自分らしく“生きる”とは? 性を切り口に人間の本質に迫る注目作
暑さもフルスロットルとなったこの8月、セクシュアルなエモーショナル・ムービーが2本公開される。
直木賞作家による小説を原作とする<R18>ドラマと、米国で最も有名なセックス・セラピストの半生をひも解くドキュメンタリー。
ジャンルは異なれど、それぞれのアプローチで”性”を切り口に人間の本質が描かれる。どちらも「生きる」について考えさせられる作品だ。
“身体の言い分”に身を委ねる男女のエロティシズム
『火口のふたり』
2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞した作家・白石一文による小説を、脚本家・荒井晴彦が3作目となる監督作として映画化した『火口のふたり』(8月23日公開)。数年ぶりに再会した男女が、世界の終焉を前に、性愛に溺れる姿を追った衝撃作だ。
東日本大震災から7年後の秋田。十日後に結婚を控えた直子は、昔の恋人・賢治と久しぶりに再会する。
直子の婚約者が出張から戻るまでの5日間だけという約束で、ただひたすらに互いを求め合うのだが…。
身体の言い分に、身を委ねる
昔撮った睦まじくも淫らな2人の姿を写したモノクロームのスナップ写真を見たことで、欲望のままに体を重ねていた青春の日々の記憶を鮮やかに甦らせる賢治と直子。