被写体が服を着てたりメイクをしていると、そっちのイメージが先行してしまうというか。別にヌードってことで客を呼ぼうとか、そんな気持ちはないよ?10日間、延べ
30人以上のモデルさんに来てもらって、どんどん撮影してね。確かに体力的には大変でしたけど、撮ってるうちに、どんどん気持ちよくなってくるんだよ。アラン・ロブ=グリエって人のフランス文学で、『快楽の館』という本があって、それがとてもおもしろいんだけども、原題は、『ランデブーの館』っていうんです。
――出会う、という意味に近い?
篠山:そうそうそう。原美術館という建物との出会い、モデルさんたちが毎日やってきて出会って去っていくということ、その10日間を切り取った写真たちと、見に来てくれるお客さんとの出会い…。この場所での出会いっていうのが、この展覧会の一番のコンセプトなんだ。他の美術館でこの作品を見せても、なんにも意味がない。
ここで見ることに、意味がある。だから、終わったら何をするかっていうと、全部破いちゃう。
――え?!破いちゃう?!
篠山:だって、壁に貼ったのは引っぺがすしかないし。
――もったいない…。
篠山:もったいないって思うところがダメなんだよ。