【新連載】この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。
あなたがハズレってことだけは、分かるけどね。がっかりした気分で1万円札をテーブルに置き、席を立つ。
「先帰るね」
「待てよ、俺の連絡先を渡すから。気が向いたら電話して」
「要らない」
「ったく、可愛くねぇーな。そんなんだから彼氏ができないだけじゃないの?」
本当、うざったい。何様なの、こいつ……。
彼氏?そんなの必要ない。私はその日、その時だけの相手と恋愛が楽しめたらいいの。
誰かと真剣に付き合うなんて、真っ平御免よ。
――――ずっとそう思っていた。彼に出会うまでは。
探偵事務所
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「一体、いつまで待たせる気……?」
自動車内で待機中の私は、思わず悪態をついた。運転席にいる仲西(ナカニシ)さんが眠そうにあくびをする。
「3時間越えか。平日の昼間っからご苦労なこったな」
「本当よ、さっさと出て来て、さっさと証拠を取らせて欲しいわ」
「そう簡単にいくかよ」
「あ、待って。出て来たかも」
私たちが待機している車から、20メートルほど離れた先にラブホテルがある。
そのホテルのエントランスから対象のカップルが現れた。