『スパイダーマン:ホームカミング』はヒーロー映画の枠を超えた青春映画! 主人公の奮闘にどっぷり感情移入
が立ちはだかる。彼は普通の人間だが、自分で開発した巨大な翼を装着してニューヨークを飛び回り、街の犯罪を助長している。トニーに認められる絶好のチャンスを逃したくないピーターはトニーの制止を聞かず、無謀にもバルチャーに立ち向かってしまうのだが……。
今作では、ヒーローにあこがれるもいまだなりきれてはいない最年少の"ヒーロー"がしゃにむに頑張る姿を描いていて、観る者すべてが感情移入してしまう共感要素が高い作品だ。その上、アクション満載のヒーロー作品の枠にとどまらず、15歳の少年が繰り広げる恋愛、友情など、誰もが味わったことがある甘ずっぱい高校生活をも描く青春ムービーの側面も強く、過去のマーベル・シネマティック・ユニバースの世界観を描いた作品の中でも、ダントツに"それ以前"を描いている。それゆえ人並み外れたパワーを持っていたとしても、なかなか成長しないことは当たり前で、主人公の奮闘物語に大いに感情を持っていかれる。そのために、主人公ピーター・パーカーの人間性も大きく掘り下げているのだ。
その人間スパイディを描いた監督が、弱冠36歳のジョン・ワッツ監督だ。
転機となった作品が、すぐ裸になってしまうケヴィン・ベーコンを主演に迎えた監督2作目『COP CAR/コップ・カー』(15)