2016年8月7日 17:00
【美的アジア】『あなた、その川を渡らないで』チン・モヨン監督が語る、愛することのヒントとは?
という気持ちがあったので、撮影しながらもふたりの様子をつぶさに観察していました。ご夫婦はそれをひとつひとつ余さず私に見せてくれました。そしてわかったのは、「愛はすごい」、とかそういったものではなく、この老夫婦にとっては日常のとても些細なこと。その些細なことひとつひとつに真心が込められていたということでした。それがある意味ではこのふたりの凄かったところだと思います。
――「美的アジア」の読者は結婚を考える年代でもあります。観客にどのようにこの作品を見て欲しいと思われますか?
監督:私は愛の専門家ではないですが…(笑)、最近は100歳時代とよく言われていますけど、人間は生まれてから死ぬまでひとりで人生を過ごす時間よりも、誰かと一緒に過ごす時間の方が非常に長いというふうに思います。この老夫婦の場合は76年間をひとりではなくふたりで暮らしてきたのですが、どうせ一緒に長く暮らすなら、長ければ長いほど幸せでなくては暮らせないというふうに思います。
おふたりの間でも色々なことがかつてはあったんでしょうけれども、やはり愛の中で、愛するという行為の中でふたりが生きていたということを感じていただければと思います。