難民の少年がチェスチャンピオンを目指す『ファヒム パリが見た奇跡』公開
監督が実際の“ファヒム”の指導者であるグザヴィエ・パルマンティエに出会った際に、「彼の恰幅の良さ、優しさ、激しい気性を知りまっさきに思い浮かべたのがジェラール・ドパルデューだった」という。
「私はおめでたい人間ですから、すぐにジェラールがぴったりだと思い、1秒たりとも断られる可能性を想像しませんでした。それでもジェラールのエージェントに脚本を送った時は多少ドキドキしましたよ。脚本は140ページあり、この長さがジェラールのやる気をそぐんじゃないかと怖くなったのです。でも違いました。48時間後に彼はOKの連絡をくれました」とその喜びを語る。
そして、チェスの天才少年ファヒムを演じたのは、これが演技初挑戦であり、自身も撮影が始まる約3か月前にバングラデシュから政治亡命者の息子をして逃れてきたというアサド・アーメッド。ある日、父親から「いとこと一緒にでかけろ」と言われた先が映画のキャスティング現場だったと言う。
本作について「脚本の内容を聞いた時、とても感動しましたし、バングラデシュの首都ダッカで起こっているいろいろな問題を思い出しました」とアサド。「ファヒムの物語は僕のものではありません。でも僕が経験してもおかしくなかった」