『コウノドリ』10話。「出生前診断」は”命の選別”か? つらい選択、あなたなら?
明るさって生きるための武器だね。
■「それぞれの事情の上に命は生まれてくる」
このエピソードには、もうひとりの妊婦が登場する。小松と同期の助産師・京子(須藤理彩)だ。45歳での高齢出産を控えていた彼女は出生前診断を受けないと決めていた。
「どんな子どもでも受け入れる!自分の子どもなんだから。口で言うのは簡単なんだけどね」
余談だが、筆者も妻が40歳で長女を妊娠したとき、出生前診断についてよく話し合った経験がある。結論として、出生前診断は受けなかった。考え方としては京子と非常に近い。
明代は中絶を選び、透子は迷いに迷った末に産むことを決意する。しかし、誰かを賛辞し、誰かを非難するようなことはない。出生前診断を「命の選別」として否定的な見解があることも取り上げている。ただ、それも考え方のひとつに過ぎない。
このドラマのスタンスは、次のサクラの言葉に集約される。
「それぞれの事情の上に命は生まれてくる。育てていくのは家族なんだ」
ここでも『コウノドリ』全体のテーマである「生まれること、そして生きること」が貫かれている。出産は奇跡だ。
だが、その後には長くてシビアな現実が待ち構えている。