ドラマ化記念、原作者よしながふみが語る『きのう何食べた?』
役者さんとしては、オネエに振り切って演技したほうが楽なのかもしれないですけど、「ケンジの場合は、それじゃあダメなんだよね?」と初めてお会いしたときに聞かれたんです。その点は、内野さんに演じていただけるだけでほぼクリアしていると思うのですが、役作りに熱心な方なので、かっこいいと思える範囲でキュートでもあるバランスを、考えていらっしゃったようです。
ドラマの撮影全般にいえるのでしょうが、十数秒のシーンを撮るのに何回も同じ流れを繰り返すんです。たとえばシロさんが仕事に出かけるシーンで、西島さんがわざと襟をひっくり返してスーツを羽織ると、ケンちゃんがそれを直しながら「いってらっしゃい♡」と言ったり、チュってやろうとしたら邪険に扱われたりして。いろんなアドリブをちょっとずつ入れて試してくださるので、必死に平静を装いながら、ギャー!と思って見てました(笑)。本当にごちそうさまでした。
原作とは違うからこそ勉強になること
©️きのう何食べた?製作委員会
脚本に関しては、別々の話を組み合わせているようなところでも、違和感なくすっと入ってくるんです。読み終わってみると、同じテーマで貫かれている話を選んでいることがわかったりして、興味深かったです。