2016年11月14日 12:00
『孤独のグルメ』はヤクザより残虐? 松重豊のストイックな役者魂
世の中間違ってるとか、俺がひっくり返してやるとか、価値観をぶち壊さないとダメだって言ってみたり。そこから30年ぐらい経って、50も半ばになった時、20代の自分が刃物を持ってこっちに向かってきて、『今のてめえの生き方、なんだよ』って言われた時に『ごめんなさい、こんなつもりじゃなかった!』って言ったら、そいつは大人にはなれていない。そこで『かかってこいよ』って言えたら、大人というか成長というか、恥じない生き方ができているんじゃないか、ってね」
とはいえ、そもそも大人という概念が自分の中にはないと言う。
「大人になろうと思ったことが今までなかったのかもしれないですね。僕らの商売は、むしろ、大人だねって言われたら侮辱された感覚すらある気がします。そんなに丸くなったかな?物分かりのいい顔しちゃってるのかな、って。ただ経験は積んでいるし技も増えていくことを考えると、達人にはなっているのかもしれませんね」
松重さんといえば、刑事役とヤクザ役のイメージが非常に強い。「一年のうち8割は刑事かヤクザやってますよ。
僕みたいに恐ろしい顔をした系統の俳優が進むのは、20代にヤクザ、30代もヤクザ、40代に入るとヤクザと刑事ってね(笑)。