映画『魂のゆくえ』感想。巨匠ポール・シュレイダー監督が構想50年の末に完成させた“聖なる映画”
仕方なく出向いたメアリーの家でマイケルと話したトラーは、彼が地球の未来に思い悩むあまり、「こんな世の中に子どもを産み落とすのは、間違いだ」。メアリーのお腹の子を産むのに反対していることを知ります。
「2050年、僕らの子どもは33歳になっている。そのとき地球はどうなっていると思う?温暖化は進み、多くの地球は海に沈み、アフリカは干ばつで穀物の収穫量半分に。この事態を回避できる期限は過ぎてしまい、もう止めることはできない」とマイケルはトラーに語りかけます。
「人間は、ずっと生きる意味を問いかけてきた。でもメアリーのお腹の中で育っているのは命だ。これは君だけの問題じゃない」と必死に説得を始めるトラー。
「私の父も私も従軍牧師で、私は息子にもそれを勧めた。妻は強く反対していたが、息子は結局入隊することになった。そして6カ月後、彼はイラクで死んだ。私は戦争に息子を送り込み、彼を殺したんだ。妻は私のもとを離れ、私は軍を辞めた。
行き場がなくて困っていたところをアバンダント・ライフ教会の牧師に助けられ、ファースト・リフォームド教会の牧師になった。
マイケル、約束する。君が子どもをこの世に産み落とすことにどれだけ絶望してようとも、それは子どもをこの世から奪い去ることの絶望とは比べものにならない」