問題のあるルームシェアで"女の敵は女"を突破せよ - 『地獄のガールフレンド』
そうしておけばコミュニケーションコストがかからなくて済む、という振る舞いの問題ならまだしも、やっかいなのは、男女ともにこれを欲望レベルで内面化してしまっていることだ。
若さや容姿でジャッジされることにさんざん不快な思いをしてきたはずの加南も、「かわいがられたいって気持ちが捨てられたら…/たしかに楽そうではあるかな…女の人生」と、"男に欲される快感"を捨てきれずに揺らいでいるさまが見てとれる。
中でも、男から愛されることを人一倍、自己肯定の拠り所にしてきた奈央にとって、男に求められないオバサンになるのは、何より恐ろしいことだ。焦った彼女は、自分より年上のオジサンと合コンをして、「若くて魅力的な女のコ」扱いされることで自我を保とうとする。
しかし、まだ育児中の妻を家に残して自分に手を出そうとする身勝手さを批判すると、男は手の平を返したように奈央を「ドブス」と罵倒してきたのだ。「ホントのことを言う私は/男の人にとってドブスなんだ」
時折しも、峰なゆかの『アラサーちゃん』では、ゆるふわちゃんが自分に対して勝手な幻想を抱く文系くんと付き合うことになり、自我崩壊して闇落ちする展開が話題となった。