2010年11月11日 12:18
『100歳の少年と12通の手紙』シュミット監督×富永まい監督 対談インタビュー
泣く映画を観に行く日本人にぜひ観てほしいと思いました。
“命”はみんなに公平――それを象徴するローズ
富永:ローズという人物は、乱暴に見えるけど公平な人物に思えました。死ぬんだと言われてる子に「そうだよ」と言うところから2人の関係が始まる。それは勇気がいるし、残酷なことかもしれないけど公平なんですよね、命はみんないつかなくなる、というところで。前作の『地上5センチの恋心』の主人公のオレットさん(カトリーヌ・フロ)も公平な人物であり、そこが魅力的でした。
シュミット:2人とも大人の女性ですが幼児性が抜けてない。嘘がつけなくて言動がダイレクトなんです。オスカーがいじけてロッカーで過ごすシーンがあります。
ローズはそのことについてオスカーに「楽しかった?」と聞くんです。普通の大人なら「なぜそんなことしたの?」と聞くか説教じみたことを言うものです。そうやって話しながら、彼女が意識してるわけでもないのにオスカーの苦痛は和らいでいく。『地上5センチの恋心』のオレットと作家の関係も同じです。作家が抱える重い問題が、オレットとのやり取りを通じて軽くなっていく。それは、ローズやオレットが持っている率直さ、真っ直ぐな物の見方が作用してる。