キンタロー。も被害、“ぶつかり男”はどのような罪に問われるのか
まず、母親についてですが、“ぶつかり男”は暴行罪(刑法208条:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)の構成要件に該当する可能性があります。暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けた有形力の行使を言いますが、他人の体にぶつかっていく行為が「暴行」に当たることは争いがないと考えられます。
また、ぶつかり行為によって被害者の方が転倒するなどして怪我を負った場合、傷害罪(刑法204条:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)となるでしょう。もっとも、暴行罪や傷害罪の成立には、「暴行の故意」というものが認められなければなりません。「暴行の故意」とは、簡単に言えば、他人の身体に暴行を加えることを認識している、ということです。これは、積極的に暴行をしようとは思っていないが、自分のやっていることは暴行にあたるかもしれないがそれでも構わない、と思っている場合にも認められます。
もっとも、「暴行の故意」のような主観的な要件については“ぶつかり男”の心の中の問題ですから、客観的にこれを立証することは容易ではありません。一例として、他の改札や通路が空いているにも関わらず、あえて被害者のいる場所に向かっていく姿が駅の防犯カメラなどに記録されていれば罪に問える可能性は出てくるでしょう。