2016年6月24日 18:00
【インタビュー】綾野剛、白石組で“悪”とは何かを問う…『日本で一番悪い奴ら』
事実は小説よりも奇なり。この映画で描かれていることが事実であることにただただ驚かされるが、驚きの事実を描ききったことにさらに驚く。というのもつい最近、喫煙シーンのある映画が「成人指定」になるなど、映画の作り手にとって厳しい世の中になりつつあるからだ。しかしながら、この『日本で一番悪い奴ら』はそんなことに縛られはしない。そういった反発が挑戦であり「ひとりくらい反発して、(ダメだということを)表現する奴がいてもいいのかなって」と言う白石監督は、なんとも格好いい反逆児だ。
「映画での表現に限らず、いまの世の中は本当に潔癖症になっていて、不倫をしたらその人の人生を全否定、薬物使用で逮捕されたらその人のこれまで制作してきたものを全否定、そんなことあるかと。“罪を憎んで人を憎まず”という言葉がある国なのに、本当におかしい世の中になってきている。この映画の主人公も捕まった当時の三面記事を見ると、おそらくですが、一人の悪徳刑事が薬物所持、銃刀法違反で逮捕、なんてヒドい奴がいたもんだ…で終わってしまっていたと思うんです。
でも、彼にも青春時代があって、人としての営みがあって、それを描くべきなんじゃないかと。