堺雅人インタビュー 「幕末の負け側ばかり演じてきて、勝手に三部作って呼んでます」
その後、石川県(旧加賀藩)はかなり大変な目に遭うわけですしね。見通しのきかない時代に“分かったフリ”をすることなく自分で判断したという点では家定も山南も直之も同じ。自分の中で勝手に『三部作』と呼んでます(笑)。その最後を飾るにふさわしい人物、作品だったと思うし、自分の中で幕末という時代の変わらない部分ですね」。
「歴史を学ぶと“現代の価値観が一番”という視点がひっくり返る」
現代から遡ることおよそ150年。これを長いと見るか“たったの150年”と見るかは人それぞれだろうが、当然のことながら時代と共に人々の価値観も変化する。時代劇に限らず現代劇、戦時中、戦後など様々な時代の物語に身を置いてきたからだろうか?堺さんの“価値観”に対する視点は興味深い。
「作品を通じて歴史を学んでいくと『現代の価値観が全てだ』という視点がひっくり返ることがあるんですよ。
それはすごく楽しいことでもあって。例えば、父親が死んだ日も直之は帳簿をつけている、というシーンが出てきます。ここで『やらなくちゃいけないことがあるのは分かるけど、あなた個人の気持ちはどうなの?』という風に考えるのは、実は“近代的な自我”なんですね。