出場機会がない息子。友達といたいから移籍したくない問題
ひとつ。子どもが決めたことを認めること。息子さんは新天地で試合に出るよりも、これまでの仲間といることを選んだ。この決定を心から認めましょう。「お母さんはやめた方がいいと思うけど」などと決してぼやかず「そっか、そっか。楽しくサッカーできるといいよね。でも、移りたくなったらいつでも言ってね」と笑顔で承認してあげましょう。
お母さん自身は息子さんが不憫で辛いのではと思って「試合に出られなくていいの?」と言っているのかもしれませんが、あまりしつこく言い過ぎると「お母さんは、試合に出ている僕しか認めてくれないんだ」と息子さんのこころに影を落としかねません。
ふたつ。「試合に出られるかどうか」ではなく、「サッカーが楽しいかどうか?」という観点でみてあげましょう。「今日、どうだった?」ではなく、「今日も楽しかった?」と聞いてあげてください。
■「何とかしたい」と思っても親が先走ってはダメ
(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
三つめ。お母さん自身の感情コントロールに努めましょう。
わが子のネガティブな状況に、右往左往しているような気がします。「試合に出られないのは悔しいね」と共感してあげるのは必要です。でも、同化してしまうと「試合に出られない。
何とかしたい」とお母さんが先走ってしまいます。
子育てで「見守る」という行為は、子どもの前を歩いてはいけません。
子どもが自分で決めて歩く道の脇で「楽しんでね!」とエールを送ってあげてください。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。
主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)