後から入部したスクール掛け持ちの子たちに追い抜かれた 補欠になり自信を失った息子をどう支えたらいいのか問題
そういった子どもはたくさんいます。そもそも身体的な成長や、サッカーの技術や戦術眼の習熟度の進み具合は、子どもによって異なります。
下級生のときから上手かった子どもが中学や高校で伸びなかったりしますし、逆に少し発達が遅れがちであまり試合に出られなかった子どもが中学や高校で一気に伸びることもあります。
そういったことを踏まえて、親御さんは目の前の子どもの姿に一喜一憂する是非を考えて欲しいのです。もちろん一緒に喜んだり、悲しんだりする、子どもの気持ちに共感することは重要です。しかし、お子さんの悔しさや孤独にお母さんが「同化」してしまってはいけません。
なぜレギュラーから外されたんだろう。何が足らないんだろう。
どうしたらいいんだろう――。そんなふうに、お子さんのサッカーのことばかり考えていないでしょうか?そんな親の感情は子どもに気づかれています。
子どもが抱える「レギュラーから外された」という荷物をお母さんは取り除いてあげたいはずなのに、その荷物の上に「レギュラーのあなたでなければ嫌だ」というストレス、つまり新たな荷物を載せてはいないでしょうか。
この連載の187回目で、オーストリアのアルフレッド・アドラーが提唱し、後継者たちが発展させてきた心理学の体系である「アドラー心理学」について触れています。そのなかの「課題の分離」という概念です。
アドラー心理学の中心的な考え方のひとつでもあるこの「課題の分離」は、自分の課題と他者の課題を明確に区別したほうがいいよ、という考え方です。自分の課題については真摯に向き合い責任を持ちますが、他者の課題には立ち入らないようにする。 他者の課題に不必要に介入することは、相手への支配や依存につながる危険性があるためです。
レギュラーになれないのは、息子さんの課題です。お母さんは何も言わず見守っていればいいのです。あまりに楽しくなさそうなら、ひとつめでアドバイスしたように他のチームを探すことに協力してあげてください。
■親が情報収集し、良いレールに乗せられたかどうかで決まるは間違い
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
最後の三つめ。
冒頭で触れた「親が情報収集し、より良いレールに乗せられたかどうかで子どもの運命も決まる」は間違いです。
そのような考えは、課題を分離させずに同化させています。