【インタビュー】永作博美、40代を迎えての“決断”…女優として、母として
普段から『こんな人、絶対にいない!』と思いつつ、好んでそういう役を引き受けてしまうところはあるんですが(笑)。今回、特に自分からは何も言わないし、あまり動かない役で、最近のアクの強い役とは違うので(笑)、そこも含めてリアリティをどう与えていくか?という不安があったんです。でも演じるうちにこうやって、自分で抱え込んだまま『こんなこと人に言えない』と思いながら、黙々と生活している人っているんだろうなと思えてきました」。
そう、百合子は自分からは動かない。決断もしない。夫が愛人を妊娠させても、どちらを選ぶのか迫るでも、怒りをぶつけるでもなく“棄権”し、自ら身を引いてしまう。そんな彼女が父(石橋蓮司)、そして亡き母が携わっていた施設の生徒であったイモ(二階堂ふみ)、日系ブラジル人のハル(岡田将生)と関わり、そしてこれまで知らなかった母の素顔を知ることで少しずつ変わっていく。
「自分で決断したことがあまりないせいか、少し彼女に対し幼稚な印象を持ってたんです。
それがお母さんの話を聞いて、空白を埋めていく――最初は他人の力で、だんだん自分の力で埋めていくことで成長していくんですね。ようやく自分で決断することで、それはもしかしたら誰も気づかないような小さなものかもしれないけど、確実に一歩を踏み出しているんです」。