難民の少年がチェスチャンピオンを目指す『ファヒム パリが見た奇跡』公開
「この映画を通して、人々が移民の生活が簡単ではないと分かってくれることを願います」とその想いを語る。
監督は、俳優としても活躍するピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル。本作を製作することになったきっかけについて、彼は「2014年2月、テレビで14歳のバングラデシュ人の少年が、彼のこれまでの人生を語った本『Un roi clandestin(密入国者の王さま)』(日本未発売)についてインタビューを受けていたのを見たのです。それまで彼のことをまったく知りませんでしたが、落ち着いた声で話すこの少年に魅了され心を揺さぶられたのです」と明かす。
「なぜ8歳の時に急に母親から引き離され、国を出なければならなかったのか。父親と一緒に言葉も生活習慣も知らないフランスに降り立ち、その4年後に、不法滞在のホームレスであったにもかかわらず、どうやって12歳以下のチェスのフランス王者になったのか。すごい道のりです!私の映画作家としての血が体をひと巡りし、すぐにこの映画を作りたいと思ったのです」。
政治難民の父親に伴われ、わずか8歳で見ず知らずの街で生きることになったファヒムが“チェス”という共通項を通して様々な人と出会い、信じ合うことでその才能が花開き、目標に向かってひたむきに生きる姿には心打たれるだろう。