【『不適切にもほどがある!』感想5話】笑いと悲しみの複雑なパッチワーク
の名前から、渚は小川の孫だと判明する。
しかし渚が会ってほしいと連れてきたのは、渚の父親で『ゆずる』と名乗る男(令和・古田新太昭和・錦戸亮)だけだった。
二人の話によると純子は離婚して海外に行ったというが、どうも様子が怪しい。
そして小川と逆に、令和から昭和へタイムスリップしている向坂サカエ(吉田羊)と息子のキヨシ(坂元愛登)は、不登校でまだ出会ったことのない同級生の存在を知る。
クドカンドラマの中に潜むのは…
ドラマ全体の折り返しに、宮藤官九郎がアクセルを踏み込んできた。
怒濤の笑いと胸にせまる悲しみがごちゃ混ぜになって、それをエピソードとしてまとめあげる。その腕は宮藤官九郎ならではだ。
そもそも古田新太の若い頃が錦戸亮という無理筋を、前半は『覇者』『肩パッド』『許しを請うダンス』で大笑いさせておいて、それでも最後には見る者を思わず泣かせてしまうのである。
クドカンの頭の中では、笑いと哀しみの境界線でどんな化学変化が起きているのかと改めて不思議に思う。
軽薄に見えて実は誠実で愛情深かった婿が、最初に作りたいと願ったのが義父の背広なのも、純子が父を東京まで迎えに行ったのも、採寸が上手くいかなかったのも、飲食店で朝まで語り明かしたのも、何もかもそれぞれの愛情ゆえだった。