって変わります。住民税非課税世帯などは無償化の対象となり、ほとんど負担がありません。またベネッセ教育総合研究所の「第6回幼児の生活アンケート調査(2022年)」によると、3歳児の約40%が何らかの習い事をしています。この時期に人気なのは「水泳(スイミング)」「英語教室」「リトミック」。1つか2つの習い事をさせている家庭が大半のようです。ある調査によると習い事を始める平均年齢は5歳2か月とのことですが、近年は3歳前後から始める家庭も増えています。お子さんの興味や体力に合わせて、無理なく続けられるものを選ぶのがポイントです。この時期から始める習い事は、「楽しく体を動かす」「音感を養う」といった基礎的な能力を伸ばすことが目的になることが多いようです。【年齢別】4〜6歳(幼稚園・こども園)の月額教育費園にかかる費用:月約1.3万円(公立・無償化後)私立習い事費:月約6,000〜8,000円(2個が最も多い)幼児教育・保育の無償化制度により、3〜5歳児の保育料は原則無料になりました。ただし、私立幼稚園の場合は無償化の上限を超える部分や、給食費・行事費・バス代・延長保育料などは別途負担が必要となり、月約2.6万円と公立の倍の費用がかかります。また、この時期になると、「ピアノ」「体操教室」「英会話」「通信教育」などが加わり、2つ以上の習い事をしている家庭が増えてきます。未就学児全体では平均1.8個の習い事をしています。子どもの体力も増し、興味の範囲も広がるこの時期は、「体を使う習い事」と「知的好奇心を満たす習い事」をバランスよく組み合わせている家庭が多いようです。【年齢別】小学1〜3年生の月額教育費学校関係:月約1.8万円(公立、給食費・教材費・PTA会費など)習い事費:月約9,000〜1.2万円(2〜3個)文部科学省の「子供の学習費調査(令和3年度)」によると、公立小学校の学習費総額は年間約35万3千円、私立では約166万7千円と大きな差があります。この時期は「通信教育」「プログラミング教室」「そろばん」「サッカーやバスケなどのスポーツ」「バレエ」など、選択肢が広がります。学校生活が始まり、子どもの個性や好みがはっきりしてくるこの時期は、子ども自身の興味に合わせた習い事を選ぶ家庭が増えます。また、学校の勉強を補完するための通信教育や学習系の習い事を始める家庭も多くなります。【年齢別】小学4〜6年生の教育費学校関係: 月約2.2〜2.8万円習い事費: 月約1.3〜1.8万円(3〜4個も珍しくない)高学年になると修学旅行や宿泊学習などの行事費が増え、教材費も上がる傾向にあります。文部科学省の調査では、小学校6年生の学習費総額は年間約40万円を超えています。この時期は中学受験を見据えて塾通いを始める家庭が増え、一気に費用が上がります。中学受験用の塾は月2〜5万円程度かかるケースもあります。また、中学受験をしない場合でも、「学習塾(補習目的)」「英検などの検定対策」「部活動を見据えたスポーツ」など、将来を見据えた習い事にシフトする傾向があります。文部科学省の調査によると、6年生の「学校外活動費」(塾や習い事)は年間26万円以上にのぼるそうです。「貯めどき」はいつ?教育費の貯金ペース文部科学省の調査やファイナンシャルプランナーの実感値としても、教育費は小学生までは「まだ余裕がある時期」とされています。言い換えれば、この時期にこそ”教育費を貯める”チャンスでもあるのです。目安となる教育資金の積立未就学児〜小学生で年間30〜50万円の積立(月額2.5〜4.2万円)児童手当をベースに上乗せできると理想的6歳〜12歳の期間で約180〜360万円の教育費を準備可能この時期に計画的に貯めることで、中学以降の教育費増加に備えることができる年齢別:大学入学までの貯金シミュレーション2〜3歳児の家庭:月2.5万円×15年 = 約450万円(児童手当1万円+追加積立1.5万円)4〜6歳児の家庭:月3万円×12年 = 約432万円(児童手当1万円+追加積立2万円)7〜9歳児の家庭:月4万円×9年 = 約432万円(児童手当1万円+追加積立3万円)これらの金額は大学教育費を見据えた目標額であり、日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査(2023年)」による「大学入学までの平均貯蓄額420万円」を目指したものです。大学の種類(国立/私立)や進学先(文系/理系)によってさらに調整が必要です。また、中学受験や高校受験、大学受験の際には塾や予備校などで大きな支出が発生します。そのため、子どもが小学生のうちから計画的に貯蓄を始めることが重要です。教育資金の賢い貯め方:3つの主要な選択肢子どもの教育資金は将来の大きな支出です。調査によると、子どもひとりの教育資金は公立校でも総額約1,000万円が必要とされています。どの方法で貯めるかは家庭の状況やリスク許容度によって異なりますが、それぞれの特徴を理解して最適な組み合わせを選ぶことが大切です。教育資金の貯蓄方法をいくつかご紹介します。学資保険学資保険は教育資金準備の基盤として、エフピー教育出版の「サラリーマン世帯生活意識調査」によると約58.6%の世帯が選択しています。契約時に設定した年に祝金や満期保険金を受け取れるため、教育資金の「ベース」として安心感があります。メリット:契約者(親)に万一のことがあっても満期保険金が確保される保障性。デメリット:途中解約すると元本割れする可能性が高い。新NISA(つみたて投資)2024年から始まった新NISAは年間投資上限額が引き上げられ、非課税保有期間も無制限になりました。教育資金の積立には特に「つみたて投資枠」(年間120万円まで)が適しています。子どもの入学までに十分な期間があれば、インフレに負けない資産形成が期待できます。メリット:非課税で運用でき、長期的には高いリターンが期待できる。デメリット:市場変動により元本割れリスクがある。普通預金・定期預金もっとも基本的な教育資金の貯め方で、調査では「定期預金」が31.3%、「積立預金」が18.5%と人気があります。給料日直後に自動で引き落とされる積立定期預金を利用すると、生活費に使ってしまうことなく確実に貯められます。メリット:元本保証で安全性が高く、いつでも引き出せる。デメリット:金利が極めて低く、インフレに対応できない。そのほかの補完的な方法児童手当の活用:子どもが中学校卒業までに受け取る児童手当を全額貯金すれば、約200万円の貯蓄になります。贈与制度の活用:祖父母から孫への教育資金一括贈与は1,500万円まで非課税となる制度があります。毎年の暦年贈与(110万円まで非課税)も計画的な節税になります。これらをバランスよく組み合わせることで、安全性と収益性の両立を図ることができます。家庭の収入やライフスタイル、リスク許容度に合わせて、最適な組み合わせを考えましょう。***教育費は家庭環境や価値観によって大きく異なります。他の家庭との比較より、自分たちの状況に合った無理のない計画を立てることが重要です。子どもの成長に合わせて柔軟に見直しながら、幼児教育・保育の無償化や児童手当などの公的支援も積極的に活用しましょう。長期的な視点で家計と教育のバランスを取りながら、子どもの可能性を広げる教育資金プランを家族で考えていくことが大切です。(参考)文部科学省|子供の学習費調査(令和3年度)日本政策金融公庫|教育にかかる費用はどのくらい?ベネッセ教育総合研究所|幼児生活実態調査(2023年度)エフピー教育出版|サラリーマン世帯生活意識調査(令和3年度)
2025年05月22日今の教育方針、本当に子どもに合っている?親になって悩むことのひとつが、子どもへの教育方針ではないでしょうか。子育てや教育に関してさまざまな情報が飛び交う今、「今の教育方針が子どもに合っているのか」と不安になる人も多いことでしょう。そこで実施された今回のアンケート調査。結果をランキング形式でまとめました。子どもの教育で後悔していることがある人は約9割子どもをもつ親500人に「子どもの教育で後悔していることはあるか」と聞いたところ、「ある」が「かなり」「少し」を合わせて90.4%にのぼりました。大多数の親が、自身の子育てに何らかの後悔を抱えているとわかりました。子育てには明確な正解がなく、すぐに結果が出るものでもありません。そのため子どもの成長や親自身の価値観が変化していく中で、「こうしておけばよかった」「やらなければよかった」と思う瞬間が多くあることを示しています。子どもの教育で後悔していること1位「早期教育すればよかった」「子どもの教育で後悔していること」の1位は「早期教育すればよかった(16.6%)」でした。2位「干渉しすぎた(10.0%)」、3位「好きなことをさせなかった(9.4%)」が続きます。「親の考えを優先しすぎたこと」と「子どもに任せすぎたこと」という、相反する後悔がランクイン。育児のトレンドは「子どもの気持ちを尊重し、過度な干渉はしない」ですが、親としての経験を活かした適切な干渉やサポートは必要です。そのため、適切な干渉の程度に悩んでいる人が多くいました。<1位早期教育すればよかった>・英語の勉強をもっと早くから始めておけばよかった。先に日本語をしっかりと思っていたので4年生頃から始めたが、聞き取りの能力は落ちているようで、なかなか発音が身につかない(40代 女性)・中学時代は部活優先でと思っていましたが、もう少し早めに塾に通わせていればよかったと思います。結果的にはなんとか志望校に合格できたのですが、もう少し早く塾に通っていれば、受験時にもう少し楽だったのかなと感じています(40代 男性)早期からの習い事や学習が子どもの学校生活や将来に影響すると認識したことにより、「もっと早く始めていれば」と後悔した人も多数。早期教育することによって、子どもが自信をもてたり、受験期に苦労が少なく済んだりしたのではという思いがあるようです。<2位干渉しすぎた>・何をするにも、自分で考えるよりも先に「何したらいい?」と聞くようになってしまった。失敗を怖がって、積極性に欠ける性格になってしまった(30代 女性)・厳しく干渉しすぎたかもしれない。引っ込み思案気味で、失敗を恐れる性格になってしまった。本当は、もっと逞しい性格で、明るく積極的になってほしかった(50代以上 男性)干渉しすぎたことで、子どもの自主性や自己決定力が育たなかったという後悔が多くなっています。過保護や過干渉をすると、子どもが「失敗からのリカバリー体験」や「自分で考えて行動する経験」を得られなくなってしまうからだと考えられます。過干渉が学校での人間関係に影響を及ぼしているケースもあり、強く後悔している人が多くなりました。<3位好きなことをさせなかった>・最近になって本人が「本当は違うことをやってみたかった」と話すようになり、もっと早く気持ちを汲んであげればよかったと後悔しています(30代 女性)・本人の希望は真剣に考えず両親の独断で習い事をさせたので、行きたがらないことが多かったです。あとで本人に「無理やり行かされた」と言われ、子どもの可能性を潰したことに気づいたので、今後は他の面でも自由にさせてあげようと思います(50代以上 女性)親の思う正解や期待、身につけてほしいことなどが優先され、子どもの本音に耳を傾けなかったと悔やんでいる人も多いようです。子どもに期待をかけたり、将来役立ちそうなスキルを身につけてほしいと願うのは親の性。しかし子どもとの合意がないと、子どもの不満や抑圧感につながることがわかります。子どもの教育でやっておいてよかったことは「本に触れさせる」「子どもの教育でやっておいてよかったこと」の圧倒的1位は「本に触れさせる(30.8%)」でした。2位「子どもの興味を優先する(11.8%)」、3位「運動をさせる(9.8%)」が続きます。早期の豊かな体験が、子どもの成長にいい影響を与えたと考えている人が多くなっています。<1位本に触れさせる>・活字に触れる機会を多くしたので、本が大好きになった。ジャンル問わずさまざまな本を読むので、知識や好奇心はある(40代 女性)・読書習慣をつけたことです。小さい頃から毎晩読み聞かせを続け、自分から本を読むようになりました。語彙力や想像力の面でも役立っていると思います(50代以上 男性)読書や読み聞かせが、国語力や知的好奇心の基礎になったと認識している人が多数。読み聞かせの時間や、読んだ本の感想について語り合う時間は、親子のコミュニケーションタイムにもなりますね。<2位子どもの興味を優先する>・好きな習い事をさせたことで、幼稚園・学校以外でのつながりをもてたし、楽しみながら自信をつける体験ができた(40代 女性)・やりたいと言う習い事はすべてさせた。すぐ辞めたのもあるけどいい経験になり、自分で選択することがあたりまえの価値観に育った(40代 女性)「親の価値観より子どもの選択を尊重することで、成長につながった」と感じている人も多くなっています。親に無理やりやらされているのではなく自分のやりたいことなら、意欲も湧きやすいからです。また「自分でやるかやらないか選んだ」という経験自体が、自己決定の経験として前向きに捉えられている面もあります。<3位運動をさせる>・3歳から体操教室に通ったことで、ジャンプや鉄棒など、体の使い方が上手になったように感じた(30代 女性)・サッカーとスイミングを習わせ、体力的にも精神的にもよかったと思う(40代 女性)子どもの運動には、身体づくりや健康面と精神面の成長の効果があると実感している人が多いとわかります。運動系の習い事をしたことで、体が丈夫になったり健康的になったりしたという経験談がありました。子どもの教育で今後大切にしたいことは「子どもの意思を尊重する」「子どもの教育で今後大切にしたいこと」を聞いたところ、トップは「子どもの意思を尊重する(54.8%)」でした。2位には「多様な体験を積ませる(9.0%)」、3位には「親の姿勢を見せる(7.4%)」がランクインしています。全体として「押しつけない」「詰め込まない」といった点を意識する人が多くなっています。<1位子どもの意思を尊重する>・子どもの自主性を尊重したい。結局本人が興味をもたないと、意味がない。私自身子どものとき、半ば強制的に習い事をさせられていたが苦痛だったから(40代 女性)・自分で決めて頑張ることじゃないと後悔すると思っているので、相談には乗りますが、何でも自分で決めるようにさせたいと思っています(50代以上 女性)過去の失敗や成功から「子どもが自ら選ぶと、成長と自信につながる」と感じ、子どもの思いを尊重しようと考えている人が多いのですね。子育てや教育の中心に、子どもの自主性を据える方針だと言えます。<2位多様な体験を積ませる>・子どもにたくさんの経験をさせて、感じさせることを大切にしたい(30代 男性)・教科書に書いてあることだけなく、社会のことを知ってほしい。体験活動を通して、見て聞いて感じたことを考えてほしい(40代 女性)知識を詰め込む教育ではなく、リアルな体験を通じて子どもを育てようとする人も多くなっています。体験活動を通じて、机上の教科学習だけでは得られない自己肯定感や社会性を育みたいと考えている人が多いのですね。<3位親の姿勢を見せる>・親が積極的に本や新聞を読むことで、子どもも興味をもつようになりました。一緒に図書館に行くことも増えたので、積極的に取り入れたいと思います(40代 男性)・親も一緒に勉強することで、どの年齢になっても勉強が必要だと知ってほしい(50代以上 男性)親自身が学ぶ姿を見せたいと考えている人も。親がやっている姿を見せることで、子どもの興味や意欲を引き出したいという考え方です。背景には、「親が積極的に本や新聞を読むことで、子どもも興味をもつ」など、子どもは親の行動から学ぶという実感があります。調査概要調査対象:子どもがいる人調査期間:2025年4月14日〜28日調査機関:自社調査調査方法:インターネットによる任意回答有効回答数:500人(女性395人/男性105人)回答者の年代:20代 9.0%/30代 44.8%/40代 29.6%/50代以上 16.6%アタムアカデミー/アタム(マイナビ子育て編集部)マイナビ子育てでは、「子どもにとっておきの体験をさせたい!」と考えるパパとママのための会員限定・無料のコミュニティサイトを運営しています。くわしくは▶こちら
2025年05月20日近年、注目度が高まり人気を集める公立中高一貫校。少子化社会のなかでも全国各地で設置数が増え続け、多くの親と子どもたちの関心を集めています。しかし、公立中高一貫校と一言でいっても、「実際にはどのような教育が行われているの?」「どんな子どもに向いているの?」と疑問をもっている方も多いでしょう。今回は、公立中高一貫校合格の指導歴18年の筆者が、これまでの経験から得た知見をもとに、公立中高一貫校の特徴や入学のための適性検査、そして合格しやすい子の特徴について詳しく解説していきます。ライタープロフィール作文先生現役学習塾講師国立大学経済学部卒。園児から高校生までの一貫指導を行う学習塾の現役講師。公立中高一貫校合格に向けた指導歴は18年。年中生~中3生に、算数・数学・国語・社会・英語、文章の書き方、高校生への大学推薦入試対策指導、障害者向けの就労支援施設でファイナンス・文章作成などを行う。ファイナンシャルプランニング技能士2級、強度行動障害支援者資格も所有。趣味は旅行で、海外渡航回数40回以上。 公立中高一貫校とは「公立中高一貫校」とは、都道府県や市などが設置する、中学校と高校の6年間が一貫となった学校のことです。文部科学省では公立中高一貫校を、「中等教育の多様化と質の向上を図ることを目的とし、生徒の可能性を最大限に伸ばす仕組み」として位置付けています。高校受験を必要としない一貫した学習環境のなかで、思考力や創造性を育てる教育が行われていることが特徴です。通常の中学・高校と異なり、6年間の見通しを持った体系的なカリキュラムが組まれており、中学3年次に高校受験の負担がないぶん、より専門的で発展的な学習や探究活動に時間を充てることができます。また、多くの学校では大学の研究室と連携したプロジェクト学習や海外研修など、特色ある教育プログラムも実施されているところもあります。私立中学に比べて学費も低いことも大きな魅力の一つです。これらの総合的な強みから、公立中高一貫校は高い人気を集めています。公立中高一貫校の3つのタイプ公立中高一貫校には、次の3つのタイプがあります。中等教育学校一つの学校として6年間の中高一貫教育を行う学校。「前期課程」の3年間で中学校、「後期課程」の3年間で高等学校の基準が準用されます。中学進学の時点で入学すると、高校入試を必要とせず後期課程に進学できます。校舎や校庭が共有されていることが多く、前期・後期の区別なく全校生徒が一緒に行事に参加するなど、6年間を通じた一体感のある教育が特徴です。全国的に見ても設置数が増えつつあり、人気の高いタイプと言えるでしょう。併設型の中学校・高等学校「高校」と「附属中学校」という形の学校です。高校への進学時には、高校入試を通過した外部生が入学できる学校もあります。中学進学の時点で入学した内部生は、高校入試を必要とせず高校に進学できます。基本的には中学校と高校が別の学校として運営されますが、カリキュラムは連携して組まれています。多くの場合、内部進学する生徒と高校から入学する生徒の比率が定められており、高校では新たな人間関係が広がる機会があります。連携型の中学校・高等学校市町村立中学校と都道府県立高等学校など、設置者の異なる中学校と高校が中高一貫教育を実施する学校。全国的にみても数が少なく、設置していない府県もあります。連携の中学校に通っていても、学力による試験を通過しないと高校に進学できない場合があります。ほかの2つのタイプと比べると連携の度合いは緩やかで、通常の中学校・高校に近い形態です。ただし、連携校間では教員の交流や合同行事などが行われ、中学生のうちから高校の施設を利用した授業を受けられるなどの特色があります。公立中高一貫校の入り口として、比較的ハードルが低いタイプと言えるでしょう。公立中高一貫校3つのタイプ・中等教育学校…一つの学校として6年間の中高一貫教育を行う学校。全国的に見ても設置数が多く、人気。・併設型の中学校・高等学校…「高校」と「附属中学校」。高校では新たな環境で人間関係が広がる機会あり。・連携型の中学校・高等学校…設置者の異なる中学校と高校が中高一貫教育を実施する学校。公立中高一貫校の入り口としては、比較的ハードルが低い。公立中高一貫校に入学するための「適性検査」とは学校教育法施行規則により、公立の中等教育学校及び併設型中学校では、入学者の決定に当たって、学力検査を行わないこととされています。しかし、選抜がないということではありません。小学校からの調査書に加え、都道府県や各校の特色に照らしてつくられた「適性検査」や、「作文」「面接」などの総合的な結果によって合否が判定されます。適性検査とは「適性検査」とは、自分自身で問題を発見し、筋道を立てて考え、よりよく解決しようとする態度や能力などをみるために行う検査です。国語や算数などの知識や技能をそのまま測るのではなく、知識や技能を総合的に使いこなす力を測るテストと言えばわかりやすいかもしれません。このように、公立中高一貫校の選抜は、「試験」ではなく「検査」として実施されるため、公立中高一貫校の選抜では「受験」ではなく「受検」という表現が使われます。各地域における適性検査の実施形態福島県や千葉県、京都府のように、府県で共通検査を行う場合と、北海道や東京都、大阪府などのように、学校ごとで独自の検査を行う場合があります。共通検査を実施する地域では、同一日に同じ問題で検査が行われ、志望校の選択は検査後に行うことが多く見られます。一方、学校独自の検査を実施する地域では、学校によって検査日が異なる場合もあるため、複数校を受検することが可能です。高校からは入学できない場合も併設型の公立中高一貫校は、高校から入学することも可能です。しかし、高校からの募集を取りやめる学校も出てきています。東京都では、令和5年度の入学生から、すべての併設型公立中高一貫校での高校からの募集が終了しました。必ず公立中高一貫校に入学したい場合は、中学受検での合格を目指すことがおすすめです。公立中高一貫校に「向いている子」とは?思考力や創造性を伸ばす教育が行われる公立中高一貫校では、入学した後のカリキュラムに対応できる能力を適性検査で測られます。ですから、公立中高一貫校に合格できる子は、「公立中高一貫校に向いている子」であると言えるでしょう。そして、公立中高一貫校に向いている子には、共通した特徴があります。これから紹介する5つの特徴は、適性検査の合格だけでなく、入学後の6年間を充実させ、将来の目標を達成するためにも重要な要素となります。お子さんがどの程度当てはまるか、また、どのように伸ばしていけるかを考える参考にしてください。公立中高一貫校に向いている子①好奇心旺盛な子公立中高一貫校の適性検査では、「思考力」を問う問題が多く出題されます。「なぜだろう?」「もっと知りたい!」という好奇心が、適性検査で問われる思考力を育んでいきます。私が指導した生徒で、地理が大好きな子がいました。その子は常に地図帳を持ち歩き、ご家族で訪れた場所や興味をもった国などのデータを徹底的に調べていました。日ごろから「なぜ?」「どうして?」と疑問を口にする習慣があり、その好奇心が思考力につながって、適性検査でも力を発揮し見事に合格しました。子どもの好奇心を育てるためには、親が子どもの好奇心を尊重してあげることが大切です。大人から見たらつまらないような興味・関心でも、無条件で受け入れてあげましょう。そして、好奇心をもてたことをほめてあげましょう。公立中高一貫校に向いている子②芯の強い子公立中高一貫校に合格するためには、多くの誘惑を振り切って受検勉強に取り組まなければなりません。さらに、入学した後にも難関大学合格を目指して努力し続ける必要があります。これらの状況に対応するには、周りに流されずに自分の意思を突き通す芯の強さが不可欠です。6年生になってもなかなか成績が上がらない塾生がいましたが、ある休日に地域の図書館に行くと、その子がひとりで勉強をしていました。あとでおうちの方にお話を聞くと、自宅だと誘惑が多いため、休日はお弁当を持って一日中図書館で勉強していたとのことでした。その芯の強さはやがて学力を向上させ、公立中高一貫校に合格。その後は、第一志望の国立大学に進学していきました。芯の強い子に育てるためには、自己肯定感を高めてあげましょう。子どもの自主性を尊重し、どんどんチャレンジさせることが必要です。小さな成功を重ねることで自分に自信をもつことができ、芯の強さが育まれます。公立中高一貫校に向いている子③後回しにしない子公立中高一貫校では難易度の高い勉強を速いスピードで進めていくので、予習・復習が不可欠です。さらに、課外活動や研究発表などが盛んなので、課題や提出物が多いことも特徴です。その場で完結させる習慣がないと、やるべきことがどんどん溜まってしまいます。塾生の多くは、塾の休み時間に学校の宿題をしています。そして、帰宅後の時間を塾の宿題に充てています。自然と時間の使い方も上手くなっていくのです。すると、中高一貫校に入学後の忙しい日々のなかでも英検や数検などの資格を取得でき、難関私立大学への推薦に活用できています。後回しにしない子に育てるためには、親がお手本になってあげましょう。面倒なことでも楽しそうに率先して行う姿を見せてあげると、子どもも真似をします。そして、習慣になっていくのです。公立中高一貫校に向いている子④自分のできないところを認められる子公立中高一貫校の適性検査は、小学校で学習した内容で対応できるように作られています。ですから、小学校で学習する内容の理解や定着が不十分だと、適性検査の合格基準に達することができません。自分ができていないところを認めて、できるようにしていけば、合格は近づいてくるのです。大学入試にも同じことが言えます。自分のできないところを認められず、こっそり答えを見ることで、できたふりをする生徒がいました。やんわりと注意しましたがなかなかやめられず、公立中高一貫校に合格することができませんでした。しかし、不合格になったことで、できないことを認められるように成長。目指していた公立中高一貫校に、高校入試で合格することができました。自分のできないところを認められる子にするためには、できないことを責めないようにしましょう。できた部分はほめ、できなかったところについては原因や対策を一緒に考えてあげましょう。「できないことは恥ずかしいことではない」「がんばればできるようになる」と思わせてあげることが大切です。公立中高一貫校に向いている子⑤体力のある子公立中高一貫校で活躍するには、十分な体力が大きな強みとなります。受検期間中は学校の勉強に加えて受検対策の学習が必要になり、入学後も課外活動や部活動が盛んなため、充実した学校生活を送るためには体力が不可欠です。私の経験では、体力があって塾をほとんど休まない生徒ほど、学校の成績も良く、難関大学に合格する傾向が見られます。また、体力のある生徒は、6年間の中高一貫校教育を無遅刻無欠席で卒業できることも珍しくありません。早寝早起きを心掛け、栄養バランスのよい食事を摂ることで、お子さんの体力は向上します。こうした基本的な生活習慣を整えることから始めてみましょう。公立中高一貫校に向いている子好奇心旺盛な子芯の強い子後回しにしない子自分のできないところを認められる子体力のある子***公立中高一貫校には、確かに向いている資質をもつ子どもがいます。「向いている子」は適性検査に合格しやすく、入学後も能力を伸ばして希望する大学への進学を果たしやすいでしょう。しかし、現時点で子どもがこれらの特徴をすべて備えていなくても心配する必要はありません。「中学受験は親子の受験」という言葉があるように、この過程は子どもひとりの挑戦ではなく、親子でともに成長する機会でもあるのです。親の適切な関わりやサポートによって、子どもは大きく成長し、必要な資質を身につけていくことができます。Z会:全国の公立中高一貫校一覧(参考)文部科学省|高等学校教育の現状について文部科学省|中高一貫教育の概要と設置状況文部科学省|中高一貫教育Q&A:種類・制度・入学に関すること渋谷区ポータル|中高連携教育校東京都教育委員会|都立中高一貫教育校(中等教育学校及び併設型中高一貫教育校)とは東京都教育委員会|東京都立白鴎高等学校・附属中学校の高校段階での生徒募集停止と中学校段階での生徒募集規模拡大の予定年度について東京都教育委員会|令和7年度東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定に関する実施要綱・同細目についてesta|学校基本調査 / 令和6年度 初等中等教育機関・専修学校・各種学校 学校調査・学校通信教育調査(高等学校) 学校調査票(義務教育学校)
2025年05月20日医師として16万人以上のMRI診断を重ね、このほど様々なデータを検証し早生まれについて科学的に綴った著書『本当はすごい早生まれ』(飛鳥新社)を上梓した脳科学者の瀧靖之先生は、自身も息子の中学受験に伴走した一児の父。その体験を通じて、「早生まれの差」をはじめて実感したといいます。書籍『本当はすごい早生まれ』早生まれの子は中学受験で不利?※画像はイメージです――瀧先生がお子さんの中学受験で早生まれの差を感じたのは、どんなことでしたか?瀧靖之先生(以下、瀧)受験勉強の様子を見ても、息子と同じ学年で遅生まれの子のほうが、「この中学に行きたい」「将来はこんな職業に就きたい」という目的意識を強く持って取り組んでいたように思います。息子は中学に進学してからのほうが、目的意識を持って勉強をしているので、あと半年早く生まれていれば受験もまた違ったものになっていたかもしれないと感じたことはありました。――早生まれの子が中学受験に不利と言われるのは、なぜだと思われますか。瀧早生まれの子は低学年のうちはとくに発育の差が大きいため、体力面や学習面で遅生まれの子に引け目を感じてしまうことがあると思います。学校生活で不利だと感じる場面が多いと、自己肯定感が下がってしまう機会が遅生まれの子よりも多いと考えられます。つまりその子自身の生まれ持った能力がどうというよりは、生活の中で自己肯定感が下がったり、「自分には無理」と思い込んでしまったりするために、差がついてしまうという可能性はあるのかもしれません。だからこそ、中学受験を意識しているのであれば、いかに子どもの自己肯定感を高めるかが大事だと思います。私がおすすめしたいのは、親が子どもに本気で伴走すること。親は上の立場に立って教えようとするのではなく、並んで一緒に同じ問題に取り組んでみるのです。子どもと一緒に走ることで、子どもの努力と成長を見ることができます。子どもがどれだけ難しいことを頑張っているかがよくわかるので、偏差値や点数などの結果だけを見てあれこれ言うなんてできなくなりますよ。子どもに受験勉強を教えてもらえば自信がつく※画像はイメージです――先生はお子さんの中学受験にどんなふうに伴走していたんですか?瀧私は平日も時間が合えば一緒に勉強しましたし、週末は子どもと一緒に8〜9時間勉強しました。半分は自分の趣味のような感じでもありましたが(笑)。子どもと一緒に努力することを共有したくてやっていたので、教えることは極力控えました。中学受験の問題は本当に難しいです。子どもと一緒に解いていると、次第に子どもの方がどんどん伸びて、私の方が解けない問題も。息子に解き方を教えてもらうこともありました。そうやって一緒に取り組んでみると、子どものテストの結果を見ても怒れなくなるし、「こんな難しい問題をよく解いたなぁ!」と尊敬の念すらわいてきます。親ができない問題を解けることは、子どもの自信にもつながるでしょう。――とはいえ、仕事をしていたり弟や妹がいたりで、なかなか親が一緒に取り組む時間がない場合も……。瀧一緒に問題に取り組むのが難しい場合でも、子どもができなかったことに対して、自己肯定感を下げるほど必要以上に叱らないようにする意識を持つことは大事です。ただこれは、僕自身、子どもの中学受験を終えたからこそ言えることで、渦中にいるとどれだけ難しいことか! なかなか意識してもできませんよね。私も我慢できず「どうして朝ちゃんと起きられないんだ」「なんで0と6をいつも書き間違えるんだ」などと、つい口うるさく言ってしまっていました(苦笑)。でも、「必要以上に叱らない」と意識していれば、叱ってしまったあとに親も自己嫌悪に陥ります。親としての次の行動を変えられると思います。――親としてではなく脳科学的な観点で見たとき、勉強だけでなく、体を動かすことも受験にいい影響がありますか?瀧有酸素運動は記憶に関わる海馬の成長に非常に重要だと言われています。だから、ジョギングをしたり、外遊びをするのはすごくいいことです。実際にさまざまな研究で、有酸素運動をすると子どもの学業成績が伸びると言われています。私もよく息子と一緒に軽いジョギングをしていました。走りながら雑談をすると親子のコミュニケーションをとることもできます。ですが、5年生後期くらいから塾の回数が増えて、下校したらすぐ塾へ行って、夜遅くに塾から帰宅して、さらに宿題があって……と非常に忙しくなりますよね。受験期はなかなか運動の時間をとることも難しくなりますが、少しでも体を動かす時間を作るのはとてもいいことです。体を動かすことはストレスを取り除く効果もあります。早生まれだからこそ持っている武器の伸ばし方※画像はイメージです――日本の学校では、4月生まれのお子さんと翌年3月生まれのお子さんが、ほぼ1歳の差がある状態で一緒に学びます。大人になれば1歳違いなんて何も問題になりませんが、幼少期の1年は大きいですよね。瀧たしかに子どもの1年は大きいですが、早生まれの子どもたちにとって、遅生まれの子どもたちと一緒に学ぶことはメリットもあるのです。脳には「可塑性」という性質があり、脳は経験や学習によって柔軟に変化する性質を持っています。早生まれの子どもたちは、遅生まれの子よりも脳が若いうちに集団生活に入り、勉強やスポーツなどに取り組むことになります。さまざまなことを早い段階で始めるので、より早い段階で脳に刺激を受けることができる。それこそが、早生まれのメリットです。「変化する力」をより早いタイミングで高められる機会が与えられるということなのです。一般論としてよく言われるのは、きょうだいで勉強やスポーツなどに取り組むと、下の子の方がどんどん成績が伸びていくということがありますよね。上の子の姿を見て、興味がわいてやってみると、下の子は経験の機会を先取りできるわけです。早生まれもそれに近い感覚だと思います。――早く経験できることがメリットになるんですね。瀧早生まれは遅生まれと1年ほどの差をもったまま成長しますから、常に遅生まれの子を追いかける形になるデメリットはある一方で、脳そのものの活動性や変化をする力を高めていく上では、非常に大きな力になると思います。以前は、IQ(知能指数)は生まれてからほとんど変わらないと言われてきました。しかし、10〜20年くらい前からIQも努力によって変化すると言われるようになりました。私たちは何歳になっても、楽しく努力をすればさまざまな能力を伸ばすことができるのです。――なるほど、脳は刺激を受けるとどんどん成長していくのですね。そのほかにも、今回の本を執筆して「早生まれだからこそ持っている武器」のようなものに気づかれたことはありますか?瀧私は今回の本を作るに当たって、2月生まれの作家・綿矢りささんにインタビューしたのですが、その打ち合わせをしているときに出てきた「早生まれは受援力(じゅえんりょく)が高まる」という言葉が、とても印象にのこっています。受援力とは、困ったときに助けを求める力のことです。早生まれの人たちは、幼児期から自然に人のサポートを受け取ることに慣れており、大人になっても困ったときにSOSを出しやすいといえるかもしれません。世の中の物事は、自分一人ではできないことばかりですよね。たとえば私の仕事は、研究だけをしていればいいわけではなく、組織のアレンジや予算集め、ドキュメント作成、被験者さんとの上手なかかわり方など様々な要素が求められますが、1人の人間がその全部を得意としてできるわけではありませんよね。それぞれを得意とするスタッフに仕事をお願いして、成り立っています。社会で生きていく上で、自分で責任を持って仕事することはもちろん大事ですが、できないことまで自分で抱えずに、人を頼ることも大事ですよね。人の助けを受け入れられる力を自然と身に着けられることは、早生まれの人のメリットのひとつと言えると思います。『本当はすごい早生まれ』(飛鳥新社)(解説:瀧 靖之先生取材・文:早川奈緒子)本当はすごい早生まれ詳しくみる※本記事は、『本当はすごい早生まれ』(著:瀧靖之/飛鳥新社)より抜粋・再編集して作成しました。瀧 靖之東北大学加齢医学研究所教授。医師。医学博士。1970年生まれ。東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。東北大学加齢医学研究所臨床加齢医学研究分野教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターセンター長。一児の父。脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIは、これまでに16万人にのぼる。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を突破するベストセラーになる。→記事一覧へ
2025年05月18日就学・進路の大調査!発達特性のある子どもの中高進学先、受験の割合は?【小学校高学年、中学、高校編】2024年12月20日から2025年2月28日に、LITALICO発達ナビでは「就学・進学アンケート」を行い、発達障害のある子どもの保護者283名の声が寄せられました。アンケートへのたくさんのご回答、ありがとうございました。2022年の文部科学省の調査によると、通常学級に通っている中で特別な支援が必要だと考えられるお子さんの割合は、小学校・中学校では8.8%、高等学校では2.2%という結果になっています。参考:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果について|文部科学省このコラムでは発達障害や特性のあるお子さんの思春期での困りやトラブル、悩み、受験についてや合理的配慮など、アンケートの回答と併せて「就学・進学」にまつわる質問や思いなどもご紹介いたします。今回は「小学校高学年(4.5.6年)、中学、高校編」のアンケート結果を紹介します。気になる中学・高校受験の割合についてや進学先の選び方など皆さんの参考にもなるはずです。回答者や回答者のお子さんの情報については「未就学・小学校低学年編」で公開中です。こちらもぜひ合わせてご覧ください。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」コラムや会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:283名の回答を集計しました。(調査期間:2024年12月20日から2025年2月28日)※設問によっては283名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。高学年になって振り返る……就学先は正解だった?合理的配慮についてのエピソードなども【小4以上のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは小学校4年生以上のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。小学校4年生以上のお子さんの在籍クラスは通常学級が35%と一番多い結果となりました。その後自閉症・情緒障害特別支援学級(22%)、通常学級+通級指導教室(22%)、知的障害特別支援学級(12%)、特別支援学校(5%)と続きます。高学年になり転籍を考えるお子さんも多いのではないでしょうか。Upload By 発達障害のキホン実際に決めた就学先については合っていたと感じた方が64%と一番多い結果となりました。どちらともいえない方は26%、合っていなかったと感じた方は7%でした。特別支援学級の縦割りクラスに支えられることもある一方で高学年になり同級生との差に悩むお子さんもいらっしゃるようです。Upload By 発達障害のキホンアンケートに寄せられたコメントをご紹介します。・合っていたと感じる(知的障害特別支援学級在籍)入学当時は特別支援学級は1クラスしかなく、1~6年生まで全員の合同クラスでした。九九を覚えたり、宿泊行事があったり、それぞれの運動会の過ごし方など、小学校6年間の学校生活を、1年生のときに身近に見知ることができたのが、よい「予告」になったと思います。また、親としても、頼もしい高学年の先輩をこの目で見られたことは、大変心の支えになりました。(以下略)・どちらとも言えない(知的障害特別支援学級在籍)先生が学年が上がる度に変わるが、引き継ぎができていないので、子ども自身が先生のやり方に慣れないといけないので、苦労する。就学先の支援や合理的配慮に満足をしている(22%)、おおむね満足している(47%)という結果となり、合わせて69%の方が満足をされていると回答しています。しかし、あまり満足していない(17%)、不満がある(6%)という方もいらっしゃいます。学年が上がるにつれて悩みも多様化してきますので、そのお子さんに合った支援が望まれます。Upload By 発達障害のキホン・満足している(通常学級)【中学年で困ったこと】小3からは徐々に勉強で困ることが増えてきました。算数はたし算・かけ算は何とかなるが、引き算・わり算の理解に苦戦。桁の概念の理解が弱く、計算問題は扱う数字が1000を超えると扱いが分からなくなりました。国語は小4の終わり頃に漢字を頑張らせることを捨てて、将来に向けてタイピングの練習をする方向に切り替えました。【高学年(小5)で困ったこと】算数は九九を覚えてもすぐ抜けていく対策が必要でした。図形問題は計算が比較的簡単なので得意ですが、通分と約分が必要な分数同士の計算、割る数に小数点を含むわり算の筆算など、手順が多く目線の複雑な移動が必要な問題は、途中で迷子になってどうしたらいいのか分からなくなりました。国語は、漢字を捨てたことで逆に安定したようです。生活面では、友だちと夜遅くまでオンラインゲームで遊んでしまうことで入眠の困難さが増すなど、タイムスケジュールの乱れからくる情緒の不安定さ・気持ちの切り替えの鈍さが目に付くようになってきました。・満足している(自閉症・情緒障害特別支援学級)交流学級での失敗を、なぜダメだったか、どうすれば良かったのか等、特別支援学級で丁寧に教えてもらえた。学習もマンツーマンで丁寧に教えてもらえたので良かった。・おおむね満足している(通常学級)3年生から申し出て、なかなか思うような支援が受けられなかったが、5年生の途中から、専科の先生により、板書がタブレットにテストの時は補助がつくなどしてもらっていて、過ごしやすくなっていると思う。※特定の就学先によって困り事が生じたり解決したりするわけではなく、あくまで子どもの状態と環境によって変わりますので注意が必要です。中学校の在籍クラスは?【中学生以上のお子さんの保護者アンケート結果】中学の在籍クラスは通常学級が55%と半数を占める結果となりました。続いて自閉症・情緒障害特別支援学級が17%、通常学級+通級指導教室が13%、知的障害特別支援学級が10%となっています。Upload By 発達障害のキホン中学受験はした?【中学生のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは中学生以上のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。中学受験をしたお子さんは29%、していないお子さんは71%という結果になりました。私立中学でも合理的配慮が義務化されたことにより、私立中学の選択をする方も多くなっているのかもしれません。Upload By 発達障害のキホン・本人が、地元の学校でないところに行きたいと言い出したのが一番の決め手になり、小5の三学期あたりから急いで学校探しと、受験勉強開始。どうにか入れるところ、入りたいところがみつかり、合格もいただけました。入学してみれば、同じようなタイプの子、同じような特性のある子がチラホラいて、過ごしやすさもあり、特性ある子同士のトラブルもありつつ、楽しく過ごしてます。・目を見て話をすることが苦手だったので、面接の練習を校長先生やほかの先生に、本人がお願いし協力していただきました。また、人前で発表したりすることに慣れるため、集会広報委員になりました。全校生徒の前でも、司会進行や代表挨拶など、自分で考え周りの意見を聞きながら行動する力をつけたと思います。中学への進学、進路先はどこに決めた?トラブルや話し合いの内容など・小学校自閉症・情緒障害特別支援学級→私立中学校受験小学校からは『特別支援学級から中学受験をした子はいないので……』ということで、わが家が前例をつくる立場になりました。なんせ、学校からはずいぶん心配されました。あと、地元の公立中への進学のように情報を密につなげないもどかしさも持ってくださっていたよう。でも、小学校とはトラブルなく、私立中受験のことを応援していただいたと思っています。・小学校通常学級→大学付属中学校受験本人はいじめのこともあり女子校を希望していましたが、親としてはその先の進学のことも考えて共学の大学付属校を考えていたため、そのあたりのすり合わせでお互い妥協するまで少し時間がかかりました。・小学校通常学級+通級→公立中学校通常学級+通級6年の夏休みに発達検査を実施。結果と担任、通級担当の先生の報告書を中学校へ提出した。通っていた小学校から移動した先生が教頭になり、通級指導教室を新設したため、話がスムーズだった。・小学校自閉症・情緒障害特別支援学級→私立中学校受験小5になったタイミングで、主治医から、公立の中学校だと、配慮に限界があるので、手厚い支援を望むなら、私立の受験を考えるように勧められました。※必ずしも公立中学よりも私立中学が手厚いという訳ではありませんので注意が必要です。アンケートに寄せられたコメントをご紹介します。・小学校通常学級私立中入学後に学校とトラブルになったら困るので、オープンスクールや学校相談会で、必ずわが子は発達障害がありこのような特性があるが、入学していいか、入学後どのような受け入れになるか聞いていました。私立ですから、発達障害に対しあまりいい顔をされない学校もあり、そこは避けました。正直に学校側からも答えていただいていたことは、よかったと思います。・小学校通常学級+通級指導教室通級指導教室を継続するかどうかを迷いました。小6の時にご担当くださったベテランの先生の勧めで、中学校も継続することにしました。・小学校自閉症・情緒障害特別支援学級地元の公立中学には行かずに、公立中高一貫校を受験するつもりでいたが、子どもが高学年になって受験する気持ちが薄れてしまったために受験を断念。本人が地元公立中学を希望した。決めた進路先は子どもに合っていたと感じましたか?の質問では合っていたと感じるが約半数の55%、どちらともいえないが25%、合っていなかったと感じるが18%の結果となりました。Upload By 発達障害のキホン・合っていたと感じる(中学:自閉症・情緒障害特別支援学級在籍)中学生ともなると、新たな悩みも発生します。特別支援学級の担任や支援員さんと共有して共に歩んだ気がします。たくさん勉強させていただきました。・合っていなかったと感じる(中学:通常学級在籍)普通の中学は「小テスト、テスト、部活、行事」に日々追われて忙しいのが一般的。そういう生活がうちの子には合わなかった。中学進路先の支援や合理的配慮に満足しているかの質問に対しては、満足しているが19%、おおむね満足しているが38%と、半数以上の57%の方が満足している一方で、あまり満足していないが21%、不満があるが10%という結果になりました。成長をし、思春期を迎え勉強、交友関係など小学校時代とはまた違う悩みがでてきているようです。Upload By 発達障害のキホンアンケートに寄せられたコメントをご紹介します。・満足している(中学:自閉症・情緒障害特別支援学級在籍)中学では小学校の時に比べ、本人も成長しているので、小学校の時のような支援ではなく、本人に合わせた距離感、濃密さの支援であった。・おおむね満足している(中学:通常学級+通級指導教室在籍)年齢が上がるにつれ通級に行っている間にある授業に出られないことを嫌がるようになった。通級の内容自体は好きだが普段の授業が分からなくなることを気にしていた。・あまり満足していない(中学:通常学級在籍)緊張が強く人見知りもはげしかったため、おなじ小学校出身の子と、何名かは同じクラスになるように配慮してもらったが、場面緘黙については、あまり知られていなかったのか、理解がなく、皆と同じようにみんなの前で発言することを強制されたり、しんどい場面も多くあった。感覚の過敏さから、体育祭の応援合戦の練習はつらかったようだが、上級生が指導するため、合理的配慮はなかなか受けられずしんどい思いをしながら、参加せざるを得ない状況だった。コロナ禍のため、応援合戦が中止だった年は助かった。高校の進路、いつから考え始めた?受験エピソードや高校卒業後の進路についてなど【高校生のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは高校生以上のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。中学卒業後の進路については41%の方が「中2」と回答をしました。その次に中1・27%と続き、進路先の見学などに備えて早めに考えるご家庭が多いようです。Upload By 発達障害のキホン受験をしたお子さんが76%という結果になりました。中学受験をしたお子さんの結果が29%なので、高校受験はかなり多くの方が通る道のようです。Upload By 発達障害のキホン・通常学級+通級指導教室/進路について考え始めた時期:中2将来なりたい職業を考え、そこに辿り着くために必要な進学先を絞り、その中から見学し決めた。・通常学級+通級指導教室/進路について考え始めた時期:中2体調があまり良くなくて、通信制で考えていました。スクーリングは心配でしたが、本人がワクワクする視点で学校を決めてもらいました。心配な点は私が学校に掛け合って合理的配慮をお願いするからあなたは心配な部分は考えなくていいんだよ!って伝えました。不安な部分は知ってる方に聞いたり、学校に確認していきながら徐々に減らしていくことができました!・結果に対する恐怖が尋常ではなく、追い詰められると声を発してしまうので、中学校の先生のアドバイスで別室受験しました。・高校説明会で個別相談で本人の特性を伝えた上で相手の様子を見て預けても大丈夫そうな高校にした。推薦で早めに進学先を決めて準備期間を長く持てるようにした。・県立高校でも必ず面接があるので、中学で生徒全員に所作や話す内容をチェックしつつ徹底的に練習を行ってくれた。息子はなかなか合格点をもらえなかったが、できるまで何度も練習していたようだ。本番の面接は想定した質問と違っていて対応できず(本人談)結果はギリギリの点数だった。結果は合格でした。中学卒業後の進路先は普通科高校が49%と一番多い結果でした。そのあとに通信制高校+サポート校(13%)、特別支援学校高等部(11%)と続いています。通信制高校(7%)と通信制高校+サポート校(13%)を合わせると20%となり、進学先に通信制高校を選ぶ方も多かったです。Upload By 発達障害のキホン・中学/通常学級→普通科高校へ進学息子にあった学校であるかどうかを考慮した。実際に学校説明会などで希望校の先生がおられるブースで、息子の特性と障害があっても受験が認められるか、受験が認められ合格後入学した場合に、必要な配慮は受けられるかを尋ねた。3校の先生に同様の内容で質問をしたが、どの学校も障害は問題にならないこと、過去にも特性のある学生は何人もいて、問題なく学生生活を送れていることなどを説明してくれた(いずれも私立学校)・中学/自閉症・情緒障害特別支援学級→単位制高校へ進学私は、その先の進路を見据えて特別支援学校が良いと思いましたが、本人の希望で高等学校へ進学。全面本人の希望で挑めることは、この時期しかないのかも、と思い応援しました。・中学/自閉症・情緒障害特別支援学級→通信制高校+サポート校へ進学本人が中学でうまく行かなかった分、高校で友だちと過ごしたり、通信制の中でも通学型にこだわりいろいろ模索したが、送迎も考慮し、市内にできた2年目の通信制高校に決めた。中学卒業後の進路先について合っていたと感じる方が75%と一番多く、どちらともいえないが17%、合っていなかったと感じるが8%という結果になりました。Upload By 発達障害のキホン・合っていたと感じる(中学/通常学級→普通科高校へ進学)ほぼ毎週担任の先生から電話をいただいて学校での状況を教えてくれています。特性も理解してくれ、サポートのやり方も素晴らしく安心して通わせています。・合っていたと感じる(中学/通常学級+通級指導教室→高等専門学校へ進学)似たタイプのお子さんが多い!(見た目も似ている!笑初めて、入学式でわが子を見つけられないという事態に…笑)いま高専で卓球部をつくろうと頑張っています。仲間を集め、顧問を探し、必要な手続きのために学生組織に掛け合うなど、中学校まででは考えられない行動力を発揮しています。誰も彼のことをバカにしたり煽ったりしない、という環境がそうさせるのだと思います。精神的に安心で安全であることが、どれほど子どもの成長にとって大事なことか、眼前で証明されているようです。・どちらともいえない(中学/通常学級+通級指導教室→高等専門学校へ進学)何度か体験授業などに参加し、入学後2か月は登校できていたが友人とのトラブルがきっかけで登校できなくなり退学となった。そのため、あっていたかどうかは分からない。進路先の支援や合理的配慮については満足している(31%)、おおむね満足している(36%)を合計して67%の方が満足をしている結果となりました。あまり満足していないは12%、不満があるは7%となり、支援を受けることによっての対人関係などで不安を感じることもありそうです。Upload By 発達障害のキホン・満足している(中学/通常学級+通級指導教室→普通科高校へ進学)対人関係や気持ちの不安定さから、自傷行為が多かったが、高校で休憩場所を設定してくれたり、カウンセラーに定期的に面談したりできた。何か問題があってもすぐに対応してくれ信頼関係ができた。・あまり満足していない(中学/自閉症・情緒障害特別支援学級→普通科高校在籍)特別支援学級ではないので、みんなが自分のことを支援が必要な人と認識しておらず、困っていても誰に声かけたらいいか分からない様子でした。また、支援が必要な人と周囲に認識されることも怖くて合理的配慮が利用できない状況です。高校卒業後の進路については多岐に渡ります。その中でも一番多かったのが大学(46%)でした。その次に専門学校(22%)となり進学を選択する(する予定)の方は68%となりました。一方就労については合計して18%となり、内訳としては障害者雇用での就職(7%)が一番多い結果となりました。Upload By 発達障害のキホン小学校高学年の合理的配慮、発達障害でも受験は可能?特別支援学級だと内申点がつかないの?専門家が解説!Q:小学校高学年になってきて低学年の時と違う合理的配慮の必要性を感じています。宿題やグループ学習時の配慮などをしてもらっていますが本人も勉強や周りについていけないようでつらそうです。特別支援学級への転籍も考えたほうがよいのでしょうか。A:いきなり転籍を考えるのではなく、通級指導教室などの利用を行って、個別の学習でどの点を補完していくとよいのかをアセスメントしたうえで転籍の判断をされると良いと思います。転籍先の特別支援学級の人数やメンバー、個別のニーズにどれくらい合わせてもらえそうか、交流学級との授業との割合などによっても変わってきます。また、本人が特別支援学級を体験し、メリットを感じるかどうかも大切な要素になるでしょう。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))Q:中学受験を考えていますがどのような配慮をしてもらえるのでしょうか?今後高校受験もすることを考えると学校側の迷惑にならないか不安です。A:発達障害などの診断があれば合理的配慮を求めることで入試の際の個別的な配慮は可能になります。ただし受験前の在籍校での個別の教育支援計画の中に合理的配慮の事項が記載されていたり、テスト時などでの配慮の実績を求められることがあります。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))Q:中学では自閉症・情緒障害特別支援学級に通っています。特別支援学級だと内申点がつかないなどと聞きましたが高校受験が不利になってしまうのでしょうか。A:障害があることや特別支援学級在籍であることによって入試が不利になることはありません。自治体や教育委員会によっても違いますが、内申書に代わる評価を行っているところもありますので在籍校や地域の教育委員会、私立であれば受験先の学校に訊ねてみてください。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年05月17日子どもとの向き合い方を考えてみるこんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。前回、前々回と3回にわたってアドラー心理学について長々とお話してきましたが、果たして読者はついてきているのかとても心配です。ただ、とても大切な話なので、ぜひ頑張って読んでみてください。今回の内容も長いですし、少しややこしい話も多いです。その通りに実践するのは難しいこともあるかもしれません。しかし、頭の片隅に置いておくだけでも日々の行動が少しずつ変わっていきます。そして、日々の悩みが少しずつ小さくなり、気持ちが楽になっていくはずです。急激にガラリと変える必要は無いので、ときどき読み返して、自分のあり方を再確認してみてくださいね。アドラー心理学を元に対人関係を正しくする1.「承認欲求」を手放し「貢献意識」に変えていくまず一つ目ですが、「承認欲求」を手放し、他者に対しての「貢献意識」に変えていくのが良いとされています。アドラー心理学について書かれたベストセラー『嫌われる勇気』(岸見 一郎・古賀 史健 著、ダイヤモンド社)のタイトルの元にもなっている内容ですが、「人の評価を気にしない」「人からよく見られたいと思わない」ということです。誤解しないでいただきたいのですが、「子どもに嫌われてもいいから子どものために鬼になる」という意味ではありません。あくまでも他人の視線を気にし過ぎないということです。肝心なのは、他人からの評価や承認によって自分の価値を判断しないこと。そして、自己評価の問題として、自分はそのコミュニティの中で意味のある存在であり、かつ他の人たちに貢献できていると感じられることが大事だとアドラーは主張しています。他人からの評価や承認は、他人の問題なので、自分でコントロールすることができません。コントロールできないものを求めると、苦しくなることも増えます。しかし、貢献意識は自分の問題なので、自分でコントロールすることができます。他者に振り回されることが無くなるのです。もう少し具体的に言うと、「承認欲求」は例えば他人から「良い親であるという評価を受けたい」という気持ちです。そういう評価を受けるために、「子どもを成績優秀に育てなければいけない」というプレッシャーを感じてしまいます。それに対して、「貢献意識」は自分自身で自分の価値を実感している状態です。それは例えば、他人から賞賛されたり羨ましがられたりしなくとも、自分は親として子どものためにできる限りのことをしているという自負や手応えがある状態です。あくまでも自分の心の中の問題で、人から左右されません。自分でやりがいや幸せを感じることができます。「貢献意識」を自らの中心に据えると、もちろん家族から感謝されたり他者から褒められたりしたらそれはそれで嬉しいことですが、それに振り回されたりはしなくなります。2.「競争意識」を手放し「理想の自分との会話」だけを残す二つ目は、「競争意識」を手放し、「理想の自分との会話」だけを残すということです。他人と比べての勝ち負けではなく、理想の自分と比べて今の自分は何が足りないのか、どれくらい足りないのかを考え、そしてそこに対して「健全な劣等感」を感じるようにしていくのです。それにより、理想の自分と現実の自分のギャップを埋めるために努力しようというモチベーションを持つことが大事なポイントなのですね。理想の自分と現実の自分とのギャップが正しく意識できないと、努力して今の自分を変えていこうというモチベーションも当然感じられません。ですから、劣等感自体は大事なものです。ただ、他人と比べて自分は駄目だと感じるのは正しい劣等感ではありません。あくまでも自分基準の、正しい劣等感を持ちましょう。これは子供のあり方としても大事ですが、親のあり方としても大事です。「理想の自分との会話」だけを残すようにすれば、我が子の成績とよその子の成績を比較することで自分の親力が試されているように感じたり、苦しんだりすることが無くなるからです。3.自分の課題と他人の課題を分離する三つ目は、自分の課題と他人の課題を分離することです。他人の思考と行動は100パーセント他人次第です。同じことに対しても、それをどう評価するか、どう感じるかは、こちらからコントロールできません。行動に関しても、他の人の行動を支配するなんてことはできません。どんなにお願いしたって、あるいはどんなに脅迫したって、結局相手が自分の思う通りには行動しないことはいくらでもあり得ます。例えば、「このままじゃクラス落ちるよ」とか、「受験で不合格になって泣くことになるよ」と子どもを脅しても、勉強しないものは勉強しません。どうすることもできないんだったら、もうそもそも気にしないということが大事になります。特にお父さんお母さんにとっては、ときに子供の失敗を見守る勇気も大事になってくるということです。ついつい子供が失敗しないようにとか、テストで悪い点数を取って落ち込まないようにとか、受験で不合格になってつらい思いをしないようにとか、あれこれしてあげたくなってしまいますよね。しかし、健全な親子関係と子どもの成長のためには、グッとこらえることが必要です。ただし、できないことをずっと放置しておけば良いということでもありません。子供にはサポートが必要です。ではどういったサポートをしたらいいかですが、まず子ども自身が求めているサポートであることが必要です。相手が求めていないのに勝手に押しつけるのはサポートではなく過干渉です。これは特に注意しなければいけません。そして、子供のお手本となるようなサポートであることが必要です。親がこれをすると、子供は何を学ぶだろうと考えてみてください。これをすると、「結局ママが何とかしてくれるじゃん」ということを学習して、親に頼りっきりになってしまうのでしょうか。それとも「なるほどそうやってやればいいのか、じゃあ次から自分でやってみよう」という風にやり方を学習するのでしょうか。もし後者であれば、それは健全なサポートと言えます。子供が味をしめてしまって、毎回毎回結局親がやることになるというのは、健全なサポートとは言えません。テストの前に「あれやりなさい、これやりなさい」と指示・命令をして、子供は渋々嫌々勉強をし、それでなんとか目の前のテストを乗り越えることを繰り返していっても子どもの成長にはつながりません。そういったやり方をしている限り、子供は自分で次回のテストに向けて何をしたらいいか考える能力は育たないですね。モチベーションという観点からも指示・命令はあまり意味がないことも気をつけましょう。あれやれこれやれと指示をすると、最初のうちは言うことを素直に聞くかもしれませんが、だんだん嫌になってきます。人間は人の言う通りに行動することが嫌いなようにできています。ですからそのうち、うまくいかなくなります。4年生の間はなんとかそれで乗り越えたとしても、5年生6年生と学年が上がるにつれてだんだん反抗期も入ってきますし、いろいろストレスも溜まっていきますし、崩壊することが目に見えています。だから、指示・命令はしないようにしなければいけません。代わりにどうすれば良いかというと、提案をすることです。「お母さん(お父さん)はこれをするといいと思う。なぜならこういうメリットがあるからだよ。」そうやってちゃんと理由を明確にして伝えます。そのうえで、最終的に子供に決断させることが大事ですそして、子供の考え・子供の判断を尊重し、もし提案をした上で子供が「いやだ」と言ったら、「そうかじゃあしょうがないね」と受け入れることも大事になってきます。子どもが自分の判断の元で行動し、もし悪い結果に終わったら、後から反省会をすればそこから成長に繋げることができます。この結果をどう思う?もう一度やり直せるとしたらどうする?こうしたことを問いかけて考えさせましょう。そして成功と失敗を繰り返しながら、子供自身が「こうしていったらいいんだ」と気付くのをサポートしていきましょう。本当に言い方・伝え方っていうのは大事ですちゃんとメリットを伝えること。そして強制されてると感じさせない言い方にすること。実際に強制はせず、子供が選んだものに対して「そうじゃないでしょう」みたいな否定的な言葉を言わないこと。これらを意識していくことが、自分の課題と他人の課題を分離して、子供の自主性・自律性を育てることにつながっていきます。まとめ以上、アドラー心理学に学ぶ中学受験に大切な3つのことでした。改めて前回と今回の内容のまとめですが、すべての悩みはつまるところ対人関係に行き着くというのがアドラー心理学の考え方でした。・「承認欲求」をベースに対人関係を構築する・「競争意識」をベースに対人関係をとらえる・自分の課題と他者の課題を混同するこれらは対人関係の悩みの原因となるものですが、中学受験では本当にありがちなことばかりですね。こういったものを手放していきましょう。人の目を気にするのではなく、自分が行きたいと思う学校、子供を行かせたいと思う学校を選びましょう。また、失敗をあるがままに受け入れましょう。上位の方のクラスに在籍しているから優越感を感じたり、下の方のクラスにいるから引け目を感じたりするのはやめましょう。そして子供の課題を自分(親)の課題と勘違いして、自分が必死になって子供のフォローしてるつもりなのに、子供がどんどん冷めていき、やらされ感満載で勉強に対して嫌気がさしていく状態に陥らないようにしましょう。承認欲求や競争意識を手放し、課題の分離をしっかりやることで、子供の成長を純粋に楽しめるようになります。失敗は失敗で子供の成長のために大切なプロセスなんだと捉えられるようになります。そして、実際に子供が失敗を糧にして逞しく成長していく姿を喜べます。そうなったら親子ともに幸せではないでしょうか。後で振り返ったときに、やって良かったと言える中学受験にしていってくださいね。※中学受験ナビの連載『親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。菊池洋匡中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。伸学会HP:→記事一覧へ
2025年05月05日中学受験で「しあわせなゴール」をむかえるためにこんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。前回の記事「アドラー心理学に学ぶ子どものやる気の引き出し方」はもう読んでいただけましたか?アドラー心理学は生きづらさから抜け出し人生を幸せに導くための実践的な心理学として知られていて、子育てという場面においても役立つ内容が満載です。長かったので少し読むのが大変だったかもしれませんが、読んだ方は親子関係を良くし、子どものやる気を上手に引きだすヒントを掴めたのではないかと思います。今回はそれに続いて、「アドラー心理学に学ぶ中学受験に大切な3つのこと」というテーマでお話をしていきたいと思います。子育てって大変ですよね。そのうえ中学受験をするとなると、さらにいろいろな悩みがつきません。子供の成績に関する悩みだけではなく、親子関係、周りのママ友との人間関係、あるいは家族の中での方針の違いによる揉め事などなど、頭を抱えたくなることがたくさんあります。これらをうまく乗り越えて、中学受験において家族で幸せなゴールにたどり着くための心がまえ・あり方をお伝えします。今回もとても大切な役立つ内容をお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。アドラー心理学を元に中学受験の悩みの根本を考えるさて、中学受験における悩みの根本とはいったい何なのでしょうか?これに関してアドラーはとても鋭い考察を述べています。それは「全ての悩みは対人関係に行き着く」ということです。つまり、わかりやすく対人関係である親子関係・ママ友との友人関係だけでなく、成績や受験結果に関する悩みも、じつは全て対人関係が根本にあるんだよということなのです。もう少し具体的に言うと・承認欲求をベースに対人関係を構築してしまう・競争意識をベースに対人関係を構築してしまう・他者と自分との課題を混同してしまう」といったことが悩みの原因になりがちです。これらは中学受験では本当に起こりがちですよね。今回はこれらをそれぞれどういうことなのかについて、詳しく説明していこうと思います。1.承認欲求に関する悩みまず3つの悩みの原因の1つめ、承認欲求についてです。この承認欲求とは「他者から認めてもらいたい」という感情です。これがベースになると何が問題かというと、自分らしさを失ってしまうということです。うちの子は、あるいは私の子育ては、あの人から見たらどういう風に見えるだろう、周りからどういう風に見られているだろう、そうやって気にしてしまうのが悩みの大きな原因になります。この承認欲求が強ければ強いほど、人生が不自由に感じられてしまいます。これは親御さんが不自由に感じる場合もありますし、子ども本人が不自由に感じる場合もあります。承認欲求のせいでこういうことが起こりがちという危険なパターンは、例えば・見栄で志望校を選択してしまう・有名進学校に行かせなきゃとプレッシャーを感じる・子どもの進学先が偏差値が低いと心から祝福できないとか。これって結構つらい状況ですよね。あるいは、受験本番よりもっと手前の段階で、塾のクラスのアップダウンで一喜一憂してしまうことも起こりがちです。成績でクラスが上がったり下がったりするのは大手塾だと当たり前のことですが、そこでクラスが落ちると、後ろめたさや恥ずかしさを感じてしまう。この感情は、失敗を次に生かそうとする「反省」とは別のものです。子ども本人が抱いたとしても、あまり建設的なものではありません。まして、親が子どものクラスダウンに後ろめたさや恥ずかしさを感じても、何も良いことはありません。しかし、現実にはこうした悪影響になる感情を抱いてしまう人が、大人も子どもも多いです。私たち伸学会では、「点数が悪かったとしたら、テストまでのプロセスにどんな問題があったからだろう?何かやってないことがあったのか?繰り返す量が不足していたのか?やり方が悪かったのか?」と考えるように指導しています。また、「クラスが変わるのは、今の学力や勉強のやり方で適切なクラスに移動するということ。授業や宿題の難しさがちょうど良いところにいた方が学力が伸ばせる」と伝えています。それだけかなり注意して指導をしていても、テストで手応えが悪かったら「私クラス下がるの?下がるの?」とやたら心配する生徒がいます。人は周囲の目を、特に子どもは親の目を気にしてしまうのですね。そうやって結果にばかり意識が向いてしまい、勉強のやり方や量など過程に目を向けられないと、成長が遅くなります。宿題の○×を改ざんしたりといった、正しい勉強のやり方とは逆方向に進んでしまうこともあります。承認欲求が強く、周りからどう見えているかを気にしすぎるせいで起こるマイナスは、気持ちが苦しくなるだけではなく、成長を遅くする行動にも繋がり、結果としてまた引け目を感じて苦しくなる悪循環になっていきます。子どもだけでなく、親の子どもへの関わり方という面でも、周りの目を気にして子どもに良い成績を取らせなければと考え、子どもをコントロールして勉強をさせようとすると、子どものモチベーションに悪影響を与える結果になります。そして、子どもの成績が低下し、それに対して引け目を感じて、よりいっそう子どもをコントロールしようとして、よりいっそう子どものモチベーションが下がり、勉強嫌いになっていくという悪循環を起こします。そうした困った事態を避けるために、承認欲求ベースの対人関係を作ってしまっていないか、現状を振り返ってみてもらえると良いのではないかなと思います。2.競争意識に関する悩み2つめの悩みの種は、競争意識をベースに対人関係を構築してしまうパターンです。競争意識は確かにモチベーションになる場合があります。競争意識がある子にとって、勝つことはシンプルに嬉しいですから、勝てるとやる気が湧いて次ももっとやろうとなります。勝つためにもっと試合をするぞ、もっとテストをするぞ、そういうモチベーションです。大人でも、仕事で成果をあげられていると、モチベーションが上がるものですよね。つまり競争意識は、勝つことができる優秀生にはプラスにも働きます。通っている塾で上位のクラスを維持できていたり、テストごとに座席が変わる塾であれば前の方の席をキープできていたりすると、勉強に対してやる気になることもあるわけですね。しかし、競争意識が強いと、勝てない場合にはモチベーションが下がります。遊びでも、勝てないと癇癪を起したりやる気を無くしたりする子どもに手を焼いた経験は、多くの親御さんがあるものだと思います。遊びであれば自分が適度に手を抜いて勝たせてあげることもできますが、勉強でもスポーツでも仕事でも、相手も真剣にやっている場面ではそうはいきません。競争意識をベースに対人関係を形成してしまうと、勝てないからやる気がしない、やらないからますます勝てない、という悪循環になっていきます。苦手科目は勝てないからやる気がしないけれど得意科目は頑張るという状態ならまだましです。全科目勝てないから勉強はやる気がしない、勉強は嫌いとなってしまう子も多いです。酷い場合には、「現実世界では勝てないから、ゲームの世界で英雄になって世界を救うのに夢中」となります。あまり望ましい状態ではないですよね。そして、競争意識をベースにすることには、もう一つ別の問題点もあります。アドラー心理学的にはこちらの問題点がメインです。それは、周囲を敵にすることにつながりやすいということです。健全なライバル関係の形成ができる人は少数派です。スポーツの世界だとお互いを称えあって、そして負けた側が勝った側を祝福する美しい光景が見られることもあります。しかし、世間一般はそうではありません。むしろその逆のドロドロしてる関係の方が圧倒的に多いです。中学受験でもやはり、健全なライバル関係とは真逆の、醜いマウントの取り合い・ディスり合いは多いです。親同士のつながりの中でよくある、子どもはどこの塾に行っていて成績がどうだといったマウントの取り合いって面倒くさいですよね。子ども同士も同じように、成績を自慢したり、相手ができなかったことをばかにして、できた自分はすごいんだっていう優越感に浸る子は多いです。これをやられた子は間違いなく不快に感じますから、関係性が悪化していくことはわかるのではないでしょうか。3.他者と自分の課題を混同してしまうことによる悩み最後の3つめの悩みの種が、前回詳しく書いた、他者と自分の課題を混同してしまうことです。そもそも他人が自分をどのように考えるかは相手側の問題です。同じことをしていても相手がどう受け取るのかは人によって全く違います。例えば誰かに親切にしたときに、「ありがとう」と感謝する人もいれば、「鬱陶しい。おせっかいだな」と思う人だっています。ボランティア活動に対して「いいことしてるな」と思う人もいれば、「偽善者だ」と思う人もいます。偏差値50という成績に対して、「もっと良い成績を取りたいな」と思う人もいれば、「これで十分だ」と思う人もいます。つまり、相手がどう考えるかは、自分にはコントロールできないことです。そして考えだけではなく、他人がどう行動するかもコントロール出来ません。このことはよく比喩的に「馬を水辺に連れて行くことはできるけれども、馬に水を飲ませることはできない。」と言われますね。他者の思考も行動もコントロールできない。だから、他人のことは自分にはどうしようもないので、「気にしない」と決めてしまうことが大事になります。それは親子であっても当てはまることです。しかし、どうしても親は子どもを自分の一部であるかのように感じてしまうものです。そして、子どもに「偏差値50なんかで満足しちゃダメ!」と無理やり向上心を持たせようとしたり、もっと勉強させようとしたりして、思い通りにならずイライラしがちです。子どもを他者だと思っていないこと、または他者である子どもの考えや行動をコントロールできるような気がしてしまっていることが、悩みの根本的な原因です。また、他者をコントロールしようとするのではなく、他者がやるべきことを代わりにやってしまうというのも課題の混同の一つです。例えば、塾の教材プリントの管理やスケジュールの管理などです。本人の課題であることを前提に、できない部分をサポートするのであれば良いのですが、相手が望んでいないのに介入すれば嫌がられます。いつまで経っても自分でできるようにならないという問題も起こりますなるべく避けたい状況ですよね。まとめあらためてですが、・承認欲求をベースに対人関係を構築してしまう・競争意識をベースに対人関係を捉えてしまう・他者と自分との課題を混同してしまうこの3つは人生を生きづらくする悩みの原因となります。そして、それはそのまま中学受験の悩みの元凶ともなります。ですから、正しい対人関係の捉え方に変えて行きましょう。では、どのようなあり方をすると良いのでしょうか?長くなりましたので、次回、アドラー心理学に学ぶ「正しい」対人関係について、お話ししたいと思います。※中学受験ナビの連載『親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。菊池洋匡中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。伸学会HP:→記事一覧へ
2025年05月04日中学受験生の保護者ができるサポートとはこんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。今回の記事では、子どもの中学受験を目指す親御さんがぜひしてほしい「成績アップにつながるサポート」についてお話をしようと思います。優先度が高いのは「目標設定のサポート」成績アップにつながるお子さんへのサポートは様々あります。例えば・学習環境を整える・目標設定をサポートする・フィードバックを与える・自走できるように計画の立て方などを教える・親子で学習する時間を作るなどなど。他にももちろんあるでしょう。可能であればこれらのサポートを同時に進めても良いですが、ただ、なかなか難しいですよね。そこで、優先順位を決めてどれか1つ手始めに取り組むとしたら、ぜひやってほしいことが「目標設定をサポートする」ことです。目標が定まることでやる気が出る人のモチベーションの仕組みは「移動」と似ています。目的地があり、現在地がわかると、目的地に向かって歩きだそうという意欲が出てきます。期限が決まっていて、歩きでは間に合わなそうだとなったら、急いで走ったり、何か他の移動手段を考えたりします。目的地がわからない状態を何と言うかはご存知ですよね?そう、「迷子」です。残念ながら、多くの受験生は迷子状態で日々を過ごしています。そもそも目標について考えていないか、または目標設定の仕方について教えられていないため考えても適切な目標を立てられないからです。そのせいで日々の勉強に対してやる気が湧かず、だらだら勉強して成績が上がらなかったり、遊ぶ時間が減ってストレスを感じたりします。それってとてももったいないですよね。そこで、私たち指導者や親が目標設定をサポートしてあげることが大切になるのです。目標を決めるうえで大事なポイント4つ目標を決める上では、考えるべきポイントがいくつかあります。1.結果と過程、どちらに焦点を当てるかまず1つ目は、目標は結果に焦点を当てたものにするか、過程に焦点を当てたものにするか、どちらが良いのかということです。結果に焦点を当てた目標とは、例えば「算数のテストで90点以上を取る」「今度のサッカーの試合で勝つ」といったもので、過程に焦点をあてたものは「毎日30分算数の問題を解く」「毎日リフティングの練習を20分やる」といったものです。どちらの目標設定方法も効果的ですが、子どもが相手であれば、過程に焦点をあてたものの方がより効果的なことが多いと思います。目標とする結果を手に入れるために何をしたら良いかわからずなにもできないままという子が多いからです。もちろん子どもの性格や学習スタイルによって、結果に焦点をあてた目標の方がモチベーションが上がるという子もいますので、絶対に過程に焦点をあてた目標にしなければいけないというわけではありません。あなたのお子さんに合わせてどちらかを選択するか、または両方を組み合わせてみてください。2.短期と長期の目標を組み合わせる次に2つ目のポイントは、短期目標と長期目標を組み合わせることです。短期目標は1週間から1ヶ月程度、長期目標は半年から1年程度のスパンで設定するのが基本です。もちろん、まだ子どもですから、1週間でも長すぎると思ったら1日単位で超短期目標を設定しても良いですし、逆に3年後の受験という超長期目標があっても構いません、いずれにせよ、短期と長期で相互につながりのある目標を組み合わせることがおすすめです。なぜこれが効果的かというと、長期的な視点で達成したい大きな目標や目的があることが目標に向けた一歩を踏み出すためには大事ですが、それだけでは人間は努力し続けるのは困難です。同時に長期目標達成へとつながる短期目標を設定し、短期目標達成という小さな成功体験を積み重ねていくことで、自信や達成感を得ることができ、モチベーションアップにつながっていきます。実際に研究においても、短期目標だけを立てさせたグループ、長期目標だけを立てさせたグループ、両方を立てさせたグループを比較したところ、両方を立てたさせたグループがもっとも良い成績をおさめたそうです。あなたもお子さんと長期目標と、そこにつながる短期目標について、話し合って決めてみてくださいね。3.目標は具体的にそして、次の3つ目のポイントは具体的な目標にすることです。結果に焦点をあてるにしろ、過程に焦点をあてるにしろ、数値を入れながら明確な目標を設定することが大切です。例えば、「来週の算数のテストで80点を取る」とか、「土日は算数のテキストの問題を3ページずつ解く」といったものが具体的な目標です。「算数で良い点が取りたい」とか、「土日はテスト勉強を頑張る」とかは具体性に欠けるので効果的ではありません。この具体的な目標を考えるというのは子どもにとってはかなりハードルが高いようです。悪気無く「宿題を頑張る」のような具体性に欠ける目標を言う子がたくさんいます。悪気はないのですから叱っても意味はありません。「頑張るって何をどれくらいしたら頑張ったことになるのかな?」「良い点ていうのは何点くらいかな?」といった感じで問いかけて、考えを掘り下げさせてあげましょう。4.達成可能な目標にする最後に4つ目のポイントとして、達成可能な目標にすることです。達成可能性の高い、やや難しいくらいの目標を決めることが、パフォーマンス向上には適切であるとされています。達成のために努力を要しない簡単すぎる目標は成長につながりません。一方で、困難すぎる目標はモチベーションの低下を招いたり、練習する課題のレベルが自分の力量に合わなかったりして、これもまた成長につながりません。しかし、子どもがちょうど良い難易度の目標を自分で立てるのは意外と難しいことです。ですから、ここでもまたサポートが必要になってきます。ちょうど良い目標を立てるためには、目標を3段階に分けるのがおすすめです。まずは最低限絶対にこれだけは達成したいという「簡単」な目標と、ここまで達成するのはかなり困難をともなうという「意欲的」な目標を決めます。例えば、簡単な目標:これまでの模試の平均偏差値は超える意欲的な目標:偏差値自己ベストを大幅に更新するといった感じです。そうすると、その中間あたりに、やや難しいが達成可能性が高い目標が設定できると思います。例として偏差値という結果に焦点をあてた目標を挙げましたが、行動に焦点をあてて目標を決める場合にもやり方は同様です。あなたのお子さんにとって、簡単すぎず難しすぎない、ちょうど良い目標はどの程度の目標でしょうか?お子さんと相談しながら決めていってくださいね。以上、目標設定のサポートの仕方でした。あなたのお子さんにあった目標を立てることができれば、モチベーションが高まり成果に繋がるでしょう。どんな目標がぴったり合うか、試行錯誤しながら探してみてくださいね。まとめ:長期目標を立てるサポートの重要性最後に、長期目標に関して、オマケの話をしようと思います。少し前に伸学会に通う5年生の子たちに、中学受験をする理由を聞いてみました。あなたはどんな答えが多かったと思いますか?「行きたい中学校があるから」「将来のため」「勉強がおもしろいから」多くの親御さんはこうした理由が出てきてほしいと期待するのではないでしょうか。しかし、残念ながらこうした理由は少数派でした。実際に子どもたちが書いた理由はこういったものでした。筆跡で誰が書いたかわからないようにぼかしてあるので、小さな文字は読めないかと思いますが、左上の方は十分読めますよね。「親が決めた」「親がきめた」「親の都合」「親がきめた」「お父さんとかにいけといわれたから」「みんなやってるからっておやにいわれた」などなど、本人の意志ではなく親によって塾に通わされていると言っている子がかなりたくさんいることがお分かりいただけると思います。「『楽しい』といわないとおせっきょう2時間くらい!最悪」と書いた子もいます。大げさに言っているだけとは思いますが、教育虐待の可能性もあるので、我々も面談などで慎重な対応が必要そうです。2時間のお説教が真実かどうかはさておき、この子が「本当は言いたくないセリフを無理矢理言わされている」ということは間違いなさそうです。真ん中あたりには「じゅくに入ったらみんなやってたから」「みんながやるから」「みんながするから」「学校のみんなが受験をしているから」「みんながやっている」「兄にあこがれ目指したから」「姉がやったから」といった感じで、周囲からの影響という回答が並んでいます。つまり、ほとんどの子どもは、受験に対して目的意識が無い状態で受験勉強をスタートするということです。5年生になっても、子どもたちのホンネはこんなものです。頭が良くなりたいとか○○中学校に行きたいとか、目標は自然と持つようになると思ったら大きな間違いです。ですから、1~2年後にこうなっていたいという長期目標を見つけるのを手伝うことが、親御さんがしてあげられるもっとも重要なサポートかもしれませんね。これからの時期ちょうど説明会や文化祭といったイベントが多くなります。ぜひそういったものも活用しながら、長期目標を見つけてくださいね。あなたのお子さんが良い目標を見つけられることを祈っています。それでは。※中学受験ナビの連載『親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。菊池洋匡中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。伸学会HP:→記事一覧へ
2025年05月03日「中学受験」の過熱状態からも見えるように、近年は子どもの教育に多くのお金をかける家庭が増えています。しかし、ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんは、「教育費をかけ過ぎることで、逆に子どもに苦労させる可能性もある」と警鐘を鳴らします。その背景にあるのは、老後資金との兼ね合いです。当たり前ですが、子どもを育てあげたあとも親の人生は続きます。教育費と老後資金をどうバランスよく蓄えていけばいいのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/塚原孝顕(インタビューカットのみ)教育費をかけ過ぎて老後資金が不足する罠少子化の影響もあり、各家庭での教育熱が高まっているといわれています。子どもが少ないからこそ、「一点集中」で「わが子を立派な人間に育ててあげなければならない」と多くの親御さんが考えているのです。ただ、そうした教育熱の高まりが、悲劇を招いてしまうこともあり得ます。子ども自身が希望もしていないのに「中学受験」をさせる家庭も多く、学習塾などに驚くほどのお金をかけることも珍しくありません。家計に相当な余裕があるのなら問題ありませんが、そうではない場合、月々の生活費を圧迫するのは目に見えています。すると、最終的には子どもに苦労をかけることになりかねません。短期的な目線で中学受験のために多くのお金をかけてしまったため、大学進学時に十分な資金がなく、子どもに奨学金を借りさせるといったこともよくある話です。「奨学金の返済は就職後に重くのしかかるからどうにかしてあげたい」と思っても、現実的に無理なのです。あるいは、「奨学金を借りさせるのはかわいそうだから、教育ローンを組んでお金を工面しよう」と考える親もいます。しかし、奨学金と比べて教育ローンの金利は高いため、親が返済に苦労することになります。さらに先々を見た場合、親自身の老後資金が不足するといったことも考えられますし、これはもうロジックとして実際に起きているものと考えます。「子どものために」と教育費に多くのお金をまわした結果、将来的には、子どもに対して「援助してほしい」とお願いするケースも出てくるはずです。リスクが大きい投資法で教育費を確保してはいけないこれまでのことを前提にすると、子どもの教育費を確保しつつも、自分たちの老後資金もきちんと蓄えておく必要があります。まず、教育費の目安についてお伝えしましょう。文科省が公表している「令和5年度子どもの学習費調査」のなかの、学校教育費、学校給食費、塾や習い事などの費用である学校外活動費を合わせた「学習費総額」が参考になります。その金額は、幼稚園3歳から高校3年までの15年間のトータルで見ると、すべて公立なら約596万円、すべて私立なら約1976万円です。さらに大学に進学するなら、4年間の学費の目安は、国公立大学なら約250万円、私立文系で約450万円、私立理系で約600万円です。子どもにひとり暮らしをさせるなら、さらに費用はかかります。このようにして、子どもの教育費はその進学先によって大きな差が生まれます。そのため、「月にいくら貯めればいい」といったことは一概にいえないのが実情です。そんななか、基本的な考え方として知っておいてほしいことがあります。それは、「教育費についてはリスクの大きな投資法で増やそうと考えてはならない」ということです。個別株投資や暗号資産など、大きなリターンを期待できる一方、大きな損失を被ることもあるハイリスクな投資法を選択すると、いずれ元本割れしてしまう可能性も少なくありません。ですから、教育費については、たとえば定期預金や学資保険、個人向け国債など安全性の高い金融商品でコツコツと貯めていくような方法を選択すべきでしょう。定期預金や保険なら原則として満期まで引き出すこともできませんから、大切な教育費に手をつけてしまうこともありません。老後資金は積み立て投資で確保する一方、親自身の老後資金については、2024年からスタートしたことで大きな話題となった「新NISA」を活用することを考えてみましょう。昨今の物価高により、2024年のインフレ率は3.27%でした。「ゼロ金利時代」ともいわれるように現在のメガバンクの普通預金金利が0.1%程度だということを思えば、ただ預貯金にお金を預けておくだけでは、資産価値はどんどん下がっていきます。これは、インフレ対策という意味でも、投資によって資産を増やしていくことがマストになっていることを意味します。ただし、ここでもハイリスクな金融商品に手を出すことはおすすめできません。わたしがおすすめする投資法は、手間をかけずに時間をかける方法です。そもそも投資とは、お金を株式や債券、投資信託などの金融商品に換えて長期保有することで利益を得ることを目的としています。投資にギャンブルのイメージをもたれることもあるのは、短期的な価格の変動により利益を得る「投機」と混同しているからでしょう。「人生100年時代」とも言われるなか、老後資金は長い時間をかけて形成していくものですから、その時間を味方につけましょう。NISAの「つみたて投資枠」では、厳選された比較的ローリスクの金融商品だけが買えるようになっています。確かにローリスクである反面、大きなリターンは期待できませんが、それは時間が解決してくれます。投資で得た利益を再投資して「複利の力」を最大限に活かせば、長い時間のなかで資産は雪だるま式に増えていくはずです。子どものことを思うのなら、教育費はもちろん、自分たちの老後資金もきちんと形成しておかなければなりません。だからこそ、なるべく早めにマネープランを立て、できるだけ長期にわたってコツコツ型の投資で資産形成を実践することが大切なのです。『年収300万円でもラクラク越えられる 貯蓄1000万円の壁』飯村久美 著/KADOKAWA(2021)■ ファイナンシャルプランナー・飯村久美さん インタビュー一覧第1回:【2025年版】15年間の教育費、いくらかかる?公立・私立で3倍差! 物価高騰時代の「賢い考え方」第2回:過熱する「中学受験」、塾代+受験費用で300万円!人気FPが教える【計画的な貯め方】第3回:教育費&老後資金を正しく貯める|賢い親はやっている、新NISA時代の資産形成術【プロフィール】飯村久美(いいむら・くみ)金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年にFP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)、著書に『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(ゴマブックス)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年04月25日「中学受験」を目指す家庭にとって、そこにかかってくる「費用」は大きな関心事であり悩み事にもなり得るものです。もちろん、必要な金額を知らなければ、計画的に準備することもできません。そこでアドバイスをお願いしたのは、ファイナンシャルプランナーとして各メディアでも活躍する飯村久美さん。中学受験に必要となるリアルな金額を教えてもらうなかで、「中学受験ばかりにフォーカスして考えるのは危険な行為」と指摘します。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/塚原孝顕(インタビューカットのみ)学習塾に3年間通うだけで220万円以上が必要近年、とくに都市部を中心に過熱しているのが「中学受験」です。中学受験というと一般的には私立中学進学を目指すわけですが、公立に進む場合と比べるとかなりの費用がかかり、家計を圧迫します。中学受験を目指す場合、ほぼ100%に近い子どもが学習塾に通うことになります。そこで、まずはその金額をざっと把握しましょう。小学4年生から塾に通いはじめるケースで考えてみます。4年生はだいたい月に3万円くらいなので、そこに教材費などを加えると、年間で40万円くらいでしょう。5年生になると、月に5万円くらいかかってきます。翌年に受験を控えているので夏期講習や冬期講習も受けることが一般的ですので、それらの金額が合わせて20万円程度。すると、年間で80万円くらいになります。6年生は、月に約6万円です。夏期講習と冬期講習に加えて受験直前の「正月特訓」にも参加すると、それらの金額が計35万円。トータルで約107万円になります。つまり、学習塾の費用だけで、3年間の合計金額は220万円以上になる計算です。塾に通わせるとなると、必要なお金はそれだけに限りません。電車やバスで通わせるなら交通費がかかりますし、車で送迎するならガソリン代が必要ですよね。ちょっとした軽食代だって必要でしょう。受験料だけで12万5000円、入学金は60万!?そして、受験そのものにもお金がかかります。公立の中高一貫校であれば受験料は2000円程度で済みますが、私立の場合なら1件あたり2万〜2万5000円といったところでしょう。居住地から離れた場所にある学校を目指すなら、受験のたびに宿泊費や交通費もかかることを頭に入れておかねばなりません。ほかにも、いわゆる滑り止めで合格した学校には、入学金を納めます。その金額は、施設整備費なども含めて30万円といったところでしょうか。中学受験では、平均してひとりあたり5〜6校を受験する傾向があるといわれています。受験料が2万5000円で5校を受けたとすると、受験料だけで12万5000円。滑り止めの学校と入学する学校にそれぞれ30万円の入学金を納めたら60万円もかかります。トータルで72万5000円、家庭によっては宿泊費や交通費もかかるというのが実情なのです。先にお伝えした学習塾にかかる220万円に加えると、なんと約300万円を準備しておく必要が出てきます。さらには、入学したら入学したで、その後も公立校と比べて高額の学費がかかります。大きなお金が必要になるのは高校卒業後のタイミングでは、これらのお金をいかに準備していけばいいのでしょうか?このことについては、残念ながら「こうしたらいい」という誰しもにあてはまる方法は存在しません。それぞれの家庭で家計状況も異なりますし、子どもの数、貯蓄をはじめる時期なども異なるからです。そもそもの話になりますが、中学受験にだけフォーカスしてお金を貯めようと考えることそのものに問題があるとわたしは考えます。子どもが中学受験をするのであれば、ここまでにお伝えしたくらいのお金がかかるのは事実ですが、子どもの教育はそこで終わりません。その先にだって、高校受験、大学受験と出費のタイミングが待っています。とくに、子どもの教育費として本当に大きなお金が必要になるのは、高校卒業後のタイミングです。国公立大学に進学してくれれば4年間の学費は250万円ほどですが、それでも大きな金額ですし、しかも国公立大学に合格するにはそれなりの高い学力が求められます。そのため、子どもが私立大学に進学するケースも考えておくべきでしょう。文系なら4年間で約450万円、理系なら約600万円というのが一般的な学費の目安です。進学先が遠方でひとり暮らしをさせるなら、さらにお金はかかってきます。そのように、子どもの希望や進学先などによって必要なお金には大きなちがいが出てくるため、「こうしておけばいい」という万人に向く貯蓄法はないのです。唯一、万人におすすめできるのが、「児童手当」には手をつけず、しっかり貯めておくという方法です。2024年10月から、児童手当が大きく拡充されました。現行の制度で子どもが高校を卒業するまでの18年間にわたってそれらをきちんと貯めておくと、利息を考えなくとも234万円になります。これは決して小さな金額ではありませんよね。また、児童手当に加えて、1カ月に1万円でもいいので蓄えることを考えてみましょう。1カ月に1万円だとすれば、18年間で216万円になります。児童手当の234万円と合わせると、まさに私立文系の大学の学費である450万円になる計算です。そのような準備をしてもまだそれなりに余裕があり、さらに子ども自身が希望しているのであれば、中学や高校の受験で私立校を目指すといいと思います。よくある落とし穴が、目の前の中学受験にばかり目を向けてお金をかけたがために、大学進学時に子どもの希望を叶えることができないというパターンです。教育熱心になるあまり短視眼的になることなく、長期的な目線で教育費を捉えていきましょう。『年収300万円でもラクラク越えられる 貯蓄1000万円の壁』飯村久美 著/KADOKAWA(2021)■ ファイナンシャルプランナー・飯村久美さん インタビュー一覧第1回:【2025年版】15年間の教育費、いくらかかる?公立・私立で3倍差! 物価高騰時代の「賢い考え方」第2回:過熱する「中学受験」、塾代+受験費用で300万円!人気FPが教える【計画的な貯め方】第3回:教育費&老後資金を正しく貯める|賢い親はやっている、新NISA時代の資産形成術(近日公開)【プロフィール】飯村久美(いいむら・くみ)金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年にFP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)、著書に『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(ゴマブックス)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年04月23日インフレで価格高騰が続くなか、家計の厳しさを実感する人も多いと思います。もちろん、「教育費」だって例外ではありません。しかし、わが子が希望する進路を不安なく歩んでいくには、教育費をきちんと用意しておく必要があります。「教育費はすごく高いもの」という漠然としたイメージがあっても、そもそも教育費はいくらなのかを知っているでしょうか?ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんは、「まずはその金額を知ること。そして、子どもの希望や家庭の経済事情を踏まえ、ケース・バイ・ケースで考える必要がある」と言います。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/塚原孝顕(インタビューカットのみ)物価高騰に伴って教育費も上がっている「教育費」はかつて、「聖域」と呼ばれていました。子どもにきちんと教育を受けさせるために、家計のなかでも「ここだけは削れない」「死守しなければならない」というものが、教育費だったのです。しかし、教育費をめぐる状況は、以前と比べて厳しくなっています。その要因は、言うまでもなく昨今の物価高です。人件費や水道光熱費などが上がることに比例し、学習塾や習い事の費用も上昇傾向にあるのです。子どもを車で送迎するなら、ガソリン代だって無視できませんよね。もっとミクロ視点でいくと、食費も上がっているのですから塾に通う子どもにもたせる間食代すら高くなっているはずです。そう考えると、聖域と呼ばれた教育費についても、削れるところは削ることが求められるようになってきています。その一方、みなさんにとって嬉しい情報もあります。2024年10月より、「児童手当」が大きく拡充されたのです。これまで中学卒業まで支給されていた児童手当は、子どもが高校を卒業する18歳まで支給されるようになりましたし、所得制限も撤廃されました。第3子以降の子どもに至っては、1か月あたりの支給額がこれまでよりはるかに大きい3万円になったことも大きな変化だと思います。※画像は編集部で作成ほかにも、東京都を例に挙げれば、子どもが私立中学に進学した場合にも助成金を受け取れるようにもなりましたし、条件を満たせば都立大学の授業料が無償化されるなど、各自治体が少子化対策としてさまざまなサポートを用意するようになっています。そういった意味では、教育費をめぐる状況が厳しくなってきているのは事実ではあるものの、悲観的になり過ぎる必要もないというのが実情だと考えます。すべて公立か、すべて私立かで必要な金額は大きく異なるとはいえ、楽観的過ぎるのもよくありません。子どもひとりあたりの教育費がどれくらいになるのかという現実を把握したうえで、きちんとお金を用意する必要があるでしょう。具体的な金額は、子どもの進学先により大きく異なります。公立に進めば安く済みますが、私立に進学すれば高くなるのはいうまでもありませんよね。目安となるのが、以下の金額です。これは、文科省が公表した「令和5年度子供の学習費調査」の結果です。※画像は編集部で作成これは、学校教育費の他、学校給食費、塾や習い事などの費用である学校外活動費を合わせた「学習費総額」の1年間の平均額を示したものです。公立か私立かで大きな開きがあることは一目瞭然でしょう。また、令和3年度に行なわれた前回調査と比べると、ごく一部を除いて高くなっていることも明白です。幼稚園3歳から高校3年までの15年間のトータルで見ると、すべて公立なら約596万円、すべて私立なら約1976万円です。すでにおわかりかと思いますが、教育費については「これだけ貯めておけばいい」といった数字を一概にいうことはできないというわけです。子どもの希望や家庭の経済事情などを踏まえ、みなさんそれぞれがケース・バイ・ケースで考える必要があるのです。高校卒業後にこそ、大きな出費が待っているそして、高校卒業後にも大きな出費が待ち受けています。むしろ、そのタイミングこそ、大きなお金が必要だといえるでしょう。子どもが国公立大学に進んでくれれば4年間の学費は250万円ほどで済みますが、国公立大学の場合は求められる学力のレベルが高まります。よって、必然的に私立大学に進学するケースを考慮する必要が出てきます。あくまで目安になりますが、文系なら4年間で450万円、理系なら600万円程度はかかると思ってください。同じ理系でも、医科歯科系や航空系の学部の場合なら学費はさらに跳ね上がります。加えて、子どもが大学や専門学校に実家から通うのか、ひとり暮らしをするのかによってもかかる金額は明らかに変わってきます。ですから、あらゆるパターンを想定し、必要金額のシミュレーションをしておくと安心です。日本学生支援機構のホームページに、「進学資金シミュレーター」というものが公開されています。それを利用することで、「実家から通う」「実家を離れ、アパート等を借りて通う」の2パターンで、それぞれの食費や住居・光熱費、修学費といった月額支出の平均額が示され、それらをどのように捻出するのかというプランを立てることができます。いずれにせよ、子どもが高校卒業後も進学するのであれば、大学や専門学校を卒業するまでを見越して必要額を準備していく必要があるわけです。いうまでもなく、それは家庭それぞれであり、シミュレーションすべきパターンは複数あることを意味します。ただ、ここでお伝えしたいことがあります。わたしのところに相談に訪れる多くのみなさんが、「教育費がかかって大変……」と頭を悩ませますが、それは単純に、親であるあなたが「教育費をかけている」ということに過ぎないともいえます。お金をかけようと思えばいくらでもかけられるのが教育費ですが、本当にその教育を子どもが望んでいるのか、必要な教育なのかといったことを前提に、「我が家の教育方針をどうしていくか」といった総合的なことも、あらためて考えてみるといいでしょう。『年収300万円でもラクラク越えられる 貯蓄1000万円の壁』飯村久美 著/KADOKAWA(2021)■ ファイナンシャルプランナー・飯村久美さん インタビュー一覧第1回:【2025年版】15年間の教育費、いくらかかる?公立・私立で3倍差! 物価高騰時代の「賢い考え方」第2回:過熱する「中学受験」、塾代+受験費用で300万円!人気FPが教える【計画的な貯め方】(近日公開)第3回:教育費&老後資金を正しく貯める|賢い親はやっている、新NISA時代の資産形成術(近日公開)【プロフィール】飯村久美(いいむら・くみ)金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年にFP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)、著書に『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(ゴマブックス)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年04月21日お風呂でのひと時は、親子の大事なコミュニケーションの場です。ゆったりと湯船につかっていると身体も心もリラックスして、普段話せないようなことを話してくれることもありますよね。それ以外にも、お風呂はとても有効な「学びの場」でもあります。お風呂で九九を覚えることや、親子で言葉遊びをすることは、子どもの能力にも効果的に働きかけます。今回は、お風呂で役立つ学習ポスターや知育アイテム、数遊びなどについて詳しくご説明します。さっそく今夜から試してみてくださいね。お風呂での学習が効果的な理由 「浴育」のススメ東京ガスの都市生活研究所が提唱する「浴育」という言葉を知っていますか?その定義は、「入浴を通じて生涯の心身の健康をよりよく育むために、入浴の効果や入浴方法、お風呂の楽しみ方などを学ぶこと」とあります。親子入浴は、子どもの成長や親子関係にも大きな影響があることも知られています。お風呂学習が効果的な理由はいくつかあります。1. 集中力が高まる環境「お風呂場は集中できるベスト空間」と述べるのは、『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA出版)の著者であり、子育て支援士の田宮由美氏。気が散るものをもち込めない狭い空間は、何かを覚えたり考えたりすることに向いているそうです。2. 記憶の定着がいいカリフォルニア工科大学の研究者によると、リラックス状態の脳は新しい記憶が残りやすいのだそう。お風呂のなかは絶好の学習時間というわけですね。3. 習慣化しやすい毎日入っているお風呂は、親子のコミュニケーションが深まるだけではなく、「学び時間」としても継続しやすい環境です。子どもは成長とともにひとりでお風呂に入るようになります。親子で一緒にお風呂に入る時期は、思っているよりもずっと短いもの。だからこそ、毎日の入浴タイムを大切にしたいですね。【未就学児(3~5歳)向け】文字・数字の基礎を学べる学習ポスター小さな子どもがいるご家庭のお風呂には、必ずと言ってもいいほど水でくっつくポスターが貼られているのではないでしょうか?ただぼんやり湯船につかっているだけでも、壁に貼られているポスターを眺めていると、いつのまにかその内容を覚えてしまうものです。ここでは、幼児から小学生低学年の子どもにおすすめのお風呂ポスターを、年齢別・目的別にご紹介します。1. くもん出版「おふろでレッスン ひらがなのひょう」一文字ずつ大きくて見やすいから、正しい形を覚えるのに適しています。書き順も書かれているのでなぞり書きの練習ができるのもポイント。濁音(だくおん)、半濁音、拗音(ようおん)のシート付きなので小学校に入る前の基礎が十分に身につきます。くもん出版(KUMON PUBLISHING) 知育玩具 おふろでレッスン ひらがなのひょう参考価格:1,050円Amazonで見る2. 「ひらがな あいうえお アルファベット 英語 お風呂ポスター 4枚セット」食べものや動物、乗り物などのかわらしいイラストが描かれた、ひらがなとカタカナ、アルファベット、英語の学習ポスター。4枚セットなので、12歳頃まで長く使えるのも特徴です。ひらがな あいうえお アルファベット 英語 お風呂ポスター参考価格:2,380円Amazonで見る3. 「アンパンマンおふろでピタッと!あいうえお教室」水をつけるとお風呂にピタッとくっつき、ひらがなとカタカナ、数字が学べるポスターです。ポスターにつけたりはずしたりできる50個のブロックが付属されていて、同じ文字を探して貼る遊びもできます。片付けネット付きで便利です。アガツマ(AGATSUMA) アンパンマン おふろでピタッと! あいうえお教室参考価格:2,091円Amazonで見る4. 「カタカナ でんしゃ アイウエオ おふろでみよう!」カタカナの書き順を表す部分が線路になっていて、書き始めの一角に電車が書かれています。頭文字に合わせてさまざまな車両が書かれているので、電車好きキッズにはたまりません!カタカナを楽しく覚えるのにオススメの一枚です。カタカナ でんしゃ アイウエオ おふろでみよう!参考価格:990円Amazonで見る5. 「アルファベットポスター」Amazonベストセラー1位の実力派。英語学習のスタート時に買う家庭が多い人気のロングセラー商品。かわいいイラストと、大きくてシンプルな文字だから子どもが覚えやすいと好評です。お風呂の壁に映える明るい色使いもいいですね。アルファベット表 ABC お風呂ポスター参考価格:2,280円Amazonで見る6. 「お風呂の学校 アルファベット表 お風呂ポスター」視覚的に楽しいデザインで、アルファベットや日常英単語を自然に習得できる知育ポスター。大文字・小文字と単語、イラストの組み合わせで直感的に学べる仕組み。数字・曜日・天気・体の部位など、生活に役立つ英単語もカテゴリ別に掲載。耐水・丈夫な素材でバスタイム学習にもぴったりです。お風呂の学校 アルファベット表 お風呂ポスター 2枚セット参考価格:1,690円Amazonで見る7. 「学習ポスター どうぶつ」お風呂や部屋の壁に貼ることができる、かわいい動物たちのイラストが載った学習ポスター。イラストを見ながら、楽しく動物の名前を覚えることができます。動物を指さして子どもに「これはなに?」など質問してみるとよいでしょう。学習ポスター どうぶつ zoo 知育 ジュニア参考価格:1,980円Amazonで見る【小学校低学年(6~8歳)向け】基礎学力を養うポスター8. くもん出版「おふろでレッスン 九九のひょう」小学2年生で学ぶ九九を、お風呂タイムで楽しく覚えられます。毎日少しずつ繰り返し見ることで、自然と九九が頭に入ります。おふろでレッスン 九九のひょう参考価格:1,050円Amazonで見る9. 「インド式かけ算表」2枚セット「62×68は?」と聞かれてパッと答えられますか?IT大国インドでは小2で3ケタのかけ算をこなすそうです!このポスターは基本的な九九の表と、11~19の段までのインド式かけ算ポスターの2枚セット。毎日コツコツ、お風呂で15分程度口ずさむことで、大きな数のかけ算も覚えられるかもしれません。かけ算 インド式 セット お風呂 ポスター参考価格:2,560円Amazonで見る10. 「くもん おふろでレッスン 一年生のかんじのひょう」丁寧な表記はさすが公文式。1年生で学ぶ漢字80字もこれでばっちり。書き順のほかに音読み、訓読みを表記。大きく見やすいデザインなので、声に出しながらなぞり書きをすることでしっかり身に付きます。くもん おふろでレッスン 一年生のかんじのひょう参考価格:893円Amazonで見る 11. 「小学生までにマスターしたい 算数 お風呂ポスター」シンプルでわかりやすいイラストで基本的な算数や数の概念を理解できる工夫がされています。「家族4人でケーキを分けるとしたら、何等分かな?」など普段の暮らしと照らし合わせて会話をしながら理解を深めていくとよいでしょう。小学生までにマスターしたい 算数 お風呂ポスター参考価格:1,480円Amazonで見る 地図・世界を学べる学習ポスター12. 「おふろでレッスン にほんちず」全都道府県の県章と県花も載っているので、地理だけでなく日本文化も学べます。教育コンサルタントの上野緑子氏は、「親子でお風呂に入り、その日のニュースに出てきた地域や自分の住んでいるところ、おじいちゃん、おばあちゃんの住んでいるところを探してみると楽しい」とアドバイスしています。くもん出版(KUMON PUBLISHING) おふろでレッスン にほんちず参考価格:1,050円Amazonで見る13. 「学研ステイフル おふろで旅する 日本地図」お湯をかけると都道府県名、県庁所在地が出てくる仕掛け付き。「おばあちゃんの住んでいるところはどこかな?」「冬休みに旅行で行く町はどこ?」など馴染みのある所から取り組むと効果的です。クイズつきなので、都道府県を覚えたら次のステップは特産品を覚えて……と楽しくステップアップができます。学研 おふろで旅する 世界地図参考価格:980円Amazonで見る14. 「おふろでおぼえる せかいちず&こっき」全ての国の名前と国旗が紹介されている世界地図ポスター。国旗は、星や月があるなどグループに分かれてわかりやすく記載されています。国旗についての雑学も記載されており、子どもは楽しく国旗を覚えることができるでしょう。おふろでおぼえる せかいちず&こっき参考価格:990円Amazonで見る15. 「お風呂の学校 日本地図&世界地図&宇宙地図(太陽系) お風呂ポスター 3枚セット」日本地図、世界地図、そして宇宙地図までカバーした欲張りな3枚セット。子どもの好奇心をどんどん広げてくれる内容です。B3サイズで見やすく、防水加工されています。お風呂の学校 日本地図&世界地図&宇宙地図(太陽系)お風呂ポスター 3枚セット参考価格:2,310円Amazonで見る総合的な知育を促す学習ポスター16. 「お受験教材 きせつのおべんきょう(R)ポスター」季節に関連した食べものや植物、イベントを学ぶことができるポスター。ポップでかわいい絵を日々ながめることで、自然と季節を覚えることができます。サイズはB2と大きめのサイズなので、目にやさしく説明事項の文字も見やすくなっています。お受験教材 きせつのおべんきょう(R)ポスター参考価格:1,500円Amazonで見る17. 「お受験教材 もののかぞえかたポスター お風呂で幼児教室(R)」鉛筆は1本、本は1冊、大きい動物は1頭、小さい動物は1匹……など、ものによって数え方は変化します。この学習ポスターは、わかりやすい大きなイラストの表で、楽しく数の基礎が学べる内容です。お受験教材 もののかぞえかたポスター お風呂で幼児教室(R)参考価格:1,500円Amazonで見る 18. 「お風呂の学校 知育 学習 お風呂ポスター 3枚セット」季節の花・食べ物・行事・ものの数え方・二十四節気・マナー違反などを網羅した豪華な3枚セット。受験はしなくても、小学校の授業や日々の暮らしで必要なことをクイズ形式で楽しく学べる内容です。お風呂の学校 小学校 お受験対策 知育 学習 お風呂ポスター 3枚セット参考価格:1,990円Amazonで見る お絵かき・図形感覚を育てる学習ポスター19. 「えがじょうずになる おふろでおえかき」「1日10分でちずをおぼえる絵本」などで有名な秋山風三郎氏が監修。動物や虫など、子どもが好きなイラストの書き方を、ユニークなコツや手順でレクチャーしてくれるポスターです。指やスポンジでこすれば消える3色のクレヨン付きで、自由に楽しみながら絵を書くことができます。おふろクレヨン付 えがじょうずになる おふろでおえかき参考価格:1,650円Amazonで見る20. 「プレNEO教具 おふろタングラム ステップアップ: さんすう脳をきたえる」動物や乗り物の絵に、三角形や四角形のピースを貼ってパズルを完成させるポスター。図形の問題は小学校受験でよく出題される項目で、日々のパズル遊びやどれだけ図形と触れ合っているかで理解度に差が付きます。プレNEO教具 おふろタングラム ステップアップ: さんすう脳をきたえる参考価格:1,430円Amazonで見る何もなくてもお風呂で「学び」を生み出せる!最後に、ポスターやおもちゃなどのアイテムを一切使わない「お風呂の学び」をご紹介します。まず、親子のスキンシップも兼ねて「背中の文字当て」はいかがでしょうか。背中に文字を書き合いっこをして、何という文字が書かれたのか当てるゲームです。記憶力アップに最適な「逆さ言葉遊び」もおすすめ。 「ろふお」→「おふろ」 「35842」→「24853」 単語や数字をしっかり覚えて逆さに答えるという単純なゲームですが、毎日続けていれば確実に集中力と記憶力が養われます。「100まで数えたらお風呂から上がろう」というのはよくありますが、「100、99、98、97、96……」と逆から数えたり、「1、3、5、7……」と一つ飛ばしにして数えたりすると新鮮です。親子で交互に数えることで「負けないぞ」と正しく数える意欲も高まります。***お風呂は親子のコミュニケーションの場であると同時に、貴重な学びの場でもあります。お風呂ポスターや知育グッズを活用すれば、遊びながら自然と知識が身につくでしょう。親子で一緒にお風呂に入れる時期は意外と短いもの。この貴重な時間を、楽しい学びの場として最大限に活用してみてください!(参考)東京ガス株式会社風呂文化研究会|「浴育」のすすめSHINGA FARM|お風呂で子どもを伸ばす入浴法とは!~毎日の入浴タイムを有効活用~All About|世界をもっと身近に感じ、日本にもっと興味を持とう!お風呂で学ぶ日本地図・世界地図All About|お風呂で知育遊び 算数・国語編DIAMOND online|お風呂学習で絶対にやってはいけないことStudy Hacker|お風呂は暗記効率が良いことが明らかになりました!お風呂暗記ツール3選
2025年04月14日\子ども幸福度世界一のオランダ!親も苦労しないシンプルな子育てとは/小学生は宿題なし、塾通いなし。でも学力は世界トップ層のオランダ。手をかけないで「自分の頭で考える力」を伸ばすシンプルな育児法が、今、世界から注目されています。それぞれアメリカ、イギリスから移住した2人の著者が、自由放任に見えて学力も幸福度も高いオランダ式育児を紹介した一冊です。良くも悪くもない平均が一番いいとされるオランダのテストについて、書籍『オランダ人のシンプルですごい子育て』(日経BP)から一部抜粋してお届けします。書籍『オランダ人のシンプルですごい子育て』「10点満点中60点」で大学に合格※画像はイメージです競争のないオランダの小学校では「クラスのトップになることを目指さない」という意味で興味深かった。さらに、これは中学校でも同じことが言え、10点満点の試験のうち、6点を取れば次の学年へ上がれるので、みんなそのレベルで満足している。オランダの成績評価方式は、正答率を基本とするイギリスやアメリカの評価方式とは異なることをまず断っておかなければいけない。オランダの場合、取得点数は全体から間違ったぶんを差し引く方式なので、事実上10点満点達成は不可能なのである。ほとんどの生徒は卒業資格を取得するのに必要な点数として6点か7点を取っており、6年間の中等教育の後半、高等部卒業時の平均点数は一般的に64点くらいになるそうだ。ほんの一握りの優秀な学生だけが平均8点を取ることもあるが、それはとても高得点と見なされる。VWOでは、もし学生が卒業資格を取得さえしていれば、誰でも大学へ行くことが可能だ。そこにはイギリスやアメリカで大きな問題となる、甘い基準でわざと高い成績評価をつけるようなことは起こらない。そのためオランダでは、大学へ入るためにより高い点数を取ろうと学生同士の競争がエスカレートすることはなく、エリート主義を招かない。これはとても公平な教育システムのように見える。ハーマン・プライという文化史家が、オランダ人のアイデンティティについて最近調査しまとめて書いた『Moet Kunnen(未訳:これでいいのだろうか)』(2009年)という著書の中で、オランダにおける教育方針の説明がされている。プライ氏が言うには、学問の良くできる成績優秀者よりも、平均レベルの能力においてこそもっとも広い可能性を見つけ出すことができるという。「『中道(平均レベルで良い)』という概念は、できるだけ多くの学生を進学させるという政府の方針として教育システムのすべてに反映されている。そのため、合格ラインの点数さえ取っていればそれでじゅうぶんなのだ。それでも良い成績を取りたいのであればそれはまったくあなた次第だ。しかし、必要はない」古代ギリシアの哲学者、アリストテレスによる「中道」の概念は、オランダ人の考え方の中核をなしているようだ。すなわち、良し悪しの2つの極端な評価をつける悪習を避け、健全な平均レベルで良いということだ。競争させなくても子どもたちは学ぶ私自身の人生を振り返れば、試験や成績表なしで、いつも成績優秀者であろうと努力して学生生活を送ることや、その後の仕事人生を過ごすのは難しかったと思う。けれど、子どものころのひどい競争は、後の人生においては、失望感をも引き起こす。競争の元凶である「格付け」さえなければ、自分はそのままの自分でいいという自己肯定感を持っていただろうと思う。大人になってからも、経済的な条件や収入、子育てにどのくらいの時間を費やしたかということで、自分の価値を計られてしまうこともあるかもしれないが、この種の競争によるストレスを自分の子どもには味わってほしくないと思う。自分の子どもには、いつも褒められようと人の目を意識したり、ほかの子よりも自分の方がすごいと比べることよりも、努力の積み重ねをきちんと自分で評価できる子どもになってほしい。心理学専門誌『Pサイコロジー・トゥデイsychologyToday』の記事で、ボストンカレッジのピーター・グレー教授が、アメリカ教育において問題と思われることを以下のように書いている。これは、イギリスでも同様だろう。「先生がいつもきちんと正しく予測できるとは限らないのに、子どもは早いうちから、学校の中で、自己決定や自己認識よりも、先生がどのように選択して判定をするのかが重要だということを意識しはじめます。すると、こんなことが起こるのです。一生懸命勉強しているのに成績が良くない。その原因は、ちょうど先生の望むような勉強の仕方をわかっていなかったか、あるいは先生が質問しようとする問題に正確に答えられなかったからということでしょう。だから、大多数の学生が夢中になるのは、能力を伸ばすことではなく、いかに先生の意向を察知し、良い成績を取るかということになるのです。学校の成績と試験の結果をもっとも重視することにより、学生は本来あるべき姿を失っています。このままでは、学生が課題について幅広い知識を得たり、知的な刺激や視野を広げるチャンスを逃す恐れがあります。人生において大事なことは、良い成績を取ることから得られるキャリアチャンスや物質的なことだけではないはずだからです」※画像はイメージです=====この続きは、是非書籍でご覧ください。オランダ人のシンプルですごい子育て詳しくみる※本記事は、『オランダ人の シンプルですごい子育て』著:リナ・マエ・アコスタ、ミッシェル・ハッチソン訳:吉見・ホフストラ・真紀子/日経BPより抜粋・再編集して作成しました。
2025年04月12日株式会社学研ホールディングス(本社:東京都品川区、代表取締役社長:宮原博昭)の調査・研究機関である学研教育総合研究所は、2024年11月6日(水)~11月14日(木)の9日間、全国の小学生の子どもを持つ保護者を対象に「小学生調査」、全国の中学生の子どもを持つ保護者を対象に「中学生調査」、全国の高校生を対象に「高校生調査」を実施し、小学生調査では1,200名、中学生調査と高校生調査では各600名の有効サンプルを集計しました。今回は、小学生調査、中学生調査および高校生調査のうち、学習や学校生活の実態・意識に関する結果を「小学生・中学生・高校生白書 小学生・中学生・高校生の学習・学校生活に関する調査」として公表します。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)URL 表1: 一番好きな教科と一番嫌いな教科をきいたところ、小学生では一番好きな教科は1位「体育」、2位「算数」、3位「図画工作」、一番嫌いな教科は1位「算数」、2位「国語」、3位「体育」となりました。また、中学生と高校生では、一番好きな教科はともに1位「数学」、一番嫌いな教科もともに1位「数学」となり、中学生では一番好きな教科の2位は「英語」、3位は「社会」、一番嫌いな教科の2位は「英語」、3位は「国語」、高校生では一番好きな教科の2位は「地理歴史」、3位は「保健体育」、一番嫌いな教科の2位は「外国語」、3位は「国語」となりました。表2: ChatGPTなどの対話型生成AIを【学校】で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」と回答した人の割合は、小学生では16.8%、高校生では27.7%となりました。また、対話型生成AIを【家庭】で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」と回答した人の割合は、小学生では18.3%、高校生では39.5%となりました。小学生の結果を前回調査と比較すると、利用したことがある人の割合は、【学校】では7.0ポイント上昇(前回調査9.8%→今回調査16.8%)、【家庭】では5.8ポイント上昇(前回調査12.5%→今回調査18.3%)と、どちらも上昇傾向がみられました。表3: クラスに長期間お休みしている人がいるかをきいたところ、「いる」と回答した人の割合は、小学生では25.8%、中学生では44.8%、高校生では29.3%と、中学生が突出して高くなりました。学年別にみると、小学生と中学生では上の学年で高くなっている一方、高校生では下の学年で高くなる傾向がみられました。表4: ★小学生の一番好きな教科 1位は前回調査に続き「体育」2位「算数」3位「図画工作」4位「国語」5位「音楽」★小学生の一番嫌いな教科1位は前回調査に続き「算数」2位「国語」3位「体育」4位「外国語活動/外国語」5位「図画工作」一番好きな教科をきいたところ、1位「体育」(20.8%)、2位「算数」(18.3%)、3位「図画工作」(17.1%)、4位「国語」(8.9%)、5位「音楽」(8.0%)となりました。他方、一番嫌いな教科をきいたところ、1位「算数」(22.6%)、2位「国語」(17.8%)、3位「体育」(9.2%)、4位「外国語活動/外国語」(4.7%)、5位「図画工作」(4.5%)となりました。過去の調査と比較すると、前回調査に続き、一番好きな教科の1位は「体育」、一番嫌いな教科の1位は「算数」となりました。一番好きな教科を男女別にみると、男子の1位は「体育」(25.3%)、女子の1位は「図画工作」(20.7%)でした。また、「算数」(男子24.2%、女子12.5%)は女子と比べて男子のほうが10ポイント以上高くなったのに対し、「音楽」(男子2.8%、女子13.2%)は男子と比べて女子のほうが10ポイント以上高くなりました。一番嫌いな教科を男女別にみると、男子の1位は「国語」(23.0%)、女子の1位は「算数」(28.8%)でした。また、「国語」(男子23.0%、女子12.7%)は女子と比べて男子のほうが10ポイント以上高くなったのに対し、「算数」(男子16.3%、女子28.8%)は男子と比べて女子のほうが10ポイント以上高くなりました。★「ChatGPTなど対話型生成AIを学校で利用したことがある」17%、前回調査から7ポイント上昇対話型生成AIとは、音声やテキストで質問を入力すると、対話するように自然な文章で応答することができる人工知能を指します。ChatGPTなどの対話型生成AIを【学校】で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」は16.8%となりました。また、対話型生成AIを【家庭】で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」は18.3%となりました。前回調査と比較すると、利用したことがある人の割合は、【学校】では7.0ポイント上昇(前回調査9.8%→今回調査16.8%)、【家庭】では5.8ポイント上昇(前回調査12.5%→今回調査18.3%)と、どちらも上昇傾向がみられました。★受験する中学校を選ぶ際に重視したいこと子ども自身・保護者ともにTOP5は「自宅からの距離」「学校の教育方針」「偏差値」「在校生の雰囲気」「進学実績」子どもが中学校受験を希望している人(454名)に、子ども自身が受験する中学校を選ぶ際、重視したいことをきいたところ、1位「自宅からの距離」(35.9%)、2位「学校の教育方針」(30.4%)、3位「偏差値」(24.4%)、4位「在校生の雰囲気」(19.2%)、5位「進学実績」(16.1%)となりました。他方、子どもに中学校受験をしてほしい保護者(441名)に、子どもが受験する中学校を選ぶ際に重視したいことをきいたところ、1位「自宅からの距離」(35.1%)、2位「学校の教育方針」(30.4%)、3位「偏差値」(22.7%)、4位「進学実績」(19.7%)、5位「在校生の雰囲気」(18.1%)となり、子ども自身の回答と同じものがTOP5に挙がる結果となりました。★「クラスには、長期間お休みしている人がいる」26%クラスには、長期間お休みしている人がいるかをきいたところ、「いる」は25.8%、「いない」は74.3%となりました。学年別にみると、「いる」と回答した人の割合は、いじめを見聞きした経験と同様に、低学年と比べて中学年と高学年で高くなる傾向がみられました。表5: ★中学生の一番好きな教科 1位「数学」2位「英語」3位「社会」4位「保健体育」5位「国語」★中学生の一番嫌いな教科 1位「数学」2位「英語」3位「国語」4位「社会」5位「理科」一番好きな教科をきいたところ、1位「数学」(19.8%)、2位「英語」(14.3%)、3位「社会」(12.0%)、4位「保健体育」(11.2%)、5位「国語」(7.8%)となりました。他方、一番嫌いな教科をきいたところ、1位「数学」(23.5%)、2位「英語」(15.7%)、3位「国語」(13.0%)、4位「社会」(7.8%)、5位「理科」(7.0%)と、主要5教科が挙がりました。過去の調査と比較すると、前回調査に続き、一番好きな教科のTOP2と一番嫌いな教科のTOP2は「数学」「英語」となりました。男女別にみると、一番好きな教科のTOP2は男子では「数学」「社会」、女子では「英語」「数学」、一番嫌いな教科のTOP2は男子では「英語」「国語」、女子では「数学」「理科」でした。★「学校でいじめを見たり聞いたりしたことがある」28%学校でいじめを見たり聞いたりしたことがあるかをきいたところ、「ある」は28.2%、「ない」は71.8%となりました。学年別にみると、「ある」と回答した人の割合は学年が上がるにつれて高くなる傾向がみられ、3年生では31.0%でした。★「クラスには、長期間お休みしている人がいる」45%クラスには、長期間お休みしている人がいるかをきいたところ、「いる」は44.8%、「いない」は55.2%となりました。学年別にみると、「いる」と回答した人の割合は1年生(35.5%)と比べて2年生・3年生(2年生49.0%、3年生50.0%)で高くなりました。表6: ★高校生の一番好きな教科 1位は前回調査に続き「数学」2位「地理歴史」3位「保健体育」4位「外国語」5位「国語」★高校生の一番嫌いな教科 1位は前回調査に続き「数学」2位「外国語」3位「国語」4位「地理歴史」5位「理科」一番好きな教科をきいたところ、1位「数学」(15.2%)、2位「地理歴史」(10.7%)、3位「保健体育」(9.5%)、4位「外国語」(9.2%)、5位「国語」(7.8%)となりました。他方、一番嫌いな教科をきいたところ、1位「数学」(26.7%)、2位「外国語」(17.3%)、3位「国語」(9.8%)、4位「地理歴史」(6.8%)、5位「理科」(6.3%)となりました。過去の調査と比較すると、前回調査に続き、一番好きな教科の1位は「数学」、一番嫌いな教科の1位は「数学」と、人によって好き嫌いが分かれる教科である傾向が継続する結果となりました。男女別にみると、一番好きな教科と一番嫌いな教科の1位は男子・女子ともにそれぞれ「数学」となり、一番好きな教科の2位は男子では「地理歴史」、女子では「外国語」でした。また、一番嫌いな教科の2位は男子・女子ともに「外国語」でした。★学校の“総合的な探究の時間”でテーマにしたこと 1位「SDGs」2位「キャリア・進路」3位「環境問題」“総合的な探究の時間”について質問しました。“総合的な探究の時間”は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標に、2022年度から本格的に導入された教科です。学校の“総合的な探究の時間”では、これまでにどのようなことをテーマにしたかをきいたところ、1位「SDGs」(26.2%)、2位「キャリア・進路」(16.8%)、3位「環境問題」(15.5%)、4位「LGBTQ+」(12.2%)、5位「地域」(11.2%)となりました。★ChatGPTなど対話型生成AIの利用経験 「学校で」28%、「家庭で」40%対話型生成AIの利用について質問しました。対話型生成AIとは、音声やテキストで質問を入力すると、対話するように自然な文章で応答することができる人工知能を指します。ChatGPTなどの対話型生成AIを【学校】で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」は27.7%となりました。また、対話型生成AIを【家庭】で利用したことがあるかをきいたところ、「ある」は39.5%となりました。男女別にみると、利用したことがある人の割合は、男子では【学校】が33.0%、【家庭】が43.0%と、女子(学校22.3%、家庭36.0%)と比べて高くなりました。★進学希望者が高校卒業後の希望進路を決める際に重視したこと1位「学びたいことが学べる」2位「資格が取得できる」3位「就職に有利」希望進路が進学の人(413名)に、高校卒業後の希望進路を決める際、どのようなことを重視したかをきいたところ、1位は「学びたいことが学べる」(47.7%)でした。次いで、2位「資格が取得できる」(30.8%)、3位「就職に有利」(29.8%)、4位「学校が自宅から通える」(27.6%)、5位「自身の成長につながる」(26.6%)となりました。学年別にみると、1年生と2年生では「資格が取得できる」(1年生31.3%、2年生32.1%)、3年生では「就職に有利」と「学校が自宅から通える」(いずれも30.3%)が2位でした。★「クラスには、長期間お休みしている人がいる」29%、1年生では36%自身のクラスには、長期間お休みしている人がいるかをきいたところ、「いる」は29.3%、「いない」は70.7%となりました。学年別にみると、「いる」と回答した人の割合は、下の学年で高くなる傾向がみられ、1年生では36.0%でした。※調査結果全文は添付のPDFファイルよりご覧いただけます。≪調査概要≫調査タイトル:小学生・中学生・高校生白書 小学生・中学生・高校生の日常生活に関する調査調査対象(小学生調査):ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする小学生の子どもを持つ20歳~59歳の保護者(中学生調査):ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする中学生の子どもを持つ20歳~59歳の保護者(高校生調査):ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする15歳~18歳の高校生調査地域:全国調査方法:インターネット調査調査期間:2024年11月6日(水)~11月14日(木)の9日間有効回答数(小学生調査):1,200サンプル(中学生調査):600サンプル(高校生調査):600サンプル実施機関:ネットエイジア株式会社 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年03月13日「子どものやる気が見えなくてイライラ」「やる気ないなら辞めさせたい」など、最近、子どものやる気が見えないという不満がよく聞かれますが、子どもは本当にやる気がないのでしょうか?前編では、子どものやる気を育てるためには子どもの好奇心を育てることが大切であり、子どもを主役「センター」に捉えることの重要性についてお伝えしました。後編では、失敗を怖がらずにチャレンジするような子どもになってもらうためには、どんな声かけをしてあげれば良いのか、スポーツメンタルトレーナーの筒井香さんにうかがいました。(取材・文木村芽久美)(写真は少年サッカーのイメージです)前編記事:「やる気が見えなくてイライラ」「やる気が見えるなら応援できるのに」という保護者に知ってほしい、子どものやる気を育てるのに大事なこと■失敗を怖がらず、チャレンジするためには?心理的安全性がある声かけが子どものチャレンジを促すサッカーを始めたばかりの子どもは、いわば真っ新な状態です。そこに周りの大人が意味付けていくことで良い・悪いなども理解していくので、子どもにどのような声かけをするか、実はとても重要なことだと言えます。子どもが楽しんで成長できるような、ポジティブな声かけによって家庭内に心理的安全性が生まれ、子どもがチャレンジしやすくなると筒井さんは言います。「枠狙わないと(ダメだよ)」「それは決めないと!」など、よくコーチや保護者が叫んでいますが、このような声かけの場合、失敗したくないという意識が先にきてしまうので、最悪シュートを打たないという選択肢を取るようになったり、バックパスばかりで消極的なプレーになってしまいがちです。そうするとまた怒られて、さらに消極的になるという悪循環が起こり、成長思考が育たなくなると筒井さんは懸念を示します。■子どもが自らの能力を高める「成長思考」を育てる大人の声かけとは?(写真は少年サッカーのイメージです)自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できる、つまり「やればできる!」というポジティブな考え方は、「成長思考(グロースマインドセット)」と呼ばれています。成長思考では、難しい問題にチャレンジしたい、そちらの方が楽しいと感じると言います。成長思考に関しては保護者や周囲の大人の声かけで変わるということが研究で明らかにされていて、能力を褒めるよりも成長について褒めた方が、難しい課題に取り組もうとする意欲が育つと言われています。能力ばかりを褒めた場合、次に難しい課題に取り組んだ時に評価が下がることを恐れてしまい、取り組まなくなってしまうと言います。こちらは「固定思考(フィックスマインドセット)」と呼ばれ、守りに入ってしまう考え方なのだそうです。サッカーで言うと、例えばテクニックについて褒めるのだとしても、「前よりも○○が良くなってるね」など、前回と比較して成長ポイントを伝えるといいのだそうです。「ただし、誰かとの比較は良くないです」と筒井さんは言います。また、うまくいかなかった時でも頑張っているところに目を向けられると良いのだそうです。勝った試合の時に褒めるのはわかりやすいですが、負けた試合の時でも「積極的にゴールを狙いにいったよね」など、良かったところを伝えてあげると、チャレンジすることを怖がらなくなり、好循環が生まれやすくなるとと筒井さんは言います。「子どもが成長思考になるためには、保護者やコーチは子どもの成長を促すような声かけをすることが大事です」■褒めて育てるのは大事、そのうえで何が良かったのか理由まで考えよう(写真は少年サッカーのイメージです)一般的に褒めて育てるのが良いと言われていますが、「自分がなぜ褒められたのか、何が良かったのかを一緒に考えるというところまでできた方が良い」と筒井さんは言います。例えば「今日こうやってコーチに褒められたよ」と言う子どもに対して、親は「すごいね」「良かったね」と言うだけじゃなくて、「なんでコーチに褒められたと思う?」など、理由についても一緒に考えてみると良いのだそうです。「この1週間頑張って練習してきたことを試そうとしたから、褒めてもらえたんだ」など、本人が理由を自分の言葉で語るところまでできれば、褒めて育てることはより一層効果的になるのだと言います。また指導者側からするとジレンマもあるそうで、せっかく褒めたのに、サッカーの帰りの車や自宅で、子どもが保護者に怒られ、成長を促すためのコーチングが台無しになってしまうことがあるのだと言います。一番影響力があるのは親であることを保護者は自覚し、基本的にコーチングは指導者に任せ、子どもが主役だと意識した声かけを心がけるようにしましょう。■必ずしもポジティブな声かけじゃなくていい。感情に寄り添った声かけを試合前、緊張している子どもが前向きになるように、親心で「緊張しなくていいよ」と励ますつもりでの声かけ......。実はこれでは緊張している子どもを否定してしまう声かけになってしまう可能性があるのだと筒井さんは指摘します。子どもにとって緊張している理由があるので、その気持ちにまずは寄り添うことが大事なのだそうです。ネガティブをポジティブに変えるというよりも、ネガティブなこともポジティブに受け入れるマインドになると良いのだと言います。例えば「イライラ」という感情についても、イライラしてしまうのがダメなのではなく、そうなる自分というのも自分らしさだし、そこには思いもあるので、イライラの感情をなくしてポジティブになろうとするのではなく、イライラしている自分を認めて、受け入れて前に進むことが大切なのです。■子どもがサッカーを楽しんでいるかが重要。子どものサッカーが受験化している背景子どもがサッカーで伸び伸びとプレーできない背景に、サッカーが受験化されていて、子どもを受験のブランド校に入れるような感覚で有名クラブや有名校に入れることがステータスになっている保護者がいることもあるようです。その場合、親の承認欲求を満たすため、いわば子どもを道具化してしまっていて、健全にスポーツ活動をする環境とはいえません。また親が、マルチアイデンティティであることがとても大切なのだと言います。お母さんが『母親』であるというアイデンティティのみに偏ってしまうと、例えば、子どもがチームでトップのカテゴリーに行ったら成功で、それを支えた自分は成功者である、というような「母親としての成功が、全て自分の価値」とする捉え方をしてしまう危険性があるのだそうです。受験のように意識してしまうと、プレーでの失敗への親の捉え方も変わってきてしまうかもしれません。「スポーツを通じた心身の成長というところを最上位の目標・目的に置いてもらえたら、失敗の捉え方も変わってくると思います」と筒井さんは言います。■家庭は安全地帯であって欲しい筒井さんが今まで、トップアスリートに親がどんな関わり方をしていたか聞いたところ「あまり勝敗に関心がない感じでいてくれたのが良かった」という声が多かったのだそうです。親が自分事のように子どものスポーツに入り込みすぎ、勝負を気にしすぎてしまうのは、子どもにとっては辛いのです。「家庭は試合に勝っても負けても子どもにとって、心が休まる、心理的に安全な場所であって欲しい」と筒井さんは言います。競技者は外では評価にさらされている環境にあるので、家ではもちろん評価されたくないですし、外で頑張るためにも、無条件に家庭が安全地帯であるということが大切なのです。また筒井さんは「自分が関わっている選手の中でも、伸びる選手は共通して好奇心が強いです」と言います。目標達成に向けてやり抜いていくには、やはりどれだけ好奇心を持てるかが重要です。子どものやる気を引き出すために、親も指導者も子どもの好奇心を育てることを大切に考えて、子どもの興味をよく観察し、興味を深掘りしていけるような環境づくりに取り組みましょう。筒井香(つつい・かおり)株式会社BorderLeSS代表取締役博士(学術)日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング上級指導士大学・大学院時代に人間行動学、臨床発達心理学、スポーツ心理学などの心理学から「人間の特性」を広範に学び、また、博士論文では、「個別性を重んじたポジティブシンキングの多様性」に関する理論を構築。現在はジュニア選手からプロ選手、オリンピック、パラリンピック選手のメンタルトレーニングのほか、指導者やスポーツを頑張る保護者の学び舎「大人のメントレコミュニティ」を運営し、子どもの主体性を育む大人の在り方や、人としてのキャリアのなかにアスリートとしてのキャリアも含めた、包括的な人生設計に重要な理論と実践方法を伝え、子どもの「キャリア=人生育て」を心理学の視点からサポートしている。2023年12月書籍「シン・ポジティブ思考-しなやかなメンタルのトリセツづくり-」を刊行。株式会社BorderLeSS著書:シン・ポジティブ思考-しなやかなメンタルのトリセツづくり-
2025年03月07日リゾートトラスト株式会社のグループ企業であり、東京ミッドタウンクリニックなどの医療施設プロデュース・運営支援やエイジングケア・フェムケアプロダクトの開発に取り組む株式会社アドバンスト・メディカル・ケア(東京都港区、代表取締役社長:古川哲也、以下アドバンスト・メディカル・ケア)は、2025年2月5日~2月6日の2日間、全国の子どもがいる35歳~44歳の有職の既婚女性を対象に「働く子育てママの不調に関する調査2025」を実施し、1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)表1: [調査結果]【働く子育てママの不調の実態】◆働く子育てママが普段感じる不調 半数が「肩こり・腰痛」と回答◆「生理痛・生理不順がつらいと感じる」生理痛・生理不順の症状があるママの93%全国の子どもがいる35歳~44歳の有職の既婚女性1,000名(全回答者)に、自身の不調について質問しました。普段感じることがある不調を聞いたところ、「肩こり・腰痛」(49.7%)が最も高くなり、「イライラしやすい」(36.6%)、「目の疲れ」(32.9%)、「だるい・すぐ疲れる」(29.3%)、「頭痛」(27.8%)が続きました。年齢別にみると、「PMS ※月経前症候群:生理前のイライラや不調」(35歳~39歳27.2%、40歳~44歳20.2%)は40歳~44歳と比べて35歳~39歳のほうが7.0ポイント高くなりました。普段不調を感じることがある人に、感じることがあるものとして挙げた不調について、それぞれどのくらいの“つらさ”か聞いたところ、“つらい”と感じる人(「非常につらい」「つらい」「少しつらい」の合計)の割合が最も高くなったのは「生理痛・生理不順」(93.0%)で、「PMS ※月経前症候群:生理前のイライラや不調」(92.4%)が続きました。女性特有の不調に悩んだ経験のある人の大多数が、その不調がつらいものだと感じているようです。以降、「肩こり・腰痛」(91.0%)、「不眠・眠りが浅い」(89.9%)、「イライラしやすい」(89.0%)となりました。◆不調時の対応状況 「不調への対応ができている」全体の76%、「家事・子育てへの対応ができている」全体の52%、「何もしない」は全体の21%◆「不調を感じたとき、病院・クリニックに行く」は全体の17%にとどまる全回答者(1,000名)に、不調を感じたときにどのように対応することが多いか聞きました。【不調への対応】については、「休養をとる」(48.4%)が最も高くなり、「薬を飲む」(34.1%)、「運動や趣味などでリフレッシュする」(21.5%)が続きました。他方、「病院・クリニックに行く」は17.2%で、不調に対しては医師に頼らず自身で対応するという女性が多いようです。不調時の【家事・子育てへの対応】については、「不調を配偶者・パートナーに伝える」(39.0%)が最も高くなりました。他方、「配偶者・パートナーに家事・子育てを頼む」は29.2%、「親・義親に家事・子育てを頼む」は8.0%という結果となり、家事・子育てに関しても自身で対応する女性が多いようです。対応状況をみると、【不調への対応】について対応ができている人は76.4%、【家事・子育てへの対応】について対応ができている人は51.5%となった一方、いずれも行わない人(「何もしない」の割合)は20.9%と少なくはない結果となりました。不調を感じたときに、「何もしない」ことが多いと回答した人(209名)に、不調を自覚しているのに何もしない理由を聞いたところ、「休むほどではないと思うから」(16.3%)や「お金がかかるから」(12.9%)、「休むと仕事に支障が出るから」、「自分に使う時間がないから」(いずれも12.4%)に回答が集まりましたが、最も回答が多かったのは「特になし」(48.3%)で約半数でした。表2: ◆「ママになってから婦人科を受診していない」全体の58%全回答者(1,000名)に、ママになってから婦人科を受診したか聞いたところ、「受診した」は41.9%、「受診していない」は58.1%で、受診していない人が過半数でした。表3: ◆婦人科を受診してよかったと思ったこと1位「自身の体調について相談できた」2位「女性特有の体調不良について情報が得られた」ママになってから婦人科を受診した人(419名)に、婦人科を受診してよかったと思ったことを聞いたところ、「自身の体調について相談できた」(42.0%)が最も高くなり、「女性特有の体調不良について情報が得られた」(25.8%)、「体調不良の原因がわかった」(22.0%)、「自身の体調について話せて気が楽になった」(18.6%)、「体調不良時の対処法を教えてもらえた」(16.2%)が続きました。表4: ◆「自身の体調について相談したいことがある」全体の66%◆自身の体調についての相談相手TOP3 「配偶者・パートナー」「友人」「親・義親」◆体調について相談したいことがあるママの10%が「相談相手はいない」全回答者(1,000名)に、自身の体調について相談したいことがあるか聞いたところ、「相談したいことがある」は66.2%、「相談したいことはない」は33.8%となりました。自身の体の悩みや不調などについて、“誰かに相談したい”“誰かに話を聞いてもらいたい”と感じている人は多いようです。自身の体調について相談したいことがある人(662名)に、自身の体調について誰に相談しているか聞いたところ、「配偶者・パートナー」(61.5%)が突出して高くなり、「友人」(32.0%)、「親・義親」(31.7%)、「婦人科医」(15.9%)、「兄弟姉妹・義理の兄弟姉妹」(10.9%)が続きました。一方で、「相談相手はいない」は10.3%と、約1割が自身の体調について相談したいことがあるにもかかわらず、誰にも相談できていないということがわかりました。【働く子育てママの不調に関する意識】◆「体調がすぐれないときは配偶者・パートナーに家事・子育てを代わってもらいたい」全体の84%、未就学児のママでは90%◆「配偶者・パートナーに女性特有の不調について知ってほしい」全体の76%全回答者(1,000名)に、配偶者・パートナーの家事・子育てへの協力や不調に対する理解について質問しました。家事・子育てへの協力について、自身の気持ち・考えに≪配偶者・パートナーに「家事と子育てに追われる大変さ」を知ってほしい≫はどのくらいあてはまるか聞いたところ、「非常にあてはまる」が41.9%、「どちらかといえばあてはまる」が39.5%で合計した「あてはまる(計)」は81.4%、「全くあてはまらない」が6.2%、「どちらかといえばあてはまらない」が12.4%で合計した「あてはまらない(計)」は18.6%となりました。末子の就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した人の割合は就学段階が上がるにつれ低くなる傾向がみられ、子どもが未就学児の人(86.2%)と高校生以上の人(61.5%)との間では24.7ポイントの差が開きました。≪配偶者・パートナーに家事・子育てをもっと協力してほしい≫では、「あてはまる(計)」は74.7%、「あてはまらない(計)」は25.3%となりました。≪体調がすぐれないときは配偶者・パートナーに家事・子育てを代わってもらいたい≫では、「あてはまる(計)」は84.4%、「あてはまらない(計)」は15.6%となりました。末子の就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した人の割合は、子どもが未就学児の人では89.7%と特に高くなりました。不調に対する配偶者・パートナーの理解について聞いたところ、≪配偶者・パートナーに「生理のつらさ」を知ってほしい≫では「あてはまる(計)」は68.8%、「あてはまらない(計)」は31.2%となり、≪配偶者・パートナーに「女性特有の不調(生理中の不調除く)」について知ってほしい≫では「あてはまる(計)」は76.4%、「あてはまらない(計)」は23.6%となりました。◆「男性の上司・同僚に生理のつらさを知ってほしい」全体の56%、“女性の上司・同僚に対して”では3ポイント高く59%◆「勤務先に女性の健康をサポートしてもらいたい」全体の65%全回答者(1,000名)に、不調に対する周囲の理解について質問しました。不調に対する勤務先の理解について、自身の気持ち・考えに≪上司・同僚に「生理のつらさ」を知ってほしい≫はどのくらいあてはまるか聞いたところ、男性上司・同僚に対しては「あてはまる(計)」は55.8%、「あてはまらない(計)」は44.2%、女性上司・同僚に対しては「あてはまる(計)」は58.9%、「あてはまらない(計)」は41.1%となりました。“生理のつらさへの理解”については、男性の上司・同僚に期待する割合(55.8%)と比べて、女性の上司・同僚に期待する割合(58.9%)のほうが3.1ポイント高くなりました。自分と同じ女性だからこそ、つらさを理解してもらえないことに対する失望が大きくなっている可能性があるのかもしれません。≪上司・同僚に「女性特有の不調(生理中の不調除く)」について知ってほしい≫についてみると、男性の上司・同僚に対しては「あてはまる(計)」は61.2%、女性の上司・同僚に対しては「あてはまる(計)」は61.4%となりました。≪勤務先に女性の健康をサポートしてもらいたい≫についてみると、「あてはまる(計)」は65.1%となりました。勤務先による健康サポートを期待する女性が多いようです。◆「もっと自分のケアに時間を使いたい」全体の78%、未就学児のママでは82%全回答者(1,000名)に、自身の不調に対する気持ちについて質問しました。自身の気持ちに≪更年期に対して不安を感じる≫はどのくらいあてはまるか聞いたところ、「あてはまる(計)」は71.7%、「あてはまらない(計)」は28.3%となりました。≪もっと自分のケアに時間を使いたいと感じる≫についてみると、「あてはまる(計)」は78.2%、「あてはまらない(計)」は21.8%となりました。末子の就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した人の割合は就学段階が上がるにつれ低くなる傾向がみられ、子どもが未就学児の人(82.1%)と高校生以上の人(69.2%)との間では12.9ポイントの差が開きました。未就学児のママの多くが、自分のケアに割ける時間が足りないと感じているようです。◆配偶者・パートナーに協力してほしい(協力してほしかった)と感じること未就学児のママでは「お風呂」、小学生のママでは「子どもの勉強・宿題の面倒」、中学生のママでは「習い事への送迎」、高校生以上のママでは「受験の手伝い」が1位全回答者(1,000名)に、育児・子育てについて配偶者・パートナーに協力してほしい(してほしかった)ことを聞いたところ、1位「子どもの勉強・宿題の面倒」(34.0%)、2位「お風呂」(32.5%)、3位「習い事への送迎」(31.4%)、4位「散歩・遊び」(31.0%)、5位「ご飯を食べさせる」(30.2%)となりました。末子の就学段階別にみると、子どもが未就学児の人では、1位「お風呂」(47.3%)、2位「保育園・幼稚園への送迎」(46.5%)、3位「ご飯を食べさせる」(43.7%)、4位「寝かしつけ」(42.2%)、5位「散歩・遊び」(41.1%)となり、上位5位についてはすべて、協力してほしい(協力してほしかった)と感じるママの割合が4割を超える結果となりました。子どもが小学生の人では、1位「子どもの勉強・宿題の面倒」(41.2%)、2位「習い事への送迎」(34.6%)、3位「保護者会・PTAへの参加」(32.6%)、4位「散歩・遊び」「子どものプリントチェック・整理」(いずれも26.2%)となりました。子どもが中学生の人では、1位「習い事への送迎」(32.0%)、2位「保護者会・PTAへの参加」(27.0%)、3位「子どものスケジュール管理」(24.0%)、4位「受験の手伝い(日程管理、受験料振込、会場への送迎など)」(23.0%)、5位「ご飯を食べさせる」(20.0%)となりました。子どもが高校生以上の人では、1位「受験の手伝い(日程管理、受験料振込、会場への送迎など)」(25.6%)、2位「保護者会・PTAへの参加」(23.1%)、3位「お風呂」「夜泣きの対応」(いずれも20.5%)、5位「習い事への送迎」「散歩・遊び」(いずれも17.9%)でした。配偶者・パートナーとの助け合いの必要性を感じる家事・育児の内容が、就学段階によって変化する結果となりました。■調査概要■調査タイトル:働く子育てママの不調に関する調査2025調査対象:ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする子どもがいる35歳~44歳の有職の既婚女性調査地域:全国調査方法:インターネット調査調査期間:2025年2月5日~2月6日の2日間有効回答数:1,000サンプル実施機関:ネットエイジア株式会社<ILACY(アイラシイ)>株式会社アドバンスト・メディカル・ケアは、「ILACY(アイラシイ)」( )を運営しています。「ILACY(アイラシイ)」は、女性ホルモンマネジメント(R)、更年期、婦人科疾患、ヘルスケア、エイジングケアなどレースのように繊細にゆらぐ大人女性の心と体の悩みについて、医療の専門家をまじえた情報を発信するメディアです。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年03月05日STEAM教育って何?
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