【エルピス 第10話 感想】国家権力や報道責任を描いただけでなかった『エルピス』の本質
それらが『生きること』はつまり『信じる人と共に食べること』という本質に気づかせてくれた。
『正しさ』はそこに存在しながらも、時に強大な力に飲み込まれ、歪められ、真実との間に壁をつくり、凶器へと姿を変える。
闇に葬られた真実は人の見えない場所で渦を巻き、また別の真実の手を掴み引き摺り込もうとする。
そんな腐りきった構図は一瞬でひっくり返えせるものではない。
だが、浅川恵那や岸本拓朗のように、何の問題意識も感じてこなかった人間だって、自分自身を見つめ直し、壁にぶち当たる度に変わり続け、戦い抜けば、災いの中の『希望』を掴むことだって決して不可能なことではないのである。
そうだ。『エルピス』が描いてきたのは、横暴な国家権力やメディアの報道責任に対する挑戦だけではないはずだ。
絶望の中をこれからも生きていく私達に、誰かを救うことのできる『希望』をそっと託してくれたに違いないのだ。
[文・構成/grape編集部]