2016年11月14日 12:00
『孤独のグルメ』はヤクザより残虐? 松重豊のストイックな役者魂
今だって公開中の映画『グッドモーニングショー』と『ミュージアム』が刑事役で、『続・深夜食堂』はヤクザ。でもそれぞれ違う人物なんで、決して偏っているとは思いません。役者って何でもできなきゃいけないから、常にギアはニュートラルに入れておいて、この人物はトップに入れたら面白いのか、ローなのか、バックなのかって変えていく。どんな役が来てもいいように、守備範囲を広く持っておかないと」
その松重さんのフィールドの広さを決定づけた役のひとつは、ドラマ『孤独のグルメ』シリーズの井之頭五郎である。
「ファーストインプレッションですごく美味しそうに食べることと、きちんと最後まで食べること。五郎を演じるにあたって、それができなくなったらもう終わり。だから撮影の前の晩からは何も口にしないし、それは当たり前のことで。舞台だって、これを毎回やってるの?大変だね、っていう姿をお客さんはのぞきに来る。
五郎も、この量毎回食べてるの?っていう残虐さがないと、お客さんは興味を持ってくれないと思うんです。五郎役は、刑事とヤクザの息抜きかと思いきや、案外そうでもないんですよ」
ひたすら食べる撮影でも、太ったら役者としては失敗。