『スパイダーマン:ホームカミング』はヒーロー映画の枠を超えた青春映画! 主人公の奮闘にどっぷり感情移入
で、この作品で名もない少年俳優の演技力を引き出したことが評価され、今作への大抜てきにつながったという経緯がある。その手腕は今作でも遺憾なく発揮され、よくある青春映画よりも主人公の青春を描き上げ、過去のどのスパイダーマン映画よりもリアリティーがある葛藤ドラマを生み出した。そこに上手いことマーベル・シネマティック・ユニバースの世界観までも絡め、もはや非の打ちどころがない作品になっている。
また、悪役が実にいい。トニー・スタークに激しく恨みを持っているバルチャー=エイドリアン・トゥームス役を、マイケル・キートンが演じている。彼は公開中の映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』でもマクドナルドを乗っ取る実在のビジネスマンを気持ちよく怪演しているが、己の正義を強く主張しまくるキャラクターは、今作でもパワーアップ!"やっていることは間違っているが、言っていることがわからなくもない"という観客を翻弄する役柄を演じたら、最近では右に出る者はいない。その昔、バットマンとして街の悪を成敗していた彼が、反対側に行ってしまったという見方も実に興味深い。トニー・スターク=アイアンマンに恨みを持っているという背景も、MCU的に本当に最高だ。