理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)
【これまでのあらすじ】
出張のことで大和と喧嘩をしてしまったまま当日を迎え、東京駅に向かう汐里は、その道中で自分にとって大切なのは大和だと気付く。
出張には行かずに大和の勤める病院へ直行したが、そこに大和の姿はなく、1週間ほど休暇を取っていると聞かされる…
前回はこちら▼
理想じゃない恋のはじめ方。(第9話)
第1話はこちら▼
理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)
小さな救世主
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大和のことが好き。ずっと一緒に居たい。自分の気持ちをやっと自覚できたのに、肝心な大和と連絡が取れない。
1週間も休暇を取って、どこに行ってしまったんだろう?病院のカフェで途方に暮れていると、不意に肩を叩かれた。
「こんにちは!」
見覚えのある女の子が私に向かってニコッと笑う。この子は……大和と水族館に行った時に、偶然会った子だ。名前は確か、れいなちゃん。
「こんにちは。今日は診察?」
「ううん、おばあちゃんのお見舞いに来たの」
「入院してるんだね」
「うん、この前転んで骨折しちゃったんだって。