シックで落ち着きのある住空間建築と自然の力で生きる力が高まる
独り占めしない建築
「もともとは祖父のものだったものを父が引き継いで、今はわたしが預かっているんです」とOさんが話すのはO邸の立つ敷地のこと。自分で手に入れたものではなくたまたま預ったものであり、いずれ息子さんに受け渡していくものなので独り占めをするような建築をつくりたくなかったという。
「独り占めをしない」ということには、敷地の奥側につくった賃貸スペースで暮らす人たちも合わせて「皆で共有する」という気持ちも込められていた。さらに「身の丈に合った建築をつくろう」とも思ったという。「サイズ的にもそうですし、さらに金銭的にも、価値観の面でも自分の身の丈に合った、実感のもてる範囲でつくろうと」
隠れて見えない奥の部分に賃貸スペースがつくられている。
手前の1階が賃貸でその上がO邸の2階のテラス。通路に沿って緑が植えられている。
生きる力が高まる家
こうした気持ちをベースにしつつ、この家のコンセプトとしてOさんが意識していたのは「皆が穏やかに気持ちよく暮らせる」ということだった。
さらに加えて「生きる力が高まる家にしたかった」とも話すOさん。こうした考えがたとえば無垢材を使用するという具体的なリクエストへとつながった。