「日本映画が“映画とは何か”を思い出させてくれた」フランスの鬼才が語る日本映画の魅力
「命というのは儚いものだ」と痛感した
―その過程で、2019年にはご自身も生死をさまよう病に見舞われてしまいましたが、死を間近に感じたことによって映画作りにも影響を与えたのではないでしょうか。
監督僕の場合は、脳出血を起こして突然倒れてしまい、50%の確率で命を落としていた可能性がありましたが、病院に運ばれたのが早かったおかげで助かりました。ただ、一命を取り留めても、発症から5日の間に亡くなる方も多く、35%の人に後遺症が残ると言われていたのでかなり厳しい状態。最初のうちは、自分が生きるか死ぬかわからないような状況にいたので、「命というのは儚いものなんだな」と実体験を通して痛感していました。
そんななか、幸いにも元の健康を取り戻すことができたので、それ以降はタバコをやめてお酒は控えめに…。自分の身体に気を付けるようになったのが、大きく変わったことですね。そのあと、コロナ禍で身近な人が何名も命を落としてしまったり、母がアルツハイマーでこの世を去ったりして、死に直面する機会が増えたので、こういったテーマについてじっくりと考えるようになりました。これらの経験がなかったら、おそらくこの作品は生まれていなかったと思います。