【『ラストマン』感想9話】福山雅治と大泉洋、鉄板のバディがたどり着く先
思い出すのは、2話で皆実が母の味として作った肉じゃがを、心太朗は「懐かしい味だ」と言って食べていた場面である。
過去に同じ料亭で働いていた皆実の母と、心太朗の父が同じ出汁の味を記憶に刻んでいたとしても不思議ではない。
ここまでに一切語られない心太朗の実母の話も含め、まだ見えない点と線がある。
そして、もしも鎌田國士が冤罪として無実の罪を着せられたのだとしたら、養子として警察官僚の名家に引き取られる息子は『詫び』であり、同時に冤罪を告発させない『人質』だったのではないか。
次々と明らかになる人間関係の悲喜や機微を、福山雅治と大泉洋はそれぞれに絶妙な演技で受け止めている。
大泉の、憮然としながら照れが伝わる様子、同じく憮然としていても怒りが伝わる表情。
福山の、にこやかにしながらも、これは捜査用の仮面だと分かる笑顔と、仲間を得て心からくつろいでいる笑顔。
今作の皆実広見と護道心太朗は、世間がそれぞれ二人に求めているイメージそのままの、いわゆる『鉄板』の役柄ではあるけれど、それに存分に応えながら、更に行間を魅せてくれる二人の演技に拍手を贈りたい。
今回、捜査一課の中でも護道家の跡取りとしても『愛されキャラ』である泉が、捜査の中で刺されて瀕死という衝撃のシーンで終わる。