「旅は素晴らしい一瞬一瞬をかき集める、その繰り返し」韓国のベストセラー作家イ・ビョンリュル氏インタビュー
私はいつもそうやってエッセイを書いています。エピソード以外のものでいうと、私の個人的なこと、愛に対する考え、失恋の痛みなど、お酒を一杯飲みながら書いたりもしますが、大切なエピソードは時が経っても生き生きと脳裏に思い浮かびます。それくらい会いたい気持ち、そこに行きたい気持ちが文章になるんです。そういう時ってまた写真を撮っていなかったりするんですよね。私も写真を撮られることが好きではないですし、話をすることに夢中で写真を撮ることをすっかり忘れていることもあるので、本にまとめる時にはこのエピソードの写真がないなと思うことも多くて、その前後の写真を使ったりしますね。エピソードを思い浮かべながらその国の人たちが恋しくなって、また旅に出る。旅は素晴らしい一瞬一瞬をかき集める、その繰り返しですね。
――旅をする上で大切にしていることはありますか?
僕はすぐ人を好きになってしまうんですよね。
旅先での出会いはとても大切ですが、だからといって私が出会いたいと思っていても叶うものではありません。そもそも私は積極的な人間でもありませんし、だから誰かが話しかけてくれた時、その人の感情を丁寧にキャッチしようとは心がけています。