2010年11月11日 12:18
『100歳の少年と12通の手紙』シュミット監督×富永まい監督 対談インタビュー
少年が遺したもの
シュミット:劇中、“砂漠の花”というものが出てくるんですけど、一日で枯れちゃう花です。「枯れた花のあとに種が残るでしょ」ってローズが言うんです。この言葉はある意味、オスカーにとっては残酷なシーンだと感じていました。なぜなら、彼は想像の中では100歳を超えて生きるけれど、実際はそうではなく、子孫を残すことができませんよね。でも、後になって考えてみたら、オスカーが遺したもの――ローズや両親に伝えた彼の愛情は、しっかりと彼らの記憶に残るでしょう。生きている人たちが彼の死後も人生経験をできると考えたとき、肉体はなくなっても遺すものはあったんだ、と。あれは彼の人生のメタファーなんだと思いました。
富永:素敵なシーンでした。
陽気に描かれているのも良いですね。日本にも難病の子が死んでしまう映画が山ほどありまして「いかに映画館に泣きに行くか、泣きに行かせるか」が命題だったりするわけです。誰でも幼い子供が難病で死んでしまえば泣きますよ。でも、この映画はかわいそうで泣くんじゃない。この少年が素晴らしく生きたことに感動させてくれる。これが人間の持ってる力なんだと感じさせてくれる。“難病モノ”という点で同じ題材だけど到達点が違うんです。