『ルパン三世』新TVシリーズには隠されたテーマがあった! 浄園祐プロデューサーが最後まで悩んだ「物語の終わらせ方」
つまり、かすれたり、よれだったり、逆に力強さ、粗さなど、描く人の気分にもよるところが全部画面に出ていました。僕たちはそういうところから、画面から出てくる"圧"を感じていたんです。でも、今はデジタルになったことで、きれいにする技術だけはとても進みました。美少女モノとか髪の毛の先まできれいに描けますし、目の中のハイライトまで細かくできます。そういった精密さは再現できるけれども、人の荒っぽさや生きざままでは出せない。
ルパンたちは誰にも縛られず、欲しいものをなんでも手に入れていきます。彼らのそういう生きざまが、『ルパン』作品のかっこよさであり、ほかのアニメ・キャラクターにはない魅力です。そんな生きざまを描く上で、整理されたもの、フォーマットにのっとったものは『ルパン』を作る上では邪魔になるんです。
だから今回、僕たちはあえて劣化させました。ジーンズでいえばあえてダメージジーンズを作るような、あえてもう1回汚すイメージです。そういった人のぬくもりの部分が、もしかすると日本のアニメが海外で作るものと違うところなのかなと思っています。
●『ルパン』を懐かしいアニメにしたくない
――制作スタッフでは、『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)