道行く人に無視されて、困っていたおじさん そこへ男性配達員がやってきて…?
どういうことだろう?
配達員さんはゆっくりと台車を押し始めた。私は驚き、向かう方向が一緒だったこともあって、様子を見ることにした。
配達員さんは、あの緑の帽子と制服を着ているし、通常荷物を運ぶ台車におじさんが座っているという不思議な光景で、周囲の人もちらちらと見ていた。
二人はそんな視線を気にする素振りもなく、そのままイオンに入り、エレベーターで2階へ、何かを探しているようだ。
そして、イオンの中にある小さな整形外科の前で台車を止めた。おじさんはゆっくりと立ち上がり、病院の前の椅子へ座り直し、泣きそうな顔をして言った。
「こんなに親切にしてもらったのは、生まれて初めてだ。本当に助かった。
痛くてとても歩けなくて、どうしようかと思ってたんだ」
配達員さんは笑顔でこう返した。
「よかったです。とても痛そうだったから、何かできればと思ったんです。配達の仕事は人助けと思ってるんで、これも同じです」
「きみ、どこの支店に勤めているの?会社に感謝を伝える電話をしたい。ぼくにとって忘れられない出来事になった」とおじさんが言うと、「〇〇店ですが、私は社員ではなくてアルバイトですし、きっと名前言われても会社の人わからないと思います。