【『ファイトソング』感想・3話】きれいに出来すぎてる「形の恋」は孵化するか・ネタバレあり
「それは恋の形をしてるし限りなく恋に近い何かだけど、まだ恋じゃないなあ」と思わせる主人公二人。
対して、と思わせる主人公二人に対して、花枝にフルスイングの空振りで片思いしている幼なじみの夏川慎吾(菊池風磨)も、同じ幼なじみで、その慎吾にずっと片思いをしつつ、花枝のことも大事だから、自ら姐御キャラになって三角関係のバランスをとってしまう萩原凜(藤原さくら)。
また、凜が働く理髪店の店主で、養護施設の施設長の磯部直美(稲森いずみ)を密かに想っているらしい迫智也(戸次重幸)の、いかにも大人らしい控えめな磯部への視線も、春樹のマネージャーとして曲が書けない春樹を叱咤(しった)しつつ、作曲のための「恋の経験」には複雑な想いで苛立つ伊達弓子(栗山千明)も、みなそれぞれに切なくて健気だ。
※写真はイメージ
真剣に誰かに恋をしているなら、大胆に形から入ってあえて関係のバランスを崩すことなんかできない。
ジェンガのように、今の全体の形を崩さないように細心の注意を払いながら、一つ一つパーツを手に入れるしかない。
しかし形だけで恋に踏み込もうとする花枝と春樹の大胆さが、静かに膠着(こうちゃく)