【『ファイトソング』感想・3話】きれいに出来すぎてる「形の恋」は孵化するか・ネタバレあり
は、『固くて手強い』偽装恋愛ドラマだと言えそうだ。
目標半ば、事故で夢を頓挫(とんざ)し、更に難病を抱えていて、思い出作りをしたいヒロイン・木皿花枝(清原果耶)と、形だけでも恋を経験して、とにかくエモーショナルな曲を書きたい、今にも解雇されそうな崖っぷちミュージシャンの芦田春樹(間宮祥太朗)。
不憫さでいえば、二人共に近年の偽装恋愛ドラマのなかでもトップクラスである。そして、共に状況が切実な分だけ、恋愛感情そのものに対する無欲さの鎧も固い。
真面目な二人は、とにかく恋の形だけを再現しようと割り切っている上に、更に恋の条件を細かく分析して、それを優等生的にトレースしつくしてしまうのである。
恋人つなぎの手のひらも、中華街のデートも、夕日のファーストキスも、アクシデントの余地がないほど優等生的である。偽装恋愛の縦糸も横糸もみっしり詰まっている。
※写真はイメージ
そのみっしりとした詰まり具合が不憫な境遇の二人を反転させて、この3話では、ほんのりとした可笑しみを生んでいた。
生真面目で、それゆえにちょっとズレている二人が、恋の形を熱心にトレースしているのと対照的に、二人を見守る周囲は本当の意味で恋に悩み、傷ついている。