【『大奥 Season2』感想8話】福士蒼汰の動、古川雄大の静 悲劇を際立たせる二人の演技
描き方も、原作以上にドラマの胤篤は絶望し、泣き、怒っている。
その描き方に、福士蒼汰は炎のような熱量をもって応えた。
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薩摩の隠密である中澤(木村了)との火花が散るやりとりも、井伊直弼(津田健次郎)に激しく詰め寄る場面も、福士が発散する荒んだ怒りに圧倒される。
そして次の将軍となる家茂(志田彩良)と生前の家定が願った世の中を語るうちに心の鎖が緩み、義父上と呼ばれた瞬間に荒んでいた瞳に灯りがともる様は見応えがあった。
同時に、絶望にのたうつ胤篤を静かに見守り、形にならない思いやりで支える瀧山を演じた古川雄大の佇まいも素晴らしく、二人の俳優の動と静が悲しみの場面を一層味わい深いものにしていた。
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愛が通じ合った幸福の後の死別は、五代将軍・綱吉と右衛門佐で、そして父親と娘の関係性は同じく綱吉と桂昌院(竜雷太)、そして家定と家慶(高嶋政伸)で描かれている。
だが、作中で時代を変えて繰り返し描かれるそれらは、少しずつ救いと解決が示されながら繰り返される。
胤篤は愛する人と突然死別する悲しみに沈みながらも、周囲の支えを得てその遺志を実現するべく立ち上がる。