2019年10月10日 19:10
「是枝監督の現場は…」ジュリエット・ビノシュが語る俳優の“真実”
すごくわかりやすい例を挙げるなら、お祈りをするときにいまさっき覚えた言葉でお祈りしようとすると、覚えているかどうかが気になってまったく没頭できないですよね?それと同じことで、俳優のセリフも何度もかみ砕き、自分に取り込んで初めて、頭で考えることのない感情になれるものであり、そうなったときが一番いい状態なんです。
偉大な人ほど権力を振りかざさない
―これまでに国を越えてあらゆる現場を経験されているビノシュさんですが、先ほどお話に上がったように、俳優をコントロールしようとする監督というのは多いものなのでしょうか?
ビノシュさん偉大な映画監督になるほど、現場で権力を振りかざすことはありません。なぜなら、そういう賢い人たちは、最終的には編集において監督の権限を行使できることを知っているからです。結局、物を言うのは最終段階。どのシーンをカットするかとか、順番を入れ替えるかどうかといったところで監督は自由に権力を行使することができるので、本当に頭のいい監督ほど、あからさまにそういうことをしないものなんですよ。
逆に、自分に自信がない若い監督ほど、そうなりがちなところがあるかもしれません。