【『大奥 Season2』感想8話】福士蒼汰の動、古川雄大の静 悲劇を際立たせる二人の演技
の悲願と世代をまたぐ研究者の苦闘によって伝染病は克服される。
人口比は半々に戻り、社会も徐々に男中心になっていく一方で、依然男に交じって家督を継いだり、政治に携わる女達もいた。
おりしも時は幕末。過渡期の社会にアメリカの黒船がやってきて開国を迫る。
時の将軍は徳川家定(愛希れいか)。女性であり、幕府の体制維持のために薩摩藩から御台所・胤篤(福士蒼汰)を迎えていた。
この男女逆転の『大奥』で屈指の愛の場面といえば、一つは序盤、家光と有功が最初に心を通わせて抱擁するシーンだと思う。
そして右衛門佐(山本耕史)が綱吉(仲里依紗)に男女のありようを説く場面。
さらにもう一つ、今回の家定が胤篤に「そなたが好きなのだ」と涙とともに告白する場面である。
※写真はイメージ
この原作でも胸迫るシーンに、脚本は「しかし実のところ、私にはしかとわからぬことであったのだ。何をもってこの男を好き嫌いだと人は言うのか」という家定の言葉を付け加えた。
自身では愛が何なのかを知らない過酷な人生で、それでも部下や周囲を優しく思いやってきた女の高潔な魂がさらに実感できる一言である。
そして愛する家定を突然失った胤篤の悲痛は、ドラマでは映像として見るぶん、一層深く苦しい。