2016年8月7日 17:00
【美的アジア】『あなた、その川を渡らないで』チン・モヨン監督が語る、愛することのヒントとは?
もし愛がない中でふたりが生きていたとしたら、ふたりで暮らしていたとしたら、それは非常に不幸なことになってしまうと思います。
――「愛」ってなにげない光の中に、実は大きく存在するものなのかもしれないですね。
監督:よく「私はこの人にこれだけ愛されて幸せ」というような言い方をされる方がいますが、本当の幸せというのは「愛されたから幸せというのではなく、自分が愛したことによって幸せになるもの」じゃないかとおふたりを見て改めて感じました。人を愛するということは、自分自身を尊重するということにもなってくると思います。お互いが愛し合っていい関係を作るためには、愛することによって自分自身を尊重し、お互いの思いやりを維持する、これが本当の「愛するという行為」なのだと思います。なんだか哲学的になってきましたよね(笑)。私が好きな詩の中で、「我々は偉大なことを成し遂げるのではなくて、小さなことを最後まで続けていく、それが人生というものなのだ」というような趣旨の詩があるんですけども、このふたりがまさにそうで、熱烈な愛を貫き通したのではなく、日々の小さな愛の積み重ねが結局は長い愛に繋がったというふうに思います。