「旅は素晴らしい一瞬一瞬をかき集める、その繰り返し」韓国のベストセラー作家イ・ビョンリュル氏インタビュー
そして韓国でもそんなふうに暮らそうと心がけています。今も1年の半分くらいは旅に出る生活をしています。
――個人的に「メキシコの理髪店」で書かれていた「髭はそらない」のエピソードがお気に入りでした。ささやかなエピソードがたくさん散りばめられているところがこの本の面白さだと思いますが、イ・ビョンリュルさんがこの本を執筆しながら、個人的に一番気に入っているエピソードや写真はありますか?
カンボジアで出会ったダンの話が思い浮かびました。彼にまた会いたいですね。でもまた会えるでしょうか…。もちろんどうにかして会いに行こうと思えば会えるとは思いますが、あの時以来、カンボジアには行ってないんですよ。彼は次にまたカンボジアに来ることがあったら自分の家に来いって言ってくれたんですよ。
けど、電気が点かないって。家が真っ暗だという話をしていたんですよね。彼は韓国にも電話してくれて、いつまた遊びに来るんだと尋ねてくれたんですよね。また会えたとしても、当時と同じ気持ちを分かち合うことはできないでしょうけど…。私も彼も歳を重ねましたから(笑)。
――旅先で出会った人と仲よくなるというのは簡単なことではないと思いますが、この本にはそうしたエピソードがたくさん出てきますよね。