2015年10月14日 19:00
【インタビュー】キアヌ・リーブス、俳優として幸せを感じる瞬間
彼らは手を止めて『おお、ひさしぶり』と言う。再会を喜んでいると同時に少し怖がってもいるようで、そのあたりも構造的に面白い。映画の冒頭では至って普通の男なんだけどね。でも最愛の妻を亡くし、そのうえ愛犬を殺されて、自宅で半殺しの目にあって、車も盗まれて」とテーブルをドンドンと拳で叩いてみせながら語る。「監督は共感できるアンチヒーロー像にこだわっていたんだと思う。ミフネ(三船敏郎)の伝統っていうかね。寡黙だけど、口にしたことは必ずやる」。
俳優の仕事で幸せを感じる瞬間は「監督が『アクション!』と言うとき」と言う。
「その言葉の後から始まる時間のために、準備を重ねてくるわけだからね」。彼は通訳の女性が「アクション」を「はい」と訳していたのに気づいたようだ。「『ハイ』と言われてから、カットがかかるまで、共演者と一緒にストーリーを作っていく。だから『カット!』と言われた後はものすごい充実感があるんだ」。そして、俳優として目指すのは「リアルであること。真実に忠実でありたいし、その真実を探って演じたい」。
そんなキアヌは大作に主演する俳優のみならず、『ファイティング・タイガー』で監督にも挑戦、ドキュメンタリー『サイド・バイ・サイドフィルムからデジタルシネマへ』を製作するなど、映画というメディアへ人一倍深い思いを抱いている。