【エルピス 第10話 感想】国家権力や報道責任を描いただけでなかった『エルピス』の本質
松本の冤罪証明に何年も前から奮闘してきた木村弁護士(六角精児)や情報を提供してくれた笹岡(池津祥子)。
皆、誰かを信じ、必死に生きた者達だ。彼らの小さな声が集まり、大きな声となって届いた。
『生きること』の本質とは
放送後すぐ、岸本と浅川は小さな定食屋に入る。そこは村井行きつけの美味しい牛丼が食べられるお店だった。
浅川が「お腹すいた」とこぼし、大盛りの牛丼を大きな口を開け微笑みながらそれを頬張る。そして遅れて登場した知った顔に「遅い」と不満を投げながらも、笑顔で迎える。そして無事に冤罪が証明された松本が、チェリーが作ったカレーとショートケーキを美味しそうに食べる。
そんなごく当たり前の日常が、何故か強く響いてくる。
何も喉を通らなかった浅川が。孤独感に苛まれてきた岸本が。
信じたものに何度も裏切られてきた村井が。多くの時間を奪われ続けた松本が。
そんな彼らが笑い合あってご飯を食べているのだ。信じ合える人と美味しいご飯を食べているだけで、世界で一番最強になった気分にだってなれてしまう。
そしてエンディングで黒く爛れたケーキを作り続けた浅川と真っ白なケーキを食べ続けたチェリーの『信じる誰かへの希望があるか』での対比。