問題のあるルームシェアで"女の敵は女"を突破せよ - 『地獄のガールフレンド』
『問題のあるレストラン』では、男性に迎合して生きる道を選んできた"きらきら巻き髪量産型女子"の川奈藍里が、同僚男性からストーカー行為を受けて殴られ、目を覚ます場面が描かれた。
ゆるふわちゃんと、川奈藍里と、本作の出口奈央は、年齢こそ違うものの、パラレルワールドを生きる同一人物に見えてくる。自分ではない誰かに自我を預け、欲望をコントロールされるのがいかに危険かということが、今、多くの女性の中で実感として共有されはじめているのだろう。
『地獄のガールフレンド』は、生き方の違う女性同士のルームシェアを通して、あなたの隣の女性は本当に敵なのか、手を取り合い"シェア"することはできないのかと、そっと共闘を呼びかけているのかもしれない。ただし、意味深な1巻の最後のコマを含め、タイトルの「地獄」が意味するところは今後の続きが気になるところだ。
(C)鳥飼 茜/祥伝社フィールコミックス
<著者プロフィール<
福田フクスケ
編集者・フリーライター。『GetNavi』(学研)でテレビ評論の連載を持つかたわら、『週刊SPA!』(扶桑社)の記事ライター、松尾スズキ著『現代、野蛮人入門』(角川SSC新書)