2017年11月28日 16:00
偏食や過敏の根底には「不安・緊張・ストレス」がある!当事者研究で浮かび上がった食の困難とは
さらに、報告された児童生徒の食に関す困難で、「極端な偏食」は全体の31.1%にものぼります。
一方、調査で明らかになった現場の声は、学校給食なので個別対応はできないというものが少なくありませんでした。
教職員の人員不足、また生命に関わるアレルギーの対応に注力するあまり、個々の過敏性に対応することはとてもできないという実態が浮かび上がってきたのです。
http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/146972/1/18804306_68_26.pdf
発達障害児の「食」の困難・ニーズの実態と支援の課―都内小・中学校特別支援学級・通級指導学級、知的障害特別支援学校への質問紙法調査から―
発達障害の子どもの偏食に対して、実際に学校で行われた「合理的配慮」とは
Upload By 村田裕介(発達ナビ編集部・管理栄養士)
以前は中学校の教師でもあった田部先生は、食についての合理的配慮を行った自らのご経験を教えてくださいました。
中学3年生の自閉症スペクトラム障害のある女の子は、食事に対して困難があると同時に修学旅行にも大きな不安を抱いていました。人とかかわるだけでも不安な彼女にとって、旅行先での食事は、日常生活とは比べ物にならないほどの不安があったのです。
この生徒の場合、コンビニのお弁当やおにぎりだけが、安心して食べることができる食事であったそうです。
この子が安心して修学旅行を過ごせることを考えた田部先生は、行く先々でコンビニで買った食品を食べることを認めました。
ただし、田部先生は食べる場所について逆に生徒にお願いをしました。食べるものは違っても、他の生徒と同じ場所で食べること。またレストランを利用するときは、その中でコンビニ弁当を食べることは憚られることなので、バスの中などで食べることをお願いしたのです。
こうした配慮によって、この生徒は、帰りたいとパニックを起こすこともなく、修学旅行を過ごすことができたのです。
本人のルールを聞いてあげて、そしてこちらのルールも聞いてもらうことーー
田部先生「おそらくそれが合理的配慮なんでしょうね。社会のルールを教えつつ、でも本人はどうすれば自身の健康を保ちながらやってゆけるのか。集団行動もできて、個別性の配慮もできるのか。折衷案を考えました。」
髙橋先生「全部でなくても理解をしてもらえる、話し合えるということで、信頼関係ができますよね。